23-24 チャジュンファン

2001年10月21日生まれ

シニア7シーズン目

シーズン獲得賞金:$11,000

世界ランキング:7位

シーズンランキング:31位

シーズンベストスコア 272.95(10位) 4大陸選手権

ショートプログラムシーズンベスト 95.30 4大陸選手権

フリーシーズンベスト 177.65 4大陸選手権

スピンレベル4率 29/36 = 80.6%(国際大会:24/30 = 80.0%)

ステップレベル4率 10/12 = 83.3%(国際大会:8/10 = 80.0%)

スピンオールレベル4 2/6(国際大会:2/5)

スピンステップオールレベル4 2/6(国際大会:2/5)

ジャンプ回転不足率 9/60 = 15.0%(国際大会:9/50 = 18.0%)

ジャンプ回転不足なし 2/6(国際大会:1/5)

スピンステップオールレベル4ジャンプ回転不足なし 1/6(国際大会:1/5)

 

○23-24シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
CS Nepela Memorial 6 222.16 83.91 138.25
IC Shanghai Trophy 2 254.86 91.80 163.06
GP Skate Canada 9 216.61 86.18 130.43
NC Korean Championships 1 275.94 96.51 179.43
4CC Four Continents 3 272.95 95.30 177.65
WC World Championships 10 249.65 88.21 161.44

チャジュンファン選手は昨季世界選手権で表彰台に乗りました。そのさらに上は世界チャンピオンしかないという状態です。ちょっと目標を定めにくいシーズンになっているようにも感じます。

 

今季初戦は9月終わりのネペラメモリアルからです。ショートから4回転2本構成を組んできましたがトーループが2回転になって零点。フリーもトーループ転倒にアクセル2本がどちらもまともに飛べず零点など散々な出来で222.16の6位に終わります。ちょっとどうしちゃったんでしょう? という初戦でした。

 

翌週は上海の招待試合に出場。ショートをここも4回転2本構成。トーループのセカンドは2回転になっていますがそれでも4回転2本成功させます。

フリーは4回転3本構成のようでしたがトーループが2回転に、サルコウの2本目がアンダーローテーション。アクセルも1つ跳べずに163.06に留まります。トータル254.86 10月頭としてはこんなもの、というくらいでしょうか。ショートで4回転2本決まったのは収穫でした。

 

グランプリシリーズはスケートカナダから。日本の友野選手、三浦選手、山本選手あたりが強く、他はイタリアのリッツォ選手、カザフスタンのシャイドロフ選手あたりがいる試合です。それでも優勝候補の筆頭なわけですが、グランプリシリーズは3位が5回あるものの優勝経験はありません。ショートプログラム。今回は最初のサルコウにコンビネーション付けましたがセカンドは2回転。次の4回転トーループが転倒となって86.18ですが2位スタート。首位の山本選手とは3.38差とまだ射程圏に付けます。ところがフリー、冒頭2本の4回転どちらも転倒。後半にトリプルアクセルまで転倒して合計3転倒。フリー130.43でトータル216.61 9位に終わります。

 

2戦目はフィンランド予定でしたが怪我ということで欠場となります。

本調子の姿が見られないまま年が明けてナショナルを迎えます。今回はショートプログラム、4回転は1本構成。ルッツループも決め全要素プラス評価で96.51 2位に11.45差をつけて首位に立ちます。フリーは4回転1本の安定構成で全要素全ジャッジプラス評価を受け179.43 トータル275.94で韓国選手権8連覇を果たしました。

 

さあ調子が上がってきたか、という流れで4大陸選手権です。ここはアメリカがあまり強い選手を送ってきておらず、カナダはメッシング選手引退で強豪がいない、ということで日本の鍵山選手、佐藤選手、山本選手あたりとの争いになります。ショートプログラムは4回転1本構成で全要素プラス評価をもらい95.30を出して3位に付けます。首位鍵山選手は11.52差あるので遠いですが、2位佐藤選手までは3.90差で射程圏内です。フリーは最終滑走。優勝するには212.28が必要でちょっと現実的ではなくなっていますが2位には179.29で届き、3位表彰台は168.14で届きます。構成は4回転2本を選びました。ルッツ2つに!が付きましたが全体の出来はよく177.65 トータル272.95で3位表彰台となりました。

 

世界選手権は上位4選手が300点級の力があるのでちょっとそこに届くのは大変ですが、その次あたりの位置にいる選手ということで展開次第で表彰台が狙えます。そのあたりが頭にあったでしょうか、ショートプログラム4回転サルコウのあとコンビネーションを無理に3回転飛びに行ったように見えました。ここで転倒。88.21に留まって9位スタートになります。表彰台を狙うには苦しくなったフリー、4回転3本構成を選びますがトーループが1回転に。また2本目のサルコウもアンダーローテーションが付き、後半のアクセルで転倒。残念ながら思うような滑りは出来ず161.44 トータル249.65で10位に終わりました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
Nepela Memorial 222.16 104.08 119.08 66.65 3.32 20.47 13.64
Shanghai Trophy 254.86 131.28 123.58 85.44 7.60 24.16 14.08
Skate Canada 216.61 102.27 119.34 79.71 -15.57 23.66 14.47
Korean Championships 275.94 141.77 134.17 84.28 17.77 24.05 15.67
Four Continents 272.95 143.34 129.61 97.54 6.16 23.98 15.66
World Championships 249.65 126.76 124.89 89.05 -1.55 23.66 15.60

トータルスコアは210点台220点台といったものもありますが、270点台までしっかり出しました。シーズンベストスコアは10位です。

技術点は140点台まで出せます。4大陸選手権の143.34で今期全選手中9位にあたるスコアです。

PCSはナショナルで130点台に乗っていますが、国際大会では129.61が最高です。8.5平均を少し超えるくらいです。4大陸選手権の129.61で今期全選手中8位になります。

ジャンプの基礎点は4大陸で97.54まで出ています。今期全選手中11位にあたります。

加点の方はスケートカナダで大崩れした一方、ナショナルでは大量にもらいました。国際大会では+7.60が最高、ISU公認では+6.16が最高です。

スピンは23点台が多いです。25点台まで出せる選手なので今期はあまり伸びなかったようです。

ステップ系要素は4大陸選手権で15.66まで出しました。今期全選手中6位の評価になります。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
Nepela Memorial 52.98 44.95 55.66 50.27 60.00 58.70
Shanghai Trophy 61.43 56.21 60.95 62.96 62.01 61.70
Skate Canada 51.55 52.78 32.28 61.24 63.79 58.87
Korean Championships 66.88 55.52 73.54 62.58 69.27 68.77
Four Continents 66.11 63.47 59.17 62.34 69.22 65.73
World Championships 60.09 58.38 49.63 61.24 68.95 62.58

偏差値で見るとトータルスコアは60台、いい時は60台後半まで出てきます。

ジャンプの基礎点は50台が多いですが、いい時はこれも60台に乗せました。加点の方も60前後ですが、世界選手権で平均割れは痛かったです。

スピンは60台前半、ステップ系要素は70近いところまで出します。

PCSは60台前半から中盤です。

全体的に60台中盤あたりの力があって、特にステップが得意、ジャンプは基礎点あまり伸びない試合が多かった、という形でした。

 

チャジュンファン選手の要素別偏差値レーダーチャート23-24

レーダーチャートは左寄りです。4大陸選手権では右上もだいぶありますが、右下はそれほどは伸びませんでした。ジャンプが苦手というほどでもないですが、表現系要素の方が点が稼げる構図になっています。

 

●シーズン最高の基礎点構成

○4大陸選手権 ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4S   9.70   3.46 13.16 3.444
2 3Lz+3Lo   10.80   1.60 12.40 2.556
3 FCSp4   3.20   0.69 3.89 2.111
4 3A   8.80 x 0.34 9.14 0.444
5 CSSp4   3.00   0.21 3.21 0.667
6 CCoSp4   3.50   0.75 4.25 2.111
7 StSq4   3.90   1.62 5.52 4.111
  TES   42.90   8.67 51.57  

4大陸選手権でショートプログラム42.90の基礎点がありました。4回転はサルコウ1本。ルッツループをコンビネーションで跳んで1.1倍にトリプルアクセルが来ます。スピンステップオールレベル4で42.90です。このルッツループを4T+2Tに置き換えても基礎点全く変わりません。4回転2本にしてもセカンドが2回転だと基礎点向上が出来ないというのが苦しいところ。なお、1.1倍に3Lz+3Tを持ってきた場合基礎点は42.41になってこの構成より下がりますがその差は0.49ほどです。セカンドループの利点は0.49ほど、ということになります。

ここから基礎点上げるには4回転トーループを入れつつセカンド3回転をきっちり付けること、というのが求められます。それが出来れば45.80という基礎点にすることができます。今期はその構成を目指していたようですが、残念ながら現実化できませんでした。

 

○4大陸選手権 フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4S   9.70   3.60 13.30 3.778
2 4T   9.50   -2.71 6.79 -2.889
3 3Lz!+3Lo ! 10.80   -0.76 10.04 -1.333
4 FCSp4   3.20   0.78 3.98 2.556
5 3Lz! ! 5.90   -2.19 3.71 -3.667
6 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.111
7 3A+2A+SEQ   12.43 x 1.60 14.03 2.000
8 3A   8.80 x 1.14 9.94 1.556
9 3F+1Eu+3S   11.11 x 0.08 11.19 0.222
10 CCoSp4   3.50   0.75 4.25 2.000
11 ChSq1   3.00   2.07 5.07 4.111
12 FCCoSp4   3.50   0.90 4.40 2.556
  TES   85.34   6.43 91.77  

フリーの最高基礎点は85.34でした。4回転は2種類2本。スピンステップオールレベル4で85.34です。昨季は85.40という基礎点があって、そことの差は後半の3連続をルッツからにするかフリップからにするかの差でした。この85.34で今季全選手中8位の基礎点になります。4回転2本でもスピンステップオールレベル4でミスなく稼げればそれだけの基礎点に出来ます。

今期は4回転3本構成を試していたようでした。上海トロフィーでその構成を試していて実際にはうまくいかずに基礎点72.74になっていましたが、ノーミス基礎点は91.38出る構成です。そこまで行けば全選手中3位の基礎点になってきます。4回転2種類は跳べているわけで、種類を増やさず3本目を入れるというのはかなり現実的な範囲ですから、その構成でオリンピックのメダル争いに名を連ねてくるというのは目に見える未来です。

なお、セカンドループ持ちのチャジュンファン選手は、シークエンスのアクセルが不要でそこにセカンドでトリプルトーループを入れることができます。ダブルアクセルとトリプルトーループの基礎点差は0.90なので1.1倍換算で0.99基礎点の向上が可能です。トリプルループの方が実際にはダブルアクセルの代替とみなせると取ると1.60の基礎点差なわけで、セカンドループの価値は1.6点分ということになります。これをハイリスクローリターンと見るか、ミドルリスクミドルリターンと見るかは、セカンドループの安定度合いによるのでしょう。

 

○平均GOE3.000以上

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Korean Championships SP 7 StSq4   3.90   1.64 5.54 4.286
Four Continents FS 11 ChSq1   3.00   2.07 5.07 4.111
Four Continents SP 7 StSq4   3.90   1.62 5.52 4.111
World Championships SP 7 StSq4   3.90   1.56 5.46 4.000
Four Continents FS 1 4S   9.70   3.60 13.30 3.778
Korean Championships FS 11 ChSq1   3.00   1.90 4.90 3.714
World Championships FS 6 StSq4   3.90   1.45 5.35 3.667
Shanghai Trophy SP 7 StSq3   3.30   1.19 4.49 3.600
World Championships FS 11 ChSq1   3.00   1.79 4.79 3.556
Four Continents SP 1 4S   9.70   3.46 13.16 3.444
Korean Championships FS 6 StSq4   3.90   1.33 5.23 3.429
Korean Championships FS 1 4S   9.70   3.49 13.19 3.429
Shanghai Trophy FS 1 4S+3T   13.90   3.30 17.20 3.400
Korean Championships SP 1 4S   9.70   3.10 12.80 3.286
Shanghai Trophy FS 11 ChSq1   3.00   1.60 4.60 3.200
Korean Championships FS 12 FCCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.143
Korean Championships SP 6 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.143
Nepela Memorial SP 7 StSq4   3.90   1.25 5.15 3.143
Four Continents FS 6 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.111
Skate Canada SP 7 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000

今期はシーズン前半不調だったこともあって、あまり高い評価の数は揃っていません。それでも4大陸のコレオ+4.111は今シーズン全選手中5位、同じく4大陸のステップ+4.111は今期全選手中6位タイと高い評価となっています。ステップコレオは一級品です。

 

○4回転サルコウ

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Nepela Memorial SP 1 4S+3T   13.90   2.72 16.62 2.714
Nepela Memorial FS 1 4S   9.70   2.72 12.42 2.714
Nepela Memorial FS 3 4S+2T   11.00   1.94 12.94 2.000
Shanghai Trophy SP 1 4Sq q 9.70   0.00 9.70 0.000
Shanghai Trophy FS 1 4S+3T   13.90   3.30 17.20 3.400
Shanghai Trophy FS 3 4S< 7.76   -0.93 6.83 -1.200
Skate Canada SP 1 4S+2T   11.00   1.94 12.94 2.000
Skate Canada FS 1 4S< F 7.76   -3.88 3.88 -5.000
Korean Championships SP 1 4S   9.70   3.10 12.80 3.286
Korean Championships FS 1 4S   9.70   3.49 13.19 3.429
Four Continents SP 1 4S   9.70   3.46 13.16 3.444
Four Continents FS 1 4S   9.70   3.60 13.30 3.778
World Championships SP 1 4S+3T<< F 11.00   -4.85 6.15 -5.000
World Championships FS 1 4S   9.70   2.49 12.19 2.556
World Championships FS 3 4S<+1T 8.16   -2.77 5.39 -3.556

4回転サルコウは本来得意なジャンプです。今期はショートでコンビネーションにするか単独にするか、フリーで2本にするか、など構成で試行錯誤もありました。

4回転サルコウが入った要素としては今季15回あり、サルコウで転倒が1回、セカンド転倒が1回、サルコウでアンダーローテーション2回、ということで±0以上の成功ジャンプは11回でした。

4大陸選手権で+3.778の評価がありますが、これは今期の全選手中3位と高い評価です。

 

○4回転トーループ

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Nepela Memorial FS 2 4T< F 7.60   -3.80 3.80 -5.000
Shanghai Trophy SP 2 4T+2T   10.80   1.71 12.51 1.800
Skate Canada SP 2 4T F 9.50   -4.61 4.89 -4.778
Skate Canada FS 2 4Tq F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
Four Continents FS 2 4T   9.50   -2.71 6.79 -2.889
World Championships SP 2 4T   9.50   2.58 12.08 2.667

4回転トーループは今期はショートに入れたり入れなかったりあり、フリーは基本的には1回入れようとしていました。

これが結局4回転の要素として入ったのは6回でそのうち3本転倒。また、抜けて1回転になったものが1回、2回転になったものが2回ありますので、実質的には9回飛んでちゃんと降りたのが3回、そのうちGOEプラスの成功ジャンプは2回だけということになっていました。

ここまで苦手なジャンプでは本来なかったのですが、今期は今一つうまくいきませんでした。

 

○セカンドループの要素

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Nepela Memorial FS 5 3Lz+3Lo< 9.82   -2.60 7.22 -4.143
Shanghai Trophy FS 9 3F!q+3Loq ! 11.22 x -1.17 10.05 -2.200
Korean Championships SP 2 3Lz+3Lo   10.80   1.42 12.22 2.429
Four Continents SP 2 3Lz+3Lo   10.80   1.60 12.40 2.556
Four Continents FS 3 3Lz!+3Lo ! 10.80   -0.76 10.04 -1.333
World Championships FS 5 3Lz+3Lo   10.80   1.52 12.32 2.667

チャジュンファン選手はセカンドループを飛びます。基本的にはルッツから飛ぶのですがフリップから入れることも可能です。今期は6回飛んでGOEプラスは3回。成功率は5割ですが、4大陸のショートや世界選手権のフリーといったところでは決めていました。

世界選手権の+2.667は、今期の全選手のセカンド3Loの中で最高評価でした。

 

昨季は世界選手権のメダルを取ったのですが、今期は4大陸のメダルまでで世界選手権は10位。一歩後退、というような形になりました。ショートで4回転2本、フリーで3本という構成に上げて行こうとしている途中段階。全体の完成度の評価が高い選手なので、この合計5本の4回転の構成が組みあがると、オリンピックでも表彰台候補として戦えることになると思います。来期は、その準備期間となっていくのだろうと思われます。