世界ジュニア23男子シングル2

前回の続きで世界ジュニア編最後になります。男子シングルの2回目です。

 

○三浦佳生選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A+1Eu+3S   12.80   2.97 15.77 3.778
2 4T   9.50   -0.27 9.23 -0.333
3 4S   9.70   2.63 12.33 2.667
4 FCSp4   3.20   0.55 3.75 1.778
5 3A   8.00   2.40 10.40 3.111
6 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.000
7 4T+3T   15.07 x 2.71 17.78 2.889
8 CSSp4   3.00   0.77 3.77 2.333
9 3F+2A+SEQ   9.46 x 1.36 10.82 2.556
10 3Lo   5.39 x -1.47 3.92 -2.889
11 CCoSp3   3.00   0.64 3.64 2.111
  TES   82.12   13.79 95.91  

フリーは4回転2種類3本。ジュニアの中では圧倒的な構成でした。基礎点は82.12 これはジュニアでステップがないため、今期の国際大会の中では低い方ではありますが、ジャンプの基礎点69.92は、4回転4本にしたスケートアメリカに次ぐ高い基礎点です。他の選手はこの69.92をすべての要素の合計でも超えているのが吉岡選手だけですので、ジャンプをすべて決めればスピンステップゼロでも勝ててしまうという、それくらいの差がある試合でした。

ステップが入るシニアルールなら技術点100点に達するかどうか、くらいの滑りでした。

これでジュニアカテゴリーとは完全決別かと思います。来期のインターハイというのだけまだ可能性はありますが。結局ジュニアグランプリファイナルはめぐりあわせも悪く獲れなかったので、スーパースラムの芽はなくなっていますが、チャンピオンシップは2つ取りましたので、あとは世界選手権へ、オリンピックへ、と登っていくことになります。激戦の日本男子、代表になるのも大変ですが、オリンピックは少なくとも2回、30代まで現役なら4回チャンスがあります。来期はまず世界選手権を目指すかと思いますが、4回転3種類目を安定して入れることができるでしょうか。

 

○吉岡希選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T+3T   13.70   -0.95 12.75 -0.889
2 4T   9.50   -2.85 6.65 -2.889
3 3A   8.00   0.00 8.00 -0.111
4 FSSp4   3.00   0.51 3.51 1.778
5 3Lo   4.90   0.91 5.81 1.889
6 3A+1Eu+3S   14.08 x 0.34 14.42 0.333
7 3Lz+2A+SEQ   10.12 x 0.42 10.54 0.667
8 ChSq1   3.00   0.71 3.71 1.333
9 3Fe e 4.66 x -1.64 3.02 -3.778
10 CCSp3   2.80   -0.04 2.76 -0.222
11 CCoSp3V   2.25   0.13 2.38 0.667
  TES   76.01   -2.46 73.55  

吉岡選手は4回転1種類2本構成です。2本ともGOEわずかにマイナスですがしっかり降りました。まだ加点を稼げるジャンプにはなっていませんが、今期は国内外の大会で15回飛んで転倒はゼロ。計算できるジャンプにはなっています。

基礎点は76.01 スピンのレベルが取れないことでどうしても基礎点は削られます。フリップが苦手で、今シーズン4回転トーループで転倒がないのに3回転フリップは転倒2回。!率は結構高くeもよくついて、今回もつけられました。

今回僅差の勝負でしたがその中で3位表彰台を確保しました。全日本ジュニアも僅差での逆転勝利。勝負所で際どく勝ちにいていく勝負強さを感じます。

来期はシニアにあがってグランプリシリーズの出場も見込まれます。まだ日本の上位とは差がありますが、昨シーズン構成に入れようとして成功まで持っていけなかった4回転サルコウの完成や、スピンステップの改良など、その辺の水準を上げていくことで、上位で戦えるところまで行けるかもしれません。

 

○ショートフリー合わせた要素別のスコア(上位12名)

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Kao MIURA 264.74 124.27 93.27 14.67 22.90 9.63
2 Naoki ROSSI 220.68 112.38 73.11 3.44 22.65 9.10
3 Nozomu YOSHIOKA 217.79 103.28 88.97 0.40 18.31 6.83
4 Nikolaj MEMOLA 216.44 107.57 80.34 -0.14 20.61 9.06
5 Wesley CHIU 213.88 111.62 65.38 4.42 23.43 9.03
6 Hyungyeom KIM 213.56 103.69 80.06 -2.33 23.06 9.08
7 Lucas BROUSSARD 209.47 111.79 77.05 -6.41 19.32 9.72
8 Yudong CHEN 205.12 101.07 79.21 -0.49 21.07 7.26
9 Arlet LEVANDI 204.73 114.56 58.73 -1.50 24.08 8.86
10 Daniel MARTYNOV 204.67 99.64 72.37 5.23 20.35 7.08
11 Andreas NORDEBACK 204.32 108.13 63.83 -0.06 23.21 9.21
12 Francois PITOT 202.43 103.12 68.45 0.13 21.99 8.74

PCSは三浦選手だけ120点台。シニアに混ざるとPCSで勝負する選手ではないのですが、ジュニアに混ざると突出してました。吉岡選手は103点台で三浦選手とはPCSで20点以上の差がありますし、他のジュニアの最上位とも10点ほど差がついています。

ジャンプの基礎点は三浦選手がトップで吉岡選手が2番手。4回転をしっかり降りた2人が抜けています。2人ともショートで4回転が飛べるシニアルールならもう少し高い基礎点になっていきます。

ジャンプの加点は三浦選手だけが二桁もらいました。2番目はアメリカのマルチノフ選手。ショートフリーで3本のトリプルアクセルクリーンに決めていたのが大きく効きました。

スピンはエストニアのレバンディ選手がトップです。ショートフリー共にすべてレベル4で稼ぎました。三浦選手はスピンは5番目。ジュニアに混ざってもスピンはトップには来ません。吉岡選手は24人中22位です。もう少し頑張りましょう、な水準になります。

ステップ系要素はアメリカのブルサード選手がトップでした。三浦選手は2番目です。吉岡選手は24人中20番目。これもシニアで戦っていくにはもう少し頑張りたい部分です。

 

○4回転を含む要素

Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Kao MIURA 7 4T+3T   15.07 x 2.71 17.78 2.889
Kao MIURA 3 4S   9.70   2.63 12.33 2.667
Yudong CHEN 1 4S   9.70   2.49 12.19 2.556
Aleksa RAKIC 1 4T   9.50   0.68 10.18 0.556
Kao MIURA 2 4T   9.50   -0.27 9.23 -0.333
Nozomu YOSHIOKA 1 4T+3T   13.70   -0.95 12.75 -0.889
Nozomu YOSHIOKA 2 4T   9.50   -2.85 6.65 -2.889
Lucas BROUSSARD 1 4Tq F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
Yudong CHEN 2 4T< F 7.60   -3.80 3.80 -5.000

ジュニアは男子も4回転はショートで飛べませんので、すべてフリーでの実施となります。

構成に入っていた4回転はサルコウトーループの2種類のみ。サルコウは2人、トーループは5人が構成に入れてきました。

2種類成功させたのは三浦佳生選手のみでした。ユドンチェン選手はトーループで転倒です。2本以上降りたのは三浦選手と吉岡選手。吉岡選手はGOEはマイナスです。

 

トリプルアクセルを含む要素で平均GOE+2.000以上

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
FS Kao MIURA 1 3A+1Eu+3S   12.80   2.97 15.77 3.778
SP Kao MIURA 2 3A   8.00   2.74 10.74 3.333
SP Nozomu YOSHIOKA 1 3A   8.00   2.51 10.51 3.222
FS Kao MIURA 5 3A   8.00   2.40 10.40 3.111
FS Nikolaj MEMOLA 2 3A+1Eu+3S   12.80   1.94 14.74 2.556
FS Daniel MARTYNOV 1 3A   8.00   2.06 10.06 2.556
SP Francois PITOT 1 3A   8.00   1.94 9.94 2.444
SP Wesley CHIU 2 3A   8.00   1.83 9.83 2.333
SP Nikolaj MEMOLA 1 3A   8.00   1.71 9.71 2.111
SP Daniel MARTYNOV 1 3A   8.00   1.71 9.71 2.111
FS Wesley CHIU 1 3A+2T   9.30   1.60 10.90 2.000
SP Yudong CHEN 1 3A   8.00   1.71 9.71 2.000

トリプルアクセルはジュニアの上位選手はほとんど構成に入れてきます。その中で出来が良かったのはこのあたり選手です。

最高評価は三浦選手のフリー冒頭の3連続でした。評価2位も三浦選手のショート、吉岡選手のショートを挟んで三浦選手はフリー2本目も平均GOE+3.000を超えています。とにかくジャンプの出来で周りを圧倒しました。

 

 

今回の世界ジュニアは男女とも日本から2人表彰台という素晴らしい結果となりました。これで来期は男女とも3枠ですし、それよりもジュニアグランプリシリーズで男女とも14枠取れたことが喜ばしいです。男女ともこれで少なくとも7人が出場できます。1試合目に結果が出せない選手がいた場合はさらに8人目以降にチャンスも拡がる、というのは拡がった方がいいのか全員2戦目もらえる結果が出た方がいいのか微妙ではありますが、いずれにしても多くの選手にチャンスが来ます。

ここ数年、ジュニアは海外派遣が無く、非常に残念な時期が続いていましたが、ようやくいい流れが今シーズンから来ました。来期も若いジュニアの活躍に期待したいです。