ゴールデンスピン チャレンジャーシリーズも終幕

グランプリファイナルの裏で毎年行われるゴールデンスピンが今シーズンもチャレンジャーシリーズ最終戦として行われました。今期もライブストリーミングなどがなく、映像がまったく見られていません。スコアシートだけ見ての記事になります

 

○男子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Boyang JIN CHN 258.67 91.25 167.42
2 Mikhail SHAIDOROV KAZ 235.29 82.82 152.47
3 Aleksandr SELEVKO EST 224.24 83.58 140.66
4 Maurizio ZANDRON AUT 204.22 64.63 139.59
5 Vladimir SAMOILOV POL 202.43 69.64 132.79
6 Edward APPLEBY GBR 199.52 61.18 138.34
7 Makar SUNTSEV FIN 198.30 67.67 130.63
8 Goku ENDO USA 197.59 69.31 128.28
9 Tomoki HIWATASHI USA 191.72 63.22 128.50
10 David SEDEJ SLO 178.31 62.81 115.50
11 Jari KESSLER CRO 169.97 51.24 118.73
12 Ze Zeng FANG MAS 158.25 49.62 108.63
13 Georgii PAVLOV SUI 157.61 49.79 107.82
14 Dillon JUDGE IRL 116.04 44.93 71.11

ボーヤンジン選手が久しぶりの優勝です。国際大会は2020年の中国杯というコロナ特別試合を外すと、19年のやはり中国杯まで優勝は遡るので4年ぶりとなります。昨季はシーズンベストが227.47で終わり、今期もグランプリ2戦伸びなかったので、来期からはグランプリ2戦も危ないのではないか、そろそろ引退気配なのか、とも思ったりしていましたが、ここでシーズンベスト11位相当のスコアまで出してきましたので、来期にもつながりそうです。まずはその前に4大陸で久しぶりに表彰台争いも見られるかもしれません。

2位にはカザフスタンのシャイドロフ選手。中国杯で3位表彰台に乗っていますので、235.29の2位は特に驚くような成績ではないですが、ここでも確実に2位表彰台でポイントを獲得しました。今期は世界のトップ選手の一員としての立場を確実にしたように思えます。この先アジアのトップ選手の1人として、4大陸に世界選手権にと活躍を見せてくれるかと思われます。

3位はエストニアのアレクサンデルセレフコ選手。兄の方です。弟もエントリーしていましたが、ロストバゲッジでウィズドローらしく、なかなかひどい話ですが、兄弟でも荷物の行方は違ったようで、兄は3位表彰台です。チャレンジャーシリーズは20年のコロナ特別シーズンのブダペスト杯3位を除けば、初表彰台となります。こうやって着実にポイントを得ていくことがこのあたりのランクの選手にとってはおそらく大事で、今季1試合だったグランプリシリーズを来期は2試合に増やせる可能性を高めていると思われます。

 

○ボーヤンジン選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz   5.90   1.89 7.79 3.286
2 4T   9.50   2.47 11.97 2.714
3 3A+1Eu+3S   12.80   0.16 12.96 0.429
4 3F! ! 5.30   0.32 5.62 0.571
5 FCSp4   3.20   0.45 3.65 1.571
6 3Aq+2T q 10.23 x -0.96 9.27 -1.143
7 3Lz+3T   11.11 x 0.83 11.94 1.571
8 CSSp4   3.00   0.60 3.60 2.000
9 ChSq1   3.00   1.10 4.10 2.286
10 3Lo   5.39 x 0.10 5.49 0.143
11 StSq4   3.90   0.78 4.68 2.000
12 CCoSp4   3.50   0.77 4.27 2.286
  TES   76.83   8.51 85.34  

4回転はトーループ1本です。2回飛ぶジャンプはトリプルアクセルトリプルルッツ。セカンド3回転に3連3サルコウはありますがシークエンスアクセルは無しで基礎点76.83でした。基礎点削られるミスはなかったかと思います。冒頭のトリプルルッツは本来は4回転ルッツを入れたいという意志の現れでしょう。グランプリ2戦では4回転ルッツを決められませんでしたが、上海トロフィーで4回転ルッツを決めていました。まだまだ決める力はあります。4回転ルッツをGOEプラスで成功させた最年長記録は、非公認の国際大会ではその上海トロフィーの26歳0か月でボーヤンジン選手が持っています。ISU公認では羽生結弦さんの19年グランプリファイナルでの25歳0日が残っているのですが、それをどこかの段階で更新できるでしょうか。

 

○女子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Sarina JOOS ITA 179.40 63.59 115.81
2 Amber GLENN USA 177.51 63.09 114.42
3 Starr ANDREWS USA 165.55 53.98 111.57
4 Anastasia GOZHVA UKR 163.77 54.19 109.58
5 Nataly LANGERBAUR EST 159.74 50.93 108.81
6 Anna PEZZETTA ITA 159.24 52.32 106.92
7 Clemence MAYINDU FRA 155.80 54.34 101.46
8 Lara Naki GUTMANN ITA 155.18 50.60 104.58
9 Olga MIKUTINA AUT 153.90 58.08 95.82
10 Kristina LISOVSKAJA EST 151.75 52.07 99.68
11 Kristen SPOURS GBR 148.47 53.43 95.04
12 Jade HOVINE BEL 137.08 48.20 88.88
13 Kristina ISAEV GER 134.89 48.20 86.69
14 Ema DOBOSZOVA SVK 125.62 49.38 76.24
15 Oona OUNASVUORI FIN 122.15 44.33 77.82
16 Emilia MURDOCK ESP 110.90 40.82 70.08
17 Katherine ONG PUI KUAN MAS 105.42 35.88 69.54
18 Katinka Anna ZSEMBERY HUN 97.78 41.52 56.26

女子の優勝はサリナヨース選手でした。イタリアの代表として出場していますが、昨季まではスイスの代表選手でした。2シーズン前のヨーロッパユースオリンピックのスイス代表で3位表彰台という実績があります。チャレンジャーシリーズは初優勝。昨季のワルシャワカップで2位に入った時の180.31というパーソナルベストにはわずかに届きませんでした。

2位はアメリカのアンバーグレン選手です。フリーでトリプルアクセル投入。GOE±0で決めました。スケートアメリカに次いでの成功。成功率が上がってきています。にもかかわらずフリー114.42 最後の3つのジャンプが1Lz 2Lo 1Fとひどいことになって得点伸びませんでした。

3位はスターアンドリュース選手。昨季はスケートカナダで2位に入ってあっと言わせたのですが、それ以降今一つ結果を残せていません。チャレンジャーシリーズ初表彰台ですが、グランプリシリーズの表彰台を経験していますので、特に何の感慨も無いでしょうか。ルッツなし構成なので全体の要素の出来をかなり上げていかないといけないのですが、他のジャンプの成功率も下がっていて少し苦しいです。

 

○ショートフリー合わせた要素別のスコア 上位12名

Pl Name Nation Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Sarina JOOS ITA 179.40 82.13 63.91 -0.64 21.70 12.30
2 Amber GLENN USA 177.51 92.53 45.97 5.47 21.68 11.86
3 Starr ANDREWS USA 165.55 84.86 50.67 -2.36 22.83 10.55
4 Anastasia GOZHVA UKR 163.77 76.66 58.02 -0.87 21.55 8.41
5 Nataly LANGERBAUR EST 159.74 78.80 54.18 -4.42 20.37 10.81
6 Anna PEZZETTA ITA 159.24 83.07 46.26 -0.32 20.51 10.72
7 Clemence MAYINDU FRA 155.80 75.60 49.79 1.53 18.74 10.14
8 Lara Naki GUTMANN ITA 155.18 81.74 49.95 -8.93 21.49 12.93
9 Olga MIKUTINA AUT 153.90 82.94 43.23 -6.86 23.56 13.03
10 Kristina LISOVSKAJA EST 151.75 75.86 51.94 -6.60 20.72 9.83
11 Kristen SPOURS GBR 148.47 72.40 49.69 0.32 16.97 10.09
12 Jade HOVINE BEL 137.08 69.92 50.41 -12.94 21.11 10.58

PCSはアンバーグレン選手だけ突出しています。それでも92点台というのは本人比では低めです。8点平均で96点、7点平均で84点ですので、他の選手は7点平均以下程度になってきます。

ジャンプの基礎点はしっかり各要素こなしたヨース選手だけ60点を超えました。グレン選手はフリーが抜け抜けなのでトリプルアクセル基礎点満額もらいながらも45点台という低い基礎点になりました。アクセルだけでは勝てないの典型例みたいなことになっています。

ジャンプの加点はマイナスの選手がこのレベルの試合だと多いです。グレン選手は抜けジャンプが多かったですが、決めれば加点はいるということでここはプラスが入っています。

スピンはミクティナ選手が23.56で1位です。21年世界選手権8位で198.77のベストを持っているのですが、その後下降線をたどってしまっています。このスピンのスコアに200点近い点を出したことがあるという名残が見えますが今大会もトータルスコアは150点台前半。復活を期待したい選手です。

ステップ系要素もミクティーナ選手が13.03で1位でした。

 

今大会はアイスダンスで日本からの派遣がありました。吉田唄菜/森田真沙也組が164.20で5位。田中梓沙/西山真瑚組は158.69の9位となりました。両ペアとも世界選手権のミニマム獲得に成功しています。西山選手はロストバゲッジがあったとかで、こういうミニマム取得を目指す大会でそれが起きると、この試合だけの問題ではなく今シーズンこの先に響いてくるのでやきもきさせられましたが何とかなったようです。これでおそらく4大陸選手権は久しぶりの3組派遣となるかと思いますし、世界選手権の代表1枠争いも、西日本のアイスダンス予選を見る限りかなり混戦模様で面白いことになりそうです。

 

チャレンジャーシリーズがこれで終了しました。

全9戦、各選手3試合まで出場出来て、いい方のスコア2試合の合計で実は順位が付けられています。男子はスイスのブリッチギー選手が合計492.34で1位。ジョージアのニカエガゼ選手が2位、3位にイスラエルのゴロニツキー選手が入りました。

女子はキムチェヨン選手が383.04で1位。グバノワ選手が365.21の2位、クラコワ選手が363.69の3位と続きます。3位までは大した額ではないですが賞金がもらえます。

これにてシーズン前半終了。ISU公認スコアを出すチャンスはあとは4つのチャンピオンシップのみとなります。