グランプリファイナル22 男子シングル展望

グランプリファイナルの展望、最終回はシニアの男子シングルになります。

 

○今季の成績

Event Name Nation Total SP FS
Skate America Ilia MALININ USA 280.37 86.08 194.29
NHK Trophy Shoma UNO JPN 279.76 91.66 188.10
Grand Prix Espoo Ilia MALININ USA 278.39 85.57 192.82
Skate America Kao MIURA JPN 273.19 94.96 178.23
Skate Canada Shoma UNO JPN 273.15 89.98 183.17
Skate Canada Kao MIURA JPN 265.29 94.06 171.23
MK John Wilson Trophy Daniel GRASSL ITA 264.35 86.85 177.50
Grand Prix Espoo Shun SATO JPN 262.21 81.59 180.62
Grand Prix de France Sota YAMAMOTO JPN 257.90 92.42 165.48
NHK Trophy Sota YAMAMOTO JPN 257.85 96.49 161.36
Warsaw Cup Daniel GRASSL ITA 257.76 76.44 181.32
Skate America Daniel GRASSL ITA 257.68 88.43 169.25
US International Ilia MALININ USA 257.28 71.84 185.44
MK John Wilson Trophy Shun SATO JPN 249.03 82.68 166.35

グランプリシリーズに限らず今シーズンショートフリー通じて滑った国際大会を載せています。従ってジャパンオープンは含みません。

シーズンベストはマリニン選手が持っています。280.37 とんでもないスコアというわけでもないです。初戦は257.28でしたし、特にショートでのミスが目立ちます。

宇野選手がスコア2番手で279.76 僅差です。宇野選手もマリニン選手もまだノーミスは出来ていませんが、フリーに関しては宇野選手の方がミスが多い中でのこのスコアです。

三浦佳生選手が3番手で270点台を持っています。上二人とは差があると見るか僅差と見るか。上位3人のセカンドベストまでで下位3人のシーズンベストを上回っています。

グラスル選手がシーズンベスト4番目。佐藤駿選手、山本草太選手とスコアは続きます。

 

ショートプログラムの構成

  Ilia MALININ Shoma UNO Kao MIURA Daniel GRASSL Shun SATO Sota YAMAMOTO
1 4Lzq+3T 4F 4S+3T 4Lz 4T+2T 4T+3T
2 4T 4T+COMBO 3A 3A 4Lzq 4S
3 CCSp4 FCSp4 FCSp4 FSSp4 CSSp4 FCSp4
4 3A 3A 4T 3Lz+3T FCSp4 3A
5 StSq4 StSq4 CSSp3 CCSp4 3A CSSp4
6 CCoSp3 CSSp3 StSq3 StSq3 StSq3 StSq3
7 FSSp4 CCoSp4 CCoSp3 CCoSp3 CCoSp4 CCoSp4
Base 47.10 42.50 44.45 43.11 44.10 45.20
GOE -0.29 5.79 10.36 4.29 -0.40 10.26
PCS 40.27 44.37 41.15 41.03 38.89 41.03
Total 86.08 91.66 94.96 88.43 81.59 96.49

ショートプログラムの基礎点が一番高いのはマリニン選手です。ただGOEがマイナス。ショートはノーミスが全くできておらず80点台のシーズンベストです。これをショートからノーミスで行かれるとちょっとまわりは大変です。

宇野選手は基礎点最下位。コンビネーションがまだ一度も決まっていないためこうなります。宇野選手はノーミスで100点台後半まで出るわけで、全く本領は発揮されていません。

上二人がこの状態ならほかのメンバーもショートは普通についていけるし上にも出られます。

グラスル選手はショートは4回転1本構成です。全員がノーミス勝負すると少し弱いですが、4回転はルッツですしそれほど遜色ないスコアまでは出す力があります。

佐藤駿選手はルッツとトーループなのでノーミスならマリニン選手と同じ基礎点構成に出来ますが、コンビネーションで3回転を飛べるかどうか。

ショートのシーズンベストは山本草太選手が持っています。トーループサルコウの2本構成。目標の100点までこの構成で十分出せます。

男子はこの上位6人、誰もスピンステップすべてレベル4の選手がいません。女子だとこの辺で厳しい勝負になって来るのですが、男子はどうしてもジャンプ中心になるようです。

ジャンプの出来次第でショートの順位が決まって来るのでしょう。

 

○フリーの構成

  Ilia MALININ Shoma UNO Kao MIURA Daniel GRASSL Shun SATO Sota YAMAMOTO
1 4A 4Lo 4Lo 4Lz+3T 4Lz 4S
2 4T 4S 4T+3T 4F 4T+3T 4T+3T
3 4Lz 2F 4S 4Lo 3A 4T
4 4S 3A+2A+SEQ FCSp3 3A+1Eu+3S FCSp3 3A+1Eu+3S
5 CCSp4 ChSq1 3A CSSp4 4T FCSp2
6 StSq3 FCSp4 StSq2 4Lz< CSSp4 StSq3
7 4Lz<+1Eu+3S< 4T 4T 3Lz+3T 3A+2T 1A
8 3F+3T 4T+2T 3A+2A+SEQ ChSq1 3F!+1Eu+3S 3F+3T
9 3Lz+3A+SEQ 3A 3F+1Eu+3S 3F 3Lo 3Lz!
10 FSSp4 StSq3 CSSp2 FCCoSp3 StSq2 ChSq1
11 ChSq1 CCoSp4 ChSq1 StSq2 ChSq1 CSSp4
12 CCoSp4 CSSp3 CCoSp4V CCoSp3 CCoSp4 CCoSp4
Base 99.39 80.03 89.22 91.66 84.33 78.95
GOE 13.02 18.26 5.59 7.08 13.40 5.48
PCS 82.88 89.81 84.42 83.58 82.89 82.05
Total 194.29 188.10 178.23 181.32 180.62 165.48

フリーはアクセル込みで4回転5本のマリニン選手、4回転5本予定ながら決めたのは4本な宇野選手、4本構成の三浦選手にグラスル選手、3本の佐藤選手と山本草太選手です。シーズンベストが結局4回転の本数順というのはわかりやすいというかなんというか。

基礎点はマリニン選手が圧倒的です。宇野選手は4回転4本成功させながら基礎点は下から2番目。コンビネーションで3連続がない、セカンド3回転がない。ショートも合わせてとにかくコンビネーションが課題ですが、加点は凄まじいものがあります。

本草太選手は表彰台を争うにはもう少し基礎点が欲しい。4回転は決まっているのでトリプルアクセルを決めていきたいというところです。

グラスル選手は4回転4本で基礎点の高いものが揃っているのでノーミスでもう少し基礎点が上がると強いです。ノーミス勝負したら表彰台に乗ってこれそうにも見えます。

佐藤駿選手はルッツとトーループの2種類。フリップが入ってきて4回転4本構成があり得るのですがそこまで来るとやはり表彰台に絡めそうです。

三浦選手はシーズンベストが3番目ですし、普通にこのままノーミスならやはり表彰台に絡めます。

この6選手、ステップレベル4がいません。ジャンプの出来と比べるとスコアという点では影響が小さいわけですが、このレベルの選手たちにはレベル4取ってほしいなあ、と思ったりもします。

結局男子は、4回転何本決めるか勝負になるでしょうか。ただ、コンビネーションもしっかり入れましょうね、という添え書きも付きます。

 

○ショートフリー合わせた要素別のスコア

Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
Ilia MALININ 280.37 123.15 117.39 5.73 23.11 12.99
Shoma UNO 279.76 134.18 93.73 13.62 24.38 14.85
Ilia MALININ 278.39 124.77 115.71 3.87 20.89 13.15
Kao MIURA 273.19 125.57 108.24 10.89 18.81 11.68
Shoma UNO 273.15 135.32 102.27 -3.29 23.71 16.14
Kao MIURA 265.29 124.14 101.85 3.52 23.15 13.63
Daniel GRASSL 264.35 124.18 100.97 3.33 24.19 12.68
Shun SATO 262.21 121.78 100.53 7.56 22.31 11.03
Sota YAMAMOTO 257.90 122.31 96.05 3.63 23.00 13.91
Sota YAMAMOTO 257.85 123.32 96.86 2.37 24.82 12.48
Daniel GRASSL 257.76 122.82 96.17 6.86 22.91 11.00
Daniel GRASSL 257.68 122.99 100.97 1.27 22.10 11.35
Ilia MALININ 257.28 114.99 114.37 -5.73 23.26 13.39
Shun SATO 249.03 121.00 95.85 -1.23 23.29 11.12

要素別でみると宇野選手のPCSは圧倒的です。ここで10点ほどマリニン選手と差がつくので、4回転アクセルの分は帳消しに出来ます。まだ今シーズンは同じミスの量なら宇野選手に分があります。

ジャンプの基礎点はマリニン選手が圧倒的。宇野選手、三浦選手、グラスル選手、佐藤選手と100点台に乗せています。三浦佳生選手はマリニン選手とジャンプの基礎点差は10点以内のところにいます。これくらいだとPCSが同等でも出来栄え勝負がぎりぎり可能なくらいです。

ジャンプの加点は宇野選手と三浦選手が二桁あります。マリニン選手はあの難易度だとまだノーミスは出来ずにここは伸びてきません。

スピンは24.82がある山本草太選手がトップです。マリニン選手は20点台、三浦選手は18点台というひどい試合もありますが、いい試合は23点台までは出してきますので、それほど差は付きません。

ステップ系要素は宇野選手が一人だけ16点台を持っていて抜けています。他は13点台以下。意外と差がつく要素になっています。

 

シニア男子の日本勢は4選手が出場。始まる前から表彰台は確定しています。誰が勝っても初優勝のグランプリファイナル。これはジュニアも含めて男女シングルすべてそうなるわけですが、日本勢4種目制覇もありえます。(ペアも勝つという線も当然ある)。

表彰台に2人乗るところまで行けるかどうか。3人乗って独占はちょっと難しいでしょうか。グランプリファイナルはそのシーズンに一気に伸びてきた新鋭が3位で表彰台に乗る、という傾向が多いと思っているのですが、三浦佳生選手、山本草太選手あたりがそういう雰囲気をもっています。シニア1年目か、苦労人か。あるいは佐藤駿選手でもここで表彰台に乗ることで今シーズン躍進した、の表現にあたる選手になってくると思います。

4回転ゴッドか日本勢か、あるいは地元イタリアか。男子シングルもまた楽しみです。