22-23 イシヒョン

2000年12月15日生まれ

シニア3シーズン目

シーズン獲得賞金:$6,000

世界ランキング:28位

シーズンランキング:21位

シーズンベストスコア 242.62(20位) グランプリフランス

ショートプログラムシーズンベスト 86.78 ネーベルホルン杯

フリーシーズンベスト 166.08 グランプリフランス

ショートプログラム楽曲:Feeling Good

フリープログラム楽曲:Cyrano より

スピンレベル4率 29/36 = 80.6%(国際大会:23/30 = 76.7%)

ステップレベル4率 6/12 = 50.0%(国際大会:6/10 = 60.0%)

スピンオールレベル4 2/6(国際大会:1/5)

スピンステップオールレベル4 0/6(国際大会:0/5)

ジャンプ回転不足率 13/60 = 21.7%(国際大会:10/50 = 20.0%)

ジャンプ回転不足なし 0/6(国際大会:0/5)

スピンステップオールレベル4ジャンプ回転不足なし 0/6(国際大会:0/5)

 

○22-23シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
CS Nebelhorn Trophy 2 235.71 86.78 148.93
GP Grand Prix de France 4 242.62 76.54 166.08
NC Korean Championships 4 230.74 81.97 148.77
Others World University Games 6 218.75 75.17 143.58
4CC Four Continents 6 227.79 70.38 157.41
WT World Team Trophy 11 202.06 77.24 124.82

イシヒョン選手は昨シーズンオリンピックにも出場した韓国でも2番手相当の選手です。

今シーズンはネーベルホルン杯から入りました。ショートプログラムから全要素プラス評価の86.78でパーソナルベスト更新。フリーは残念ながら4回転転倒などでスコア伸びず148.93でトータル235.71 2位に入りチャレンジャーシリーズ初表彰台となります。

グランプリシリーズは最初から1戦のエントリーがありました。フランス杯。21歳にしてグランプリシリーズデビュー戦です。ショートは4回転転倒で76.54の7位と出遅れますが、前半グループの最後に出てきたフリーはアクセルにqが付いたくらいでほぼノーミスの演技をし、166.08、16点余り自己ベストを更新してトータル242.62 初の240点台。最終的に4位に入りました。

 

年が明けて韓国ナショナル。世界選手権の枠は1つなのでチャジュンファン選手がいる韓国ではちょっとつらい。3年連続2位にも入ってきてますし、4大陸は何とか選ばれたいという立ち位置です。ショートはまずまずの演技で81.97を出して2位スタートとなるのですが、フリーはまさかの2転倒。148.77で終わりトータル230.74は表彰台落ちの4位。ただ、上へ行った2人がジュニアだったこともあり、4大陸選手権の代表には入りました。

 

ナショナルから連戦でワールドユニバーシティゲームズに参加します。ショートは4回転転倒に、あとの2つのジャンプはqが付くとスコアは伸びず75.17 これでも5位 3位まで9.26差は少し厳しいかな、という差はある中のフリーもトリプルアクセル転倒を含めジャンプがすっきり決まってこず143.58に終わりトータル218.75で6位となりました。

 

昨季7位の4大陸選手権は2回目の出場。オリンピックシーズンの前年よりはレベルが高い試合です。ジャンプの不安定さがナショナルから変わらず、このショートも4回転転倒にアクセルはqでコンビネーションは<とq 散々な出来で70.38の14位スタートとなります。もうあとは攻めるだけというフリーになりますが、ようやくここで転倒もなく、アンダーローテーション1つくらいにミスを抑える演技が出来て157.41を出してトータル227.79 昨季を上回る6位に入りました。

 

世界選手権は韓国エースのチャジュンファン選手が2位に入り、来期3枠を持ってきたことで、先への光明がイシヒョン選手にとっても見えたわけですが、そのままシーズンは終わらず、韓国は初めての国別対抗戦出場となり、ここに男子の2番手として呼ばれます。

ショートでは初めての4回転ループにチャレンジ。アンダーローテーションの転倒ですので全くうまくいかなかったわけですが、先へつながる意味あるチャレンジを公式戦で出来ています。ただ、フリーは通常構成で3転倒というなにやってますの? という滑りで124.82というシニアに上がって最低スコアを出してしまいます。これのせいで韓国チームの順位が危うくなったのですが、何とか2位を確保し、17万ドルのおそらく8分の1として21,250ドルの分け前を得てシーズンを終わったかと思われます。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
Nebelhorn Trophy 235.71 124.38 112.33 88.44 1.58 21.77 12.59
Grand Prix de France 242.62 131.84 111.78 90.51 5.09 23.04 13.20
Korean Championships 230.74 113.08 119.66 83.39 -4.18 21.95 11.92
World University Games 218.75 111.25 109.50 88.54 -14.36 23.28 13.79
Four Continents 227.79 120.78 108.01 88.27 -1.66 22.56 11.61
World Team Trophy 202.06 105.64 101.42 81.68 -11.76 23.39 12.33

スコアは昨季までのパーソナルベストが229.14だったところから今シーズンは242.62まで上げてきました技術点は130点超えがあります。一方PCSの国際大会最高は112.33 1項目平均7.5程度までになっています。

ジャンプの基礎点は90点に乗りました。加点の方はマイナスの試合が目立っていて-14.36というのもいますが、パーソナルベストのグランプリフランスでは+5.09を出していました。

スピンは23点台が2試合あります。ステップ系要素は13点台が2試合ありました。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
Nebelhorn Trophy 58.83 60.31 56.90 55.53 57.19 54.85
Grand Prix de France 60.78 61.63 61.95 59.84 60.15 54.48
Korean Championships 57.43 57.07 48.60 56.14 53.93 59.87
World University Games 54.05 60.37 33.93 60.66 63.02 52.92
Four Continents 56.60 60.20 52.23 58.21 52.43 51.90
World Team Trophy 49.34 55.98 37.68 61.03 55.93 47.39

偏差値で見ると、トータルスコアはシーズンベストで60に乗りました。

ジャンプの基礎点は60前後ですが加点の方は60に達したのは1試合だけです。

スピンは偏差値60前後、ステップ系要素も60に届く試合もありますがもう少しばらけます。

PCSは60に乗った試合がまだなく、国際大会では50前後にとどまっています。

 

22-23シーズン イシヒョン選手の要素別偏差値レーダーチャート

レーダーチャートで見ると右下のばらつきはひどいですが、それを除くと、ナショナル以外では左上がやや凹むようです。PCSが伸びてくると、もう少し全体のスコアが上がりそうです。

 

・シーズン最高の基礎点構成

○ワールドユニバーシティゲームズ ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
2 3Aq q 8.00   -0.80 7.20 -1.000
3 FSSp4   3.00   0.66 3.66 2.143
4 3Lz+3Tq q 11.11 x -0.47 10.64 -0.857
5 CCSp4   3.20   0.64 3.84 1.857
6 StSq4   3.90   1.01 4.91 2.571
7 CCoSp4   3.50   0.77 4.27 2.000
  TES   42.21   -2.94 39.27  

ショートプログラムの最高基礎点は42.21でした。4回転はトーループ1本、1.1倍にはルッツからのコンビネーションが入ります。スピンステップオールレベル4で42.21となりました。ここから基礎点上げるには4回転2本目が求められるでしょうか。その前にこの基礎点で安定して滑ることが先かもしれません。

上記構成でGOE満点取ると技術点は60.71となりPCS加味して110.71満点となります。

 

○グランプリフランス フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T   9.50   1.76 11.26 1.889
2 3Lz+3T   10.10   1.26 11.36 2.111
3 3Aq q 8.00   -1.03 6.97 -1.222
4 3S   4.30   0.74 5.04 1.778
5 CCSp4   3.20   0.82 4.02 2.556
6 3A+3T   13.42 x 1.71 15.13 2.111
7 3F+2A+2A+SEQ 13.09 x 0.91 14.00 1.778
8 3Lo   5.39 x 0.42 5.81 0.778
9 StSq4   3.90   0.84 4.74 2.111
10 ChSq1   3.00   1.00 4.00 2.000
11 FCCoSp4   3.50   0.70 4.20 2.000
12 CCoSp3   3.00   0.56 3.56 1.889
  TES   80.40   9.69 90.09  

フリーの最高基礎点はグランプリシリーズで80.40と80点に乗せました。4回転は1種類1本、2回飛ぶジャンプはトリプルアクセルとトリプルトーループです。スピンは1つレベル3があり、これをレベル4に出来ると0.50基礎点が上がって80.90になります。

シークエンスアクセル2本使いでセカンド3回転2本なので構成の中に2回転がありません。4回転1本で基礎点80点台まで持ってくるのは至難の業なのですが、それを成し遂げています。

上記の構成でスピンステップオールレベル4にGOE満点を取ると、技術点は113.40となりPCS加味して213.40満点となります。

 

○平均GOE2.200以上

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Four Continents FS 1 4T   9.50   2.71 12.21 2.778
Korean Championships FS 2 3Lz+3T   10.10   1.65 11.75 2.714
Korean Championships SP 6 StSq3   3.30   0.86 4.16 2.571
World University Games SP 6 StSq4   3.90   1.01 4.91 2.571
Grand Prix de France FS 5 CCSp4   3.20   0.82 4.02 2.556
World Team Trophy SP 6 StSq4   3.90   0.95 4.85 2.444
Grand Prix de France SP 2 3A   8.00   1.94 9.94 2.444
World University Games FS 10 ChSq1   3.00   1.20 4.20 2.429
Four Continents SP 6 StSq3   3.30   0.80 4.10 2.333
Korean Championships FS 6 3A+3T   13.42 x 1.76 15.18 2.286
Nebelhorn Trophy SP 2 3A   8.00   1.92 9.92 2.286
Nebelhorn Trophy FS 5 CCSp3   2.80   0.62 3.42 2.286
Nebelhorn Trophy SP 4 3Lz+3T   11.11 x 1.30 12.41 2.286
Nebelhorn Trophy SP 6 StSq4   3.90   0.86 4.76 2.286
Nebelhorn Trophy FS 2 3Lz+3T   10.10   1.30 11.40 2.286
World Team Trophy SP 4 3Lz+3T   11.11 X 1.35 12.46 2.222
Four Continents SP 7 CCoSp4   3.50   0.75 4.25 2.222

評価の高い要素はジャンプが多いです。最高評価は4大陸選手権のフリー冒頭の4回転トーループでした。ただ、この辺はスピンステップでGOE+3以上が取れていないことの裏返しとも取れなくはないです。スピンステップも+2台までは普通に出せています。

 

○4回転ループ

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
World Team Trophy SP 1 4Lo< < F 8.40   -4.20 4.20 -5.000

国別対抗戦で4回転ループに挑戦しましたが、アンダーローテーションの転倒に終わりました。4回転2種類目はサルコウではなくてループで行こうとしているようです。

 

○4回転トーループ

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Nebelhorn Trophy SP 1 4T   9.50   1.33 10.83 1.286
Nebelhorn Trophy FS 1 4Tq F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
Grand Prix de France SP 1 4T< F 7.60   -3.80 3.80 -5.000
Grand Prix de France FS 1 4T   9.50   1.76 11.26 1.889
Korean Championships SP 1 4Tq q 9.50   -1.14 8.36 -1.286
Korean Championships FS 1 4T< 7.60   -3.80 3.80 -5.000
World University Games SP 1 4T F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
World University Games FS 1 4T   9.50   -2.09 7.41 -2.143
Four Continents SP 1 4T< F 7.60   -3.80 3.80 -5.000
Four Continents FS 1 4T   9.50   2.71 12.21 2.778
World Team Trophy FS 1 4T< < F 7.60   -3.80 3.80 -5.000

4回転トーループはショートフリーで1本づつ飛び、コンビネーションにはせず単独出れている要素です。国別対抗戦のショートはループに挑戦ということで入っていませんが、それ以外は常に冒頭に入っていました。

11回飛んで転倒が5回、アンダーローテーションは3回、それら以外のGOEマイナスが2回で、GOEプラスの成功ジャンプは3本でした。もう少し成功率を上げたいところかと思います。

 

○3連続の要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Nebelhorn Trophy FS 7 3F+2A+2A+SEQ   13.09 x 0.85 13.94 1.429
Grand Prix de France FS 7 3F+2A+2A+SEQ   13.09 x 0.91 14.00 1.778
Korean Championships FS 7 3F+2A+2A<<+SEQ F 10.67 x -2.65 8.02 -5.000
World University Games FS 8 3Lo+2A+2A+SEQ   12.65 x 0.10 12.75 0.286
Four Continents FS 7 3F+2A<+2A+SEQ 12.36 x -0.76 11.60 -1.444
World Team Trophy FS 8 3Lo+2Aq+2A+SEQ q 12.65 X -0.42 12.23 -0.667

3連続は6試合すべてで入りました。7番目の要素のフリップから入れるのが基本ですが、うまく入らないときは次のループからにスライドします。シークエンスアクセル2本という組み合わせ。転倒が1回、それ以外にGOEマイナスが2回あって、GOEプラスの成功ジャンプは3回、成功率5割です。軽いマイナスくらいまでなら許容ということであれば、ナショナル以外は何とかなっていたとも言えます。

 

今期グランプリデビューしたイシヒョン選手。チャジュンファン選手に続いて出てきた韓国2番手ですが、実際にはチャジュンファン選手より年上です。チャジュンファン選手がかなり強いので、次回のオリンピックまで2枠以上は安定して確保できるのではないかと思われますが、3枠取るにはイシヒョン選手がトップ10レベルの活躍が必要です。240点台まで来ていますが、250点台は欲しいところ。来期はおそらくグランプリ2戦入ると思われますし、次回のオリンピックの椅子を自分で確保すべく、来期の活躍も期待しております。