羽生結弦

主な戦績を記します

基本的に国内は全日本レベルの大会のみです。国際大会はチャレンジャーシリーズ以上の格のものを載せてあります。

 

Season Event Pl Total SP TSS FS TSS
04-05 全日本ノービス 1 (1)   (1)
05-06 全日本ノービス 2 67.44   67.44
06-07 全日本ノービス 3 71.03   71.03
06-07 全日本ジュニア 7 128.96 38.80 90.16
07-08 全日本ノービス 1 103.87   103.87
07-08 全日本ジュニア 3 161.02 49.55 111.47
08-09 JGP Merano 5 146.68 51.06 95.62
08-09 全日本ジュニア 1 182.17 57.25 124.92
08-09 全日本選手権 8 181.65 64.50 117.15
08-09 World Junior 12 161.77 58.18 103.59
09-10 JGP Torun Cup 1 198.65 66.77 131.88
09-10 JGP Croatia 1 201.15 70.78 130.37
09-10 全日本ジュニア 1 194.15 76.00 118.15
09-10 JGP Final 1 206.77 69.85 136.92
09-10 全日本選手権 6 195.22 57.99 137.23
09-10 World Junior 1 216.10 68.75 147.35
10-11 NHK Trophy 4 207.72 69.31 138.41
10-11 Rostelecom Cup 7 202.66 70.24 132.42
10-11 全日本選手権 4 220.06 78.94 141.12
10-11 Four Continents 2 228.01 76.43 151.58
11-12 Cup of China 4 226.53 81.37 145.16
11-12 Rostelecom Cup 1 241.66 82.78 158.88
11-12 Grand Prix Final 4 245.82 79.33 166.49
11-12 全日本選手権 3 241.91 74.32 167.59
11-12 World Championships 3 251.06 77.07 173.99
12-13 Skate America 2 243.74 95.07 148.67
12-13 NHK Trophy 1 261.03 95.32 165.71
12-13 Grand Prix Final 2 264.29 87.17 177.12
12-13 全日本選手権 1 285.23 97.68 187.55
12-13 Four Continents 2 246.38 87.65 158.73
12-13 World Championships 4 244.99 75.94 169.05
13-14 Skate Canada 2 234.80 80.40 154.40
13-14 Trophee Eric Bompard 2 263.59 95.37 168.22
13-14 Grand Prix Final 1 293.25 99.84 193.41
13-14 全日本選手権 1 297.80 103.10 194.70
13-14 Olympic Team SP 1 97.98 97.98  
13-14 Olympic Games 1 280.09 101.45 178.64
13-14 World Championships 1 282.59 91.24 191.35
14-15 Cup of China 2 237.55 82.95 154.60
14-15 NHK Trophy 4 229.80 78.01 151.79
14-15 Grand Prix Final 1 288.16 94.08 194.08
14-15 全日本選手権 1 286.86 94.36 192.50
14-15 World Championships 2 271.08 95.20 175.88
14-15 World Team Trophy 1 288.58 96.27 192.31
15-16 Skate Canada 2 259.54 73.25 186.29
15-16 NHK Trophy 1 322.40 106.33 216.07
15-16 Grand Prix Final 1 330.43 110.95 219.48
15-16 全日本選手権 1 286.36 102.63 183.73
15-16 World Championships 2 295.17 110.56 184.61
16-17 Autumn Classic 1 260.57 88.30 172.27
16-17 Skate Canada 2 263.06 79.65 183.41
16-17 NHK Trophy 1 301.47 103.89 197.58
16-17 Grand Prix Final 1 293.90 106.53 187.37
16-17 Four Continents 2 303.71 97.04 206.67
16-17 World Championships 1 321.59 98.39 223.20
16-17 World Team Trophy 3 284.00 83.51 200.49
17-18 Autumn Classic 2 268.24 112.72 155.52
17-18 Rostelecom Cup 2 290.77 94.85 195.92
17-18 Olympic Games 1 317.85 111.68 206.17
18-19 Autumn Classic 1 263.65 97.74 165.91
18-19 GP Helsinki 1 297.12 106.69 190.43
18-19 Rostelecom Cup 1 278.42 110.53 167.89
18-19 World Championships 2 300.97 94.87 206.10
19-20 Autumn Classic 1 279.05 98.38 180.67
19-20 Skate Canada 1 322.59 109.60 212.99
19-20 NHK Trophy 1 305.05 109.34 195.71
19-20 Grand Prix Final 2 291.43 97.43 194.00
19-20 全日本選手権 2 282.77 110.72 172.05
19-20 Four Continents 1 299.42 111.82 187.60
20-21 全日本選手権 1 319.36 103.53 215.83
20-21 World Championships 3 289.18 106.98 182.20
20-21 World Team Trophy 2 300.88 107.12 193.76
21-22 全日本選手権 1 322.36 111.31 211.05
21-22 Olympic Games 4 283.21 95.15 188.06

記録に残らない小さな大会はそれ以前からも出ていたと思われますが、日本スケート連盟の記録に残る試合へのデビューはノービスBに上がった2004年10月、東北・北海道選手権になります。当時はまだぎりぎり順位点制度が残っていました。この時点でのライバルは1つ年上の鈴木潤さん。公式戦デビュー戦では7人のジャッジのうち1人は鈴木潤さんに1位を付けるという割と僅差ではありましたが優勝を果たします。そして全日本ノービスBも優勝しました。また、この優勝の結果でしょう、国際大会にも10歳にして派遣され、フィンランドで行われたサンタクロースカップで優勝したとされています(元データ見つからないですが)。

次のシーズンから順位点方式ではなく現在と同じ要素別得点形式にほとんどの試合で変わります。また、この時期にホームリンクが閉鎖され、練習拠点が遠くなり練習時間がやや減ったともいわれています。記録に残る最初の要素別スコア方式の試合、05年の東北・北海道選手権。ノービスB2シーズン目のこの最初の試合、まだ構成の中で3回転ジャンプはトーループの1種類でした。その3回トーループダブルアクセル、ダブルルッツと3転倒で50.26 練習時間が減った影響が出ていたでしょうか。全日本ノービスでは3回転はサルコウ1本の構成でこれもクリーンに決まらず67.44と地区大会よりはスコアを伸ばしましたが2連覇ならずの2位。日野龍樹選手に敗れました。この時の表彰台が日野龍樹羽生結弦田中刑事の3人。同世代のトップをこの3人で構築していきます。

次のシーズンはノービスAに上がります。全日本ノービスは1つ上の世代を差し置いて、日野、田中、羽生の表彰台で羽生結弦さんは3位。3回転はループにサルコウが回転不足でトーループが転倒。まだ公式戦で3回転は決まってきません。ノービスAの3位は全日本ジュニアに出ますがここでは7位に入りました。フリーでトーループサルコウ、2種類の3回転を初めて公式戦で決めてきました。2シーズンぶりに国際大会派遣もあり4月にムラドストトロフィー。要素別採点方式で初の国際大会は134.40で優勝。ショートフリーでトリプルループを決め、3種類目の3回転がこのシーズンでそろいます。また、ホームリンクが再開し調子を戻してきます

ノービスA2年目は羽生、田中、日野の順でやはり表彰台に3人並びます。ノービスB 1年目以来の全国制覇を果たしました。全日本ジュニアは3位。フリーだけなら1位のスコアでノービスからの推薦出場にして表彰台に立ちます。このシーズンにフリップはeが付きますが、3回転5種類で着氷に成功してきます。このシーズンはまだ順位点方式だった全中にも優勝。記録の確認ができないのですが、3月終わりにはコペンハーゲンの国際大会にも派遣されて優勝していました

 

08-09シーズンからジュニアに上がりました。ジュニア1シーズン目からジュニアグランプリシリーズに派遣されます。ショート1番滑走から6位につけフリー最終グループ入り。フリーは4位でトータル146.68が最初のパーソナルベストとして記録され5位に入りますが、2戦目の派遣はありませんでした。

国内に戻って東日本ジュニアではトリプルアクセルを公式戦初成功。これで3回転までの基本ジャンプの習得を終えました。全日本ジュニアはジュニア1年目にして優勝。全日本初出場を果たし8位に入ります。世界ジュニアは161.77の12位。国際大会のパーソナルベストではありますが、国内では全日本ジュニアに全日本と180点台を続けていた時期ですので、本人としてはやや物足りない結果だったのではないかと思います

 

09-10シーズンはジュニアを極めたシーズンでした。ジュニアグランプリ2戦で優勝。2戦目のクロアチアでは201.15 200点に乗せてきます。全日本ジュニアを勝ったあとジュニアグランプリファイナルに出場し206.77で優勝。世界ジュニアでは216.10までスコアを伸ばし優勝します。ジュニア2シーズン目にしてジュニア的無し状態でした。ついでのように全中三連覇も果たしています。表彰台は羽生-日野-田中、3人そろい踏み。相変わらず仲が良いこのころまでの3人です。

 

いよいよシニアに上がった10-11シーズン。女子と違って男子でジュニアを2年で通過してシニアに上がるのは並大抵のことではありません。さすがにグランプリシリーズ2戦は4位と7位。簡単にはいきませんが、NHK杯では4回転トーループを公式戦初成功となりました。全日本で220.06と4位にはいり4大陸選手権の派遣を勝ち取ります。この4大陸で228.01 パーソナルベストの2位表彰台となりました。シニアのチャンピオンシップ初メダル。最年少記録にもなりました。ここで試練が訪れます。311 東日本大震災。拠点が仙台の羽生結弦さんは避難生活も強いられる大きな被害を受け、しばらくは練習もままならない時期を過ごす形になりました。

 

普通ならここで1,2年低迷期が訪れそうなところなのですが、11-12シーズン、グランプリ2戦目のロステレコム杯で241.66 グランプリ初優勝を果たします。初のファイナル進出を果たして4位。全日本では初の3位表彰台で世界選手権の切符を掴みます。この世界選手権、ショートはルッツに失敗し7位折り返しで最終グループ入りは出来ませんでしたがフリーはほぼノーミスの演技で逆転3位表彰台となります。251.06のパーソナルベスト。250点台に乗せました。

 

12-13シーズンに入る前に、拠点を海外に移します。クリケットクラブ、ブライアンオーサーコーチの下へ。ブライアンコーチ下には4回転サルコウが得意なハビエルフェルナンデスさんが先にいましたが、その効果もあるのか、シーズン初戦のフィンランディア杯で公式戦初の4回転サルコウ挑戦でこれを決めます。ただ、結果的にこのシーズンにクリーンに決まった4回転サルコウはこの1本だけとなりました。

グランプリシリーズ初戦はスケートアメリカショートプログラム95.07はこの時の世界最高スコアとなります。この先世界最高スコアを何度も出していくことになりますが、これが自身最初のものとなりました。ただ、フリーは4回転2本が決まらず試合としてはパトリックチャンに敗れ2位に終わりました。2戦目のNHK杯は261.03のパーソナルベストで優勝。2度目のファイナルは2位初表彰台。パトリックチャンさんに初勝利を果たしたわけですが、上に行ったのは高橋大輔選手。この時期は日本勢のトップはどちらか? というつばぜり合いが続いていた時期です。

5回目の出場となる全日本選手権。この大会で国内参考記録ながら285.23というものすごいスコアを出して初優勝を果たします。

四大陸選手権はフリーでスーパー演技を見せたケビンレイノルズ選手に敗れ2位。最年少メダル記録を持つ大会ではあるのですが、なかなか優勝に縁がない大会に四大陸はなっていきます。

オリンピックの枠を賭けた世界選手権。ショートは4回転転倒にコンビネーションはいらずで9位と出遅れます。日本勢3人ショート終わって、4位9位11位、あれ?3枠際どい? という中で迎えたフリー。4回転サルコウこそクリーンには決まりませんでしたが、後半、1.1倍のジャンプ5つをクリーンに決め169.05 まだ若者扱いでPCSをもらえなかった時期ですが、結果的に技術点だけならフリートップのスコアで総合4位。2年連続の表彰台はなりませんでしたが、3枠確保に大きく貢献しました。

 

いよいよソチオリンピックシーズンとなります。フィンランディア杯で265.59でまずパーソナルベストを出して優勝します。グランプリ2戦はカナダとフランスでどちらも2位。この時点で世界選手権を3連覇しているパトリックチャンさんに敗れます。

シーズン3度目の挑戦はグランプリファイナル。ショートプログラムで99.84 世界最高スコアで首位に立つと、フリーも4回転サルコウで転倒ながら技術点102.03に達する193.41というスコアをだし、トータル293.25でファイナル初優勝。パトリックチャンさんにここで勝利をおさめます。

全日本は問題なく2連覇して、いざ、オリンピックへ。この大会から団体戦というものが生まれ、結果的に最初で最後になった団体戦出場を果たします。ショートプログラム最終滑走で顔を出し97.98の1位。場慣れするいい機会となったか、また、ここでもパトリックチャンさんに勝ったのが後につながることになったか、そんなショートプログラムでした。

個人戦はちょうど1週間後でした。19番滑走で出てきて乃ショートプログラム、パリの散歩道。冒頭4回転トーループでは7人が満点をつけるクリアな出来。101.45 ついに男子シングルショートプログラムで100点の扉を開けて首位。2位パトリックチャンさんとは3.93差 3位とは14.47ありましたから一騎打ちという形でフリーに進みます。フリーはあまりいい出来ではありませんでした。次の滑走のパトリックチャンさんはスコアが耳に入っての滑走だったでしょうか、こちらも崩れたため、結果的に逃げ切り優勝となりました。本人曰く悔しい金メダル。とはいいながらも、日本男子史上初の金メダルとなりました。

オリンピックで金メダルを取って世界選手権に出た男子選手はソルトレイクヤグディンさん以来ですが、羽生結弦さんはこのシーズンは世界選手権に出場します。さすがに疲れもあるか、ショートは4回転が回転不足で転倒となり3位と出遅れます。首位の町田樹さんとは6.97差。 フリーはオリンピックで決められなかった4回転サルコウをなんとか着氷。以降も多少荒い部分もありましたが大きなミスなくまとめ執念の追い上げ。先に滑っていた町田樹さんを0.33上回り逆転優勝を果たします。世界選手権初優勝。

これでこのシーズンは、グランプリファイナル、オリンピック、世界選手権と3冠を果たしました。

 

ある意味では獲るものを獲ってしまったような状態でしたが、まだ19歳。先へ進みます。

14-15シーズンは腰痛などで調整が遅れチャレンジャーシリーズはパス。初戦は中国杯となります。ショートが今一つで2位だったのですがフリーの6分間練習で大事件が発生します。ハンヤン選手との激突事件。しばらく起き上がれないような大ダメージを受けていたようなのですが、最終滑走の1つ前で出てきて、5転倒ながら最後まで演技をし2位表彰台を確保します。これが結局ファイナルにつながるわけですが、難しい選択だったかと思います。

この怪我が癒えていない状態なはずですが間2周置いてNHK杯に出場。この試合は4位。グランプリシリーズに出場して表彰台に乗れないのは、結局この試合が最後となりました。

そうまでして勝ち取ったグランプリファイナル。これを圧倒的なスコアで連覇。全日本も2連覇。しかし、世界選手権はフリーで4回転が決まらず、同僚ハビエルフェルナンデスさんに逆転優勝をさらわれます。この試合はナムグエンさんも5位に入り、クリケットブラザーズの最盛期とも言え、エキシビジョンで無理やりナムグエンさんに4回転飛びに行かせ転倒・・・、という微笑ましい姿もありました。

このシーズンは国別対抗戦があり、オペラ座ジャパン(⁺ミスサイゴンもいるよ)な構成で、楽しんでいる姿がありました。

 

15-16シーズンはオリンピックの中間年ですが、もしかしたらここがキャリアのピークだったかもしれません。ハイスコア連発シーズンになります。

チャレンジャーシリーズはフィンランディア杯派だったのですが、このシーズンから拠点に近いオータムクラシック派に鞍替え。まず簡単に優勝。ついでグランプリシリーズはスケートカナダが初戦ですが、ここでパトリックチャンさんに敗れます。なかなか勝てないスケートカナダ。そしてまだまだ侮れないパトリックチャンさんです。

思うところあったか帰国してのNHK杯。初めてショートプログラムで2本の4回転を決めて106.33の世界最高スコア。フリーは陰陽師SEIMEIで全要素全ジャッジプラス評価で216.07という驚異のスコアをマーク、トータル322.40も含め世界最高スコアで優勝します。

NHK杯は国内の空気もありましたが、グランプリファイナルはバルセロナ。ここでショートは4回転2本をダブル満点評価、全要素全ジャッジ+2以上というバラード1番で110.95

 110点台にまで乗せました。フリーも単独4回転2本満点含めノーミス。ショートフリー通じて全要素全ジャッジプラス評価で219.48を乗せてトータル330.43 異次元の世界最高スコアを叩きだしてのファイナル3連覇となりました。

これでも簡単に勝てないのが世界選手権。ショートは全要素全ジャッジ+2以上の評価で110.56 2位に12.04の大差で首位に立ちましたが、フリーは後半の4回転サルコウが転倒でコンビネーションはいらずなどミスが重なりスコアは伸びず。ショート2位の宿敵と言うべきか盟友と言うべきか、ハビエルフェルナンデスさんに大逆転優勝を許しての2位となりました。

 

翌16-17はオリンピックプレシーズン。ここで初戦のオータムクラシックから、新たな4回転、ループを投入。これをショートフリー共に成功させ史上初の4回転ループ成功者となりました。

グランプリシリーズは、なぜか勝てないスケートカナダ、パトリックチャン選手に敗れ2位。NHK杯は簡単に勝ちましたが、この試合がネイサンチェン選手との公式戦初顔合わせだったりしました。また、国際大会で羽生-田中-日野、3人そろい踏みした最初で最後の大会。田中刑事さんは3位表彰台だったのですが日野龍樹さんは9位。日野選手もっと来いや、インタビューは優勝インタビューだったでしょうか。

グランプリファイナルは4連覇。ただしフリーはスコア伸びず2位でネイサンチェン選手に迫られます。NHK杯では影も踏ませずでまだそれほど強い印象を与えなかったかもしれませんが、このファイナルでこの先羽生結弦さんの立ち位置を脅かすのはこの人、というのを見せてきました。

全日本はインフルエンザ欠場。普通の選手ならこれでシーズン後半がつぶれてしまったりするのですが、過去の実績も本シーズン実績も文句なく、シーズン後半の代表戦に選ばれます。

まだ取れていない唯一の大きな大会、四大陸選手権。ショートでサルコウが2回転になるミスがあり3位スタート。フリーもコンビネーションのサルコウが2回転になり目論見ほどはスコアを伸ばせず、それでも206.67を出してトータル303.71 300点に乗せて首位に立ち最終滑走を待ちます。最終滑走はショート首位のネイサンチェン選手。技術点では115.48まで伸ばす好演技で逃げ切り優勝。またしても四大陸選手権のタイトルが獲れず、また、ネイサンチェン選手への初敗北を喫することとなりました。

世界選手権はリベンジ戦。今シーズン安定感に欠けるサルコウがまたしてもショートで決まらずコンビネーションはいらずで5位発進。首位と10.66差。フリーは最終グループ1番滑走という位置からでした。ここで4回転4本、トリプルアクセル2本という高難度構成を全要素全ジャッジマイナス評価無しで技術点126.12まで得ての223.20 トータル321.59で首位に立ち残りの選手を待ちます。ここから、新鋭ネイサンチェン選手、4回転ルッツのボーヤンジン選手、宿敵パトリックチャンさんと続きますがフリーのスコアは誰も届かず。残り2人、ショート2位の宇野昌磨選手がループ、フリップ、トーループ2本の4回転4本構成を着氷してきましたがそれでも2.28届かず、最終滑走、ショート首位で2連覇中のフェルナンデスさん。得意の4回転サルコウの2本目で転倒するなどスコアを伸ばせずフリーだけだと6位。最終的に羽生結弦さんが大逆転で2度目の世界選手権制覇をしました。

そして、2度目のオリンピックシーズンを迎えます。初戦のオータムクラシックはショートプログラムで世界最高得点を更新する112.72を出してきました。グランプリ初戦のロステレコム杯ではフリーで初の4回転ルッツを成功。これで4種類目の4回転が入りました。

まずまず順調に来ていたかと思われたのですがNHK杯。11月9日。公式練習、4回転ルッツを飛んだ際に転倒し負傷。そのまま欠場を余儀なくされます。そのまま全日本もまさかの欠場。これまでの実績でオリンピックの代表には選ばれましたが、そもそもけがの状態は大丈夫なのか? と心配される状態。ただ、その状態はベールに包まれたままオリンピックを迎えます。

平昌オリンピック、会場入りして3カ月ぶりに表舞台に出てきて乃最初のインタビューでは、全然問題ないです、というようなコメントでしたが、試合の前なら全然問題ないです、といつでもいう人。状態はまだよくわかりませんし、どれだけ練習が出来てきたのかもわからない状態です。今回は団体戦はパス。個人戦ショートプログラムは2月16日でした。バラード1番。4回転サルコウトリプルアクセル、4回転トーループ-3回転トーループの構成。これを全要素全ジャッジ+2以上の評価で完璧に滑り111.68 首位に立ちます。2位とは4.10差、3位とは7.51差 ショートでループやルッツを入れなかったことから、構成面では最上のものは組めておらずフリーでもそうなのではないか? と思われる状態です。残り3人で登場したフリー。やはりルッツやループの4回転は構成になく、それでも基礎点を上げていくギリギリの選択で4回転のサルコウトーループを2本鶴入れるという構成を組みました。2本目のトーループでミスが出たり、割と鬼門な最後のトリプルルッツも軽いミスはありましたが、それでもケガに憑りつく怨霊を吹き飛ばすSEIMEIは206.17でトータル317.85 ショート2位3位の残り2人を待ちます。ハビエルフェルナンデス:ラマンチャの男、宇野昌磨トゥーランドット、いずれも名演でしたが王者には届かず。羽生結弦、オリンピック2連覇を果たしました。

 

ここから先は、何を目指して滑っていくか。怪我との戦い、モチベーションとの戦い。さらにはコロナまで湧いてきて、いろいろなことの起きる4年間でした。

18-19シーズンはロステレコム杯の公式練習中にまたもケガ。フリーは出場するかどうか? というところでしたが強行出場。ニジンスキーに捧ぐをロシアに捧げる演技でしたがさすがに後半は苦しい滑りとなりました。

怪我でファイナルも全日本も欠場。復帰戦は世界選手権になります。さすがに試合勘も鈍っていたか、ショートではサルコウが2回転になって零点など3位スタート。フリーは4回転トーループ-トリプルアクセルというもしかしたら3年後のルール変更の一因にもなったかもしれない前代未聞のシークエンスを飛ぶなど206.10のハイスコアでトップに迫っての2位表彰台となりました。

翌19-20シーズンは久しぶりに満足に滑れそうなシーズンでした、途中までは。

初戦はオータムクラシックで優勝。グランプリシリーズは鬼門のスケートカナダでしたが今回は楽勝でした。322.59のパーソナルベストおまけつき。そして結果的に3年ぶりとなる日本国内での試合となったNHK杯。これも楽勝でした。グランプリファイナルは久しぶりに4回転ルッツを決めるという場面もありましたが、その他ではミスも重なり2位に終わります。さらに4年ぶりの全日本。ここで久しぶりに敗戦、宇野選手に敗れての2位。日本人選手に敗れたのは2014年のケガ明けというか怪我中のNHK杯以来5年ぶりとなりました。

取り残してある忘れ物を取りに四大陸選手権へ。299.82と、300点に乗らず、本人比では満足いく出来ではなさそうでしたがそれでも優勝。これでジュニアグランプリファイナル、世界ジュニア、四大陸選手権、グランプリファイナル、世界選手権、オリンピック、すべて制覇しスーパースラムを男子選手として初めて達成します。

さて世界選手権、というところでコロナが世界を覆い、試合は中止となりました。

20-21シーズンはコロナシーズン。国際大会はまともな形では開催されなくなりました。羽生結弦さんは初戦が全日本となります。スピンで零点とか珍しい光景もありましたが今回はキスアンドクライでプーさんにソーシャルディスタンスを取ることを命じたりしながらしっかり優勝。5年ぶりの全日本チャンピオンとなります。世界選手権は厳戒態勢の中開かれました。ショートは首位。フリーは意外と大事なところで決まってくれない4回転サルコウが1回転になるなどスコアが伸びず、総合3位となりました。

コロナ禍ながら国別対抗戦もあったこのシーズン。エキシビジョン前の練習時間に4回転アクセルにチャレンジ、というようなシーンもありました。4回転アクセルへの挑戦具合が世界選手権でも口にされていましたし、このあたりから本格的に表に出始めます。

 

そして北京オリンピックシーズン。コロナは収まらないながらこのシーズンは試合は普通に展開されていきました。そんな中でグランプリシリーズは欠場。コロナではなくケガの影響といいます。怪我に苦しんできた選手。心配ではありましたが全日本には出てきました。フリーでは4回転アクセルを構成に入れるもダウングレード判定。それでも試合自体はしっかり優勝でした。今一つはっきり語られてこなかった北京オリンピックへの出場可否。代表権を得たことでようやく、みんなの夢、という言葉を使いながら三連覇を目指すことを明言。それと同時に4回転アクセルへの想いがさらに語られます。

オリンピックは北京入りも遅く、いろいろと取りざたされましたが団体戦には出ず個人戦のみの登場となります。ショートプログラム。結果的に立った2回の序奏とロンドカプリチオーソでしたが冒頭のサルコウが1回転に。この時点で3連覇はほぼ消えたのではないかと思われました。そこから30秒ほどで次の4回転トーループ-3回転トーループは完ぺきに着氷。残りの要素6つは全要素全ジャッジ+3以上の高評価。どんなメンタルしてたらそんなことができるのかわかりませんが、スコアとしては8位スタートと出遅れる形になります。

フリーは冒頭の4回転アクセルを明言。回転足りたように見えなくもなかったですがアンダーローテーション判定。次のサルコウも転倒となりましたが、残りの要素、結果的に協議開催後の演技となるこの天と地とを演じ切り、4位という結果になりました。練習中にケガも悪化させていたようですね。

エキシビジョン向けの練習ではこれまでの様々なプログラムを演じるというファンサービスなのか人生の振り返りなのか、そういった光景もあり、このさきどうなのかな、とこの時点で感じさせられていました

 

2022年7月19日。プロ宣言と同時に競技会からの撤退を表明。

 

○満点スコア要素

Season Event     Elements  Base   GOE Scores AveGOE Date
13-14 全日本選手権 SP 4 3A 9.35 X 3.00 12.35 3.000 2013/12/21
14-15 Cup of China SP 1 3A 8.50   3.00 11.50 2.889 2014/11/7
15-16 Autumn Classic SP 1 3A 8.50   3.00 11.50 2.857 2015/10/14
15-16 Autumn Classic FS 5 StSq2 2.60   1.50 4.10 2.857 2015/10/15
15-16 Skate Canada SP 1 3A 8.50   3.00 11.50 2.889 2015/10/30
15-16 NHK Trophy FS 7 3A+2T 10.78 x 3.00 13.78 2.889 2015/11/28
15-16 NHK Trophy FS 12 ChSq1 2.00   2.10 4.10 2.889 2015/11/28
15-16 Grand Prix Final SP 1 4S 10.50   3.00 13.50 2.889 2015/12/10
15-16 Grand Prix Final SP 2 4T+3T 14.60   3.00 17.60 2.889 2015/12/10
15-16 Grand Prix Final SP 6 StSq3 3.30   1.50 4.80 2.889 2015/12/10
15-16 Grand Prix Final FS 1 4S 10.50   3.00 13.50 2.889 2015/12/12
15-16 Grand Prix Final FS 2 4T 10.30   3.00 13.30 2.889 2015/12/12
15-16 Grand Prix Final FS 7 3A+2T 10.78 x 3.00 13.78 2.889 2015/12/12
15-16 Grand Prix Final FS 12 ChSq1 2.00   2.10 4.10 3.000 2015/12/12
15-16 全日本選手権 SP 2 4T+3T 14.60   3.00 17.60 3.000 2015/12/25
15-16 全日本選手権 FS 1 4S 10.50   3.00 13.50 2.889 2015/12/26
15-16 全日本選手権 FS 2 4T 10.30   3.00 13.30 2.889 2015/12/26
15-16 全日本選手権 FS 3 3F 5.30   2.10 7.40 3.000 2015/12/26
15-16 World Championships SP 1 4S 10.50   3.00 13.50 2.889 2016/3/30
15-16 World Championships SP 4 3A 9.35 x 3.00 12.35 3.000 2016/3/30
15-16 World Championships SP 6 StSq3 3.30   1.50 4.80 3.000 2016/3/30
16-17 Autumn Classic SP 6 StSq4 3.90   2.10 6.00 2.857 2016/9/30
16-17 NHK Trophy SP 4 3A 9.35 x 3.00 12.35 2.889 2016/11/25
16-17 Grand Prix Final SP 6 StSq4 3.90   2.10 6.00 2.889 2016/12/8
16-17 Four Continents SP 4 3A 9.35 x 3.00 12.35 2.889 2017/2/17
16-17 World Championships SP 6 StSq4 3.90   2.10 6.00 2.889 2017/3/30
16-17 World Team Trophy SP 6 StSq4 3.90   2.10 6.00 2.889 2017/4/20
17-18 Autumn Classic SP 1 4S 10.50   3.00 13.50 3.000 2017/9/22
17-18 Autumn Classic SP 3 CSSp4 3.00   1.50 4.50 2.857 2017/9/22
17-18 Autumn Classic SP 4 3A 9.35 x 3.00 12.35 3.000 2017/9/22
17-18 Rostelecom Cup SP 4 3A 9.35 x 3.00 12.35 3.000 2017/10/20
17-18 Rostelecom Cup FS 12 ChSq1 2.00   2.10 4.10 2.889 2017/10/21
17-18 Olympic Games SP 4 3A 9.35 x 3.00 12.35 3.000 2018/2/16
17-18 Olympic Games SP 6 StSq4 3.90   2.10 6.00 2.889 2018/2/16
17-18 Olympic Games FS 1 4S 10.50   3.00 13.50 2.889 2018/2/17
17-18 Olympic Games FS 2 4T 10.30   3.00 13.30 2.889 2018/2/17
19-20 Skate Canada SP 2 3A 8.00   4.00 12.00 4.889 2019/10/25
21-22 全日本選手権 SP 6 StSq4 3.90   1.95 5.85 5.000 2021/12/24
21-22 全日本選手権 FS 6 StSq4 3.90   1.95 5.85 4.889 2021/12/26
21-22 全日本選手権 FS 10 ChSq1 3.00   2.50 5.50 5.000 2021/12/26

多数の要素で評価満点を得ているのがよくわかります。ジャッジのうち1人以外が満点の場合もスコア上は満点が付きます。最初の満点は13年の全日本でショートプログラム、1.1倍のところにあるトリプルアクセルが全ジャッジ満点評価でした。国際大会でも14年の中国杯ショートでトリプルアクセルが満点付きました。15-16シーズンの満点が極めて多く目立ちます。ここがキャリアのピークだったんでしょうかやはり。オリンピックシーズンではないところにキャリアのピークが来ているのにオリンピックで2連覇している。なかなか考えられないことです。

ジャンプ、ステップの満点が多いですが、1例だけですがスピンの満点もあります。バランスよくどの要素もこなせる選手であったことがこのあたりからも見て取れます。

 

グランプリシリーズ出場 19回 歴代12位タイ 日本人歴代3位タイ

グランプリシリーズ優勝 8回 歴代5位タイ 日本人歴代1位タイ

グランプリ表彰台 15回 歴代4位 日本人歴代1位

グランプリファイナル出場 7回 歴代3位タイ 日本人歴代1位タイ

グランプリファイナル優勝 4回 歴代1位タイ 日本人歴代1位

グランプリファイナル表彰台 6回 歴代2位 日本人歴代1位

オリンピック2連覇  歴代4人 今世紀ただ一人

世界選手権優勝2回  日本人歴代1位

スーパースラム  歴代1人