22-23 河辺愛菜

2004年10月31日生まれ

シニア3シーズン目

シーズン獲得賞金:$9,000

世界ランキング:26位

シーズンランキング:18位

シーズンベストスコア 194.71(20位)  Grand Prix Espoo

ショートプログラムシーズンベスト 68.83 Grand Prix de France

フリーシーズンベスト 135.36 Challenge Cup

ショートプログラム楽曲:ビリー・アイリッシュメドレー

フリープログラム楽曲:Drowning

スピンレベル4率 40/51 = 78.4%(国際大会:20/24 = 83.3%)

ステップレベル4率 4/16 = 25.0%(国際大会:2/8 = 25.0%)

スピンオールレベル4 0/8(国際大会:0/4)

スピンステップオールレベル4  0/8(国際大会:0/4)

ジャンプ要素回転不足率 13/83=15.7%(国際大会:6/40=15.0%)

ジャンプ回転不足なし 2/8(国際大会:1/4)

スピンステップオールレベル4 ジャンプ回転不足なし 0/8(国際大会0/4)

 

○22-23シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
DL げんさんサマーカップ 2 179.67 66.58 113.09
CS US International 3 180.11 62.68 117.43
RT 中部選手権 2 176.62 58.59 118.03
GP Grand Prix de France 6 182.50 68.83 113.67
GP Grand Prix Espoo 3 197.41 67.03 130.38
DL 愛知県代表選考会 1 65.59 65.59  
NC 全日本選手権 9 190.44 64.51 125.93
IH 全国高等学校総合体育大会 1 194.01 66.65 127.36
IC Challenge Cup 3 192.46 57.10 135.36

昨シーズンオリンピックに出場した河辺愛菜選手。今季はコーチも変わって心機一転。ある意味ではもう一度作り直しのシーズンとなるのかと思います。

初戦はげんさんサマーカップ。ショート66.58はダブルアクセルで出したスコア。昨シーズントリプルアクセルで70点台を出していますが、ダブルアクセルで出したスコアとしてはこれは最も高いものです。フリーは伸びませんでしたが2位には残りました。

国際大会はUSインターナショナルから。ジャンプがまだ不安定でスコアはそれほど伸びませんでしたがそれでも180.11と180点台には乗せて3位表彰台を確保します。

中部選手権もルッツで転倒2つとジャンプがまだまだ安定しません。2位で特に問題はないですがスコアは176.62と170点台でした。

今期はグランプリ2戦は最初から確保されていました。11月に入ってフランスが初戦。ここでショートは全要素プラス評価の68.83で3位スタート。4位とは4.56差あるし、これは表彰台チャンスと思われました。フリーは125.52を出せば表彰台確定という場面。ここで残念ながら2転倒となってフリー113.67のトータル182.50は最終的に6位。非常に悔しい試合となりました。

2週空いてグランプリ2戦目はフィンランド。ショートは大きなミスなく67.03で今回も3位で折り返します。フリーは125.41出せば表彰台確定。ターゲットスコアまで前回とほぼ同じでしたが今度は!やqは目立って<も1つありましたが転倒はなく耐えて130.38 トリプルアクセル無しで初めて130点を超えて3位表彰台を確保しました。2年連続でグランプリシリーズの表彰台です。

 

12月に入って愛知県の試合を1つこなして全日本へ。ショートはルッツ決まりませんでしたがリカバリーでフリップからの3-3を何とか降りて64.51は6位スタート。3位は6.55差あるので遠いですがこれくらいの順位で終えれば4大陸の切符くらいは入って来るかも、という位置。こっそり世界ジュニアの権利もまだ十分ある年齢でもあります。フリーは最終グループの1番目で登場。この時点で首位に立つためのターゲットスコアは132.71とかなり高めです。ここで今シーズン初のトリプルアクセルを入れましたがアンダーローテーションの転倒。以降は立て直していい流れかと思ったのですがフリップで転倒。これが痛くてフリーは125.93 トータル190.44 この時点で4位で最終順位は9位となりました。代表選考では4大陸の補欠1、世界選手権の補欠3ということで、代表には入れませんでした。

 

年が明けて1月にはインターハイ。ここでは4大陸の代表になった千葉百音選手、吉田陽菜選手を直接対決で破って優勝します。

2月には国際大会チャレンジカップへ。ここになぜか坂本花織選手と三原舞依選手がいて、優勝するには世界選手権並みのハードルという、なぜこんなことに? みたいなことになりましたが順当に3位に入りました。フリーは全要素プラス評価で135.36 ISU非公認ではありますが、トリプルアクセル無しにして国際大会での自己最高スコアを出しました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
げんさんサマーカップ 179.67 91.55 90.12 60.79 -1.45 20.43 11.78
US International 180.11 89.31 90.80 56.16 -0.05 20.91 12.29
中部選手権 176.62 86.84 91.78 59.94 -7.07 21.06 12.91
Grand Prix de France 182.50 90.29 94.21 60.74 -3.90 21.46 11.99
Grand Prix Espoo 197.41 99.27 98.14 64.94 -1.85 21.40 14.78
愛知県代表選考会 65.59 35.41 30.18 19.23 0.41 10.70 5.07
全日本選手権 190.44 96.73 95.71 64.90 -3.94 21.76 14.01
全国高等学校総合体育大会 194.01 97.99 96.02 65.31 3.21 20.40 9.07
Challenge Cup 192.46 96.47 96.99 62.12 1.00 21.36 11.99

トータルスコアは国内2戦で170点台がありますが、国際大会は180点台から190点台あります。

技術点は100点に乗らず99.27が最高でした。PCSも100点に届かず98.14が最高ですが今シーズン10位の高い評価になります。技術点よりも演技構成点の方が順位的には上になってきています。

ジャンプの基礎点はインターハイで65.31まで出ました。国際大会ではグランプリエスポ―の64.94が最高です。それほど高いものでもないですが、坂本選手で65.27ですので、それほど低いものでもまた無いです。

ジャンプのJOEがマイナスが並んでしまっています。プラスが出たのはチャレンジカップくらいでした。

スピンは21点台標準。上位は24点台くらいは出してきますのでやや見劣りします。

ステップは11点台12点台が目立ちますが、14点台もあります。この14.78は今シーズン8位の高い評価です。ステップレベル4率が25%しかないので、あまり高いスコアにならないことも多いのですが、GOEは結構とっているのでレベルが4で並ぶと高いスコアになってきます。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
げんさんサマーカップ 58.12 60.36 53.22 51.34 54.71 58.52
US International 58.27 55.84 56.09 52.94 57.00 59.02
中部選手権 57.12 59.53 41.71 53.44 59.79 59.73
Grand Prix de France 59.06 60.31 48.20 54.78 55.65 61.50
Grand Prix Espoo 63.99 64.41 52.40 54.58 68.21 64.35
全日本選手権 61.68 64.37 48.12 55.78 64.74 62.59
全国高等学校総合体育大会 62.86 64.77 62.76 51.24 62.31 62.81
Challenge Cup 62.35 61.66 58.24 54.44 55.65 63.52

トータルスコアはシーズン前半は50台後半でしたが中盤以降は60台になっていきました。

ジャンプの基礎点も同様でこちらは60台半ばまで出ます。

ジャンプで加点が取れないのが痛いです。優勝したインターハイは良かったですがほかは平均割れも目立ちます。グランプリ2戦、もう少し欲しかったでしょうか。

スピンは50台前半です。本人比でもあまりよくありません。

ステップ系要素は60台前半まで乗ってきています。本人比で得意な側の要素です。

 

22-23シーズン 河辺愛菜選手の要素別偏差値レーダーチャート

レーダーチャートは、下が凹む形です。ジャンプの加点もばらつき大きいですが、ステップのばらつきも大きいです。スピンはばらつかずに安定して低くなってしまっています。ジャンプのミスする種類が割とバラバラなので、悪く出ると全部悪いのですが、全部そろっていい方が出ることも中にはあるのではないかと期待したいです。

 

・シーズン最高の基礎点構成

○グランプリエスポ― ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   0.75 4.05 2.333
2 3Lz!+3T ! 10.10   0.08 10.18 0.111
3 FCSp4   3.20   0.73 3.93 2.333
4 3Fq q 5.83 x -0.76 5.07 -1.333
5 CCoSp4   3.50   0.60 4.10 1.778
6 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
7 SSp4   2.50   0.54 3.04 2.333
  TES   32.33   3.11 35.44  

ショートプログラムの最高基礎点は32.33ありました。昨季はトリプルアクセル入れていたので36.43まで出ていましたが、今シーズンはダブルアクセル構成です。

1.1倍に単独フリップ入れて、ルッツからの3-3があり、スピンステップオールレベル4で32.33 シットスピンがある分基礎点が落ちています。32.33は今シーズン12位タイにあたります。キムイェリム選手、イ・ヘイン選手あたりと同じ基礎点ですので十分勝負できる構成になっています。

この構成はGOE満点で技術点46.13になりPCSも加味すると86.13満点となります。

 

○グランプリエスポ― フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   0.80 4.10 2.556
2 3Lz!+3T+2T ! 11.40   0.17 11.57 0.222
3 3Lo   4.90   0.77 5.67 1.667
4 2A   3.30   0.66 3.96 2.000
5 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.111
6 3Lz!q+3Tq ! 11.11 x -2.70 8.41 -4.556
7 FCSp4   3.20   0.69 3.89 2.222
8 ChSq1   3.00   1.64 4.64 3.222
9 3Fq+2T< 6.97 x -2.42 4.55 -4.444
10 3S   4.73 x 0.80 5.53 1.778
11 CCoSp3   3.00   0.51 3.51 1.667
12 SSp4   2.50   0.43 2.93 1.667
  TES   61.31   2.52 63.83  

フリーは61.31が国際大会の最高基礎点でした。回転不足が1つとスピンレベル3が1つあります。この構成でノーミスなら62.10になる計算です。

2回飛ぶジャンプはルッツとトーループ。スピンは最高10.20の基礎点があり得るのですが、シットスピンが入ることで9.20になる分1.00差が付きます。ジャンプがしっかり入っている割にダブルアクセル組でも普通くらいの基礎点な理由はその辺にあります。

3連続を2番目と早い場所に入れるのは少数派ですが、2Tを1つ1.1倍に入れるか序盤に入れるかの差は0.13でしかないので、大きな問題でもなく、3-3きれいに入ったら2回転もつけてしまおう、というのはいい判断のようにも感じます。

この構成でGOE満点の時、技術点は87.60 PCS加味して167.60満点となります。

 

○平均GOE2.400以上(国際大会+全日本選手権より)

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
全日本選手権 SP 6 StSq3   3.30   1.18 4.48 3.556
Grand Prix Espoo FS 8 ChSq1   3.00   1.64 4.64 3.222
Grand Prix de France SP 6 StSq3   3.30   1.04 4.34 3.222
Challenge Cup SP 6 StSq3   3.30   1.06 4.36 3.143
Grand Prix Espoo FS 5 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.111
全日本選手権 FS 8 ChSq1   3.00   1.57 4.57 3.111
Grand Prix Espoo SP 6 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
Grand Prix de France FS 1 2A   3.30   0.90 4.20 2.778
Challenge Cup FS 10 StSq2   2.60   0.73 3.33 2.714
全日本選手権 FS 5 StSq4   3.90   1.06 4.96 2.667
Challenge Cup FS 1 2A   3.30   0.86 4.16 2.571
Grand Prix de France SP 1 2A   3.30   0.80 4.10 2.556
Grand Prix Espoo FS 1 2A   3.30   0.80 4.10 2.556
Grand Prix de France SP 7 SSp4   2.50   0.61 3.11 2.556
Grand Prix de France FS 3 2A   3.30   0.85 4.15 2.444
全日本選手権 SP 1 2A   3.30   0.80 4.10 2.444
Grand Prix de France SP 3 FCSp4   3.20   0.78 3.98 2.444
Challenge Cup FS 8 ChSq1   3.00   1.30 4.30 2.429

評価の高い要素はステップとコレオが並んでいます。ステップ系要素が得意。ただし、上の方にあるステップのレベルが3 これをレベル4に出来れば世界の中でもステップ系要素の点が高い選手となってきます。昨シーズンはコレオの平均GOE最高は+2.889 ステップは+2.556でしたから、かなり評価が上がりました。

ジャンプはダブルアクセルが並びます。元々トリプルアクセルを飛んでいた選手ですからアクセルジャンプの評価が高くなるのは当然と言えば当然なんでしょうか。

スピンは最高で+2.556 +3を超える評価を受ける選手が多いですので、+2台半ばが最高というのはやはり苦手感がこの辺でも見えます。

 

トリプルアクセル

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
全日本選手権 FS 1 3A< < F 6.40   -3.20 3.20 -5.000

今期はトリプルアクセル投入は1度だけ。アンダーローテーションの転倒に終わりました。

結果論ですが、全日本はトリプルアクセル無しで勝負に行ってもよかったかもしれないなあ、とも思いました。

 

○3回転-3回転を含む要素(国際大会+全日本選手権より)

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
US International SP 2 3Lz+3T   10.10   1.06 11.16 1.857
US International FS 2 3Lz+3T+2T   11.40   1.18 12.58 1.857
US International FS 6 3Lz<+3T< 8.89 x -1.98 6.91 -4.143
Grand Prix de France SP 2 3Lz!+3T ! 10.10   0.08 10.18 0.111
Grand Prix de France FS 2 3Lz!+3T< F 9.26   -2.95 6.31 -4.889
Grand Prix de France FS 6 3S+3T< 8.43 x -1.23 7.20 -2.889
Grand Prix Espoo SP 2 3Lz!+3T ! 10.10   0.08 10.18 0.111
Grand Prix Espoo FS 2 3Lz!+3T+2T ! 11.40   0.17 11.57 0.222
Grand Prix Espoo FS 6 3Lz!q+3Tq ! 11.11 x -2.70 8.41 -4.556
全日本選手権 SP 4 3F!+3T ! 10.45 X -0.08 10.37 0.000
全日本選手権 FS 2 3Lz+3T+2T   11.40   1.01 12.41 1.667
全日本選手権 FS 6 3Lzq+3T q 11.11 X -0.76 10.35 -1.222
Challenge Cup FS 2 3Lz!+3T+2T ! 11.40   0.24 11.64 0.286
Challenge Cup FS 6 3Lz!+3T ! 11.11 x 0.47 11.58 0.571

3回転-3回転はショートでは2番目の要素でルッツから、フリーでは2番目と6番目でどちらもルッツから入れて、2番目は3連続にしたい、という構成です。

ショートは全日本はミスが出てフリップからのリカバリーに。チャレンジカップは1.1倍にルッツからのコンビネーションを入れていて2回転になったのは、最初から2回転のつもりだったのか、3-3にしたかったのか、そもそも先に入れたループの転倒のところでコンビネーションにしたかったのかわかりませんでした。それ以外の3試合は!マークくらいまではありますがGOEはプラスになっています。

フリーも!マークが目立ちます。ただ、転倒はなかなかしませんし、アンダーローテーションが多数というものでもないので、ルッツジャンプ自体は得意な方のジャンプなんでしょうか。もう少し加点が取れるといいのですが、全然決まらないという感じにもなっていません。

 

○3連続ジャンプ

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
げんさんサマーカップ FS 2 3Lz!+3T+2T ! 11.40   0.00 11.40 0.200
US International FS 2 3Lz+3T+2T   11.40   1.18 12.58 1.857
中部選手権 FS 6 3S+3T+2T   10.78 X 0.57 11.35 1.400
Grand Prix Espoo FS 2 3Lz!+3T+2T ! 11.40   0.17 11.57 0.222
全日本選手権 FS 2 3Lz+3T+2T   11.40   1.01 12.41 1.667
全国高等学校総合体育大会 FS 2 3Lz!+3T+2T ! 11.40   -0.20 11.20 -0.400
Challenge Cup FS 2 3Lz!+3T+2T ! 11.40   0.24 11.64 0.286

3連続は今季フリー8回滑って7回は要素に入ってきました、フランス杯は転倒も2つあってリカバリーできなかったようです。中部選手権はルッツ転倒からの6番目にサルコウからリカバリーです。ルッツの!は目立ちますが8回中6回は2番目の要素で基礎点満額取っています。GOEはわずかなプラスぐらいです。ある意味では安定的に点がしっかり取れているとも言えそうです。

 

今シーズンは勝負のシーズンでもない、みたいなことをシーズン序盤に書いたような記憶がありますが、そんなに甘くもなかったようで、来期のグランプリ2戦が危うい立場になってしまいました。世界全体なら大丈夫なはずなんですが、日本レベル高すぎ。シーズンベスト18位で日本勢の中では8位。来期シニアの中では6位。ただシーズンベストで自分より下にグランプリ2戦表彰台の住吉選手に、実績のある紀平選手と樋口選手がいる。数えると結構ギリギリなんですがどうなるでしょうか。

4月に高校を卒業して大学生になりました。次のオリンピックは大学3年生で迎えます。その頃には中井亜美選手他もう何人かシニアに上がって来るのでさらに競争は熾烈になります。トリプルアクセルを取り戻すのか、トリプルアクセル無しで完成度を上げていくか。樋口先生の下での2シーズン目、どういう道を進んでいくか。ダブルアクセルで200点出して、その上にトリプルアクセルを乗せる、というのを期待したいと思います。