23-24 千葉百音

2005年5月1日生まれ

シニア1シーズン目

シーズン獲得賞金:$21,000

世界ランキング:15位

シーズンランキング:15位

シーズンベストスコア 214.98(4位) 4大陸選手権

ショートプログラムシーズンベスト 71.10 4大陸選手権

フリーシーズンベスト 143.88 4大陸選手権

スピンレベル4率 50/63 = 79.4%(国際大会:25/30 = 83.3%)

ステップレベル4率 12/20 = 60.0%(国際大会:6/10 = 60.0%)

スピンオールレベル4 1/10(国際大会:1/5)

スピンステップオールレベル4 1/10(国際大会:1/5)

ジャンプ回転不足率 35/103 = 34.0%(国際大会:17/50 = 34.0%)

ジャンプ回転不足なし 2/10(国際大会:1/5)

スピンステップオールレベル4ジャンプ回転不足なし 1/10(国際大会1/5)

 

○23-24シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
DL 木下トロフィー 3 177.25 58.70 118.55
DL げんさんサマーカップ 4 187.09 66.02 121.07
CS Autumn Classic 6 160.25 57.66 102.59
RT 近畿選手権 2 160.88 60.88 100.00
GP Skate America 6 177.79 64.24 113.55
GP Grand Prix de France 9 164.76 56.59 108.17
DL 東北高等学校選手権 1 56.13 56.13  
NC 全日本選手権 2 209.27 68.02 141.25
IH 全国高等学校選手権 2 180.24 59.71 120.53
4CC Four Continents 1 214.98 71.10 143.88
WC World Championships 7 195.46 62.64 132.82

千葉百音選手は昨季4大陸選手権で3位に入っていますが、基本的にはジュニアで活躍していた選手です。本格シニア参戦は今シーズンからとなります。今期から木下アカデミーへ移籍。ちょっと驚きでしたが、新天地でどんな力を見せるか楽しみでもありました。

 

シーズン序盤は8月に国内2戦。木下トロフィーは吉田陽菜選手、住吉りをん選手といった年の近い2人の後塵を拝して3位。げんさんサマーカップはそこにさらに坂本花織選手も加わって4位。昨季すでに200点を出している千葉選手としてはスコアもいまいちな序盤です。

国際大会は9月のオータムクラシックから。坂本選手に勝つのは厳しいけれど、他はビッグネーム無いですし、確実に2位には入ってきますかね、と見ていたらまさかの6位。160.25は国際大会でのジュニアに上がった20年以降のワーストスコア。どうしちゃったのですか? というレベルの驚きのスコアです。

9月末に一旦近畿選手権を挟みますが、ここでも160点台。2位ではあるので無事西日本へ進んで、西日本は免除なので全日本出場権は得ましたが、やっぱりおかしいくらいにスコアが伸びません。

グランプリデビュー戦はスケートアメリカ。ヘンドリックス選手、レビト選手という昨季の主役たちに、今季すでに4度目の対戦となる吉田陽菜選手やペトロキナ選手にアンバーグレン選手もいるという豪華メンバー。ショートはまずまずの出来で64.24までは出して5位スタート。3位とは5.83差。少し差があるものの表彰台はノーチャンスでもない、というフリーでしたが、ここでサルコウとルッツで2転倒。フリーは113.55と伸びずトータル177.79で6位に終わります。

グランプリ2戦目は1週おいてのフランス。初戦6位だと優勝してもファイナルは無いですが、来シーズンにつなげるためには上位に入って、できれば表彰台に乗ってポイントを獲っておきたいところ。ところがショートプログラム、冒頭フリップで回転不足での転倒。56.59で9位スタートとなります。フリーはダウングレード1つにアンダーローテーション6つ。ことごとくジャンプが決まらず108.17で終わりトータル164.76 総合9位となり、ランキングポイントも得られず。これはもしかしたら来期のグランプリ枠ないかも、という非常に残念な出来で前半戦を終えます。

 

11月に東北の高校の大会でショートプログラムを滑って56.13 小さな大会ながらやはり良くない出来です。そこから一カ月半で全日本。今シーズンのここまでのこの流れを見ていると、ちょっと圏外かな、と思わざるを得ない試合でした。

シーズン序盤の調子の悪さはスポーツ喘息によるもの。原因が分かったので全日本は大丈夫。そういった報道を聞いても半信半疑というか、それはそれ、点を取れるかどうかはまた別、としか思えない部分がどうしてもありました。全日本は第4グループの1番滑走。シニアの国際舞台組の中からでは最初の登場です。ここで今シーズン初めて、ほぼノーミス。68.02と久しぶりの会心の演技を見せます。この後有力選手もたくさんいるので何位で残るか? というのは読めなかったのですが、結局3位。首位とは10点以上の差が付きましたが、表彰台圏内で折り返します。フリーは22番滑走。ここで首位に出られれば表彰台が決まる、という局面。ターゲットスコアは134.17 パーソナルベスト137.70は持っているものの、今期のベストはここまで121.07 ショートはたまたま出たフロックか? それともしっかり復活したのか? 文字通り短いショートは乗り切れても、4分あるフリーをしっかり滑れるか? 全く読めないフリーでしたがここでもほぼミスのない演技で滑り切り、パーソナルベスト相当の141.25まで出してトータル209.27 首位に出て残り2人を待ちます。最終順位は2位。初の表彰台となりました。

代表選考は、国際大会ひどかったのと全日本2位と、どう見るか? 予想が付かなかったですが、4大陸と世界選手権、ダブル代表に決まりました。

 

次は4大陸の前に、インターハイを挟みます。ここでショートから転倒もあり、トータルスコア180.24で終わったあたりがまたシーズン後半を不安にさせます。

昨季3位に入っている4大陸選手権。韓国勢との勝負と見られる試合。26人中の19番滑走、強豪組の中では早い方の順番で出てきます。ここで全日本に続いてのノーミス。今度はスピンステップもすべてレベル4をもらってパーソナルベストの71.10で首位に立って折り返します。2位には安定のキムチェヨン選手が1.33差、3位はNHK杯覇者のジーグラー選手が2.85差、4位にトリプルアクセル持ちの渡辺倫果選手で3.88差。この辺までは全く優勝争いがわかりません。フリーは抽選でしたがそれでも最終滑走。2年連続の表彰台までは130.10 チャンピオンシップ初制覇までは133.59 優勝出来なければ表彰台にも乗れなさそうな僅差に上位がひしめきますが、全日本を再現できれば勝てるというシチュエーションです。ここで本当に全日本を再現したかのような演技。最後のルッツに!が付き、その前に1つqがあるというところまで全日本と同じで143.88のパーソナルベスト更新。トータル214.98と初の210点台に乗せて4大陸チャンピオンとなりました。

 

一躍表彰台候補となって臨むことになった世界選手権。ランキングも上がって最終グループ前のグループでショートプログラムを滑ります。コンビネーションをしっかり決めて、これは今回も行くかと思われたのですが、最後のルッツが1回転になり零点。それでも62.64と60点台には乗せますが13位と後半グループに入れず折り返します。フリーは8番滑走。序盤良かったのですが中盤のループがうまく入らずダウングレード。ただ、ミスはそれだけに抑えることが出来て技術点69.38まで持ってきます。滑走順早くPCSがあまり伸びませんでしたがフリー132.82のトータル195.46 ここで首位にでて第3グループ終わってもまだ2位。最終グループ3番目の坂本選手のところまで長く長くグリーンシートで待ち続けて、結局最終順位は7位。来期のグランプリシードの6位までは0.02差と迫る健闘を見せてシーズンを終えました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
木下トロフィー 177.25 91.35 85.90 59.56 -4.55 23.56 12.78
げんさんサマーカップ 187.09 96.75 91.34 62.54 -2.37 22.57 14.01
Autumn Classic 160.25 74.73 88.52 48.64 -9.36 22.25 13.20
近畿選手権 160.88 81.20 81.68 54.26 -9.08 23.27 12.75
Skate America 177.79 89.44 90.35 60.13 -5.03 20.45 13.89
Grand Prix de France 164.76 80.35 85.41 55.33 -9.45 22.41 12.06
東北高等学校選手権 56.13 29.86 27.27 15.09 -0.64 10.34 5.07
全日本選手権 209.27 111.78 97.49 67.03 7.78 24.13 12.84
全国高等学校選手権 180.24 93.45 87.79 58.85 2.04 22.79 9.77
Four Continents 214.98 114.21 100.77 67.03 7.65 24.50 15.03
World Championships 195.46 100.38 95.08 57.34 5.48 24.04 13.52

スコアのばらつきが極めて大きいです。最高は214.98 全日本で209.27を出している一方、160点台が3試合。非常に不安定です。シーズン序盤はスポーツ喘息で体調が悪かったということですが、インターハイの180.24はそれとは関係なくスコア伸びなかったということになります。昨季もそうだったのですが、小さめな試合はスコアが悪いことが多く、大きい試合はしっかり点を出してくる傾向があります。

技術点は悪い時に70点台というのもありますが、4大陸選手権では114.21まで出しました。今シーズン全選手中4位にあたるスコアです。PCSの方は4大陸で100点に乗せました。この100.77で全選手中5位、ISU公認だけで見れば4位です。技術点もPCSも順位が変わらないです。

ジャンプの基礎点は67.03が最高。これがノーミス時の基礎点です。今シーズン全選手中10位の基礎点になります。トリプルアクセル以上が無い選手の中では3番目の高さです。

ジャンプの加点の方はマイナスの試合が目立ちますが全日本以降はプラスがもらえるようになりました。4大陸の7.65が今シーズン全選手中11位、ISU公認だけで見ると9位相当です。

スピンはシーズン後半24点台を出すようになってきました。4大陸の24.50が全選手中14位、ISU公認試合だけで見れば11位にあたります。

ステップ系要素も4大陸の15.03が最高です。全選手中4位、ISU公認だけなら3位にあたります。

各要素、10位前後までで収まっていて大きな穴、苦手な分野は無いですが、安定感には欠ける、ということなようです。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
木下トロフィー 56.89 58.75 46.29 63.31 57.99 55.17
げんさんサマーカップ 60.51 61.93 50.76 59.31 64.02 59.65
Autumn Classic 50.63 47.08 36.43 58.02 60.05 57.33
近畿選手権 50.86 53.09 37.01 62.14 57.84 51.70
Skate America 57.09 59.36 45.31 50.77 63.43 58.84
Grand Prix de France 52.29 54.23 36.25 58.67 54.46 54.77
全日本選手権 68.68 66.73 71.56 65.60 58.28 64.72
全国高等学校選手権 57.99 57.99 59.80 60.20 43.24 56.73
Four Continents 70.78 66.73 71.29 67.10 69.02 67.42
World Championships 63.59 56.38 66.84 65.24 61.62 62.73

偏差値で見るとトータルスコアは50前後の試合があったのが全日本でいきなり覚醒し、4大陸では70台の偏差値を叩きだしました。

ジャンプの基礎点は崩れると平均割れの40台の試合もありましたが、最高は66.73と60台後半まで出します。加点の方は崩れた時は30台とひどいことになっている一方で70台に乗せた試合もありました。非常にばらつきが大きい。

スピンは60前後が標準ですがいい時は60台後半です。ステップ系要素も同様。

PCSは50台が多かったですがシーズン後半は60台中盤まで出してきています。

各要素60台中盤から後半を出す力があって、ジャンプの加点は70台の偏差値を出せるということで、どの要素が苦手というのはないのですが、どの要素も非常にばらつきが大きいという形になっています。

 

 

千葉百音 要素別偏差値23-24

レーダーチャートはいい時はバランス型ですが、どこを見てもばらつきが大きいという形です。特にジャンプの加点のばらつきが大きいというのはだいたいどの選手もそうなるのですが、それ以外の部分のばらつきがここまで大きい選手もなかなかいません。

 

●シーズン最高の基礎点構成

○4大陸選手権 ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3F+3T   9.50   1.36 10.86 2.556
2 2A   3.30   0.80 4.10 2.333
3 FCSp4   3.20   0.55 3.75 1.556
4 3Lz! ! 6.49 x 0.34 6.83 0.444
5 CCoSp4   3.50   0.85 4.35 2.333
6 StSq4   3.90   1.34 5.24 3.333
7 LSp4   2.70   0.96 3.66 3.556
  TES   32.59   6.20 38.79  

ショートプログラムの最高基礎点は32.59でした。今シーズン全選手中4位、ISU公認のみで見れば3位にあたる基礎点です。フリップから3-3を飛んで単独ジャンプはルッツを1.1倍に置いてスピンステップオールレベル4で32.59 割とありがちな構成のようでいて、意外と他の選手でこれをしっかり出せた選手は今季いませんでした。

ここから1.1倍にコンビネーションの方を入れる、というようなことをしても0.36しか基礎点は上がりませんのでリスクとリターンは見合わないでしょうか。トリプルアクセル習得というようなことが無ければ、ショートはこの構成で安定度完成度高めるという方向へ行くのでしょう。

 

○4大陸選手権 フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3F+3T   9.50   1.21 10.71 2.333
2 2A   3.30   0.80 4.10 2.444
3 3S   4.30   0.86 5.16 2.111
4 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.111
5 3Lo   4.90   1.12 6.02 2.333
6 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.000
7 3Fq+2T+2Lo q 9.13 x -0.45 8.68 -0.889
8 3Lz+2A+SEQ   10.12 x 1.10 11.22 1.778
9 FCCoSp4   3.50   0.95 4.45 2.778
10 3Lz! ! 6.49 x 0.51 7.00 0.667
11 StSq4   3.90   1.39 5.29 3.444
12 LSp4   2.70   1.04 3.74 3.889
  TES   64.34   11.08 75.42  

フリーは64.34まで基礎点を出しました。今シーズン全選手中6位の基礎点。ISU公認試合だけで見ると5位の基礎点です。2回飛ぶジャンプはルッツとフリップ。後半にルッツ2本とフリップが入り、3連続とシークエンスも入れていてかなり基礎点高くなる構成になります。この構成で143.88まで出していて、全選手中3位のシーズンベストでした。ここから基礎点を上げることは1.1倍をいじるとかスピンの組み合わせを変えるなどでいくらか可能ですがせいぜい1点以内です。高難度ジャンプ無しではここが限界。この構成での安定感を上げる方が先とは思われますが、これより上積みするには高難度ジャンプが求められます。以前は4回転トーループにチャレンジしていましたが、今オフにどういう選択をしていくでしょうか?

 

○平均GOE3.200以上(国際大会+全日本選手権より)

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
World Championships FS 12 LSp4   2.70   1.23 3.93 4.556
全日本選手権 FS 12 LSp3   2.40   1.06 3.46 4.222
Grand Prix de France FS 12 LSp4   2.70   1.16 3.86 4.222
Skate America SP 7 LSp4   2.70   1.12 3.82 4.111
Autumn Classic FS 12 LSp4   2.70   1.08 3.78 4.000
Skate America FS 12 LSp4   2.70   1.08 3.78 4.000
World Championships SP 7 LSp4   2.70   1.04 3.74 3.889
Four Continents FS 12 LSp4   2.70   1.04 3.74 3.889
Autumn Classic SP 7 LSp4   2.70   0.97 3.67 3.714
Four Continents SP 7 LSp4   2.70   0.96 3.66 3.556
全日本選手権 SP 7 LSp4   2.70   0.93 3.63 3.444
Four Continents FS 11 StSq4   3.90   1.39 5.29 3.444
Four Continents SP 6 StSq4   3.90   1.34 5.24 3.333
Grand Prix de France SP 7 LSp4   2.70   0.85 3.55 3.333

千葉選手の評価が高い要素はレイバックスピンです。スピン、ではなくてレイバックスピンに限定されます。平均GOE+4.000以上が国際大会で5回ありました。世界選手権の最後のレイバックスピン、+4.556は今期全体の中で2位タイにあたる高評価です。レイバックスピンが得意な選手としてはこれまで宮原知子さんが有名でしたが、引退後の現在は、島田麻央選手、ヘンドリックス選手、そしてこの千葉百音選手の3人が常に高い評価を受ける選手となっています。

 

○セカンド3回転を含む要素

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
木下トロフィー SP 1 3F+3T< 8.66   -1.06 7.60 -2.200
木下トロフィー FS 1 3F+3T< 8.66   -1.06 7.60 -1.600
げんさんサマーカップ SP 1 3F+3Tq q 9.50   0.00 9.50 -0.200
げんさんサマーカップ FS 1 3F+3T   9.50   1.06 10.56 1.800
Autumn Classic SP 4 3Fq+3T< F 9.53 x -2.65 6.88 -4.857
Autumn Classic FS 1 3F+3T<< F 6.60   -2.65 3.95 -5.000
近畿選手権 SP 1 3F+3Tq q 9.50   -0.18 9.32 -0.400
近畿選手権 FS 2 2Aq+3T< < F 6.66   -1.68 4.98 -5.000
Skate America SP 1 3Fq+3T q 9.50   -0.30 9.20 -0.667
Skate America FS 1 3F+3Tq q 9.50   -0.15 9.35 -0.333
Grand Prix de France FS 1 3F+3T< 8.66   -2.04 6.62 -3.889
全日本選手権 SP 1 3F+3T   9.50   1.06 10.56 1.889
全日本選手権 FS 1 3F+3T   9.50   1.14 10.64 2.111
全国高等学校選手権 SP 1 3F+3T<< << F 6.60   -2.65 3.95 -5.000
全国高等学校選手権 FS 1 3F+3T   9.50   1.41 10.91 2.800
Four Continents SP 1 3F+3T   9.50   1.36 10.86 2.556
Four Continents FS 1 3F+3T   9.50   1.21 10.71 2.333
World Championships SP 1 3F+3T   9.50   1.36 10.86 2.444
World Championships FS 1 3F+3T   9.50   1.14 10.64 2.222

千葉選手のコンビネーションジャンプ、今期はフリップからの3-3をショートフリー共に冒頭で跳ぶのが基本となっていました。昨季はルッツからでしたが、難易度を下げたというよりはおそらくは、昨季はジュニアルールでショートで単独フリップが必須だから、ということだったと思われます。

このコンビネーションの確率が低いです。今期実際に飛んだのは19回、コンビネーションにならなかったものを入れると20回のうちGOEプラスになったのは8回なので成功率は40%でした。ただ、全日本以降は8回中7回成功。全日本、4大陸、世界選手権と大事な試合はすべて成功させています。シーズン後半の復調具合がここにはっきり表れています。それでもインターハイでは転倒がありました。大きな試合でないといい結果が出せないタイプなのでしょうか。大舞台に強い?

 

○3連続ジャンプ

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
木下トロフィー FS 7 3F<+2T+2Lo 7.96 X -0.85 7.11 -1.800
げんさんサマーカップ FS 7 3F!<+2T+2Lo ! 7.96 X -1.27 6.69 -2.800
Autumn Classic FS 7 3F<+2T+2Lo 7.96 x -0.76 7.20 -1.571
近畿選手権 FS 7 3F!<+2T+2Lo< ! 7.59 X -1.84 5.75 -4.400
Skate America FS 7 3F+2T+2Lo   9.13 x 0.30 9.43 0.667
Grand Prix de France FS 7 3F+2T+2Lo< 8.76 x -0.76 8.00 -1.333
全日本選手権 FS 7 3F+2T+2Lo   9.13 X 0.91 10.04 1.667
全国高等学校選手権 FS 7 3F+2T+2Lo   9.13 X 0.88 10.01 1.800
Four Continents FS 7 3Fq+2T+2Lo q 9.13 x -0.45 8.68 -0.889
World Championships FS 7 3F+2T+2Lo   9.13 x 0.38 9.51 0.556

3連続ジャンプはフリーで後半最初のジャンプとして飛びます。フリップに2回転を2つ付けています。今シーズン10回飛んでGOEプラスは4回。成功率はここでも40%です。ただ、やはりシーズン後半は成功率が上がっていて、4大陸では軽いマイナス付きましたが、全日本、世界選手権と成功しています。

 

○ルッツで始まる要素(国際大会+全日本選手権より)

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Autumn Classic SP 1 3Lz   5.90   -1.30 4.60 -2.286
Autumn Classic FS 8 1Lz   0.66 x -0.26 0.40 -4.286
Autumn Classic FS 10 3Lz< F 5.19 x -2.36 2.83 -5.000
Skate America SP 4 3Lz< 5.19 x -0.74 4.45 -1.667
Skate America FS 8 3Lz< F 5.19 x -2.36 2.83 -5.000
Skate America FS 10 3Lz!<+2A+SEQ 8.82 x -1.21 7.61 -2.556
Grand Prix de France SP 4 3Lz+2T   7.92 x 0.76 8.68 1.222
Grand Prix de France FS 8 3Lz<+2A<+SEQ 8.10 x -1.76 6.34 -3.556
Grand Prix de France FS 10 3Lzq q 6.49 x -0.67 5.82 -1.111
全日本選手権 SP 4 3Lz   6.49 X 1.26 7.75 2.111
全日本選手権 FS 8 3Lzq+2A+SEQ q 10.12 X -0.25 9.87 -0.444
全日本選手権 FS 10 3Lz! ! 6.49 X 0.34 6.83 0.667
Four Continents SP 4 3Lz! ! 6.49 x 0.34 6.83 0.444
Four Continents FS 8 3Lz+2A+SEQ   10.12 x 1.10 11.22 1.778
Four Continents FS 10 3Lz! ! 6.49 x 0.51 7.00 0.667
World Championships SP 4 1Lz* * 0.00 x 0.00 0.00  
World Championships FS 8 3Lz+2A+SEQ   10.12 x 1.01 11.13 1.556
World Championships FS 10 3Lz! ! 6.49 x 0.42 6.91 0.667

千葉選手の課題はジャンプの安定感と思われます。ここでは今季のルッツジャンプをすべて拾ってみました。エッジのアテンションが目立つほか、qやアンダーローテーションもあり転倒もある。1回転になったジャンプもあります。ルッツから始まる要素はショートフリーで3回入れていて、主要大会で18回組み入れたことになりますが、GOEがプラスになったのは8回と50%に満たないです。ただ、これも、全日本以降は9回中7回はGOEプラスと成功率が上がります。それでも!は多数ついている。フリップにも!が付く傾向があるので、どちらかが苦手というタイプではなく、両方跳び分けが上手ではない、ということになります。

千葉選手は今季のジャンプ要素でアンダーローテーション以上の回転不足がついたものが34%あります。3回に1回は回転不足が付く。シーズン後半はだいぶそれが解消されたのが一気にスコアが上昇した理由でした。どのジャンプが苦手だから回転危なくなる可能性がある、というタイプではなく、すべてのジャンプがしっかり回り切れるか、回転足りなくなるかぎりぎりのところにいて、調子悪いと全部取られる。そんな風に見えます。

 

今シーズンはシニア本格参戦。グランプリシリーズで結果が出せず、これは最悪の場合来期グランプリ枠が回ってこずに国内ローカルの選手になってしまうかも、という危険な状態でした。それが全日本で大躍進。一気にシーズン後半の主役に。4大陸制覇によりチャンピオンシップの優勝者の仲間入りもし、来期以降への心配が一気に払しょくされました。

昨季もそうだったのですが、全日本や4大陸といった大きな試合では結果を出してきます。一方で、ブロック大会やインターハイのような国内ローカルな試合では点が全然出ません。大きな試合に合わせる調整力があるのか、ただ単に不安定なのだけどたまたま大きな試合に当てられる運の良さがあるのか。

来期は大学生になり、また生活環境が変わるわけですが、仙台から関西に移籍したのと比べれば変化は小さいでしょうか。練習環境は変わらないはず。シニア1年目の新鋭ではなく、シニアの中核選手として、グランプリシリーズは普通に表彰台に乗って来るよね、くらいの見られ方をすることになります。

荒川静香さん、羽生結弦さん。2人ともオリンピックの2シーズン前に明確な結果を出して、オリンピックでは優勝争う中心人物たちの1人、という位置付けになっていました。仙台から3人目、千葉選手も同じ道を行くことができるでしょうか。