23-24 マッテオリッツォ

1998年9月5日生まれ

シニア6シーズン目

シーズン獲得賞金:$23,000

世界ランキング:9位

シーズンランキング:15位

シーズンベストスコア 250.87(20位) ヨーロッパ選手権

ショートプログラムシーズンベスト 80.43 ヨーロッパ選手権

フリーシーズンベスト 171.02 スケートカナダ

スピンレベル4率 12/24 = 50.0%

ステップレベル4率 3/8 = 37.5%

スピンオールレベル4 0/4

スピンステップオールレベル4 0/4

ジャンプ回転不足率 5/40 = 12.5%

ジャンプ回転不足なし 1/4

スピンステップオールレベル4ジャンプ回転不足なし 0/4

 

○23-24シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
IC Shanghai Trophy 4 200.85 64.27 136.58
GP Skate Canada 3 246.01 74.99 171.02
GP Grand Prix Espoo 4 241.47 73.37 168.10
EC European Championships 3 250.87 80.43 170.44

リッツォ選手は昨季ヨーロッパ選手権2位。世界選手権9位。着実に結果を残してきているベテラン選手です。代表争いが厳しくなってきたイタリア男子の中でも、これまでの実績はナンバーワンと言えそうな選手です。

 

今期は上海の招待試合から入りました。ショートではトーループが3回転になり、次のループ転倒でコンビネーション丸々入らずという散々な出来で64.27 フリーも4回転トーループはアンダーローテーション。全体的に精彩を欠いて136.58に留まりトータル200.85 シーズン序盤とはいえ心配なスコアで始まります。

 

グランプリシリーズはスケートカナダから。ここは日本の友野選手と韓国のチャジュンファン選手がシードで、他に山本選手や三浦選手もいるという、東アジア組が強い試合です。ショートはやはり散々。4回転2本が共にアンダーローテーション。セカンドジャンプが2回転。74.99で10位スタートとなります。ただ、全体的に伸びていない。3位までなら6.64差という程度に収まっています。フリーは今季初めて4回転を決めてきました。それもループ、トーループ、どちらも成功です。全体としてセカンド3回転が入らず2回転になったくらいであとはほぼミスなく171.02まで出してトータル246.01 最終的にこのスコアで3位表彰台。2年連続のスケートカナダ表彰台、通算でグランプリシリーズ3回目の表彰台となりました。

 

初戦3位を持っていると2戦目にファイナルの可能性が出てきます。5戦目のフィンランドで登場。ここで初戦2位を持つエイモズ選手、三浦選手、初戦3位を持つ佐藤選手と4人でファイナルを争います。点数の低い3位なので優勝しないとファイナルの可能性は低い、という立場です。ショートプログラム最終滑走で出てきますが、4回転トーループを転倒すると、2つ目はルッツからのコンビネーションで3-2に。73.37に留まり6位となります。首位とは20.17差。逆転するのはちょっと現実的ではない中でのフリー、4回転トーループをしっかり決めたのですが、次の4回転ループはアンダーローテーション。以降はしっかり滑ったはずだったのですが、コレオがまさかのノーバリューというのもあって168.10に留まりトータル241.47 最終順位は4位。ファイナル進出はなりませんでした。

 

この後ゴールデンスピンにイタリアナショナルという予定だったのですが、ケガの影響で棄権。ヨーロッパ選手権に絞って出てきました。ショートプログラムは最終滑走で登場。冒頭の4回転トーループが2回転になって零点。あとはしっかり滑りましたが80.43で6位スタートになります。3位と9.62差、1位とは13.70差。かなり大きなビハインドを負いました。フリーは最終グループの1番滑走。4回転ループは封印して4回転1本構成にします。この冒頭の4回転トーループは平均GOE+2.667もらう成功。以降も前半いいジャンプを決めていきます。後半に入ってもよかったのですが、最後のトリプルアクセルで転倒。それでもフリー170.44まで出してトータル250.87 最終順位は3位。2年連続3度目の表彰台となりました。

 

次は世界選手権、ではなく、ヨーロッパ選手権前からのケガを手術するということでここでシーズン終了となりました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
Shanghai Trophy 200.85 90.76 113.09 65.28 -4.09 18.08 11.49
Skate Canada 246.01 125.93 120.08 91.12 1.24 21.61 11.96
Grand Prix Espoo 241.47 118.46 124.01 89.42 0.56 19.21 9.27
European Championships 250.87 126.79 125.08 81.22 8.60 22.74 14.23

トータルスコアは初戦は200点ほどでしたが、あとの3試合は240~250点のところにいました。

技術点は126.79が最高です。PCSも120点台で125.08が最高。今期全選手中12位のPCSです。技術点よりPCSの方が強い選手です。

ジャンプの基礎点はグランプリ2試合では90点前後ありました。加点の方はヨーロッパ選手権の方が高く+8.60まで出ています。

スピンは最高でも22.74とあまり伸びていません。ステップ系要素はヨーロッパ選手権で14.23がありました。

昨季と比べて全体的に落ちているように見えます。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
Shanghai Trophy 47.48 44.12 46.49 42.06 50.18 54.70
Skate Canada 59.14 59.62 53.08 54.19 52.33 59.37
Grand Prix Espoo 57.97 58.60 52.24 45.95 40.05 61.99
European Championships 60.40 53.68 62.19 58.08 62.69 62.70

偏差値で見ると、トータルスコアはヨーロッパ選手権で60に乗せました。

ジャンプの基礎点は50台まで。加点の方はヨーロッパ選手権で60台に乗せています。

スピンステップは悪い時は平均割れ。スピンはいい時も50台後半までですが、ステップ系要素は60台に乗せます。

PCSは60前後でした。

各要素60前後の偏差値ということに今シーズンはなっていました。

 

マッテオリッツォ選手の要素別偏差値レーダーチャート23-24

レーダーチャートで見ると右上が凹むか右下が凹むかという形です。

ジャンプの基礎点と出来栄えが両立していない、という形です。

スピンステップもヨーロッパ選手権以外は凹んでいます。

全部いい時で合うとバランスの取れた六角形になりそうですが、そういう試合はありませんでした。

 

●シーズン最高の基礎点構成

スケートカナダ ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T<+2T 8.90   -2.82 6.08 -3.667
2 4Lo< 8.40   -4.20 4.20 -4.889
3 CCoSp4   3.50   0.65 4.15 1.778
4 3A   8.80 x 1.83 10.63 2.222
5 StSq3   3.30   0.94 4.24 2.778
6 CCSp3   2.80   0.52 3.32 1.667
7 FSSp4   3.00   0.17 3.17 0.556
  TES   38.70   -2.91 35.79  

ショートプログラムの今期の最高基礎点は38.70でした。4回転2種類ですがどちらもアンダーローテーション取られています。セカンドジャンプも2回転です。

セカンド3回転も飛べて、スピンステップもオールレベル4というこの構成の完成形なら46.60の基礎点になります。

 

スケートカナダ フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T   9.50   2.71 12.21 2.667
2 4Lo   10.50   2.10 12.60 2.000
3 3F+1Eu+3S   10.10   1.14 11.24 2.111
4 3Lz+2T   7.20   0.84 8.04 1.333
5 CCoSp4   3.50   0.85 4.35 2.556
6 ChSq1   3.00   0.71 3.71 1.444
7 3A+2A+SEQ   12.43 x 1.60 14.03 2.111
8 3Lz   6.49 x 0.67 7.16 1.111
9 3A   8.80 x -2.63 6.17 -2.778
10 StSq3   3.30   0.71 4.01 2.222
11 CCSp3   2.80   0.52 3.32 1.778
12 FSSp4   3.00   0.30 3.30 1.000
  TES   80.62   9.52 90.14  

フリーは80.62の基礎点がスケートカナダでありました。

4回転はループとトーループ。2回飛ぶジャンプはトリプルアクセルトリプルルッツです。セカンド3回転が入らず、スピンステップ1つづつレベル3で80.62でした。昨季と基本構成は同じで、昨季はセカンド3回転も入りスピンステップレベル4も取れて84.52というのを国別対抗戦で出していました。まずはその完成形を、ケガの回復後に出していくのが目指す場所なのだろうと思われます。

 

○平均GOE2.300以上

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
European Championships SP 6 StSq4   3.90   1.23 5.13 3.111
Grand Prix Espoo SP 5 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
European Championships SP 4 3A   8.80 x 2.40 11.20 3.000
Grand Prix Espoo FS 1 4T   9.50   2.85 12.35 3.000
European Championships FS 3 3F+1Eu+3S   10.10   1.51 11.61 2.889
Grand Prix Espoo FS 5 CCoSp3   3.00   0.86 3.86 2.889
Shanghai Trophy SP 6 StSq3   3.30   0.92 4.22 2.800
European Championships FS 5 CCoSp4   3.50   1.00 4.50 2.778
European Championships FS 10 StSq4   3.90   1.06 4.96 2.778
Skate Canada SP 5 StSq3   3.30   0.94 4.24 2.778
European Championships SP 5 CCoSp4   3.50   0.95 4.45 2.667
Skate Canada FS 1 4T   9.50   2.71 12.21 2.667
Grand Prix Espoo FS 10 StSq3   3.30   0.90 4.20 2.667
European Championships FS 1 4T   9.50   2.44 11.94 2.667
Skate Canada FS 5 CCoSp4   3.50   0.85 4.35 2.556
Shanghai Trophy FS 4 3Lz+3T   10.10   1.42 11.52 2.400
Shanghai Trophy FS 5 CCoSp2   2.50   0.60 3.10 2.400
Grand Prix Espoo FS 11 CCSp3   2.80   0.68 3.48 2.333
European Championships FS 6 ChSq1   3.00   1.14 4.14 2.333

昨季は評価の上位はほとんどステップでしたが、今期はそうでもないです。ただ、これは他の要素が伸びたというよりは、今期はステップも伸びなかったということによります。

股関節のケガというのはステップにも悪影響与えていたでしょうか。本来ならもう+1くらい上の水準が出せる選手です。

 

○4回転ループ

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Skate Canada SP 2 4Lo< 8.40   -4.20 4.20 -4.889
Skate Canada FS 2 4Lo   10.50   2.10 12.60 2.000
Grand Prix Espoo FS 2 4Lo< 8.40   -1.32 7.08 -1.556

4回転ループは今期は3回要素に入っていて、GOEプラスの成功ジャンプは1度だけでした。

ただ、4回転ループの成功者は少なく、今シーズン全選手の中で3人しかいません。希少なルーパーです。

 

○4回転トーループを含む要素

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Shanghai Trophy FS 1 4T< 7.60   -1.52 6.08 -2.000
Skate Canada SP 1 4T<+2T 8.90   -2.82 6.08 -3.667
Skate Canada FS 1 4T   9.50   2.71 12.21 2.667
Grand Prix Espoo SP 1 4T< F 7.60   -3.80 3.80 -5.000
Grand Prix Espoo FS 1 4T   9.50   2.85 12.35 3.000
European Championships FS 1 4T   9.50   2.44 11.94 2.667

4回転トーループは今季6回要素として入りました。このほかに2回転になったものが1度、3回転になったのが2度ありますが、3回転になったものは、最初から安全策で3回転にしていた可能性もあります。

GOEプラスの成功ジャンプは3回。見た目は確率50% トーループジャンプ全体で見ると33.3%の成功率ということになります。

フィンランドでの+3.000は今期全選手中9位の4回転トーループになります。

 

○3連続の要素

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Shanghai Trophy FS 3 3F+1Eu+3S   10.10   0.95 11.05 1.800
Skate Canada FS 3 3F+1Eu+3S   10.10   1.14 11.24 2.111
Grand Prix Espoo FS 3 3F+1Eu+3S   10.10   1.06 11.16 2.111
European Championships FS 3 3F+1Eu+3S   10.10   1.51 11.61 2.889

3連続ジャンプは今季4試合でしっかりすべて入り、しっかりすべてGOEプラスの成功ジャンプでした。こういうところでしっかり点を取ることで、ケガを抱えながらも今期も一定の結果を残すことが出来ていたようでした。

 

リッツォ選手は今期は4試合の出場に留まりました。股関節のケガということでシーズン中盤から試合をセーブして、ヨーロッパ選手権後に手術ということで世界選手権も欠場。たしかに、無理するべきシーズンでもなかったので、それでよかったのだろうと思われます。

ただ、イタリアは男子のレベルがあがりました。メモラ選手、フランジパーニ選手、このあたりと2枠しかない代表争いをしていかないといけません。

来期はケガから回復しての活躍を期待します。