JGP 大阪 表彰台独占はならず

ジュニアグランプリシリーズ4戦目は久しぶりの日本開催で大阪に来ました。日本開催は2016年以来。この時は、坂本花織、本田真凜、山下真瑚、と女子シングルで表彰台独占があり、今回もその再現が期待されました。

 

○女子シングル 上位12人

Pl Name Nation Total SP FS
1 Mao SHIMADA JPN 213.86 73.78 140.08
2 Yo TAKAGI JPN 188.15 63.42 124.73
3 Yu-Feng TSAI TPE 178.82 61.52 117.30
4 Ikura KUSHIDA JPN 176.09 62.79 113.30
5 Jeongyul HWANG KOR 172.42 61.09 111.33
6 Hana BATH AUS 170.64 56.70 113.94
7 Ruichen TONG CHN 166.34 57.56 108.78
8 Mia KALIN USA 159.93 53.70 106.23
9 Petra LAHTI FIN 151.14 53.86 97.28
10 Ruotang LI CHN 146.61 51.72 94.89
11 Heesue HAN KOR 145.65 51.07 94.58
12 Olivia BACSA SUI 143.58 42.86 100.72

島田麻央選手圧勝。いまだ国際大会無敗です。213.86は今季世界最高のスコアになります。2位と25点差。全く他を寄せ付けない圧勝でした。

2位には髙木謡選手。ジュニアグランプリ初表彰台です。初戦はわずかなところで届かなかった表彰台にここで入りました。188.15は今年の日本ジュニアの中では3番目のスコア。世界ジュニア候補としてここでも名乗りを上げてきました。

3位は4試合目にしてようやく日韓以外からですが、それでも東アジアからは離れず台湾のツァイユーフェン選手が入りました。ショート4位からの逆転表彰台です。台湾は決してスケート強国とは言える土地ではなく、過去に女子でグランプリシリーズに出場した選手もいませんので驚きの表彰台と言えそうです。今シーズンジュニアデビュー。台湾のエースとして今後活躍していってくれるでしょうか。

日本からのもう一人、櫛田育良選手は4位。惜しくも表彰台に届きませんでした。

 

○島田麻央選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A   8.00   1.37 9.37 1.556
2 4T<< <<F 4.20   -2.10 2.10 -5.000
3 3Lz+3T   10.10   1.35 11.45 2.222
4 FCCoSp4   3.50   0.80 4.30 2.222
5 3F+2A+SEQ   8.60   0.91 9.51 1.778
6 3S+3T+2T   10.78 X 0.98 11.76 2.222
7 3Lo   5.39 X 1.26 6.65 2.444
8 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.111
9 3Lz   6.49 X 1.18 7.67 2.111
10 CCoSp4   3.50   1.70 5.20 4.778
11 LSp4   2.70   1.12 3.82 4.111
  TES   66.26   10.07 76.33  

トリプルアクセル成功。しかしながら4回転はダウングレードで転倒となりました。4回転はなかなか決まりません。まだISU公認の成功は無しとなっています。トリプルアクセルとの2本立て、成功する日は来るでしょうか。

2回飛ぶジャンプはルッツとトーループ。3連続は3-3-2で入りシークエンスアクセルもあります。ダブルアクセルが1つ余るので、3F+3Tに出来るなら、3S+2A+2Aに置き換えて、2Aが2Tの代替になるので基礎点をさらに上げることができます。

島田選手は代名詞だった4回転の成功率が極めて低くなっている一方で、トリプルアクセルは成功率が上がっていて、転倒したのは昨年の全日本が最後。今年はqやステップアウトはありますが、アンダーローテーションも転倒もまだありません。4回転外せばトリプルアクセル2本構成が十分組めそうなところに来ているように思えます。

ジャンプが目立っていますが、スピンも強いです。10番目の要素、足替えのコンビネーションスピンは9人のジャッジのうち7人が+5を付けました。ショートフリー合わせてスピンで26.16のスコアをあげ自己最高を更新しています。

次戦は7戦目のアルメニアです。近畿選手権はシードですしスケジュール的に免除でもあるのでエントリーはしていません。

 

○髙木謡選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz+2T   7.20   0.42 7.62 0.778
2 2A+3T   7.50   0.90 8.40 2.111
3 3F   5.30   1.06 6.36 2.000
4 FSSp4   3.00   0.69 3.69 2.333
5 3S   4.30   0.55 4.85 1.444
6 3Lz   6.49 X -1.10 5.39 -1.889
7 FCCoSp3   3.00   0.69 3.69 2.333
8 3Lo   5.39 X 0.98 6.37 1.889
9 ChSq1   3.00   1.43 4.43 2.889
10 3T+2A+SEQ   8.25 X 0.54 8.79 1.222
11 CCoSp4   3.50   0.70 4.20 2.111
  TES   56.93   6.86 63.79  

冒頭は3-3予定申請でしたが3-2に。少し詰まったように見えたので2回転にしたのか、最初から安全策で2回転にするつもりだったのか、微妙でちょっとわかりません。10番目の要素はバンコクで転倒したトーループでしたが今回は成功させてシークエンスのアクセルもつけて表彰台確保しました。

2回飛ぶジャンプはルッツとトーループ。結局、かつての2A+3Tの2本立てみたいな構成で3回転5種類7本を3-3無しで組んでいます。ただ、3連続が入らない形になりました。予定より2Lo1本分足りない形です。

これまでのベストはISU非公認のクープドプランタンで179.78がありましたが、それをショートフリー共に上回ってトータル188.15でパーソナルベストです。ショートも含めてなかなか3-3が入らないのですがここまで点は伸びてきました。ショートフリー3-3込みノーミスなら200点が見えるところまで来ています。

これでジュニアグランプリは4位と2位で終了。ファイナル進出は微妙な情勢です。他選手の結果待ちですが、上薗選手、村上選手といった日本勢が特にカギになってきそうです。

次戦は東京選手権は免除なはずでエントリーもしていませんので、東日本選手権になって来るかと思われます。

だいぶスコアも伸びてきて、国際大会の表彰台にも立ってきましたので、TOKIOインカラミ入りが出来て、経済的に楽になってもらえたらなあ、とも思います。

 

○櫛田育良選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz! ! 5.90   -2.44 3.46 -4.111
2 3S+3T< 7.66   -0.80 6.86 -1.667
3 FCCoSp4   3.50   0.35 3.85 1.111
4 2A+3T<< <<F 4.60   -1.65 2.95 -5.000
5 2A   3.30   0.28 3.58 0.889
6 CCoSp4   3.50   0.50 4.00 1.444
7 3Lo   5.39 X 0.70 6.09 1.444
8 3Lz!+2T+2Lo ! 9.79 X -0.51 9.28 -0.889
9 3F   5.83 X 0.91 6.74 1.667
10 ChSq1   3.00   1.57 4.57 3.222
11 LSp4   2.70   0.81 3.51 2.889
  TES   55.17   -0.28 54.89  

前半、ジャンプが決まってきませんでした。最終滑走の重圧もあったでしょうか。ダブルアクセルからのコンビネーションでの転倒が痛かったです。後半は立て直していい演技に見えましたが最終的には4位と表彰台に届かず。スコア的にはショートのステップ転倒が結局致命傷で残ってしまった形になりましたが、それでも後半踏みとどまったことでファイナルの芽は残せました。

2回飛ぶジャンプはルッツとトーループ。5種類7本しっかり入れましたがアンダーローテーション1つとダウングレード1つ付きました。

3位と2.73差。前半ミスが続いてどうかな? どうかな? と頭の中が働いていそうな展開な中、終盤のコレオはいい滑りで+3.222付きました。自己最高のコレオです。最後まであきらめず滑った結果かと思います。

昨季はもらえなかった2戦目を今期はもらえていて、次戦は最終戦アルメニアにエントリーが入っています。また島田麻央選手と同じという厳しい試合。ただ、それでも今回の4位はまあまあ強めな4位なので、190点超える2位を出せればファイナルの可能性も出てきます。

 

○男子シングル 上位12名

Pl Name Nation Total SP FS
1 Francois PITOT FRA 219.86 71.49 148.37
2 Juheon LIM KOR 217.95 75.38 142.57
3 Daniel MARTYNOV USA 207.98 70.75 137.23
4 Michael XIE USA 204.13 63.62 140.51
5 Yanhao LI NZL 195.80 71.39 124.41
6 Jaekeun LEE KOR 193.43 65.76 127.67
7 Nikita SHEIKO ISR 190.45 64.08 126.37
8 Shunsuke NAKAMURA JPN 187.88 74.04 113.84
9 Yu-Hsiang LI TPE 185.22 66.36 118.86
10 Seigo TAUCHI JPN 177.85 62.33 115.52
11 Oleg MELNIKOV KAZ 174.22 58.01 116.21
12 Masaya MISHIMA JPN 173.21 54.58 118.63

男子の優勝はフランスのフランソワピトー選手。初戦の2位に次いでここでの優勝でファイナル決定です。219.86はパーソナルベスト更新となりました。

2位には韓国からイムジュホン選手。2005年9月生まれで来週18歳になる選手ながらこれが国際大会デビュー戦。失礼ながらまさかのデビュー戦2位表彰台です。今季はジュニアグランプリ2戦を持っていて、次戦は6戦目ポーランドでファイナル進出を狙う戦いとなります。

3位にはアメリカのダニエルマルティノフ選手。ショート5位からフリーでトリプルアクセル2本を決めて逆転表彰台です。昨季は世界ジュニア10位の選手。2戦目は最終7戦目のアルメニアにエントリーしています。

日本から出場の3選手は表彰台に届きませんでした。中村選手が8位、田内選手は10位、三島選手は12位に終わっています。

 

中村俊介選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T   9.50   -4.21 5.29 -4.333
2 3A   8.00   -2.40 5.60 -3.000
3 3A<<+REP <<F 2.31   -1.65 0.66 -5.000
4 CSSp3   2.60   0.19 2.79 0.778
5 3Lo   4.90   0.84 5.74 1.556
6 3Lz<+3T 9.81 X -2.23 7.58 -4.556
7 ChSq1   3.00   0.36 3.36 0.667
8 FCCoSp4   3.50   0.00 3.50 0.000
9 3F! ! 5.83 X -0.38 5.45 -0.667
10 3Lz F 6.49 X -2.95 3.54 -5.000
11 CCoSp4   3.50   0.30 3.80 0.889
  TES   59.44   -12.13 47.31  

2位から逆転優勝も狙えたフリー。冒頭4回転、転倒はしなかったものの大きくステップアウト、トリプルアクセル2本も決まらず。以降もバタバタと立て直せずに終わってしまいました。技術点47.31はジュニアに上がって以降の国際大会で最低のスコアでした。ショートでミスがあっても74点台まで出ていたのでチャンスはあったと思うのですがここまで崩れてしまうとどうにもなりませんでした。また、スピンでレベル4を2つ取れて入るのですが加点がほとんどとれていません。ショートフリー合わせてスピンの18.99はトップ10に入った選手の中で1番低いスコア。こういうところで稼げないのも少し気になります。

初戦8位ですのでこれでファイナルはないでしょう。昨季4位でしたので表彰台をとりたいところでしたが。次の標準は昨季出場できなかった世界ジュニア、ということになると思います。次戦は7戦目のアルメニアにエントリーは入っています。

 

○田内誠悟選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 1A   1.10   0.05 1.15 0.444
2 3F+3T   9.50   1.21 10.71 2.222
3 3Lz! ! 5.90   0.00 5.90 0.000
4 FCCoSp4   3.50   0.45 3.95 1.222
5 3S F 4.30   -2.15 2.15 -5.000
6 3F+3T   10.45 X 0.53 10.98 1.000
7 2A   3.63 X 0.38 4.01 1.111
8 1Lo+2A+SEQ F 4.18 X -1.65 2.53 -5.000
9 FSSp3   2.60   0.11 2.71 0.556
10 ChSq1   3.00   1.00 4.00 2.000
11 CCoSp4   3.50   0.50 4.00 1.444
  TES   51.66   0.43 52.09  

ショート10位でしたがフリーノーミスすれば表彰台くらいまではチャンスは無いことはない、という位置にいた田内選手。冒頭、国際大会トリプルアクセル初投入を予定していましたが抜けてシングルになりました。そこは仕方ないにしてもサルコウの転倒が痛かった。後半もループが1回転に。スコア伸ばせませんでした。

国際大会は昨季からで3試合目。3試合とも170点台後半で、安定しているというべきか伸ばせていないというべきか。国内含め、トリプルアクセルがまだ決まっていないので、まずはそこからかと思います。

次戦は最終7戦目、アルメニアにエントリーは入っています。

 

○三島舞明選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A+2T   9.30   0.46 9.76 0.667
2 4T   9.50   1.49 10.99 1.667
3 3Lz   5.90   1.01 6.91 1.778
4 FCSp2   2.30   0.30 2.60 1.222
5 3A   8.00   -1.94 6.06 -2.333
6 2Lo+2T   3.30 X -0.34 2.96 -2.000
7 2Lz+2A+2A+SEQ   9.57 X -0.99 8.58 -2.889
8 CSSp2   2.30   0.07 2.37 0.111
9 ChSq1   3.00   0.43 3.43 0.667
10 2S   1.43 X 0.00 1.43 0.000
11 CCoSp4V   2.63   0.00 2.63 -0.111
  TES   57.23   0.49 57.72  

国際大会デビュー戦。ショート散々な出来で17位スタートになった三島選手。もう失うものありません、というフリーでトリプルアクセル成功。そして国内でも成功がまだ1度もなかった4回転トーループを着氷。結果的に今大会唯一の4回転成功者となり会場を沸かせます。序盤で力使い切ってしまったか、後半ジャンプが2回転オンパレードになってしまったのは残念ですが、爪痕は残しました。最終的に飛んだ3回転はアクセルとルッツだけ、4回転入っているけど、2回転がアクセル入れて5種類入るという不思議構成になっています。

男子は8位10位12位と日本勢全滅感ありますが、国内ベスト162.04 フリーは103.19しか持っていない選手が4回転決めて173点台まで出したわけですから、これは本人実績から見ると十分勝ちだと思います。

気になったのはスピンで、ショートフリーでレベル2と4Vしか取れず13.88というのは出所25選手中22番目。上位とはスピンで10点近く差が付くわけで、これはもう少し何とかしたいところかと思います。

ジュニアグランプリの2戦目はもらっていません。スコアはあまり高くないですが4回転を決めたという実績をもって入れ替えあるか? 次戦はこのままだと中部選手権は免除なので西日本選手権ということになります。

 

次週は5戦目、ハンガリーブダペストです。女子ではファイナル進出のかかる村上遥奈選手と、2戦目危ういかと思いましたがエントリー残っている柴山歩選手、木下アカデミーセットです。韓国エースのシンジア選手がいて、初戦2位のキムユソン選手、さらにジョージアのグルゲニゼ選手もいるなかなか厳しめな試合になりました。

男子は垣内珀琉選手が2戦目のエントリー。枠は2つあるのですが、現時点では1人エントリーになっています。追加はあるでしょうか?