チャレンジャーシリーズ18一区切り3

2までがだいぶ長くなって、3部構成になりました

日本女子シングルの3話目

おさらいとして、もう一度、出場した日本人選手の得点を並べます

 

紀平梨花 218.16(70.79(40.67+31.12) 147.37(81.05+66.32) 優勝 オンドレイネペラ杯

三原舞依 209.22(70.94(39.06+31.88) 138.28(72.92+65.36) 2位 ネーベルホルン杯

宮原知子 201.13(67.53(32.53+35.00) 133.70(66.54+68.16) 優勝 USインターナショナル

山下真瑚 182.22(55.33(27.73+28.60) 126.89(65.93+60.96) 3位 ロンバルディア

坂本花織 180.85(49.91(20.63+30.28) 130.94(66.70+64.24) 4位 ロンバルディア

本田真凛 178.89(56.66(27.38+30.28) 122.23(58.79+63.44) 6位 ネーベルホルン杯

白岩優奈 173.01(55.35(28.79+27.56) 118.54(59.30+60.24) 2位 アジアンオープン

白岩優奈 170.74(54.47(28.91+26.56) 115.39(55.39+60.00) 5位 USインターナショナル

樋口新葉 167.01(57.54(28.22+29.32) 109.47(48.23+62.24) 5位 オータムクラシック

山下真瑚 163.45(50.97(24.53+27.44) 112.48(55.44+57.04) 3位 アジアンオープン

松田悠良 143.02(47.75(24.23+24.52) 95.27(45.59+49.68) 9位 オータムクラシック

新田谷凛 133.86(45.57(20.41+26.16) 88.29(39.05+50.42) 9位 オンドレイネペラ杯

本郷理華 133.66(46.54(19.69+26.85) 87.12(39.91+49.21) 16位 フィンランディア杯

 

前回までの話で残っているのは、200点を超えた3選手です

今回は実績順に触れていきたいと思います。

 

 

宮原選手は昨年はケガに苦しんで出遅れましたが、今シーズンはチャレンジャーシリーズからの登場となりました

USインターナショナルでショート、フリー、それなりにまとめて手堅く優勝。まずタイトル一つ、今シーズンも取りました

点数的にも200点を超えているので、及第点と言えば及第点なのかもしれませんが、宮原選手の水準からすると、決していい点数なわけでもない、とも言えます

実際、ショートではダブルアクセル以外の三つのジャンプはすべて回転不足扱いにされていますし、フリーは回転不足は取られなかったものの、冒頭のサルコウが二回転に、二つ目のルッツで転倒、二回目のルッツでコンビネーションが付かずリピート扱いとされています

ただ、さすがだなと思わされるのが、ショートフリー通じて、合計6つのスピン、2つのステップ、すべてがレベル4でGOEも平均+3以上がついています。プログラムコンポーネントもショートで35点、フリーで68点

これだけ入ると、ジャンプで散々ミスが出ても200点取れるんですよ、という一つの手本のような形になっています

 

ジャンプは矯正中、というような話も聞きますし、今年はもしかしたら日本人選手に負ける場面というのも頻繁に出てくるかもしれません。それでも、ジャンプでこれだけミスが出てもほかで稼いで200点までは少なくとも出せる、という力を持っていると、世界選手権の切符を取るところまでは問題なくいくのかな、という印象です

 

グランプリシリーズは初戦のスケートアメリカと4戦目のNHK杯にエントリーです。

メンバー的には二連勝もあり得るのですが、最大のライバルは日本人、というシチュエーションになっていて、足元をすくわれる可能性もあります

 

 

 

三原選手はショートフリーとも素晴らしい出来でした。残念ながらフリーの最後のジャンプ、サルコウが2回転になってしまって、ノーミスオール加点、とはいきませんでしたが、それ以外はミスなくまとめました。

結果として209.22

フリーの曲は昨年から持ち越し、ということもあってか仕上がりが早いのでしょうか

曲を持ち越すというのは割とよく聞くのですが、オリンピックシーズンで使った曲を次のシーズンも使う、というのはあまり聞かない気がします。世界大会で見せるつもりが、一番大きくて四大陸選手権になってしまったから、今シーズン世界大会でちゃんと見せる、というつもりなんでしょうか。彼女に合っていると思うので、また今シーズンも見られるというのは有り難いことではあるのですが、珍しいパターンだなとも思いました

 

シニアに上がってからの二シーズンの印象として、ショートでいまいちなのをフリーで取り戻す、というのがありました。今回はそれがなく、ショートでしっかり滑ってフリーもしっかり滑った。チャレンジャーシリーズという、彼女からしたら少し格下というか、小手調べ程度の大会でありプレッシャーが薄かったからという可能性もありますが、とにかくショートがしっかり滑れたのはたぶん収穫です

 

一方で、考え込んでしまうのが、これ、ここからさきどうやって点数を伸ばすんだろう? というところ。

フリーでサルコウが2回転になった、というのはあるので、それをちゃんと3回転にすること、というのが上乗せ要素としてあるのですが、あとは、わかりやすい問題点が見当たりません。その状態で209.22  世界で表彰台に乗るにはちょっと足りないですし、宮原選手はもちろん、坂本選手樋口選手あたりがミス一つくらいで抑えて来たら上に行かれてしまうくらいの点数です

どうしたらいいのだろう?

 

スピンステップでレベルが3になる、というのがショートフリー合わせてたいてい2つ3つあるので、その辺をレベル4しっかりとる、というのは一つあるのですけど、それくらい

あとは、細かい加点をどうとっていくか、という水準になってきています

今回はショートフリーすべての要素で、GOEに+5をつけたジャッジが一人もいませんでした。この辺の加点要素を一つ一つ加えていくしかない

あと、プレゼンテーションスコアもトップ選手の方ではあまり高くなく、今回もショートで31点台、フリーも65点台にとどまってました

そういう、細かい積み上げしかあと残っていない、というのがある種この先の困難な道のりを感じさせます

 

グランプリシリーズは4戦目のNHK杯と、最終6戦目のフランスにエントリーしています。NHK杯で日本人決戦に勝てれば、グランプリシリーズ初優勝が見えてくる、というメンバー構成です

 

 

紀平梨花選手はこのチャレンジャーシリーズがシニアデビュー戦でした

ショートプログラム冒頭のトリプルアクセルで転倒してしまい、素晴らしい立ち上がり、とはいかなかったのですが、他はしっかりまとめて70点に乗せました。転倒しているのに技術点が40点に乗っているわけですから驚異的です。フリーは大きなミスがなく、トリプルアクセルも二本決め技術点は80点オーバーのトータル147.37をデビュー戦でたたき出しました

彼女の恐ろしいところは、これがノーミスパーフェクト演技ではなく、ほどほどにミスがあり改善点、伸びしろを残した中での点数、というところです

ショートでトリプルアクセルを転倒した、というのがその一番のものですが、こっそり最後のジャンプが時間的に後半にならずに1.1倍にしてもらえなかった、というミスがありました。これは本人のというより振り付け上の失敗のような気がしますが。フリーは最後のサルコウはふらついていてGOEがマイナスです。また、シニアデビュー戦でフリーのプログラムコンポーネントが66.32ついた、というのは驚異的ではあるのですが、これは何戦かするうちにまだ伸びるはずです。単純計算すると、全部ノーミスで滑れば230点くらいはすぐに到達します。もう一押しでノーミスのザキトワ選手と五分に勝負できる、という領域です

そういえば、ザキトワ選手が先の世界選手権のフリーで大失敗して負ける以前、ロシア人選手以外にはしばらく負けなしでいたわけですが、一番近いところでザキトワ選手に勝ったのは紀平選手でした。2016年のジュニアグランプリシリーズ、リュブリャナ大会。ショート2位からフリーで逆転、ザキトワ選手を下して優勝していました。

 

採点表見ていて不思議だったのは、彼女のフリー演技はジャッジ毎のGOEのばらつきが大きいんですね。コレオシークエンスではGOE+5とつけたジャッジが二人+4が一人いるのにもかかわらず、+1のジャッジも一人いる。ステップシークエンスも+5+4が一人づついるのに、+2も3人いる。3Lz-2T-2Loも+3が2人いるのに+0が2人いる。2段階くらいまでならまだしも、こんな風に3段階以上GOEがばらつく要素が多数ならぶ、というのはちょっとよくわかりません。プログラムコンポーネントも一番いい点をつけたジャッジと一番悪い点をつけたジャッジで1.00あるいは1.25の差があったりします。5要素でそれなので、5点、掛ける係数0.8分の差がジャッジ間である、ということになります

これがもし、ジュニア上がり選手に対する先入観、というものに由来するのだとすると、やがて加点の大きい側にそろっていく、ということになるのですが、実際のところどうでしょう。

 

彼女はトリプルアクセルを飛ぶこともありジュニア時代から、あるいはノービスの時代から騒がれる選手でした。ただ、大きな国際大会での大きな実績、というのはまだありません。

ジュニアグランプリファイナルには二シーズン続けて出場したものの二回とも4位で表彰台に届かず。

世界ジュニアはジュニア一シーズン目は代表になれず、二シーズン目はフリーで崩れて8位どまり。

国内ではノービスAも全日本ジュニアも、卒業年には優勝していますし、ご存じ昨年の全日本は、オリンピック代表候補たちに交じって三位表彰台。

国内ではそれなりに実績を上げてますし、海外でもグレードの少し低い試合では成果が上がっているのですが、さて、グレードの高い試合で結果が出せるか、というのがこの先問われることになります。

 

グランプリシリーズは4戦目のNHK杯と6戦目のフランスにエントリーです。NHK杯には日本からはチャレンジャーシリーズで200点を上回った3人が出る、というシーズン序盤の日本人頂上決戦になります。そのほかに、ラジオノワ、ソツコワ、トゥクタミシェワとカナダのデールマンあたりに勝つことが、デビュー戦優勝を果たすための条件となります。

 

 

考えてみれば、チャレンジャーシリーズに11人、グランプリシリーズにも10人出場する、というのはなかなかすごいことです。

今シーズンのグランプリシリーズはついにすべての試合に3人がエントリーされました。

これだけいると、全員が全員うまくいく、結果を出す、というのはありえないのでしょう

 

それでも、一人一人、思い通りの滑りを見せてくれたらな、と願います

 

 

 

チャレンジャーシリーズ18一区切り2

1がだいぶ長くなりそうなので二つに分けました

日本女子シングルの2話目

おさらいとして、もう一度、出場した日本人選手の得点を並べます

 

紀平梨花 218.16(70.79(40.67+31.12) 147.37(81.05+66.32) 優勝 オンドレイネペラ杯

三原舞依 209.22(70.94(39.06+31.88) 138.28(72.92+65.36) 2位 ネーベルホルン杯

宮原知子 201.13(67.53(32.53+35.00) 133.70(66.54+68.16) 優勝 USインターナショナル

山下真瑚 182.22(55.33(27.73+28.60) 126.89(65.93+60.96) 3位 ロンバルディア

坂本花織 180.85(49.91(20.63+30.28) 130.94(66.70+64.24) 4位 ロンバルディア

本田真凛 178.89(56.66(27.38+30.28) 122.23(58.79+63.44) 6位 ネーベルホルン杯

白岩優奈 173.01(55.35(28.79+27.56) 118.54(59.30+60.24) 2位 アジアンオープン

白岩優奈 170.74(54.47(28.91+26.56) 115.39(55.39+60.00) 5位 USインターナショナル

樋口新葉 167.01(57.54(28.22+29.32) 109.47(48.23+62.24) 5位 オータムクラシック

山下真瑚 163.45(50.97(24.53+27.44) 112.48(55.44+57.04) 3位 アジアンオープン

松田悠良 143.02(47.75(24.23+24.52) 95.27(45.59+49.68) 9位 オータムクラシック

新田谷凛 133.86(45.57(20.41+26.16) 88.29(39.05+50.42) 9位 オンドレイネペラ杯

本郷理華 133.66(46.54(19.69+26.85) 87.12(39.91+49.21) 16位 フィンランディア杯

 

前回は下位三選手の話をしましたので、今回は真ん中の5選手の話

高1~高3、高校生の実力者たちが並びます

出来れば全員本気のインターハイ、とか見てみたい世代なんですけど、四大陸選手権近い時期のインターハイでそれはありえませんかね

さて、ではこの5選手は、実績の薄い側から

 

今シーズンシニアに上がった山下選手は、初戦のアジアンオープンはショートで崩れたのをフリーでいくらか盛り返しての三位表彰台。二戦目ロンバルディアも展開としては同じですが、ショートの崩れ方を抑え、フリーの盛り返し方を盛り、点を伸ばしてまたも三位表彰台

満足いく出来ではないながらある程度の結果は出た形です

二戦目の方の中身を見てみると、ショートではコンビネーションは二つ目が2回転に、単独フリップは回転不足にエッジエラーに転倒。ただ、この転倒以外はGOEが全要素プラスでなんとかこらえた形。フリーは後半疲れたのか、ループとサルコウが回転不足になり、ダブルアクセルも一つGOEマイナスになりましたが、冒頭の3-3-2もしっかり決まり、スピンもレベル4三つ揃え、表彰台に乗りました

一つポイントとしては、グランプリシリーズに入る前に、プログラムコンポーネントで60点を超える点数をもらえた、というのはあると思います

もちろん、上位と戦うには60.96ではまだまだ足りませんが、グランプリで2戦戦う中で伸ばしていけばいい。

彼女の立ち位置は昨年の坂本選手と同じです。前年度の世界ジュニア3位表彰台。同時にシニアに上がる選手は自分より目立っている。グランプリは2試合もらえた。

もしかしたら戦略的にも同じ方向性で行くんでしょうか。出なくても全日本まで進めるのに、中部ブロック大会にも出場したり、大会数多めで進んでいます

ここまでの流れは完ぺきではないけどチャンスある、という雰囲気を出しているように見えます

 グランプリシリーズは2戦目のスケートカナダと5戦目のロシアにエントリーです

同門の松田悠良先輩と2戦一緒、初戦は宇野選手もいて、馴染みのメンバーでの遠征になって、比較的心理的には楽かもしれません

 

シニア二年目の白岩優奈選手は初戦、二戦目と今一つ。特に、二戦目で初戦より点数を落としているのが気になります。

USインターナショナルではショートは単独ループが回転不足の上転倒、3-3はふらついてのGOEマイナス。フリーは二回あるトリプルルッツ-トリプルトーループがジャンプ4つ全部回転不足。さらにはフリップやサルコウにも回転不足。つまりジャンプ要素6つで回転不足があり、出来栄えもよくなく点は伸びず。

ただ、よかった点として、フリーではスピンがすべてレベル4取れていたという点があげられます。スピンの取りこぼしの多い選手なのですが、今回はスピンで救われていました。

ジャンプは元々得意なので、たぶん、緊張感さえ耐えられれば、そこは戻ってくると思います。そこにスピンでしっかりレベルが取れるようになったら鬼に金棒、と言いたいのですが、まあ難点はもう一つ。プログラムコンポーネントが伸びてこない。

出場に試合とも、フリーでやっと60点に乗りました、という水準だと、トップで戦うのはやや苦しいです。昨シーズンなら、シニアに上がったばかりなので試合数積んで~、と言えたのですが、今年は二シーズン目。そのあたりの改善が求められるんでしょうか。

グランプリは11月頭のヘルシンキの試合にエントリーしています。

 

同じくシニア二年目の本田真凛選手は今一つなシーズン初戦。ショートではダブルアクセルで転倒、単独フリップがダウングレード。フリーでは後半のダブルアクセル-トリプルトーループはトーループが回転不足、トリプルフリップ-ダブルトーループはフリップが回転不足。単独ループは2回転に。後半の1.1倍ジャンプがすべてうまくいかずに点を伸ばしきれませんでした。

ただ、採点表を見ると、加点がもらえている要素は、加点が割と大きい、という印象です。スピンやステップでGOEが3以上ついている要素が結構あります。その辺が悪いながらも大きく落ち込まなかった一つの理由。もう一つはプログラムコンポーネントが結構稼げています。ショートでは30点、フリーでも63点台で、多少出来が悪くてもこの下支えがある。だから何とかなっている、というのがあります。本当の上位と戦うには63点台では足りないのですが、170点台の選手の中では頭一つ出ている形です。

あとはジャンプ。これさえ何とかなれば上位と戦えるのですけど

ジャンプはとにかく数、と安藤美姫さんが言っていたような気がしますが、それが正しいのだとすると、ジャンプは彼女にはちょっと相性が悪い、ということになるかもしれません。

ジュニア時代は普段ボロボロでも大事な試合一発にしっかり合わせて結果を出してきた選手

昨シーズンはそれが出ませんでしたが、今シーズンはその勝負強さをもう一度見たいです

グランプリは初戦のスケートアメリカと最終戦のフランスにエントリーしています

 

 

昨シーズン世界選手権2位に入った樋口選手はちょっと驚くような出来でした。ショートフリーで3回転のジャンプで加点が付いたのは、リピート扱いで基礎点を下げられたフリーの二回目のルッツのみでした。ダブルアクセルなら単独でもコンビネーションでも加点が付くのですが、三回転のジャンプでミスが並ぶ。こうなるとどうしても点は伸びないです。

ただ、素晴らしかったのは、ショートとフリーで合計6つあるスピン、2つあるステップがすべてレベル4の加点付き。この辺は樋口選手の得点への執念を感じます

ジャンプは、どうしちゃったんですかね。コンビネーションがまともに入らない、きちんと飛べる3回転が全然入ってこない、というのは少し心配です。東京選手権でも3-3は一つも入らなかったようですし。

3-3の無い樋口新葉、というのは考えにくいのですが・・・。ここで並んだ5名の中で、一番心配なチャレンジャーシリーズの入りでした。

グランプリは10月末のスケートカナダと五戦目のロシアにエントリーです

 

昨シーズンは飛躍のシーズンとなり、四大陸選手権でタイトルを取り、オリンピック6位入賞を果たした坂本花織選手。

シーズン最初の国際試合はいまいちな入りでした

なんといってもショートがひどかった・・・

冒頭ジャンプはフリップで転倒。後半はコンビネーションをリカバリーしたいところが一つ目のループが2回転になりコンビネーション付かず。ついでに一つ目のスピンは入りで失敗しGOEマイナス。ステップはレベル2  この出来でも、プログラムコンポーネントは30点付いたのはかろうじて救いでした

49.91と50点を割り込むスタート。このスコアだと、世界選手権当たりではショート落ちもあり得る感じでしょうか。このレベルの選手でも、ジャンプ二つ失敗するとショート落ちがあり得る、と考えると恐ろしいですね

その状況からフリーはなんとかまとめました。まあコンビネーションが一つ入らなかったり、最後のループが回転不足だったり、3-3が入らなかったりありましたが、スピンはすべてレベル4、GOEも+3から4をかなりのジャッジが並べる滑りで130点台に乗せました

ジャパンオープンでも130点には乗せていますし、そんなに良くなくても130点ならいつでも出せる、というところを見せています

グランプリシリーズは初戦のスケートアメリカと3戦目のヘルシンキにエントリー。スケートアメリカは宮原選手やラジオノワなど強豪がいるはいますが、ザキトワのような絶対的な選手がいないので、グランプリ初優勝のチャンスかと思います

 

 

このあたりの5選手は、世界選手権を目指すというコースになるのだと思いますが、まずはグランプリシリーズでどこまで結果を出せるか

ファイナルに残ることができる選手は出てくるでしょうか

坂本選手、樋口選手あたりは、顔ぶれ見ると2戦とも2位以内のチャンスが十分あるように見えるので、期待したいのですけど、どうなりますかね

 

 

長くなったのでその3へ続く

チャレンジャーシリーズ18一区切り1

 

シニアの選手にとってはグランプリシリーズの前にある、シーズン最序盤の一連のチャレンジャシリーズが一区切りしました

チャレンジャーシリーズ自体は全10戦あって、まだあと3試合あるのですが、グランプリシリーズが始まるとトップ選手のほとんどはそちらに向かい、チャレンジャーシリーズにはあまり出てこなくなります

トップ選手がグランプリシリーズ前の小手調べとして出てくる、という形でのチャレンジャーシリーズは、10/7までのフィンランディア杯で終わったと言ってよいと思います

 

ここまでの7試合は以下のスケジュールでありました

8/1-5 アジアンオープンフィギュア(タイ バンコク)

9/12-16 USインターナショナル(米国 ソルトレイクシティ)

9/12-16 ロンバルディアトロフィー(イタリア ペルガモ)

9/19-22 オンドレイネペラトロフィー(スロバキア ブラティスラバ)

9/20-22 オータムクラシック(カナダ オークビル)

9/26-29 ネーベルホルン杯(ドイツ オーベルストドルフ)

10/4-7 フィンランディア杯(フィンランド エスポー)

 

突出して早くにあるアジアンオープン以外は9月に入ってから4週続けて欧米各地で開催されます。

 

7試合分をいろいろと振り返るのは結構分量が多くなりそうなので、何回かに分けてみようと思います

 

今回は、日本女子編ということにします

 

全7試合に出場したのは以下の選手です

アジアンオープン:白岩優奈 山下真瑚

USインターナショナル:宮原知子 白岩優奈

ロンバルディア杯:山下真瑚 坂本花織

オンドレイネペラ杯:紀平梨花 新田谷凛

オータムクラシック:樋口新葉 松田悠良

ネーベルホルン杯三原舞依 本田真凛

フィンランディア杯本郷理華

 

顔ぶれとしては、日本スケート連盟指定の特別強化選手6名と、強化選手Aのうちシニアの選手4名、強化選手Bのうちシニアの選手1名、つまり強化選手に名を連ねるシニアの選手全員11名が出場した形になります

アジアンオープンフィギュアに出た二名は、9月以降の中の試合を含めて2試合、他の選手は1試合です

 

かなりはっきり明暗分かれてます

違う大会で得点比べるのはいかがなものか? という意見もあるかと思いますが、ここでは大会関係なく、得点順に並べてみたいと思います。

 

紀平梨花 218.16(70.79(40.67+31.12) 147.37(81.05+66.32)優勝 オンドレイネペラ杯

三原舞依 209.22(70.94(39.06+31.88) 138.28(72.92+65.36)2位 ネーベルホルン杯

宮原知子 201.13(67.53(32.53+35.00) 133.70(66.54+68.16)優勝 USインターナショナル

山下真瑚 182.22(55.33(27.73+28.60) 126.89(65.93+60.96)3位 ロンバルディア

坂本花織 180.85(49.91(20.63+30.28) 130.94(66.70+64.24)4位 ロンバルディア

本田真凛 178.89(56.66(27.38+30.28) 122.23(58.79+63.44)6位 ネーベルホルン杯

白岩優奈 173.01(55.35(28.79+27.56) 118.54(59.30+60.24)2位 アジアンオープン

白岩優奈 170.74(54.47(28.91+26.56) 115.39(55.39+60.00)5位 USインターナショナル

樋口新葉 167.01(57.54(28.22+29.32) 109.47(48.23+62.24)5位 オータムクラシック

山下真瑚 163.45(50.97(24.53+27.44) 112.48(55.44+57.04)3位 アジアンオープン

松田悠良 143.02(47.75(24.23+24.52) 95.27(45.59+49.68)9位 オータムクラシック

新田谷凛 133.86(45.57(20.41+26.16) 88.29(39.05+50.42)9位 オンドレイネペラ杯

本郷理華 133.66(46.54(19.69+26.85) 87.12(39.91+49.21)16位 フィンランディア杯

 

200点超えは3人で優勝が二人。二位だった三原さんも、優勝はザキトワですので、他の優勝した二人と比べて見劣りするということはありません

160~180点台に5選手。この辺は多少ばらけてはいますが、それほど大きな差はない感じでしょうか。大会ごとの採点傾向の違いなんかで入れ替わるような範囲に見えます

150点を下回る水準で3選手はちょっと苦しそうですね。どうしてしまったのだろう、という感じです

 

以下、個別にみていきましょうか

 

まずは下位三選手から

おそらくこの三選手は今シーズンはユニバーシアードを目指すコースになるんだろうと思います。この中では本郷選手は昨シーズンはオリンピックを目指すコースにいたので、本来は今シーズンも世界選手権を目指す方向性なはずなのですが、どうしちゃったのでしょう。

 

本郷選手新田谷選手は、長久保門下生でしたが、長久保先生が昨シーズンの始まるころに退任した影響、というのがここにきて効いてきているでしょうか

新しい先生について、移籍して、だからちゃんと先生がいるから問題ない、とはさすがに簡単にはいかないというのはありがちなことではあるのだろうと思います

 

本郷選手はショートでジャンプが全滅。フリーも回転不足三つとダウングレード一つにコンビネーションはいらずのリピートに、3回転予定がそもそも2回転というのが少なくとも一つと、コンビネーションの二つ目ジャンプでもそういうのがありそうなので二つないしは三つ

いいとこなしで、これで点が出るわけがない、という状態でした

ゼロからやり直し、という感じです

 

新田谷選手はショートでは冒頭のルッツで転倒、後半のコンビネーションは2T-2Tになるミス。フリーも、コンビネーションが1つだけでしかも3-2になり、ループとフリップは単独で2回転に、アクセルはシングルになったのとノーバリューになったものと二つ、サルコウは三回転回り切ったものの転倒。7つあるジャンプ要素で3回転飛んでGOEがプラスになったのは二つのみ。

二シーズン前のユニバーシアードでは、トゥクタミシェワの上行って銀メダルを取った選手

一度くらいはグランプリシリーズに出場してほしい、と思っているのですが、今回の点数も、来シーズンに枠をもらうにはだいぶ程遠い、という域です

彼女が国際大会で結果を出したのは、ユニバーシアードくらいしか記憶にありません

国内戦は強いのですが、海外に出ると弱い

全日本には特に強いので、ユニバーシアードの出場権を取ってくる可能性は十分あるとは思うのですが、それよりもう一段上の舞台に上がっていくのは、ちょっと苦しくなってしまっています

 

松田選手はショートでは冒頭コンビネーションが回転不足になり二つ目は二回転。次の単独サルコウが回転不足。フリーでも冒頭コンビネーションは3-2、全体でコンビネーションが二つしかなく、単独トーループサルコウが回転不足、ループは2回転、フリップもルッツも構成になし。構成自体がだいぶ弱く、どうやらケガ明けということですが、スピンでもGOEでマイナスをつけるジャッジが散見するなど、細かい部分の出来もいまいちです

怪我から回復さえすれば何とかなる、という部分もあるのかもしれませんが、グランプリは10月末、二戦目のカナダでエントリー。どこまで戻してきてくれるでしょうか

 

おそらくユニバーシアードの出場枠は2です

大学生、というくくりでは、三原宮原両選手もいますが、その辺はそちらの選出にはそもそも希望を出さないと思われます

他にも、前回出場した磯辺ひな乃選手や、グランプリ出場経験のある中塩美悠選手、グランプリシリーズで表彰台経験もある永井優香選手あたりも絡んでくるとは思いますが、代表争いの中心はこの3選手かと思います(本郷選手あたりは、希望を出してない可能性もありますが)

トップレベルと比べると、一段落ちる水準の戦いになってしまいますが、それぞれの選手の中で、よい出来を出しての比較になってもらえたらと思います。

 

長くなってきたので次回へ続く

 

 

 

 

 

日本スケート連盟 2018年6月期決算

先日、日本スケート連盟の昨年度の決算報告書が公開されました。

スケート連盟の年度は、7月1日始まりの6月30日終わりとなっています

これはスケートのシーズンそのものですね

その一年間の決算です

 

上場企業なんかだと、決算日から45日以内に決算発表しないといけないんですが、財団法人であるスケート連盟にはそういったルールの縛りはなく、丸三カ月たった10月1日段階でウェブ上に公表されました。

もうちょっと早くてもいいんじゃ・・・、と思ったりもしますが、財団法人だとこれくらいの時間がかかるのがたぶん相場なのでしょう

 

さて、普通の企業だと損益計算書、というものが出てくるのですが、財団法人だと損とか得とかそういうことではなく、だいたい得したい、稼ぎたい、という団体ではないので、財産がどうなりましたよ、というのを公表するという意味でなのか「正味財産増減計算書」というものが出てきます。

中身の意味合いは損益計算書に近いのですけど名前が違うのと、上場企業が決算短信の中で出す損益計算書なんかと比べると、割と詳しく科目が分かれて記載されています。

 

さて、では2017年7月1日~2018年6月30日の、スケート連盟の正味財産増減計算書を見てみましょう。

 

経常収益:3,231,265,483

経常費用:2,717,080,68

当期計上増減額:514,184,797

 

経常収益は売上に相当して、経常費用の方は売上原価+販管費に相当するもの。当期計上増減額は営業利益に相当するものになります

 

すなわち、スケート連盟は32.3億円の売上があって、5.14億円の営業黒字でした、という結果です。

そこから経常外損益がまあいくらかあるのですが、それでも5億円を超える経常黒字相当の結果で、さらに法人税等の税金が1.14億円ほど引かれて、一般正味財産増減額としては、3.95億円のプラス、となっていました。

すなわち、3.95億円の純利益を得た、に相当する一年間であったということになります。

 

一方、貸借対照表を見てみると、上記の3.95億円を上乗せした正味財産は、26.59億円となりました。この正味財産というのは、一般企業でいえば純資産に相当するものです。

 

これって普通の企業で考えるとどれくらいの規模なの? というのはちょっと難しい部分がありますが、東証二部上場の基準に、純資産の額が10億円以上、というのがあるので、まずそれを満たしていると。

また、利益の額が、最近2年で総額5億円以上であること、というのもあるので、一年間分ですが3.95億円の純利益を稼いでいるということは、それに準じる状態であると言えます。

また、上場時見込みで時価総額が20億円以上、というのも課せられていますが、純資産が26.6億円あって黒字4億円の企業なら、これくらいの時価総額は問題なく満たせるでしょう

ただ、一部上場は時価総額250億円以上の見込みが求められるので、ちょっと厳しい水準かもしれません

 

というわけで、スケート連盟の規模は、おおざっぱには東証2部上場の企業くらい、という風に見えます。

巨大企業と比べれば見劣りしますが、2部とはいえ上場される会社と同程度の規模の事業を運営している組織なんだ、ということがおそらく言えるでしょう。

 

さて、では収益の中身を見てみましょうか

 

32.3億円の売り上げというか収益というか、のうち27.8億円が事業収益としてカウントされています。その中で13.1億円が特別事業収益とされていて、これは、NHK杯、全日本フィギュア、GPファイナルの3大会の収益です。(収入部分だけで費用は別途かかります)。

残りの14.7億円は一般事業収益です。

その中ではマーケティング事業収益というのが11.9億円を占めていて、それ以外で大きいのは放映権料の2.23億円です。放映権料はフィギュアから1.94億円、スピードから2,862万円得ています。フィギュアの方が7倍程度の規模の放映権料を稼いでいるわけです。

それら以外で大きい収益源としては、補助金が3.94億円ありました。

 

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比率を見てみるとこんな円グラフになります。補助金収益比率がだいぶ小さく済んでますね。

 

さて、では費用の方はどうでしょうか

大きいものとしては特別事業の費用10.85億円。これは上記の特別事業収益の裏返しで、NHK杯、全日本フィギュア、GPファイナルにかかった費用です。すなわちこの3大会の運営は、合計で2.25億円ほどの黒字を生み出した、ということになります。

なお、個別に見ると、NHK杯が4,253万円、全日本フィギュアが1.13億円、GPファイナルが6,900万円のそれぞれ黒字でした。全日本の黒字が一番多いのがちょっと意外ですが、NHK杯GPファイナルは費用が結構掛かるんですね。全日本にはない、ISU役員の旅費や、選手団の旅費、さらには賞金、というものが計上されていて、そのあたりが重いようです。一方の全日本は、賞金はないどころか、選手が出場費3万円を払っていたりしますので、費用面で相対的に軽くなっていました。ただ、入場料自体も三つの大会の中では全日本が一番大きくて、稼ぐ力自体も全日本はあるようです。三つの大会の中では、大会が始まる段階で羽生選手が出場しないことが分かっていなかったのはNHK杯だけなのですが、NHK杯の黒字額が一番小さいんですね。浅田真央さんが辞めたらどうなるんだ? 羽生選手がいなくなったらどうなるんだ? とか言われていたフィギュア界ですが、今のところ、収益力はそれなりに保っているようです。ただ、全日本もGPファイナルも、羽生選手が出る前提で、先行でチケットを買っていた人、というのが多数いるでしょうから本当に不在でどうなのかは、今年のNHK杯でわかることなのかもしれません。

 

またマーケティング事業にあてた費用も4.22億円とかなりの額ですが、これにより上記のマーケティング事業収益11.9億円がうみだされていて、マーケティング事業は7.7億円近い黒字を生み出していることになります。

そして、これこそが目的とも言える、強化費にもかなりの額が費やされています。これはどの科目が強化費に相当するか? というのをどう読むかで変わってきそうですが、おそらくこれは強化にあたるだろうというものを足し上げると7.25億円になりました。うちわけとして、フィギュアが2.86億円、スピードに3.20億円、ショートが1.20億円となっています。

強化費はフィギュアよりスピードの方が手厚いんですね。この辺は競技種目数の影響がおそらくあるのでしょう。

それ以外の管理費とされるものや、事業費用だけど給料とかそういう運営する人たちにかかる費用なのだろうと読み取れるものが2.46億円ほどあります

 

印象として、得られた収益を結構しっかり強化に使えているんだな、という感じはしますかね

あと、補助金が3.94億円ありましたけど、この金額というのが、当期計上増減額の5.14億円より小さい。すなわち、補助金無くてもこの1年やっていけてた、という計算になります。

たぶん、こういう競技団体ってなかなかないんじゃないでしょうか。

 

この決算期は、平昌オリンピックがあった一年でした

したがって、様々な面でお金を集めやすかった一年であったと思われます

その辺のこともあるので、今度は過去からの時系列で振り返って、スケート連盟の財務状態を見てみたいと思います

 

 

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書評 スポーツの資金と財務 武藤泰明

スポーツの資金と財務

単行本 286ページ

 

スポーツには金がかかる

試合を運営するのにも金がかかるし、選手を集めるにも金がかかる

金さえあれば強くなれる、というほど単純な話でもないが、お金はあった方がいいだろう

 

プロスポーツと金にまつわる話である

 

ただ、本書で取り上げられているのは、プロスポーツ全般、というほど広くはなくて、主にサッカー、時々その他、という程度の広がりしかない

現実問題として、情報開示されていない分野については語りようがないのだろう

情報開示が一番進んでいる世界がサッカー、ということで、話の中心がサッカーになっている感がある

 

プロスポーツの収益源というのは、マイクロコングロマリットである、という指摘が本書の序盤にされているのであるが、その辺は、言われてみれば、という感じであった

確かに、収益規模の割に、収益源は多様である

入場料収入、放映権収入、スポンサー収入、ライセンス料、移籍金、などなどなど

日本のプロスポーツは、収益規模としては中小企業に毛が生えた程度でしかない割に、収益源が多数あって、マネジメントは大変だというのは確かにそうなのだろう

 

途中で、放映権料をいかに計算するか、という章があるのであるが、その中で放映権料の計算もさることながら、Jリーグの場合、地上波では放映するに値する時間帯がない、という指摘もなかなか興味深いものだった

この本が書かれた時期(2013~14年ころ)ではスカイパーフェクTVが、現在ではDAZNが放映権を主に持っているわけであるが、その選択は買う側も売る側も妥当だった、ということになる

また、それとは別の部分であったが、大相撲は18時に終了することがNHKで放映され続ける重要な理由だろう、という指摘も、唸らされるものだった

確かに、相撲が21時終わりだとした場合、NHKが全場所全日放映できるか? というとかなり疑問符が付く

 

そう考えた場合、期待される視聴率がそれほど高くない時間帯で、それなりの放映権料をもらって放映してもらうように、試合時間を設定する、という戦略がスポーツ側にはあってもいいし、実際、あるのだろう

ゴルフ、というのが日曜昼間の中途半端な時間によく見かけるのは、その辺を考えてやっているのか、競技の特性上そうなるのか、微妙なところのような気がするものの、うまくやっている、と言えるのかもしれない

そのほかにも、スキージャンプやマラソン、駅伝、といったあたりがそういう日曜の昼下がりに見かけるだろうか。競馬はちょっと違うのだろうけれど

そのあたりの時間の期待視聴率であれば、放映してもらえる力のあるコンテンツとなる競技というのも、いくらかほかにもありそうな印象なのであるがどうだろうか

問題は、意外と安く上がるバラエティバングの制作料との比較、という指摘が本書内でもされていたりする。他にも、もっと安く上がる再放送ドラマや、再放送ドキュメントなんてところとの比較もあるのだろう。

それでもカーリング、バドミントン、ラグビー、バスケットボールあたりならその辺の時間帯で狙えそうな気がするのだけど、ダメだろうか。国際試合の方がコンテンツとしての価値は高いのだけど、国際試合の場合は競技の時間がネックになる。そのあたりのバランスの取れるコンテンツがあればよいのだけど

 

欧州サッカーの繁栄はヨーロッパチャンピオンズリーグによるものであり、Jリーグがそれと比べて十分の一程度の収益規模であり、リーグ戦が戦国模様なのはアジアチャンピオンズリーグの価値が低いからである、というのは、割とわかっていたことではあるけれど、数字で示されると、やはりうならされてしまう

なんとかならないものかアジアチャンピオンズリーグ・・・

ACL自体の価値が上がってくれるためには、中国とアセアンでの盛り上がりがおそらく重要なのだろう

アセアンは、タイ以外はほとんどチームとして出てくることができない

この辺がまず課題で、そこをクリアしてもらえると、アセアン全体から放映権料などが得られることが考えられる

そうなってくれば、収益面でかなりのインパクトが出て、その果実がJリーグにも回ってくるのだけど、そこに至るまではまだまだ長い道のりであり、いまはまだ、名誉プラス、クラブワールドカップへの切符、というところの価値しかない

 

純粋にスポーツを楽しみたい、という感覚の人からしたら、事業としてのスポーツであったり、大会の収益であったり、そういったものというのは、純粋さを薄めてしまう邪魔なものであるのかもしれない

 

しかしながら、周辺環境含めた全体感を見ながら、トータルに物事を楽しみたい、という感覚の人間にとっては、スポーツに関しても事業としての側面、を見る目を養うことのできるこういった書籍は貴重なものであった

 

スポーツの試合結果報道はなぜ全体感がないのか?

 特に、代表の試合で、試合結果と試合内容は記事になっているのに、それでこの試合勝ったことでどうなるの? というのが分からない、という記事多くないですか?

 

いや、日本語の日本人向けの記事で、日本以外の試合の詳細について論じて欲しい、とかそこまで望んでいるわけじゃないんですよ

ただ、他の試合の結果とか、他のグループの状況とかが分からないとその先が見えないことって多いはずなんです

 

典型的なのが、サッカーワールドカップポーランド

あの試合、特に終盤はボール回しているだけの時間が過ぎていたわけですが、もうその段階で目の前の試合はどうでもいいわけですよほとんど

問題は、裏でやっているセネガルvsコロンビアがどうなるかだけ

そちらの試合の状況が分からない限り、日本vsポーランドの試合結果が出ても、何もわからないわけです

 

ワールドカップの時には、さすがにあからさまにそれが分かる展開でしたから、セネガルvsコロンビアについて、リアルタイムでも常に情報が入ってきましたし、その後の報道でもそちらの結果に触れながらのものになりました

 

ただ、そうやって、全体感に近いものを提示してくれるケースって、割と少ないと感じています

 

先日のアジア大会なんかがまさにそうだったのですが、日本の試合の結果はあちこちのサイトというか、Yahooおよび各スポーツ紙系統で報道されるし、放映権を持っているTBSなんかでも出ているのですが、グループリーグで今何位で、何位になると次どうなるのか? というのが全然見えないんですよね

グループリーグが終わったら、ベスト8が残るのか、ベスト4になるのか、あるいはページシステムの複雑なトーナメントへ移行するのか、場合によっては総当たりリーグ戦で終了なのか

決勝トーナメント進出決定、ってどんなトーナメントへの進出なのかわからないよ

グループリーグで勝敗数が並んだ時の順位の決め方は?

 

そういう情報が、あまり出てこないんですよね

その、目の前の試合、というものの結果だけが記事になって、全体感が見えないんです

 

一つの試合は、それだけで完結しているということは割と少なく、全体の中の一つなはずです

もう少し、そういった全体情報、周辺情報をもそろえた形で記事に、報道に、してくれると、いろいろわかってよいんだけどなあ、と思ったりします

ウィンブルドン19 優勝オッズ備忘録180924

大阪なおみ選手の全米オープン制覇で盛り上がる日本テニス界

全米の次の試合となる東京で行われた東レパンパシフィックオープンでも、彼女は決勝まで勝ち上がりました

 

そんなタイミングで、来年のウィンブルドンの優勝オッズがどうなっているのかを見て、備忘録として残しておこうと思います

 

まず、ブックメーカーの老舗、William Hillによる女子の優勝オッズ

 

セリーナ・ウィリアムズ               5.00

アンゲリク・ケルバー                     8.00

ガルビネ・ムグルサ                         9.00

ペトラ・クビトバ                            11.0

カロリナ・プリスコバ                     13.0

シモナ・ハレプ                                13.0

スローン・スティーブンス              13.0

マディソン・キーズ                         13.0

マリア・シャラポワ                         15.0

エレナ・オスタペンコ                     17.0

大阪なおみ                                       17.0

 

 

20倍以下は以上の11名です

大阪選手は10番目タイで、17倍

ちなみに、全豪なら12.0倍、全仏は21.0倍でついてますので、芝はハードコートよりは勝ち目が薄いけど、クレーコートよりは強い、という見立てです

 

オッズに乗っているのは201倍までの40人ですが、大阪選手以外の日本人は載ってません

有名どころでは、アザレンカ、ビーナス・ウィリアムズといったところがそろって34倍だったりします

 

William Hillとならんで有名なbet365では、大阪選手はもう少し厳しいとみられていて、21倍がついています

買うならbet365で買った方がお得ですかねいまのところ

bet365でも、全豪なら13.0倍とやはり評価は芝のウィンブルドンより高く、全仏では34倍と、かなり厳しい扱いです

bet365での全仏のオッズ順は20番手ですので、組み合わせを無視して考えると、ベスト16にも残れるか怪しい、という評価ですね

 

なお、来年の全米オープンのオッズもbet365ではすでに出ていますが、そこでは11.0倍で上から5番目に位置しています。連覇の可能性は1割くらい、とみられているようです。トップオッズは当然のようにセレナウィリアムズの4.5倍です

 

 

 

さて、男子はどうなってますでしょうか

 

ノバク・ジョコビッチ                     3.50

ロジャー・フェデラー                     4.50

ラファエル・ナダル                         7.00

アンディー・マレー                         9.00

マリン・チリッチ                            11.0

アレクサンダー・ズベレフ              17.0

フアン・マルティン・デルポトロ    17.0

ミロシュ・ラオニッチ                     17.0

グリゴール・ディミトロフ              26.0

ケビン・アンダーソン                     26.0

ニック・キリオス                            26.0

カイル・エドマンド                         34.0

ドミニク・ティエム                         34.0

デニス・シャポヴァロフ                  41.0

錦織圭                                              41.0

 

というわけで14番目タイで錦織選手は41倍がついています

その下にはワウリンカとゴフィンが67倍でいたり、ベルディハが101倍ついていたりします

 

男子は女子と比べて上位層と中位層の差が大きい、という見立てなオッズの付き方ですかね

5倍以下に二人いて、10倍以下にもう二人、ビックサーバーのチリッチくらいまでが有力で、あとは可能性は低いよ、という並びに見えます

 

ちなみに、全豪なら34倍でオッズは下がりますが、上から16番目で順位としては下がります

全仏も34倍ですが、順位としては多数いる7番目で並んでいます

全仏の場合は、ナダルに1.73倍というおかしなオッズがついているので、順位が高くてもほかの選手は高オッズが付く構図なようです

 

Bet365でも錦織選手は同じように41倍ついていました

来年の全米オープンなら26倍で上から8番目。また割と健闘できるよ、勝つのはジョコビッチだけど2.87倍、という設定です

 

 

ブックメーカーのオッズは、ブックメーカーが恣意的に設定しているものなので、競馬などのように時々刻々と変わる、というものではないのですが、ある大会で若い選手が活躍する、などのきっかけによって随時変動されていきます。

なので、あとからサイトを見ても、上記に挙げたようなオッズからはかなり変化が出ている可能性が高いです

だからこそ逆に、記録しておかないと以前どうだったかがわからなくなってしまうわけですが、全米オープンで優勝し、凱旋試合でもきっちり結果を出した、というタイミングでどんなオッズが出ているのか、というのを備忘録として残しておきたいな、と思いました

 

これがどう動いていくのか、というのは時折見ていきたいと思っています