世界ジュニア24男子シングル1

前回までの女子シングルに続いて、今回は男子シングルです。

同じように初回は試合展開の振り返りです。

 

○男子シングル フリー進出24名

Pl Name Nation Total SP FS
1 Minkyu SEO KOR 230.75 80.58 150.17
2 Rio NAKATA JPN 229.31 77.60 151.71
3 Adam HAGARA SVK 225.61 78.02 147.59
4 Shunsuke NAKAMURA JPN 215.46 72.85 142.61
5 Francois PITOT FRA 214.95 78.79 136.16
6 Jaekeun LEE KOR 212.22 70.15 142.07
7 Arlet LEVANDI EST 211.98 75.43 136.55
8 Aleksa RAKIC CAN 211.74 77.74 134.00
9 Edward APPLEBY GBR 205.55 75.69 129.86
10 Jacob SANCHEZ USA 199.17 73.35 125.82
11 Jakub LOFEK POL 199.04 75.55 123.49
12 Yanhao LI NZL 197.47 62.84 134.63
13 Daniel MARTYNOV USA 195.83 71.69 124.14
14 Casper JOHANSSON SWE 193.66 65.71 127.95
15 Anthony PARADIS CAN 193.61 63.19 130.42
16 Yu-Hsiang LI TPE 193.26 66.53 126.73
17 Haru KAKIUCHI JPN 192.82 65.49 127.33
18 Matteo NALBONE ITA 188.89 65.22 123.67
19 Tamir KUPERMAN ISR 182.83 63.60 119.23
20 Konstantin SUPATASHVILI GEO 182.68 63.99 118.69
21 Aleksandr VLASENKO HUN 181.85 62.12 119.73
22 Matias LINDFORS FIN 180.80 66.06 114.74
23 Kyrylo MARSAK UKR 180.42 64.29 116.13
24 Denis KROUGLOV BEL 169.21 63.09 106.12

ショート終わって首位から12位まで10.43差。下手すると他の大会なら1位と2位の差くらいの差の範囲内で12人います。第3グループからの逆転優勝もあるか? という混戦です。

 

フリー第一グループでは、ユースオリンピック3位表彰台、ニュージーランド史上最高の選手、ヤンハオリー選手が4番滑走で出てきます。まだ成功実績のないトリプルアクセルは転倒しましたが後はミスなし。技術点自己最高で134.63を出しトータル197.47 上位進出が見込めるスコアを出してきます。

第2グループには地元台湾からユーシャンリー選手。台湾はフィギュアが強いとはお世辞にもちょっと言えませんが、男女ともしっかりフリー第2グループには選手を送り込んできています。まだ成功実績のないトリプルアクセルこそダウングレードでしたが他はノーミスで会場を盛り上げ126.73は自己ベスト。トータル193.26 9人滑って4位に付けました。

その次の次にショート16位の垣内珀琉選手。ジュニアグランプリに続いて4回転成功なるか、という冒頭でしたが転倒。以降は非常に印象のいい滑りでしたが、構成にトリプルアクセルが入ってこないので、4回転転倒してしまうと全体として弱構成になってしまい、スコアは127.33と本人比でほどほど。トータル192.82で11人滑って5位。190点台は安定して出してきているのですが、自己ベストの200.82を超えていきたい試合だったかもしれません。

 

第3グループに入ってくると逆転優勝、はさすがに飛び越す人数多すぎて大変かもしれませんが、逆転表彰台くらいはほとんどの選手に普通にチャンスがある領域になってきます。

まずジュニアグランプリファイナルにまで出場したアメリカのマルティノフ選手から。11位からの逆転はノーミスで行きたかったですが冒頭4回転を転倒で苦しくなります。後半もシークエンスでアクセルが1回転になり3つ目付かず。ダブルアクセル1つ余った、と勘違いしたのか最後にもう一度シークエンスアクセル入れて、コンビネーション4回目、シークエンス2回目どちらで見ても跳びすぎキックアウトという珍しいミスも入って124.14ではトータル195.83でこの時点でも2位となり上位進出はならず。

ショート12位で実績も乏しい韓国のイジェクン選手が次に出てきます。上位進出は難しいかな、と思われたのですが、ここで初のトリプルアクセル2本着氷。後半疲れたでしょうかサルコウの転倒がもったいなかったですが、142.07と大幅自己ベスト更新でトータル212.22 ここで200点超えを出して試合のレベルを1つ上げて首位に立ちます。韓国3枠の芽が見えてきました。

続くのが中村俊介選手。上位進出、逆転表彰台を当然目指したい一方、ショートのままの順位だと来期3枠が取れない日本という難しい位置。確率微妙だけど大事な試合で割と決まっている冒頭4回転。これが勝負というこのジャンプを+2もらって成功。次はショートで転倒したトリプルアクセルでしたが何とか降りてコンビネーションもつけます。もったいなかったのは2つ目のトリプルアクセル。ここで転倒してしまいますが後は立て直しての142.61はパーソナルベストトータル215.46で首位に立って残り9人を待ちます。

ここから今期はシニアのグランプリシリーズに出ていたエストニアのレバンディ選手、3回目の世界ジュニアで初めて後半グループに入ってきたポーランドのロフェク選手、ユースオリンピック4位のアメリカのサンチェス選手と続きますが、スコア伸びず。第3グループ終わって中村俊介選手が首位を保ち、韓国のイジェクン選手が2位に付ける構図です。日本と韓国はあと1人残していて、3枠確保の可能性がだいぶ高くなりました。

 

最終グループはカナダナショナル2位に入っているショート4位のラキッチ選手から。4回転トーループをしっかり降り、2つめのサルコウは4回転投入せず3回転で降り、順調に来たのですがトリプルアクセルが転倒。トリプルアクセルは男子にとってもジュニアではまだ難しい。次のループループという割と珍しいコンビネーションを決めて立て直すのですが、終盤2つのスピンが3Vに2Vというもったいない出来でフリー134.00 トータルは211.74で首位の中村選手と3.72差の4位。僅差ですが細かいミスがもったいなかったです。

続いてシニアでの試合経験もすでに豊富なショート6位のイギリスからアップルビー選手。トリプルアクセル2本決めて順調だったのですが最後の2つのジャンプが転倒と抜け2回転。129.86でトータル205.55は4人残して5位。イギリス来期2枠確定ではありますが、ノーミスなら首位で待てたのにというところでもありました。

ここでショート5位の中田璃士選手が出てきます。中村選手がまだ首位にいますので、この時点で6位にはいれば来期日本は3枠確保。ターゲットスコアは121.58はこれは行けるだろうという水準。おそらく本人はそんなところは見ておらず、逆転優勝狙い。少なくとも首位に立つには137.87が必要で、そこにどれだけ上積みできるか。国際大会で失敗無しだった4回転トーループがステップアウトで始まったミッションインポッシブル。以降はトリプルアクセルを決め、コンビネーションもしっかり飛びたい回転分まわり、全要素全ジャッジプラス評価をもらいスピンもオールレベル4 文句のつけようのない演技で151.71 トータル229.31でパーソナルベスト。首位に立ち、日本来期3枠を確定させ、残り3人を待ちます。

ジュニアグランプリファイナル3位表彰台、ショート3位だったハガラ選手が次に出てきます。首位に立つターゲットスコアは151.30 ベストは146.32なので過去最高が必要。冒頭のアクセルのコンビネーションで多少ふらつきましたが後はミスなく滑って147.59 トータル225.61はパーソナルベストまでは出ましたが2位。ここで中田選手の表彰台確定。

続いてショート2位のフランス、ピトー選手。首位に出るには150.53が必要。シニアルールではナショナル含め2回151点台を出していますがジュニアルールでは148.37がベスト。際どい勝負。この場面で2本目のアクセルが1回転半になったのは痛かった。それでも後半にリカバリーアクセルを飛んできたものの、次のルッツで転倒しコンビネーションも1つ余る。僅差でこのミスだと届かず136.16のトータル214.95は1人残して4位。表彰台届かず。

 

最終滑走はショート1位のソミンギュ選手。優勝するには148.74が必要。表彰台には134.89があればよく、逆にこれを下回ると中村俊介選手が表彰台に残ります。ノーミスなら勝ち、というシチュエーションではあるのですが、2つ目のアクセルが1回転半になり微妙な状況に。もう1つミスが出れば負け、というここからはノーミス。滑り終わってもまだ結果は見えない。PCS差とショートのリードで逃げ切るか? 足りないか? どうだ? 際どい? キスアンドクライ、どうだ? フリー150.17 これだけ見ても本人たち他人のスコアまで全部頭に入っていないから結果見えない。トータル230.75 ここまで出て優勝。チャジュンファン選手でも届かなかった、韓国男子初の世界ジュニアのタイトルを勝ち取りました。

2位は中田璃士選手。3位にハガラ選手で、ジュニアグランプリシリーズでそれぞれ結果を出してきた3選手が結局順当に表彰台に乗った形。中村俊介選手は届かず4位でした。

日本韓国は来期3枠が決まり、ジュニアグランプリシリーズの枠も満額手に入りました。