グランプリファイナル23 初戴冠

シーズン中盤の大一番、グランプリファイナルが北京で開催されました。今期も男女シングル、シニアにジュニア、日本勢の大活躍が見られましたが、海外勢もしっかり強さを見せました。

 

○女子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Kaori SAKAMOTO JPN 225.70 77.35 148.35
2 Loena HENDRICKX BEL 203.36 73.25 130.11
3 Hana YOSHIDA JPN 203.16 60.65 142.51
4 Nina PINZARRONE BEL 194.91 66.72 128.19
5 Isabeau LEVITO USA 191.86 56.53 135.33
6 Rion SUMIYOSHI JPN 180.39 58.63 121.76

坂本花織選手がグランプリファイナル初優勝。ようやく獲れました、という感じが強いでしょうか。これで4大陸に世界選手権とファイナルまでそろいました。ついでにユニバーシアードも勝っています。残すはオリンピックだけ、ということになりました。

2位にはヘンドリックス選手が入りました。大きな試合のタイトルが獲れないヘンドリックス選手。ファイナルは昨季3位で今回2位。世界選手権は2位1回3位1回。ヨーロッパ選手権も最高位が昨季の2位。今回もチャンスがある立ち位置でしたが届きませんでした。構成で基礎点がやや劣るのでノーミスして待つ、というのが必須なのですが、先にミスが出るとちょっと苦しいです。次はヨーロッパ選手権で今度こそ、という試合になります。

3位には昨季はジュニアグランプリファイナルで6位だった吉田陽菜選手がシニアに上がって表彰台に立ちました。ショート4位からの逆転表彰台でした。

4位はベルギーのピンツァローネ選手。これで3試合連続で190点台をマークしてきていますが200点には届かず。大舞台の表彰台に一歩届きませんでした。次はやはりヨーロッパ選手権で、こちらは初表彰台が見えてきたという試合になるかと思いおます。

イザボーレビト選手が5位。ショートのミスは意外でしたがフリーはスコア伸ばしてきました。ただ、191.86というスコアはジュニア以降の国際大会のワーストスコアでした。ショートが悪すぎました。

住吉りをん選手は6位。シニアに上がってからは全試合190点台を並べていた住吉選手でしたが今回は180点台。ショートフリー共に今一つ力を出し切れませんでした。

 

○坂本花織選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   1.32 4.62 4.000
2 3Lz   5.90   1.77 7.67 3.111
3 3S   4.30   1.29 5.59 3.000
4 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.000
5 StSq4   3.90   1.45 5.35 3.667
6 3F   5.30   -2.04 3.26 -3.889
7 FSSp4   3.00   0.69 3.69 2.333
8 3F+3T   10.45 x 1.59 12.04 3.000
9 2A+3T+2T   9.68 x 1.08 10.76 2.556
10 ChSq1   3.00   1.71 4.71 3.444
11 3Lo+2T   6.82 x 1.33 8.15 2.667
12 FCCoSp4   3.50   1.15 4.65 3.222
  TES   62.65   12.39 75.04  

坂本選手はいつもの構成です。ただ、6番目の要素のフリップでステップアウトし、本来ここにつくはずのコンビネーションが最後のループについたことで基礎点はいつもより高い62.65となりました。

フリップのミスはありましたが、他の要素はすべて平均GOEが+2以上ついています。結果技術点は75点に乗りました。フリップをしっかり+3まで出せれば78点台の技術点に達します。

パーフェクトに滑ると技術点は80点程度まで出て、PCSは9点平均を超えていくので、150点台前半くらいまでは出る、というのはここ2シーズン変わっていないでしょうか。他の選手が坂本選手に勝つには、PCSが同じように9点平均出る選手でも技術点で80点が欲しいわけで、基礎点で坂本選手に劣る構成だとかなり苦しくなります。加点が大きい選手なのでほかの選手はGOEが平均で+2程度までの選手だと高難度ジャンプで基礎点押し上げないと追いつけません。GOEが平均+1程度になってしまうと高難度1本では追いつけず2本でやっと勝負になるという水準です。これだけ加点を加えていけるとやはり強いです。

次は3連覇かつ4度目の優勝が懸かる全日本です。世界選手権代表選出は間違いないでしょう。

 

○吉田陽菜選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Aq q 8.00   -0.57 7.43 -0.667
2 2A+3T   7.50   1.08 8.58 2.556
3 3Lo   4.90   1.05 5.95 2.222
4 FCCoSp4   3.50   0.60 4.10 1.556
5 3F   5.30   1.29 6.59 2.444
6 3Lz+3T   11.11 x 1.01 12.12 1.667
7 ChSq1   3.00   1.07 4.07 2.111
8 3Lz   6.49 x 0.84 7.33 1.333
9 3S+2A+2T+SEQ   9.79 x 0.68 10.47 1.556
10 CCoSp4   3.50   0.60 4.10 1.556
11 StSq3   3.30   0.99 4.29 3.000
12 SSp4   2.50   0.61 3.11 2.333
  TES   68.89   9.25 78.14  

ショートいまいちからのフリー大躍進、いつものパターンで逆転表彰台となりました。

ショートで転倒したトリプルアクセルがフリーではqですが着氷。トリプルアクセルで平均GOE-0.667は十分です。2回飛ぶジャンプはルッツとトーループ。後半の3-3も1つの鍵ですが、これもしっかり決めています。基礎点削られたのはステップがレベル3だったところだけで合計基礎点68.89 今シーズンこれより上の基礎点は本人がスケートアメリカで出した69.49だけです。シニアで2番目の基礎点はタリントロフィーでイタリアのサリナヨース選手が64.65というのを出していますがB級大会です。ISU公認だとネペラメモリアルでキムチェヨン選手が63.61 グランプリフランスで住吉りをん選手が63.56と出していて続くので、5点ほどの差があります。この基礎点を持ってミスなく滑れば強いです。今回の78.14という技術点は今シーズン全体の技術点1位。スケートカナダで坂本選手が出した77.87が2番目。ノーミスに近い坂本選手相手でも技術点は上回る力があります。

これで、

シーズン後半の代表選考の各項目に関して、未定の全日本2位3位以外では、世界ランキング以外のすべての項目でリスト入りとなりました。しかもすべて坂本選手に続いての2番目。世界選手権代表選考において大変優位な位置に立っています。

次は全日本です。よほどしくじらない限り世界選手権の代表に選ばれるのではないかと思われます。また、世界ジュニアの権利もある年齢なのですが、そちらどうするのかも興味が持たれます。

 

○住吉りをん選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A+3T   7.50   1.32 8.82 3.111
2 3T<< <<  1.30   -0.65 0.65 -4.889
3 FCCoSp4   3.50   0.90 4.40 2.444
4 3Lz   5.90   1.01 6.91 1.667
5 3Lo   4.90   0.91 5.81 1.889
6 StSq4   3.90   1.00 4.90 2.667
7 3F+3T<* * 5.83 x -0.68 5.15 -1.111
8 3S+2T+2Loq q 8.03 x -0.68 7.35 -1.556
9 3Fq q 5.83 x -0.53 5.30 -1.000
10 LSp4   2.70   0.77 3.47 2.889
11 ChSq1   3.00   0.79 3.79 1.556
12 CCoSp4   3.50   0.75 4.25 2.111
  TES   55.89   4.91 60.80  

4回転トーループはうまくいかず。転倒ならよくある姿でミスではなく想定の範囲内かと思われますが、抜けて3回転トーループのダウングレード扱いというのは珍しい。これまで4回転は決まらなくても決まらなくても抜けは無く4Tという要素は必ず入ってきていたのですが今回は明らかな抜けになりました。この後構成どうするんだろう、と思っていたら案の定7番目に3-3が入ってセカンドの3回転がノーカウント。これ、演技している本人は、抜けた4回転があの形だと2回転扱いか3回転扱いかわかりませんので、ある種仕方なかったかとも思います。

4回転トーループは、転倒してもアンダーローテーションでも、要素として4回転として扱われることに価値があって、そうなることによってほかの6つのジャンプ構成で7トリプルを作ることができます。そうすれば、転倒していても4回転トーループはダブルトーループあるいはダブルアクセルの代替になるのでスコア的な痛手がほとんどありません。しかしながら今回のように3回転トーループとして認定されてしまうと使える3回転トーループが減る、ということになりそのあとの構成が苦しくなります。敗因は3回転トーループ3回目を飛んでしまったことではなくて、4回転トーループを4Tとして認定してもらえない抜けになってしまったこと、かと思います。

住吉選手は今回の結果、シーズン後半の世界選手権代表選考のリストの各項目に追加で入ってくことができませんでした。5位でもシーズンランキング3番目になってリストに名を連ねられたのですが6位だと届かず。結局、2試合平均のスコアが日本人3位、というところだけかろうじてリストに引っ掛かった形です。無いよりはいいですが、これだと優先順位はそれほど高くない立ち位置になります。リストに名前が入って来る三原舞依選手や渡辺倫果選手あたりと、世界選手権3枠目を争う展開になるかと思われます。

 

○ショートフリー合わせた要素別のスコア

Pl Name Nation Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Kaori SAKAMOTO JPN 225.70 109.50 65.40 11.02 24.37 15.41
2 Loena HENDRICKX BEL 203.36 103.29 59.31 4.30 22.66 13.80
3 Hana YOSHIDA JPN 203.16 94.29 75.74 -0.31 22.23 13.21
4 Nina PINZARRONE BEL 194.91 91.63 64.45 1.63 24.81 12.39
5 Isabeau LEVITO USA 191.86 99.21 56.98 0.77 22.17 12.73
6 Rion SUMIYOSHI JPN 180.39 91.18 52.09 1.22 23.06 12.84

PCSは坂本選手が圧倒。1人だけ9点平均を超えました。ヘンドリックス選手が今回はあまり伸びていません。レビト選手が3番目、吉田選手はまだ少し差があり、8点平均に足りない、という形になりました。

ジャンプの基礎点は吉田選手が圧倒していて2番手以下と10点以上の差があります。坂本選手がミスなく滑って基礎点2位です。構成弱い批判をよく受けていますが、ちゃんと基礎点はあります。住吉選手は結果的に4回転入らなかったこともあり基礎点はだいぶ低い形になりました。

ジャンプの加点は坂本選手だけ二桁ありました。逆に吉田選手は1人だけマイナスです。ジャンプとして得たスコアは結局坂本選手が吉田選手をわずかに上回っています。

スピンはピンツァローネ選手が1位です。坂本選手も24点台。吉田選手は22点台前半でこれをもう少し伸ばせていれば2位になれたのですが、本人比で22点台前半はまずまず悪くありません。

ステップ系要素は坂本選手だけ15点台あります。今シーズンこれを超えるステップ系要素のスコアは坂本選手本人のスケートカナダ15.50だけです。ヘンドリックス選手も15点台を出す力がありますが今回は13点台に終わりました。

 

○男子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Ilia MALININ USA 314.66 106.90 207.76
2 Shoma UNO JPN 297.34 106.02 191.32
3 Yuma KAGIYAMA JPN 288.65 103.72 184.93
4 Adam SIAO HIM FA FRA 278.28 88.36 189.92
5 Kao MIURA JPN 261.53 94.86 166.67
6 Kevin AYMOZ FRA 219.91 93.20 126.71

マリニン選手ビッグタイトル初制覇。言われるほど楽勝ではなかったようにも感じますが構成は異次元で強い印象を残しました。314.66は今シーズン最高のスコアです。

宇野選手が2位。297.34はシーズンベスト。ここまで3試合、270点台、280点台、290点台と着実にスコアを上げてきています。

鍵山優真選手は3位。こちらもかろうじてシーズンベストです。ファイナル表彰台は初。フリーは少しもったいない部分もありましたが、着実に実績は積み上げているのだろうと思います。

4位はアダムシャオイムファ選手でした。ショートのルッツ抜けで勝負がついてしまったような印象です。フリーもいつもよりPCSがでていませんでしたが、1番滑走だからという点もありますが、ジャンプに意識が行きすぎていたようにも少し感じました。力を出せなかった4位という印象でした。すぐにナショナルがあるわけですが、そこでは4回転フリップを入れるかもとのコメントもあるようです。4回転4種類5本まで入ってくると、世界選手権の頂点が見えてきますがフリップの完成度はどうでしょうか。

三浦佳生選手は5位。体調不良だったようですが、身にまとった雰囲気にそれが如実に表れていた感じがします。出来が良かったとはとても言えませんし、ステップやスピンが明らかに雑でしたが、4回転ループをこの状態で転倒無く降りてきたのは次へつながるように感じました。

ケビンエイモズ選手は6位に終わりました。フリーのトリプルアクセル転倒が体に痛そうでした。あとはもう、ちょっとジャンプ跳べない状態。体大丈夫でしょうか? すぐにナショナルありますが心配です。

 

○イリアマリニン選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4A F 12.50   -6.25 6.25 -5.000
2 4Lz   11.50   3.45 14.95 3.000
3 4Lo   10.50   2.85 13.35 2.667
4 4S   9.70   2.77 12.47 2.889
5 CCSp4   3.20   0.82 4.02 2.667
6 StSq3   3.30   0.66 3.96 2.000
7 4Lz+1Eu+3S   17.93 x 3.12 21.05 2.556
8 4T+3T   15.07 x 1.49 16.56 1.556
9 ChSq1   3.00   0.93 3.93 1.778
10 3Lz+3A+SEQ   15.29 x 1.83 17.12 2.222
11 FSSp3   2.60   0.48 3.08 1.778
12 CCoSp4   3.50   1.25 4.75 3.556
  TES   108.09   13.40 121.49  

マリニン選手の異次元構成発動。基礎点108.09は言うまでもなく今シーズン1位の構成です。2番目にB級大会でのアダムシャオイムファ選手の94.54があり、ISU公認ではやはりアダムシャオイムファ選手の94.12があります。基礎点で14点ほどの差があります。ジャンプで基礎点削られることが無かったこともあり、この基礎点は過去最高となりました。

4回転5種類6本構成。トリプルアクセルが1本余るという構成です。4Lz+3A+3Aと入れて、3Lz+2Tにすればさらに基礎点上がりますがやりすぎですかね。結果的には冒頭は3A単独でしっかり決めておいた方が高いスコアになりました。

4回転ループは国際大会初成功。これで4回転6種類すべてを成功させたことになりました。昨季はループのところに4Fが入っていたので、その形でノーミスしたほうが基礎点は上がります。

昨シーズンと似た構成にすることで滑りも昨シーズンと似たようなものになった印象でした。PCSは87点ほど、今期の他の試合と同じくらい出ていましたが、印象としては昨季と同じくらいでよいかなあ、と感じています。昨季より良くなったのは、あの構成でもジャンプで回転不足が出なかったことでしょうか。アクセル1つ転倒くらいでは問題にならない高い構成ですので、PCSが多少伸びなくても関係ありません。ただ、まだ、フリーは200点台一桁ですので、他の選手も届く領域です。この構成で4回転アクセルまで決まってくると、技術点130点が見えてくるので、ちょっとまわりは苦しくなってきます。

次は全米選手権を経て、4大陸を獲りに来るか、世界選手権へ直行するか。いずれにしても優勝候補として姿を現すことになるかと思われます。

 

宇野昌磨選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4Lo   10.50   2.55 13.05 2.556
2 4Fq q 11.00   -0.31 10.69 -0.333
3 3A   8.00   2.29 10.29 2.778
4 1A   1.10   0.09 1.19 0.889
5 StSq4   3.90   1.56 5.46 4.000
6 4T+3T   15.07 x 2.85 17.92 3.111
7 4Tq q 10.45 x 0.14 10.59 0.111
8 3A+1Eu+3Fq q 15.18 x -1.60 13.58 -2.111
9 FCSp4   3.20   1.01 4.21 3.222
10 CSSp3   2.60   0.89 3.49 3.444
11 ChSq1   3.00   1.79 4.79 3.556
12 CCoSp3   3.00   0.69 3.69 2.444
  TES   87.00   11.95 98.95  

4回転3種類4本の宇野選手の構成です。アクセルが抜けて後半は再構成されました。最後は3連で3Fが入りました。以前はよくやっていましたが最近は使っておらず、国際大会では21年のNHK杯以来、あるいは21年の全日本以来の投入です。ここは3A+2A+2Aの方がスコアは高くなりますが、シークエンスアクセルの2本使いは時間がかかってしまうので、そのあと曲と合わせにくい上にタイムオーバーの危険も出ますのでこういう判断になったのかと思われますが、結局タイムオーバーの減点1をもらっていました。

今回もqが3つでましたが、印象としては、しかなかったかなこれはという感じがしました。その辺は人それぞれ感覚的なところでイン相は分かれるのだろうと思いますけれど。

構成的にはマリニン選手にかなり届かないわけですが、問題はそれよりもノーミスが意外と少ないことのように感じます。今シーズン4-3が高確率で入ってくるようになっていてそこはだいぶ昨年から上積みされた部分ですが、4回転は結構どれかが抜けるか転倒します。18-19シーズン以降のジャンプ7要素ルールになってからの最高基礎点は21年世界選手権の91.71 基礎点90点に乗せたのはあと1回、昨季のファイナルで90.16があるだけです。4回転4種類5本でノーミスすれば基礎点95点くらいまで出ますので、技術点で115点から120点あたりまで出せる。そうすればまだ十分に勝負できる範疇です。マリニン選手がPCS90点に届かないうちは、まだ勝負になるかと思われます。

次は全日本。6回目の優勝ができるかはわかりませんが、世界選手権の代表には問題なくなると思われます。

 

○鍵山優真選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2S   1.30   0.19 1.49 1.333
2 4T+1Eu+3S   14.30   2.71 17.01 2.889
3 3Lo   4.90   1.40 6.30 2.778
4 FCSSp4   3.00   0.86 3.86 2.778
5 3A+2A+SEQ   11.30   2.40 13.70 3.000
6 3A   8.80 x 1.94 10.74 2.444
7 3Lz+3T   11.11 x 1.77 12.88 2.889
8 ChSq1   3.00   1.71 4.71 3.444
9 3F   5.83 x 1.59 7.42 3.000
10 StSq4   3.90   1.56 5.46 4.000
11 CCoSp4   3.50   1.20 4.70 3.444
12 FCCoSp4   3.50   1.35 4.85 3.778
  TES   74.44   18.68 93.12  

冒頭サルコウまさかの抜け。これがしっかり4回転入ってGOE+1でもついていれば2位でした。他はノーミスです。

4回転アクセル時代に4回転2本構成で1本抜けたらさすがに勝負にならないです。ただ、4回転1本でも技術点93.12まで出しました。NHK杯とほぼ変わらない技術点です。マリニン選手との技術点の差は28.37 4回転2本でノーミスすれば技術点は100点を超えてくる。各要素をこの加点水準で取っていけば、鍵山選手の場合はループまで入った4回転3種類4本でパーフェクトに滑れば技術点120点近くまで出ます。4回転ループがGOEプラスで入ったのはまだオリンピックの1度だけですので、持ちカードと言っていいかわかりませんが、持ちカードを増やさずともまだいまの水準までなら勝負になります。ショートの自己ベストとフリーの自己ベストを合わせれば317.06まであります。

今期の全日本は初優勝の可能性を持っての試合になります。ジュニアグランプリファイナル最高位4位、世界ジュニア最高位2位、4大陸最高位3位、グランプリファイナル3位、世界選手権最高位2位、オリンピック2位。全日本も最高位3位です。大きなタイトルはユースオリンピック位で実はビッグタイトルが無い。国内ローカルですがまずは1つ勝ちたい試合かとも思います。

シーズン後半の代表争いは、まあ問題なく選出されると思います。鍵山選手は4大陸も獲れていないので、そこから取りに行くかと想像されます。

 

○ショートフリー合わせた要素別のスコア

Pl Name Nation Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Ilia MALININ USA 314.66 131.64 129.49 17.65 23.86 13.02
2 Shoma UNO JPN 297.34 140.48 104.80 13.32 23.97 15.77
3 Yuma KAGIYAMA JPN 288.65 137.44 89.74 20.29 25.83 15.35
4 Adam SIAO HIM FA FRA 278.28 133.20 98.92 10.19 25.07 11.90
5 Kao MIURA JPN 261.53 127.04 100.85 0.51 19.85 13.28
6 Kevin AYMOZ FRA 219.91 125.79 64.11 -6.32 24.27 16.06

PCSは宇野選手が1位で鍵山選手が2位です。この2人は9点平均を超えます。マリニン選手は全体4番目でした。

ジャンプの基礎点はマリニン選手が突出しています。宇野選手が2番目で25点ほどの差。3位表彰台の鍵山選手は40点の基礎点差があります。さすがにこれはきついです。

ジャンプの加点は鍵山選手が1位。マリニン選手も17.65ありますので十分加点を稼ぎました。宇野選手は3番目。ジャンプ合計で30点弱の差を付けられた計算です。

スピンは鍵山選手が25点台後半まで出して1位でした。本人比では普通です。宇野選手が23点台になるのは珍しく、今回はレベル3が2つありました。マリニン選手は24点台前半が標準ですが今回はやや低めでした。

ステップ系要素はエイモズ選手がただ1人16点台です。ジャンプ崩れましたが力はあります。宇野選手鍵山選手もしっかり15点台。アダムシャオイムファ選手はコレオで転倒取られてスコア伸びませんでした。全体的に、それぞれがそれぞれに得意分野で力を見せた、という風に見えますが、アダムシャオイムファ選手はちょっと残念な試合になりました。

 

中国勢誰もいないファイナルが北京で開催されたわけですが、意外としっかりと盛り上がりを見せました。男子は特に日米で上位を占めたわけですが、ちゃんと怒られもせずしっかり盛り上げてもらえました。

男子はマリニン選手がどこまでいくでしょう。すごいすごいと言いつつも、まあスコア的には羽生ネイサン2巨頭には及びません。4回転アクセル込みノーミスをフリーで演じてだれも手の届かないところまで行けるのか。あるいは、まだ出来栄え勝負で手が届く範囲に留まるのか。

女子は出来栄え派全盛ですが、今回吉田陽菜選手が表彰台に乗ってきました。シニアでロシア除いてトリプルアクセルを入れてファイナルやワールドの表彰台に乗って来るのは浅田真央さん以来です。トリプルアクセル込みで安定感のある選手というのはまだなかなか出てきませんが、持ち札にトリプルアクセルがある選手は増えてきています。どこかで時代の変わり目が来るのか? シーズン後半へ、各国ナショナルを挟んで、ヨーロッパ選手権、4大陸と、興味深い試合が続いていきます。