22-23 森口澄士

2001年12月29日生まれ

シニア3シーズン目

シーズン獲得賞金:$0

世界ランキング:134位

シーズンランキング:90位

シーズンベストスコア 232.79(27位) トリグラフトロフィー

ショートプログラムシーズンベスト 79.47 トリグラフトロフィー

フリーシーズンベスト 153.32 トリグラフトロフィー

ショートプログラム楽曲:Breakthru

フリープログラム楽曲:Jekyll & Hydeより

スピンレベル4率 23/42 = 54.8%(国際大会:2/6 = 33.3%)

ステップレベル4率 1/14 = 7.1%(国際大会:0/2 = 0.00%)

スピンオールレベル4 0/6(国際大会:0/1)

スピンステップオールレベル4 0/6(国際大会:0/1)

ジャンプ回転不足率 0/74 = 0.00%(国際大会:0/10 = 0.00%)

ジャンプ回転不足なし 6/6(国際大会:1/1)

スピンステップオールレベル4ジャンプ回転不足なし 0/6(国際大会:0/1)

 

○22-23シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
DL 木下トロフィー 1 216.01 74.11 141.90
RT 近畿選手権 3 200.07 63.20 136.87
CC 西日本学生選手権 5 124.78   124.78
RT 西日本選手権 3 196.37 71.31 125.06
NC 全日本選手権 7 241.63 76.31 165.32
CC 日本学生氷上選手権 2 162.87   162.87
NG 国民体育大会 5 216.15 79.39 136.76
IC Triglav Trophy 2 232.79 79.47 153.32

森口選手はシニア3シーズン目の大学3年生、というよりはペアとの二刀流と言った方が通りが良いでしょう。ここではシングルとしての結果を振り返っていきます。

 

初戦は木下トロフィー。216.01はパーソナルベスト相当のスコアです。ペアやりながらもシングルの実力も上がってきていることを初戦から証明します。

ペアでジュニアグランプリシリーズ2戦を戦って、帰ってきたらシングルで近畿選手権です。疲れもあったでしょうか、ジャンプのミスも目立ちます。それでも200.07 200点を超えて3位でブロック大会通過です。

大学生なので学生選手権へ向けて西日本学生にも出て5位。翌週西日本選手権と忙しいですが、ここはショートフリーで3転倒出てしまいます。それでも196.37まで出して3位で全日本進出を決めます。

翌週は東日本選手権でジュニアのペアを滑ります。1か月で4試合と忙しい。さらに11月は全日本ジュニアにペアで出場して、12月にはジュニアグランプリファイナルへ旅立ちます。そこでの4位は惜しかったのか大成果か。

このペアとシングルが2つ合わさったのが全日本になります。村上選手は1日1本の4日連続でしたが、森口選手は1日2本を2回というコースです。初日はまずペアを滑り、シングルは少し時間をおいて22番滑走。これを全要素プラス評価で76.31 パーソナルベスト相当のスコアで10位。1日おいてペアのフリーを滑って全日本のタイトルを獲り、4時間ほど後に第3グループとしてフリーに登場。これが素晴らしい演技。さすがに最後のスピンは疲れたかVが付いてGOEのマイナスも出ましたが、165.32は、これまでの最高が141.90だったことを考えると驚愕のパーソナルベスト更新。トータル241.63はこれまでのスコアを25点上回って7位となりました。

 

年が明けて学生選手権にも出場。ここでも162.87というスコアを出して2位。全日本がフロックではないことを証明します。国体はショートプログラムで79.39とパーソナルベストをまたも更新。フリーは転倒があり伸びませんでしたが、5位に入ります。

 

3月にペアで世界ジュニアへ。ここもあと一歩の4位にまで入ります。全日本7位あるけれど、ペアで世界ジュニアあるしシングルB級派遣は無しか、と思っていたら4月のトリグラフトロフィーが入りました。シングル国際大会デビュー戦ですが、今季国際大会はすでに4試合経験しています。

ショートプログラムからいい出来で国内参考のすべてを上回る79.47という自己最高スコアを出してきます。フリーも苦手のフリップで!が付いたくらいであとはミスなく滑り153.32まで出してトータル232.79 世界ランキングのポイントを獲得し、おそらく来期の各種ミニマムを超えるスコアをだし、シーズンを終えました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
木下トロフィー 216.01 112.00 104.01 77.39 5.31 19.48 9.82
近畿選手権 200.07 99.21 100.86 66.65 3.89 18.60 10.07
西日本学生選手権 124.78 54.44 71.34 39.71 0.80 6.72 7.21
西日本選手権 196.37 99.94 99.43 72.50 -4.75 19.64 12.55
全日本選手権 241.63 125.10 116.53 81.02 14.88 18.35 10.85
日本学生氷上選手権 162.87 86.28 76.59 57.09 10.86 9.37 8.96
国民体育大会 216.15 106.50 111.65 74.45 1.28 19.91 10.86
Triglav Trophy 232.79 113.05 119.74 75.13 6.83 18.62 12.47

トータルスコアはコンスタントに200点は超えていて、全日本では240点台まで出しました。国際大会でも230点を超えています。チャレンジャーシリーズくらいなら十分に勝負できる水準です。

技術点は全日本で120点台、国際大会でも110点台は出せています。PCSは最後に国際大会で120点近くまで出しました1項目平均8点近くまで出しています。

ジャンプの基礎点は4回転がないので80点を少し超えるところまでです。加点の方は全日本で14.88まで出ました。国内参考記録ですが、国際大会の9位相当の加点でした。

スピンは19点台までですのであまり伸びていません。

ステップ系要素は12点台までは出ていました。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
木下トロフィー 53.28 53.23 62.27 47.74 43.73 49.16
近畿選手権 48.78 46.35 60.23 44.75 44.94 47.01
西日本選手権 47.74 50.10 47.78 48.29 56.99 46.03
全日本選手権 60.50 55.55 76.06 43.90 48.73 57.72
国民体育大会 53.32 51.35 56.47 49.20 48.78 54.39
Triglav Trophy 58.01 51.78 64.46 44.82 56.61 59.92

トータルスコアはコンスタントに50を超えていて全日本では偏差値60に達しました。

ジャンプの基礎点は50前後ですが全日本は50台半ばまで出ています。加点の方は西日本で50割れしていますが60前後が多く、全日本は大当たりで70台後半まで出ています。

スピンは全試合50を下回っています。レベル4率もそれほど高くないですし、あまり得意ではないようです。

ステップ系要素も50を下回ることが多いです。レベル4率はかなり低く、基本的にはレベルは3以下になっていました。

PCSは前半は50を下回っていますが、後半は50台後半が出るようになってきています。

 

22-23シーズン 森口澄士選手の要素別偏差値レーダーチャート

レーダーチャートは右下に伸びています。ジャンプの出来栄えで稼ぐ構図です。スピンステップがあまり伸びていないので、4回転の無いジャンプの基礎点でもそれほど凹む形でもないようです。

 

・シーズン最高の基礎点構成

○西日本選手権 プログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A   8.00   1.76 9.76 2.143
2 3Lz F 5.90   -2.95 2.95 -5.000
3 FCSp4   3.20   0.38 3.58 1.286
4 3F+3T   10.45 X 0.95 11.40 1.857
5 CSSp4   3.00   -0.18 2.82 -0.429
6 StSq3   3.30   0.53 3.83 1.714
7 CCoSp4   3.50   0.14 3.64 0.286
  TES   37.35   0.63 37.98  

ショートプログラムの最高基礎点は西日本選手権で37.35でした。4回転無し。1.1倍にコンビネーションがフリップから入っています。通常はルッツからのコンビネーションなのですが、そこで転倒したことで1.1倍にコンビネーションが入り、結果的にジャンプの基礎点が上がりました。スピンもオールレベル4が取れています。ステップレベル4取れれば37.95の基礎点に出来ました。これより基礎点上げるには4回転の投入が求められますが、4回転の練習をする時間はペアをやりながらだとさすがに苦しいのではないかと思われます。

上記の1.1倍にコンビネーションがある構成でスピンステップオールレベル4にGOE満点取ると技術点は54.35となり、PCS加味して104.35満点となります。

 

○日本学生氷上選手権 フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A+2T   9.30   2.67 11.97 3.400
2 3A   8.00   2.40 10.40 3.000
3 3Lo   4.90   1.14 6.04 2.200
4 FCSp4   3.20   0.64 3.84 2.000
5 3F   5.30   1.59 6.89 3.000
6 ChSq1   3.00   1.67 4.67 3.400
7 3S+2A+2A+SEQ 11.99 X 1.29 13.28 3.200
8 3Lz+3T   11.11 X 0.20 11.31 0.000
9 3Lz   6.49 X 1.57 8.06 2.600
10 CSSp4   3.00   0.40 3.40 1.600
11 StSq3   3.30   0.99 4.29 3.000
12 CCoSp2V   1.88   0.25 2.13 0.800
  TES   71.47   14.81 86.28  

フリーは学生選手権で71.47が出ていました。2回飛ぶジャンプはトリプルアクセルトリプルルッツです。セカンド3回転にシークエンスアクセル2本がいますが、3連サルコウはありません。このジャンプの本数だと、2A+1Eu+3Sのような3連3サルコウにするより、2Aを2本シークエンスにつぎ込むほうが基礎点は高くなります。

森口選手はCCoSp 足替えのコンビネーションスピンをショートフリーの最後の要素に入れているのですが、これが結構苦手で2Vを多発していて基礎点大きく削られています。レベル4なら3.50の基礎点がありますので、1.62削られています。ステップもレベル4取れれば2.22基礎点上がって73.69の基礎点を作れます。

上記のスピンステップオールレベル4の時、GOE満点で技術点は104.14となり、PCS加味すると204.14満点となります。

 

○平均GOE2.600以上

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
日本学生氷上選手権 FS 1 3A+2T   9.30   2.67 11.97 3.400
日本学生氷上選手権 FS 6 ChSq1   3.00   1.67 4.67 3.400
全日本選手権 FS 5 3F   5.30   1.74 7.04 3.333
日本学生氷上選手権 FS 7 3S+2A+2A+SEQ   11.99 X 1.29 13.28 3.200
全日本選手権 FS 6 ChSq1   3.00   1.57 4.57 3.111
全日本選手権 FS 7 3S+2A+2A+SEQ   11.99 X 1.29 13.28 3.000
日本学生氷上選手権 FS 11 StSq3   3.30   0.99 4.29 3.000
日本学生氷上選手権 FS 2 3A   8.00   2.40 10.40 3.000
日本学生氷上選手権 FS 5 3F   5.30   1.59 6.89 3.000
全日本選手権 FS 2 3A   8.00   2.29 10.29 2.889
全日本選手権 FS 9 3Lz   6.49 X 1.69 8.18 2.889
Triglav Trophy FS 6 ChSq1   3.00   1.33 4.33 2.800
Triglav Trophy FS 3 3Lo   4.90   1.31 6.21 2.800
国民体育大会 FS 6 ChSq1   3.00   1.33 4.33 2.800
近畿選手権 SP 1 3A   8.00   2.40 10.40 2.800
全日本選手権 FS 3 3Lo   4.90   1.40 6.30 2.778
全日本選手権 SP 4 3F   5.83 X 1.51 7.34 2.778
全日本選手権 FS 8 3Lz+3T   11.11 X 1.52 12.63 2.667
日本学生氷上選手権 FS 9 3Lz   6.49 X 1.57 8.06 2.600
西日本学生選手権 FS 5 3F   5.30   1.41 6.71 2.600
Triglav Trophy FS 11 StSq3   3.30   0.88 4.18 2.600

評価の高い要素はジャンプが並びます。学生選手権は全体的に評価が高く出がちな試合ではありますが、トリプルアクセルからのコンビネーションが最高評価となりました。学生選手権が上に並んでいるからという部分もありますが、それを除いてもショートではなくてフリーのジャンプの評価が高い傾向があります。また、4回転を入れていないからという部分はありますが、今シーズンすべてのジャンプで回転不足が1度もありませんでした。ジャンプはしっかり飛べています。

意外と高評価が出るのがコレオシークエンス。国際大会でも+2.800までもらっています。

逆に、スピンは1つも高評価としては出てきませんでした。

 

トリプルアクセル

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
木下トロフィー SP 1 3A   8.00   1.12 9.12 1.429
木下トロフィー FS 1 3A+2T   9.30   1.28 10.58 1.429
木下トロフィー FS 2 3A   8.00   -2.56 5.44 -3.286
近畿選手権 SP 1 3A   8.00   2.40 10.40 2.800
近畿選手権 FS 1 3A+3T   12.20   1.87 14.07 2.400
近畿選手権 FS 2 3A   8.00   1.60 9.60 2.200
西日本学生選手権 FS 1 3A+2T   9.30   1.60 10.90 2.000
西日本学生選手権 FS 2 3A   8.00   0.80 8.80 1.000
西日本選手権 SP 1 3A   8.00   1.76 9.76 2.143
西日本選手権 FS 1 3A   8.00   0.32 8.32 0.286
全日本選手権 SP 1 3A   8.00   0.57 8.57 0.556
全日本選手権 FS 1 3A+2T   9.30   1.94 11.24 2.556
全日本選手権 FS 2 3A   8.00   2.29 10.29 2.889
日本学生氷上選手権 FS 1 3A+2T   9.30   2.67 11.97 3.400
日本学生氷上選手権 FS 2 3A   8.00   2.40 10.40 3.000
国民体育大会 SP 1 3A   8.00   2.13 10.13 2.400
国民体育大会 FS 1 3A F 8.00   -4.00 4.00 -5.000
国民体育大会 FS 2 3A+2T   9.30   1.07 10.37 1.400
Triglav Trophy SP 1 3A   8.00   1.60 9.60 2.000
Triglav Trophy FS 1 3A   8.00   1.60 9.60 2.000

森口選手は4回転を持っていませんので、トリプルアクセルが最も基礎点の高いジャンプになります。今季は20本飛んで転倒が1回、それ以外のGOEマイナスが1回で、18本がGOEプラスの成功ジャンプです。成功率9割。トリプルアクセルが極めて安定していました。

 

○3連続の要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
全日本選手権 FS 7 3S+2A+2A+SEQ   11.99 X 1.29 13.28 3.000
日本学生氷上選手権 FS 7 3S+2A+2A+SEQ   11.99 X 1.29 13.28 3.200
国民体育大会 FS 7 3S+2A+2A+SEQ   11.99 X 0.86 12.85 2.000
Triglav Trophy FS 7 3S+2A+2A+SEQ   11.99 x 0.86 12.85 2.000

3連続の要素はシーズン前半は入ってきていなくて、全日本以降サルコウからのシークエンスアクセル2本という形で入りました。すべてGOE+2以上と高評価です。ここで大きなスコアを得られるのは価値がありました。ダブルアクセル2本入りは割と少数派ですが、基礎点高いところまでもっていけて、割とお得な構成だと思われます。

 

今シーズンペアで大活躍した森口選手でしたが、実はシングルでも大躍進したシーズンでした。来期は普通にチャレンジャーシリーズ派遣があるわけですが、メンバー次第では優勝もありえます。一方でペアは村上選手とは年齢差問題もあって解消。これは仕方ない。新ペアを長岡柚奈選手とくむことになりました。長岡選手は2005年7月生まれの17歳高校3年生。シニアカテゴリーの試合に出ることができます。NHK杯地元枠とか理論的にはあり得るのかもしれない。そしてシングルでもチャレンジャーシリーズ優勝の補欠代替や地元枠NHK杯で、グランプリシリーズで2種目出場、というのもあり得ない目ではないかもしれません。来期中には難しいにしても、いずれ、グランプリシリーズ2種目とか、4大陸選手権2種目、という前代未聞な姿を見せてもらえたらと思います。