ジュニアグランプリシリーズ6戦目はポーランドのグダンスクで行われました。女子ばかりでなく男子も日韓勢が席巻するジュニアグランプリになっています。
○女子シングル 上位12人
Pl | Name | Nation | Total | SP | FS |
1 | Rena UEZONO | JPN | 192.31 | 64.85 | 127.46 |
2 | Minsol KWON | KOR | 183.52 | 64.00 | 119.52 |
3 | Seojin YOUN | KOR | 176.31 | 68.96 | 107.35 |
4 | Yihan WANG | CHN | 176.30 | 59.06 | 117.24 |
5 | Anthea GRADINARU | SUI | 169.24 | 59.24 | 110.00 |
6 | Sarah EVERHARDT | USA | 168.69 | 60.19 | 108.50 |
7 | Lulu LIN | CAN | 147.82 | 56.16 | 91.66 |
8 | Jana HORCICKOVA | CZE | 147.65 | 46.17 | 101.48 |
9 | Shiqi GAO | CHN | 146.62 | 47.24 | 99.38 |
10 | Maria Eliise KALJUVERE | EST | 141.34 | 49.75 | 91.59 |
11 | Kira BARANOVSKA | LAT | 134.92 | 51.34 | 83.58 |
12 | Olivia LENGYELOVA | SVK | 133.65 | 42.53 | 91.12 |
上薗恋奈選手、国際大会初優勝。ショート2位からの逆転優勝でした。ISU公認試合2試合目ではありますが、ショートフリートータルすべてパーソナルベストです。
韓国のクォンミンソル選手が2位。ジュニア2シーズン目、これまでジュニアグランプリシリーズ4試合で優勝は無いながら4試合すべて表彰台という選手。今季は3位と2位。ファイナル進出はまだ確定していませんが、エントリー変更が起きるか島田麻央選手が優勝できないということが起きない限りファイナル進出ですので、当選ではないけど当確くらいの状況と言えそうです。勝負強いです。昨季からeが並んでいた苦手のルッツが今大会は!にまで改善されてきて、初めてGOEがプラス側になってきています。得意のコレオは+3.667をもらって今期これまでの全選手の評価の中で2位の評価でした。
3位にも韓国のユンソジン選手が入りました。初戦5位からのショート1位。ショートの1,2,3位の順位がそのままなら実はファイナルがほぼ当確だけど2位以下ならファイナルはない、という状況で、上薗選手のスコアを聞きながらのリンクイン。プレッシャーあったでしょうか、出だし2つのジャンプが決まらず、以降も立て直しましたが回転不足でスコアを削られました。それでも際どく3位は確保。初表彰台となりました。ショートフリーのステップ系要素で得たスコア9.95は今大会1位ですし、今期のジュニア全体でトップスコアになります。
中国のワンイーハン選手が0.01差、表彰台にわずかに届かずの4位。フリーは割といい演技したと思うのですが、あまり喜ぶような様子もなく、首位に立って残り3人を待つのだから、もう少しいいリアクションしても、みたいなキスアンドクライでした。スピンで得たスコアが25.09で今大会ダントツの1位。今期全体の中で2位のスコアです。シニアのトップクラスの選手の水準の得点をスピンで稼ぎだしていました。中国はもう1人のガオシーチー選手もスピンのスコアが高かったですし、スピンにだいぶ力を注いでいるのでしょうか。3-3が飛べるようになってくれば、世界ジュニアでは日韓に割って入る可能性を感じる選手でした。
○上薗恋奈選手のフリーの構成
Elements | BaseValue | GOE | Scores | AvGOE | |||
1 | 3Lz+3T+2T | 11.40 | 1.69 | 13.09 | 2.778 | ||
2 | 3Lo | 4.90 | 0.91 | 5.81 | 1.889 | ||
3 | 2A | 3.30 | 0.75 | 4.05 | 2.444 | ||
4 | 2A | 3.30 | 0.75 | 4.05 | 2.444 | ||
5 | FSSp4 | 3.00 | 0.81 | 3.81 | 2.667 | ||
6 | 3Lz | 6.49 | x | 1.18 | 7.67 | 2.000 | |
7 | 3Fq+3Tq | q | 10.45 | x | -1.29 | 9.16 | -2.333 |
8 | 3S+2T | 6.16 | x | 0.80 | 6.96 | 1.889 | |
9 | LSp4 | 2.70 | 0.58 | 3.28 | 2.111 | ||
10 | ChSq1 | 3.00 | 1.43 | 4.43 | 3.000 | ||
11 | CCoSp4 | 3.50 | 0.90 | 4.40 | 2.667 | ||
TES | 58.20 | 8.51 | 66.71 |
ほぼノーミスのフリーでした。後半のコンビネーションは2つともqがついてGOEマイナス。後は完璧です。スピンオールレベル4で予定構成通り基礎点満額取りました。2回飛ぶジャンプはルッツとトーループ。最近はやりのシークエンスアクセル入れず、単独ダブルアクセルを2回入れるという構成です。シークエンスアクセル入れても、飛べる3回転が残っていないのでダブルルッツを入れることになるので入れにくいでしょうか。セカンドトーループを1本にしてシークエンスアクセルを入れてフリップを2本にする、というのが基礎点を上げる手段としては有力なのですが、!が付きがちなフリップを2本にするのはハードル高いかもしれません。
ここはフリーを載せましたが、ショートでは国内外の試合通じて初のステップレベル4を得ました。それによってショートフリーで得たステップ系要素のスコアが9.50 初めての9点台となりました。確実にジャンプを決めて行ったというだけでなく、そういった他の要素のスコアも伸びてきています。ショートフリーでスピンステップオールレベル4は国内外通じて本人初。PCSも国内外通じて過去最高でした。
今期ジュニアの190点突破者はこれで4人目。今期のジュニア3強に次ぐ位置に来ました。ファイナル進出確定。3強に挑んで表彰台を目指す、という試合になりますが、その前に、西日本から全日本ジュニアがあります。全日本ジュニアもこれで表彰台候補になってきましたし、日本勢シーズンベスト3位ですので世界ジュニア代表の有力候補です。
○男子シングル 上位12名
Pl | Name | Nation | Total | SP | FS |
1 | Juheon LIM | KOR | 221.55 | 76.08 | 145.47 |
2 | Beck STROMMER | USA | 200.22 | 67.58 | 132.64 |
3 | Daiya EBIHARA | JPN | 184.73 | 60.96 | 123.77 |
4 | Edward APPLEBY | GBR | 178.97 | 71.14 | 107.83 |
5 | Jakub LOFEK | POL | 175.86 | 62.03 | 113.83 |
6 | Kyrylo LISHENKO | UKR | 172.39 | 54.12 | 118.27 |
7 | Noah BODENSTEIN | SUI | 168.77 | 54.17 | 114.60 |
8 | Ali Efe GUNES | TUR | 168.24 | 62.34 | 105.90 |
9 | Arttu JUUSOLA | FIN | 167.17 | 55.42 | 111.75 |
10 | Matvii YEFYMENKO | POL | 161.25 | 51.74 | 109.51 |
11 | Alec GUINZBOURG | CAN | 159.25 | 55.14 | 104.11 |
12 | Aurelian CHERVET | SUI | 153.43 | 53.65 | 99.78 |
男子は韓国のイムジュホン選手が優勝しました。これで2位1位でファイナル進出確定です。強い勝ち方でした。これで韓国勢がファイナル2人。また6戦中3戦で韓国勢が優勝しています。女子の強さは少し前からですが、男子もかなり強くなった韓国です。
2位にはアメリカのストロマー選手。初戦からスコアは落としたのですが順位は上がって2位。3位と2位でファイナル進出は最終戦待ちとなりました。構成にトリプルアクセルも入っていないという状態なのですが、出来栄え勝負で2戦連続200点超えとなっています。
日本から蛯原大弥選手が3位表彰台です。2戦連続の表彰台。3位3位はファイナルには届かない形となりました。
○蛯原大弥選手のフリーの構成
Elements | BaseValue | GOE | Scores | AvGOE | |||
1 | 3Aq | q | 8.00 | -3.31 | 4.69 | -4.111 | |
2 | 3Lz+3T | 10.10 | 1.26 | 11.36 | 2.111 | ||
3 | 3Fe | e | 4.24 | -0.73 | 3.51 | -1.667 | |
4 | CCSp3 | 2.80 | 0.08 | 2.88 | 0.222 | ||
5 | 3Lo | 4.90 | 1.12 | 6.02 | 2.333 | ||
6 | 3Lz+2A+2T+SEQ | 11.55 | x | 0.59 | 12.14 | 0.889 | |
7 | 2A+3Tq | q | 8.25 | x | -0.60 | 7.65 | -1.444 |
8 | FSSp4 | 3.00 | 0.64 | 3.64 | 2.111 | ||
9 | 3S< | F | 3.78 | x | -1.72 | 2.06 | -5.000 |
10 | ChSq1 | 3.00 | 0.79 | 3.79 | 1.556 | ||
11 | CCoSp4 | 3.50 | 0.60 | 4.10 | 1.667 | ||
TES | 63.12 | -1.28 | 61.84 |
初戦と比べてジャンプの調子は悪かったでしょうか。冒頭トリプルアクセルは何とか降りましたがGOEは大きくマイナス。フリップはeまでついて基礎点削られ最後のサルコウは転倒でした。
ルッツの成功率の高さが強みでジュニアグランプリ2戦で6本飛んですべて成功しています。逆にフリップは今回のeでわかりますが、前回も!ですし踏切問題を抱えています。
トリプルアクセルの安定度を上げて、2本入れられるようにするというのが次の目指すところになっていそうです。
先生も驚愕のショート76.10から始まったジュニアグランプリ2戦がこれで終わりましたが、2戦連続表彰台。2戦目は1戦目ほどスコアは出ず、満足いかなかったかもしれませんが、昨シーズンまでの立ち位置を考えると上々のジュニアグランプリだったのではないでしょうか。シーズンベストは日本ジュニア勢中2位。世界ジュニアの代表候補に名乗りを上げてきた形です。次戦は東日本選手権になるかと思われます。
次戦7戦目は最終戦でアルメニア開催です。昨季中止になった曰くのアルメニア。今期も、情勢不安なアルメニア。大丈夫なんでしょうか? と心配ですが今のところ中止のようなアナウンスは出ていません。
日本からはジュニア無敗の島田麻央選手と、その島田麻央選手を上回って優勝すればファイナルの可能性を残す櫛田育良選手が女子シングルでは出場します。男子は初戦はフリーで大崩れしてしまった中村俊介選手が出場。木下アカデミーセットで最終戦に挑みます。