デニステンメモリアル ここでも韓国勢

チャレンジャーシリーズ7戦目、デニステンメモリアルも先週行われました。昨季から男女シングルで上位を席捲してきている韓国勢。ここでもまた韓国勢が上位に顔を並べました。

 

○男子シングル シニア

Pl Name Nation Total SP FS
1 Juheon LIM KOR 234.86 76.52 158.34
2 Nika EGADZE GEO 234.82 83.95 150.87
3 Hangil KIM KOR 217.31 74.25 143.06
4 Arlet LEVANDI EST 216.12 74.47 141.65
5 Semen DANILIANTS ARM 212.07 70.08 141.99
6 Samy HAMMI FRA 209.71 66.83 142.88
7 Nikita STAROSTIN GER 205.09 69.37 135.72
8 Valtter VIRTANEN FIN 200.83 65.74 135.09
9 Burak DEMIRBOGA TUR 182.95 64.99 117.96
10 Fedor CHITIPAKHOVIAN ARM 182.14 65.46 116.68
11 Kyrylo MARSAK UKR 172.64 72.31 100.33
12 Basar OKTAR TUR 171.60 65.72 105.88
13 Dias JIRENBAYEV KAZ 168.77 50.54 118.23

韓国のイム・ジュホン選手がチャレンジャーシリーズ初優勝。ジュニアグランプリシリーズで2位と優勝でファイナル進出が決まっている選手。韓国はジュニアグランプリに出た有力選手をチャレンジャーシリーズによく送ってきます。チャレンジャーシリーズ優勝はグランプリシリーズの補欠券が得られるのですが、今期ジュニアグランプリに出ていますので、グランプリシリーズには出られません。234.86はパーソナルベスト。フリーは150点台後半まで伸ばしてきました。

2位には昨年優勝したニカエガゼ選手。今期はスケートアメリカで4位があり、NHK杯にもエントリー。間が空くということでかこの時期のチャレンジャーシリーズに出てきました。234.82は本人比では平凡なスコアでした。

3位にも韓国からキムハンギル選手が入ってきました。2003年1月生まれの二十歳ですが、国際大会はまだこれが3大会目。昨季のネペラメモリアルで200.23を出して5位に入ったのが最高です。ここで217.31を出して表彰台。韓国は今季世界選手権3枠を持っています。2枠目3枠目争いに名乗りを上げた形になるかと思います。

 

○イムジュホン選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A+3T   12.20   1.92 14.12 2.286
2 3A   8.00   1.92 9.92 2.429
3 3Lz+2A+2A+SEQ   12.50   0.94 13.44 1.714
4 FCCoSp4   3.50   0.84 4.34 2.571
5 StSq2   2.60   0.42 3.02 1.429
6 3F+2T   6.60   0.74 7.34 1.429
7 3Lz   6.49 x 0.59 7.08 1.000
8 3Lo   5.39 x 0.49 5.88 1.000
9 3S   4.73 x 0.34 5.07 0.857
10 CCoSp4   3.50   0.56 4.06 1.714
11 CSSp4   3.00   0.42 3.42 1.429
12 ChSq1   3.00   1.40 4.40 2.857
  TES   71.51   10.58 82.09  

イムジュホン選手はまだ構成に4回転はありません。今回はトリプルアクセル2本構成をノーミスと言える演技で滑りました。全要素プラス評価です。シークエンスアクセル2本使いで3連続に入れます。セカンド3回転は最初に使って残りのコンビネーションは2回転トーループになっています。1.1倍がすべて単独ジャンプというところはやや弱いですが、確実性を高めるにはこれでいいのかもしれません。

基礎点は71.51 ステップレベル4まで持っていければ72.81まで上がります。ステップ抜きのジュニア構成だと68.91となります。4回転が無いので中村俊介選手と比べるとノーミス基礎点は劣ります。ただミスは少ない。ファイナルで戦う中村選手目線で見ると、自分がノーミスすれば基礎点高いので勝てるけど、自分のノーミス率が低く相手のミス率が低いのでプレッシャーがかかる、みたいな構図になります。

イムジュホン選手は18歳。世界選手権にも普通に出られます。世界ジュニアを勝ちに行くコースになるか、世界選手権2枠目3枠目に入って来期の本格シニアにつなげていくコースになるか、あるいは両方与えられるか。昨季の女子のキムチェヨン選手コースになりそうな気もしますが、今後が楽しみな選手です。

 

○女子シングル シニア

Pl Name Nation Total SP FS
1 Mariia SENIUK ISR 175.75 58.28 117.47
2 Dabin CHOI KOR 171.00 59.70 111.30
3 Alina URUSHADZE GEO 166.62 58.80 107.82
4 Kristina LISOVSKAJA EST 158.09 57.08 101.01
5 Jade HOVINE BEL 154.51 54.79 99.72
6 Eliska BREZINOVA CZE 143.09 47.22 95.87
7 Sofiya FARAFONOVA KAZ 139.74 51.51 88.23
8 Nuriya SULEIMEN KAZ 134.94 49.63 85.31
9 Anna LEVKOVETS KAZ 133.14 46.63 86.51
10 Ahsun YUN KOR 130.69 45.91 84.78
11 Maria CHERNYSHOVA AUS 128.91 54.22 74.69
12 Niginabonu JAMOLIDDINOVA UZB 115.12 38.83 76.29
13 Antonina DUBININA SRB 113.96 46.22 67.74
14 Amina ALEXEYEVA KAZ 106.42 31.84 74.58
15 Russalina SHAKROVA KAZ 93.44 31.70 61.74

女子はイスラエルのマリアセニウク選手がチャレンジャーシリーズ初優勝。イスラエル女子のチャレンジャーシリーズ優勝は初です。昨季ジュニアグランプリ10位、パーソナルベストは156.26という選手でしたがここで結果を出しました。イスラエル、国が大変なことになっていますが・・・、モスクワ在住とのことなので、住まいにはあまり影響はなさそうですが、そっちはそっちであれでした・・・。いろいろ大変そうな環境ですがそんな中結果を出しています。グランプリシリーズ補欠枠獲得。イスラエル女子のグランプリシリーズ出場実績は過去無いのですが、出場なるでしょうか? 生まれも育ちもモスクワみたいではありますが。

2位には韓国のチェダビン選手が入ってきました。171.00は復帰後のベストスコアです。かつてはオリンピックで7位にも入った選手。23歳になりました。韓国女子はハイレベルで大変ですが、ここ2年チャレンジャーシリーズで着実に実績を上げています。グランプリ復帰はまだ厳しそうですが、女子でこれくらいの年齢で、チャレンジャーシリーズレベルの国際大会に継続して出続ける東アジアの選手、というのは貴重ですし、今後も頑張ってほしいです。アジアンな美しいフリーでした。

3位にはジョージアのウルシャーゼ選手が入りました。21年の世界選手権20位がある選手。序盤から回転不足が目立ちましたが、それはそれで力なりというか平常運転。今期チャレンジャーシリーズ3試合目でしっかりシーズンベストを出してきています。ジョージアは世界選手権1枠しかないので、今期のワールドは厳しいですが、ヨーロッパ選手権を目指すことになるかと思います。

 

○マリアセニウク選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3F+2T   6.60   0.95 7.55 1.857
2 3Lz   5.90   0.83 6.73 1.429
3 3Lo+2T   6.20   0.39 6.59 0.857
4 FCSp4   3.20   0.77 3.97 2.286
5 3Lo   4.90   0.39 5.29 0.857
6 ChSq1   3.00   0.60 3.60 1.143
7 3F+2A+SEQ   9.46 x 0.21 9.67 0.571
8 3S   4.73 x 0.34 5.07 0.857
9 2A   3.63 x -0.20 3.43 -0.714
10 CCoSp4   3.50   0.77 4.27 2.143
11 StSq3   3.30   0.59 3.89 1.714
12 FCCoSp3   3.00   0.60 3.60 2.143
  TES   57.42   6.24 63.66  

セニウク選手は3-3が構成に入ってきていません。入れたことが全くないわけではないのですが、回転不足がつくか降りてもGOEがマイナスかでクリーンに決めたことはありません。

2回飛ぶジャンプはフリップとループ。基礎点は57.42でした。スピンステップオールレベル4入れば1.1基礎点が上がって58.52にまではなります。3連続は入っていませんが前の試合も入っていませんでした。昨シーズンはオイラー付の三つ目が2回転フリップというのを入れていました。入れようとするならどこかに2Loを付けるしかありませんが、今期は3連続入れる気が無いのかもしれません。また、3回転トーループが余っているのでダブルアクセルに置き換えて入れることも可能です。本当は冒頭を3-3にして、どこかに3連続入れて、ジャンプは余らない、という構成にしたいのでしょう。

今の構成だとノーミスでも基礎点60点にに届かない、ということになりますので、ちょっとまだ上位と戦うには苦しいでしょうか。

ここまでのチャレンジャーシリーズの優勝者は全員グランプリ2戦持ちの選手でしたが、セニウク選手はまだグランプリ出場経験もなく、出場権もありません。これでグランプリ補欠券を手に入れました。中国杯には間に合うか? 間に合わない場合も残り2戦でどこかグランプリに入るかもしれません。

 

昨季も思いましたが、この時期のチャレンジャーシリーズ、日本からもう少し派遣してもよいと思います。グランプリ1戦以下の選手がISUベストスコアを狙うチャンスを増やす、特にグランプリシリーズには入れなかった選手が来期以降へのチャンスを得るためにこの時期の派遣があっていいように感じます。男子なら三宅星南選手、あるいはジュニアグランプリに出たシニア可能世代で中村俊介選手、女子だとしばらく国際舞台から離れていますが山下真瑚選手、江川マリア選手、あたりの水準の選手にチャンスが回るといいと思います。現状だと、グランプリシリーズに出られないといきなりISU公認試合が無くなる、という構図になって中堅選手が国内ローカルの選手になってしまう構図があります。

 

チャレンジャーシリーズは7戦目まで終了。次は8戦目のオーストリア予定でしたがキャンセルになって、1週空いて9戦目のワルシャワとなります。男子ではアメリカのジェイソンブラウン選手がエントリー入っていますが出場するんでしょうか? 他にスイスのブリッチギー選手、ナオキロッシ選手、スロバキアのアダムハガラ選手などエントリーしていますが、どこまで本当に出場してくるかはわかりません。女子はクラコワ選手がエントリー。今週優勝したセニウク選手もエントリーしていて、他にスイスのパガニーニ選手などもいます。