22-23 アンバーグレン

1999年10月28日生まれ

シニア7シーズン目

シーズン獲得賞金:$9,000

世界ランキング:19位

シーズンランキング:16位

シーズンベストスコア 197.61(19位) Skate America

ショートプログラムシーズンベスト 69.63 4大陸選手権

フリーシーズンベスト 129.19 Skate America

ショートプログラム楽曲:Hit the Road Jack

フリープログラム楽曲:Without You

スピンレベル4率 37/48 = 77.1%(国際大会:31/42 = 73.8%)

ステップレベル4率 7/16 = 43.8%(国際大会:5/14 = 35.7%)

スピンオールレベル4 3/8 (国際大会2/7)

スピンステップオールレベル4  2/8 (国際大会:1/7)

ジャンプ要素回転不足率 10/80=12.5% (国際大会:10/70 = 14.3%)

ジャンプ回転不足なし 1/8 (国際大会 0/7)

スピンステップオールレベル4 ジャンプ回転不足なし 1/8(国際大会:0/7)

 

○22-23シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
IC Cranberry Cup 3 166.73 45.99 120.74
CS Lombardia Trophy 4 177.01 55.99 121.02
GP Skate America 3 197.61 68.42 129.19
GP NHK Trophy 11 169.36 52.04 117.32
NC US Championships 3 207.44 68.96 138.48
4CC Four Continents 7 192.50 69.63 122.87
WC World Championships 12 188.33 65.52 122.81
WT World Team Trophy 6 195.01 66.55 128.46

昨シーズンは全米選手権でショート終わってコロナ。実際にはショートの前からコロナで体調おかしかったのでしょうが、試合にではなくコロナに負けてオリンピックへの挑戦の夢さえ立たれてしまったグレン選手。今季は再起を図るシーズンになります。

初戦は8月の国際大会初戦のクランベリーカップから。ショート冒頭から抜けアクセルで零点始まり、ステップも転倒という、シーズンインでなかなかひどいスタートでした。

チャレンジャーシリーズはロンバルディア杯。ここでもショートでジャンプ決まらず。フリーはトリプルアクセルをアンダーローテーションながら降りたものの、以降のジャンプが今一つでトータル177.01は4位。表彰台には届きません。

 

グランプリシリーズは最近は常連にはなっていて、今期も最初から2戦エントリーでした。

初戦のスケートアメリカから。ショートプログラムを今期3戦目にして全要素プラス評価のほぼノーミス。パーソナルベストの68.42で3位に付けます。グランプリシリーズの過去最高位は5位。最後から3人に出てきて表彰台確定は111.09が必要という局面。それくらいなら、と安全策にはいかずにトリプルアクセル組み込むもアンダーローテーション。以降は3連続入らないなどはありましたがまずまずの滑りで129.19 トータル197.61で表彰台確定、最終順位も3位でグランプリシリーズ初表彰台となりました。

グランプリ2戦目はNHK杯。ファイナル進出がここではかかることになりました。2位以内ならチャンスが来ます。というところでショートプログラムでジャンプ決まらずコンボ無しで52.04の11位スタート。フリーも伸びず169.36で11位。ファイナルは夢と消えました。ただし、このフリーのトリプルアクセルで初めて回転十分で基礎点満額もらい、GOEマイナスながら着氷することが出来ました。

 

年が明けて昨年無念の棄権となった全米選手権。今季世界選手権は3枠ありますので表彰台に乗りたいという試合です。ショートで今回は単独ループで軽いミスが出たくらいで68.96を出して3位と0.01差の4位に付けます。フリーでは冒頭トリプルアクセルをGOE軽いマイナスながら降りると、以降転倒などの大きなミスはなくこの試合ショートフリーでスピンステップオールレベル4 フリー138.48のトータル207.44 逆転表彰台で世界選手権の切符を手に入れました。

続いて4大陸選手権へ。ショートは今季最高の出来で69.63とパーソナルベスト更新で4位。レビト選手がフリーを棄権したため、実質3位で臨んだフリー。135.36出せば表彰台確定。パーソナルベストは133.45しかないけれど、全米では138点台出しているしチャンスはある。トリプルアクセルはアンダーローテーションに、そこまではいいとして3つ目のサルコウを転倒したのは痛かったです。セカンド3回転入らず、3連続入らずで122.87でトータル192.50は2人残して5位。チャンピオンシップのメダル獲得はなりませんでした。

世界選手権は実は初出場。ショートはやはりループがクリーンには決まらず65.52で10位発進。表彰台は遠いですが6位とは2.48差なのでそのあたりまでならチャンスがあります。フリーはやはり後半のループ決まらず3連続無し。122.81でトータル188.33は最終的に12位となりました。

 

国別対抗戦は初出場。ただ1人トリプルアクセルを構成に入れている選手ということで期待されましたが残念ながらアンダーローテーション。ショートフリー共に6位でアメリカチームの優勝に貢献しました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
Cranberry Cup 166.73 84.45 84.28 50.51 3.86 20.55 9.53
Lombardia Trophy 177.01 86.00 92.01 54.48 -1.09 21.92 10.69
Skate America 197.61 100.73 96.88 62.30 4.81 20.15 13.47
NHK Trophy 169.36 81.29 89.07 56.31 -8.23 21.32 11.89
US Championships 207.44 106.12 101.32 62.11 6.24 22.88 14.89
Four Continents 192.50 95.75 97.75 59.40 0.89 22.23 13.23
World Championships 188.33 95.24 93.09 59.81 -0.94 22.08 14.29
World Team Trophy 195.01 98.65 96.36 66.06 1.06 19.81 11.72

トータルスコア200点超えは全米選手権のみでした。国際大会では197.61のスケートアメリカが最高です。パーソナルベストは201.02を昨シーズンのスケートアメリカで出したことがあります。

技術点はスケートアメリカで100.73と100点に乗せました。

PCSは全米以外では100点に届かず。4大陸選手権の97.75が最高です。今シーズン全体で13位にあたります。

ジャンプの基礎点は国別対抗戦で66.06まで出ました。これで全体19位です。

ジャンプの加点はマイナスの試合が目立ちますがスケートアメリカでは+4.81ありました。

スピンは22点台までです。20点台21点台が目立ちます。

ステップ系要素は世界選手権で14.29が出ました。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
Cranberry Cup 53.85 50.33 64.09 51.74 44.58 54.28
Lombardia Trophy 57.25 54.21 53.96 56.31 49.80 59.90
Skate America 64.05 61.83 66.04 50.40 62.31 63.44
NHK Trophy 54.72 55.99 39.34 54.31 55.20 57.76
US Championships 67.30 61.65 68.96 59.52 68.71 66.67
Four Continents 62.36 59.01 58.01 57.35 61.23 64.07
World Championships 60.99 59.40 54.26 56.84 66.00 60.68
World Team Trophy 63.19 65.50 58.36 49.27 54.44 63.06

偏差値としてはトータルスコアで60台前半までは出ます。

ジャンプの基礎点は60前後が多く、国別では60台半ばまで出しました。

ジャンプの加点は50台が多いですがスケートアメリカでは60台後半まで持ってきました。

スピンも60台半ばまで、ステップ系要素もいい時に60台半ばの偏差値が出ますがレベル4率がそれほど高くないのでレベル取れずに50台になることもしばしばです。

PCSも60台半ばまで出せます。

各要素いい時には偏差値60台半ばくらいまで出るのだけど、すべてが揃う試合がない、というようなので、すべてが揃ったときに210点近いところまでは出せそうです。

 

22-23シーズン アンバーグレン選手の要素別偏差値レーダーチャート

レーダーチャートはこんな形に。

いいスコアが出た全米選手権は割とバランス取れています。国別ではスコアは良かったですがスピンステップは良くなかったようです。いいとこどりすれば全体がバランス取れたグラフが出来上がるはずなのだけど、各試合どこかが凹む、というような構図になっています。

 

・シーズン最高の基礎点構成

○4大陸選手権 ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3F+3T   9.50   1.51 11.01 2.889
2 2A   3.30   0.99 4.29 3.000
3 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.000
4 3Lo   5.39 x -0.49 4.90 -1.000
5 FSSp4   3.00   0.56 3.56 1.778
6 LSp4   2.70   0.54 3.24 2.111
7 StSq4   3.90   0.89 4.79 2.444
  TES   31.29   5.05 36.34  

ショートプログラムは31.29が最高基礎点でした。ショートにトリプルアクセルは入ってきていません。スピンステップはすべてレベル4取れていますが組み合わせ的にはあと0.20上の構成もあり得ます。

ジャンプがルッツなしでフリップ、ループにセカンド3T構成で1.1倍は単独ループ。ルッツなしがかなり響いています。

この構成だとGOE満点で技術点は44.59でPCS加味して84.59満点です。平均GOE+4.000で技術点41.93なので、この構成の時点で80点まで出る可能性が最初からほとんどない、みたいなものになっています。ルッツ無いとやはり厳しいようです。

 

○ワールドチームトロフィー フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A< 6.40   -2.93 3.47 -4.444
2 3F+3T   9.50   1.44 10.94 2.667
3 3S   4.30   0.98 5.28 2.333
4 3Lo   4.90   0.21 5.11 0.444
5 FSSp4   3.00   0.43 3.43 1.444
6 StSq2   2.60   0.56 3.16 2.111
7 3Lz+2A+SEQ   10.12 X -1.01 9.11 -1.889
8 3Lo+2T   6.82 X 0.21 7.03 0.444
9 3F   5.83 X 0.23 6.06 0.444
10 ChSq1   3.00   0.71 3.71 1.333
11 CCoSp4   3.50   0.80 4.30 2.333
12 LSp2   1.90   0.43 2.33 2.333
  TES   61.87   2.06 63.93  

フリーはワールドチームトロフィーの61.87が最高でした。トリプルアクセルが入っていますがアンダーローテーション。3連続が入っていません。2回飛ぶジャンプはフリップとループです。ステップとスピンのレベル2があるので、これがレベル4だと2.1基礎点が上がって63.97になります。3連続が8番目の要素で2Tをもう1つ出すのだとするとさらに1.43基礎点は上がって65.40にまでなります。ここまで来ると、トリプルアクセル組の1員です、という風に見える水準になってきます。さらにトリプルアクセル基礎点満額で67.00まで出ます。

その構成でGOE満点とすると技術点は95.35まで出てPCS加味して175.35満点となります。

 

○平均GOE2.800以上

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
US Championships FS 10 ChSq1   3.00   1.86 4.86 3.778
Skate America SP 4 3Lo   5.39 x 1.68 7.07 3.444
US Championships FS 8 3Lo   5.39 x 1.61 7.00 3.222
Skate America FS 10 ChSq1   3.00   1.57 4.57 3.222
Cranberry Cup FS 8 3Lo   5.39 x 1.47 6.86 3.143
US Championships SP 1 3F+3T   9.50   1.67 11.17 3.111
US Championships SP 2 2A   3.30   1.04 4.34 3.111
Lombardia Trophy SP 3 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.000
Four Continents SP 3 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.000
Cranberry Cup FS 10 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.000
Four Continents SP 2 2A   3.30   0.99 4.29 3.000
World Team Trophy SP 3 CCoSp3   3.00   0.90 3.90 3.000
Four Continents SP 1 3F+3T   9.50   1.51 11.01 2.889
US Championships FS 6 StSq4   3.90   1.17 5.07 2.889
World Championships SP 7 StSq4   3.90   1.11 5.01 2.889
Four Continents FS 10 ChSq1   3.00   1.43 4.43 2.889
Cranberry Cup SP 3 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 2.857

評価の高い要素としてはコレオが1番上にいますが国際大会ではスケートアメリカトリプルループでした。コレオとループが得意という風に見えます。

スピンはCCoSp 足替えのコンビネーションスピンの評価が高めです。

 

トリプルアクセル

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Cranberry Cup FS 1 3A<< F 3.30   -1.65 1.65 -5.000
Lombardia Trophy FS 1 3A< 6.40   -2.18 4.22 -3.429
Skate America FS 1 3A< 6.40   -3.20 3.20 -4.889
NHK Trophy FS 1 3A   8.00   -1.94 6.06 -2.333
US Championships FS 1 3A   8.00   -1.60 6.40 -2.000
Four Continents FS 1 3A< 6.40   -2.38 4.02 -3.778
World Championships FS 1 3A< 6.40   -3.11 3.29 -4.778
World Team Trophy FS 1 3A< 6.40   -2.93 3.47 -4.444

今季フリー冒頭ではトリプルアクセルを飛び続けました。ダウングレード1、アンダーローテーションが5で基礎点満額入ったのは2回なので25%です。

GOEプラスの成功ジャンプはありませんでしたが転倒は1度だけ。アンダーローテーションにはなるけれど転倒はしないということであれば入れておいても損はなさそうです。

 

○3回転-3回転

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Cranberry Cup SP 2 3F+3T   9.50   1.17 10.67 2.143
Cranberry Cup FS 2 3F+3T   9.50   0.85 10.35 1.714
Lombardia Trophy SP 2 3F+3T<< F 6.60   -2.65 3.95 -5.000
Lombardia Trophy FS 2 3F+3T< 8.66   -0.85 7.81 -1.286
Skate America SP 1 3F+3T   9.50   1.21 10.71 2.333
Skate America FS 2 3F+3Tq q 9.50   -0.30 9.20 -0.556
NHK Trophy FS 2 3F+3T< 8.66   -0.61 8.05 -1.222
US Championships SP 1 3F+3T   9.50   1.67 11.17 3.111
US Championships FS 2 3F+3T   9.50   1.36 10.86 2.667
Four Continents SP 1 3F+3T   9.50   1.51 11.01 2.889
World Championships SP 1 3F+3T   9.50   0.91 10.41 1.889
World Championships FS 2 3F+3T   9.50   1.44 10.94 2.778
World Team Trophy SP 1 3F+3T   9.50   -0.08 9.42 -0.111
World Team Trophy FS 2 3F+3T   9.50   1.44 10.94 2.667

3回転-3回転はフリップから飛びます。NHK杯のショートではフリップステップアウトでコンビネーションに出来ず、ループは転倒でリカバリーも入りませんでした。4大陸は3-2になっています。

それらも含めると16回飛ぼうとして3-3にならなかったのが2回、2つ目ダウングレードの転倒が1、2つ目アンダーローテーションが2、あとは基礎点しっかり入りましたがGOEマイナスが1つあるのでGOEプラスの成功ジャンプは10回です。まずまずの成功率かと思います。

 

○3連続ジャンプ

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
NHK Trophy FS 4 3Lo+2T+2T   7.50   0.49 7.99 1.000

3連続ジャンプはフリーで1回入る要素なのですが、今シーズン8試合で入ったのは1度だけでした。グレン選手は昨季も3連続が1度も入っていませんでしたし、どうも3連続が苦手なようです。2Tが足りなくなってそうなる、というタイプの選手もいますが、3-3がしっかり入るので2Tの数は足ります。2Tを1本足せればそれだけで1.3、後半なら1.43単純にはスコアを上げることができるわけで、そこを確実にしていくことがスコアを押し上げる1番早いやり方になりそうに見えます。

 

今期、初グランプリシリーズ表彰台、初トリプルアクセル着氷、初世界選手権と階段を昇って行ったアンバーグレン選手。チャンピオンシップはまだ表彰台が少し遠いですが、一歩一歩近づいています。アメリカは来期世界選手権が2枠になりました。レビト選手がいてテネル選手が万全になってくるとなかなか大変なところはありますが、まずはグランプリシリーズから活躍を期待します。