四大陸選手権 Perfect Storm

女子シングルは、紀平梨花選手の優勝で幕を閉じました

ショートプログラムトリプルアクセル抜けから、フリーは1本に絞っても153点を出しての逆転優勝

その辺を含めて、それぞれの選手の点数の取り方、なんてのを見てみたいと思います

 

まず紀平選手。

フリーでトリプルアクセル2本が通常のところ、今回は1本にしていました。これがどの程度得点に影響するか? 3Aの基礎点は8.0 2Aの基礎点は3.3ですので、単純計算では4.7点基礎点が下がることになります。

 

ところが、トリプルアクセル2本を入れて完ぺきに滑ったNHK杯の時の基礎点合計が68.75だったのに対し、今回の基礎点合計は66.95と、1.80しか差がありません。つまり、どこから2.90点を稼いでいるわけですが、これは、コンビネーションでつけるダブルトーループを一つトリプルトーループに変えることで1.3→4.2として稼いだものです。紀平選手が二回跳ぶジャンプは通常構成だとトリプルアクセルトリプルルッツなのですが、トリプルアクセルが一つ減ることで、二回跳ぶジャンプを別に作ることができるようになり、そこにトリプルトーループを入れたため、こうなりました。

したがって、トリプルアクセル2回の構成の場合には、トリプルトーループを2回つけることができないため、今回の基礎点から単純に4.70増やす、ということは出来ません。

逆に言うと、トリプルアクセルを1回から2回にすることで増やせる基礎点は1.80でしかない、とも言えます。

 

この辺の得点計算を考えると、ちょっとでも不安があるならトリプルアクセルは1本にしておく、というのは妥当なんだろうな、という風に見えます。

 

 

NHK杯フリー   4大陸選手権フリー
Elements    BaseValue   GOE Scores   Elements    BaseValue   GOE Scores
3A+3T   12.20   2.63 14.83   3A   8.00   2.51 10.51
3A   8.00   3.09 11.09   2A+3T   7.50   1.38 8.88
3Lo   4.90   1.54 6.44   3Lo   4.90   0.14 5.04
CCoSp4   3.50   1.30 4.80   CCoSp4   3.50   0.95 4.45
StSq4   3.90   1.17 5.07   StSq4   3.90   1.45 5.35
3Lz+2T   7.20   1.69 8.89   3Lz+3T   10.10   1.85 11.95
3F   5.83 X 1.59 7.42   3F   5.83 x 1.44 7.27
LSp4   2.70   0.93 3.63   LSp4   2.70   0.93 3.63
3Lz+2T+2Lo   9.79 X 1.26 11.05   3Lz+2T+2Lo   9.79 x 1.60 11.39
FSSp4   3.00   0.69 3.69   FSSp4   3.00   0.60 3.60
ChSq1   3.00   1.36 4.36   ChSq1   3.00   1.71 4.71
3S   4.73 X 1.17 5.90   3S   4.73 x 1.23 5.96
TES   68.75   18.42 87.17   TES   66.95   15.79 82.74

 

 NHK杯のとの点数の差は、基礎点の差よりもGOEの差の方が大きいのが分かります。GOEは基礎点が高い要素ほど高く出すことが可能なので、3Aを2A-3Tに変えた二つ目の要素のところで、その差が大きく出ました。そういう意味では、3Aを2Aに変えたことの影響は、基礎点以上には大きかったという部分があると言えばあるのでしょう

 

次、2位に入ったトゥルシンバエワ選手。四回転サルコウを冒頭に入れてきたのは驚かされました。この4Sは転倒しましたが回転はきちんと足りていた、という判定になっています。そのため、基礎点合計は全選手の中で最高の68.81でした。

 

Event Elements    BaseValue   GOE Scores
Ondrej Nepela Trophy TES   56.99   4.32 61.31
Finlandia Trophy TES   59.10   7.15 66.25
Skate Canada TES   60.39   4.22 64.61
Rostelecom Cup TES   54.34   3.73 58.07
Four Continents Championships TES   68.81   7.16 75.97

この68.81という基礎点は、NHK杯の紀平選手の基礎点68.75を上回って、全シニア選手の中で今シーズン最高です(ジュニアのトゥルソワが78.12というとてつもない基礎点を出してますが)。

四回転なしの構成だったここまで四試合は、回転不足が嵩んだこともあり、最高でも60.39にとどまっていましたが、そこから一気に伸ばしました。4回転が入った、というだけでなく、コンビネーション三本をすべて後半に入れたものを含め、回転不足が一つもなかったということが効いています

基礎点が60.39だったスケートカナダでもコンビネーション三つが後半で、かつすべてのジャンプで回転不足なしでした。その時と比べると、結果的に、三連続に入っていた2T二つが、1Euと4Sに変化した、という形になっています。単純計算ですが、2T二つは2.6点で、1Euと4Sは10.2点になるので、7.6点のアップです。4Sが転倒であったとしてもGOEは-4.85で転倒の-1まで含めてもおつりがくる基礎点の増加ですので、回転さえ足りる自信があれば、転んでも4Sに挑んだ方が得、ということになっています

今回の技術点は75.97で、4Sが着氷してGOE±0なら80点に届く計算でした。グランプリシリーズでも表彰台がこれまでなかった選手なはずですが、この構成なら世界選手権でも上位に入ってくる可能性が出てきました。

 

 

3位の三原選手は2位まで結果的に0.34ポイント足りませんでした。ショートの冒頭のジャンプのミスが・・・、というのはありますが、フリーは本当のノーミスならトゥルシンバエワの上まで行くことが出来ました。

 

  Elements    BaseValue   GOE Scores
1 3Lz+3T<< <<  7.20   -2.53 4.67
2 2A   3.30   0.94 4.24
3 FSSp4   3.00   0.77 3.77
4 3F   5.83 x 1.21 7.04
5 CCoSp4   3.50   0.90 4.40
6 StSq3   3.30   1.18 4.48
7 LSp4   2.70   0.85 3.55
  TES   28.83   3.32 32.15
1 3Lz+3T< 9.05   0.08 9.13
2 ChSq1   3.00   1.43 4.43
3 2A   3.30   0.94 4.24
4 3Lo   4.90   1.26 6.16
5 CCoSp3   3.00   0.81 3.81
6 3F   5.30   1.21 6.51
7 2A+3T   8.25 x 1.08 9.33
8 FSSp4   3.00   0.73 3.73
9 3Lz+2T+2Lo   9.79 x 1.52 11.31
10 3S   4.73 x 1.11 5.84
11 StSq4   3.90   1.45 5.35
12 FCCoSp4   3.50   1.30 4.80
  TES   61.72   12.92 74.64

上がショート、下がフリーの要素ごとの得点一覧です

 

フリーでも、しっかり着氷したように一見見えたのですが冒頭のコンビネーションは回転が足りていない判定です。これの回転が足りていれば2位でした。ただ、3Lz-3Tをショートもフリーも回転が足りていないのですから、これは出来たはずなのにできなかったのではなく、今大会ではこれが精いっぱいだったとみることもできます。それよりもったいなかったのはCCoSp チェンジフットコンビネーションスピンがフリーでレベル3だったこと。レベル3だと基礎点が3.0 レベル4なら基礎点3.5  レベル4が取れていれば2位までは入れたわけです。ショートではレベル4だったスピンですから、これはもったいなかった。2位まで入れなかった致命傷はここでした。

三原選手はこれで四大陸選手権は三年連続表彰台。金銀銅すべて揃えました。また、国際試合の連続200点越えが8試合に伸びました。現在これより長く200点越えを続けているのは、宮原知子選手だけです(ザギトワ選手はヨーロッパ選手権で途切れています)

 

 

4位の坂本選手は3位まで0.33ポイント差 2位まで0.67ポイント差。これはもうわずかな差でした。1Aになったのが痛い、というのは当然なのですが、それ以外の細かい取りこぼしを抑えられていれば、崩れながらも2位で踏みとどまることも出来ました。

  Elements    BaseValue   GOE Scores
1 3F+3T   9.50   1.82 11.32
2 2A   3.30   1.27 4.57
3 CCoSp4   3.50   0.95 4.45
4 StSq4   3.90   1.11 5.01
5 3Lo   5.39 x 2.10 7.49
6 FCSp4   3.20   0.82 4.02
7 LSp4   2.70   0.42 3.12
  TES   31.49   8.49 39.98
1 3F+3T   9.50   1.44 10.94
2 2A   3.30   1.04 4.34
3 3Lz ! 5.90   0.25 6.15
4 FSSp4   3.00   0.81 3.81
5 StSq3   3.30   1.08 4.38
6 3S   4.30   1.47 5.77
7 1A   1.21 x 0.00 1.21
8 3F+2T   7.26 x 1.14 8.40
9 CCoSp4   3.50   0.85 4.35
10 ChSq1   3.00   1.43 4.43
11 3Lo+2T   6.82 x 1.19 8.01
12 FCCoSp4   3.50   0.95 4.45
  TES   54.59   11.65 66.24

ショートの最後のレイバックスピンが今一つだったのもありますが、フリーではステップがレベル3になったところで基礎点が0.6下がっています。また、どこかで3連続をリカバリーできていたら、2Loを一個つけられれば1.5点と後半1.1倍分が付いたのでやはり2位にのこれました。基礎点が54.59なのはちょっとひどかったですね・・・。ダブルアクセル起点の三連続、というのは通常11点前後を取っていた要素なので、それが抜けてしまったのはあまりにも痛かったです。

なお、ショートプログラムでの単独のトリプルループがGOEで4.14がついて、今大会の全選手の全要素のなかで最高のGOEでした。また、今シーズンここまでの全選手の3Loの中で最高評価でもあります

 

5位にブレイディテネル選手。フリーは回転不足が3要素で4つ。コンビネーションの3Loも1回転になるなど、ジャンプ要素7つのうち思い通りに飛べたのがダブルアクセル二つと単独トリプルサルコウの三つだけ、となると今のレベルで上位に来るには苦しかったです。個人的には単独ダブルアクセルが二つあるなら、一つはコンビネーションにして、3Lzからのコンビネーションを単独にしたほうが楽になるんじゃないか、と思ったりするんですが、その辺はこだわりたいなにかもあるんでしょうか。

ジャンプは思う通りに飛べませんでしたが、フリーの最後の要素のスピン二つはそれぞれGOEが3.71と4.00で、今大会の全選手のスピン要素のGOEのなかで一位と二位を占めました。

 

 

  Name Nation   Elements    BaseValue   GOE Scores  
SP Kaori SAKAMOTO JPN 2 2A   3.30   1.27 4.57 3.714
SP Kaori SAKAMOTO JPN 5 3Lo   5.39 x 2.10 7.49 4.143
SP Mai MIHARA JPN 6 StSq3   3.30   1.18 4.48 3.571
FS Rika KIHIRA JPN 5 StSq4   3.90   1.45 5.35 3.571
FS Kaori SAKAMOTO JPN 6 3S   4.30   1.47 5.77 3.571
FS Bradie TENNELL USA 11 FCCoSp4   3.50   1.30 4.80 3.714
FS Bradie TENNELL USA 12 CCoSp4   3.50   1.40 4.90 4.000
FS Mariah BELL USA 12 LSp4   2.70   0.93 3.63 3.571

今大会、GOEで平均3.5以上が付いた要素の一覧。GOEの列は加点された点数。右端の数値がジャッジ9人が+5~-5でつけた点数の平均です。平均3.5を超えるには、9人のジャッジのうち5人以上が4以上をつける必要があります。

 

傾向がはっきり出ていて、ジャン要素で3.5を超えたのは坂本選手だけで、坂本選手は3つもあります

スピンはアメリカのテネルとベルの両選手の加点が大きい。ステップは紀平選手と、レベル3ですが三原選手が3.5を超えるGOEでした。

 

紀平選手はこうしてみると、今回はトリプルアクセルで勝ったわけでもなく、ジャンプの要素で爆発的に点を取って勝ったわけでもなく、全体的にまんべんなく点を取って総合力で圧勝した、という形になりました。これでフリー150点越えが3回目、技術点80点越えも3回目です。5試合中3試合で150点越えですから、他の選手は、紀平選手は150点は出すもの、と考えて戦わないといけない状態です

今シーズンフリーで150点を超えたのは、紀平選手以外ではザギトワ選手がチャレンジャーシリーズのネーベルホルン杯で158点を出した1回だけです。145点まで下げても、ザギトワ選手が3回と、宮原選手がスケートアメリカで145.85を出したところまでです(ジュニアのトゥルソワが146点台を2回だしていますが)。

 

紀平選手優位、という流れのまま、シーズン最後の世界選手権へ向かっていくこととなりました。

 

 

 

 

四大陸選手権19プレビュー

すでに試合も差し迫っているので今回は女子シングルだけ。

 

出場選手の今シーズンの戦績を並べてみます。リストアップの対象は、チャレンジャーシリーズの10試合、グランプリシリーズ6試合とジュニアグランプリシリーズ7試合に、グランプリファイナルです。各国選手権は入れません。

 

J/S Grade Event Name Nation TSS TES PCS Deduction
S GP Grand Prix Final Rika KIHIRA JPN 82.51 47.36 35.15 0.00
S CS GOLDEN SPIN Bradie TENNELL USA 71.50 40.22 31.28 0.00
S GP Skate America Kaori SAKAMOTO JPN 71.29 37.92 33.37 0.00
S CS Finlandia Trophy Elizabet TURSYNBAEVA KAZ 70.95 38.65 32.30 0.00
S CS Nebelhorn Trophy Mai MIHARA JPN 70.94 39.06 31.88 0.00
S CS Ondrej Nepela Trophy Rika KIHIRA JPN 70.79 40.67 31.12 1.00
S GP NHK Trophy Mai MIHARA JPN 70.38 37.70 32.68 0.00
S GP Grand Prix Final Kaori SAKAMOTO JPN 70.23 37.23 33.00 0.00
J JGP JGP Czech Ting CUI USA 70.20 40.43 29.77 0.00
S CS Nebelhorn Trophy Mariah BELL USA 70.02 39.18 30.84 0.00
S CS Ondrej Nepela Trophy Elizabet TURSYNBAEVA KAZ 69.99 39.47 30.52 0.00
S GP NHK Trophy Eunsoo LIM KOR 69.78 38.21 31.57 0.00
S GP NHK Trophy Rika KIHIRA JPN 69.59 38.40 32.19 1.00
J JGP JGP Czech Yelim KIM KOR 69.45 40.68 28.77 0.00
S CS Autumn Classic Bradie TENNELL USA 69.26 37.38 31.88 0.00
S CS Asian Open Eunsoo LIM KOR 68.09 37.09 31.00 0.00
S GP France de Patinage Mai MIHARA JPN 67.95 35.36 32.59 0.00
S CS GOLDEN SPIN Mariah BELL USA 67.82 36.38 31.44 0.00
S GP France de Patinage Rika KIHIRA JPN 67.64 35.51 32.13 0.00
S CS Tallinn Trophy Ting CUI USA 67.56 37.60 30.96 1.00

 

ショートプログラムで65点以上を出したのは延べ20人で実際には9人。日本3人、アメリカ3人、韓国2人にカザフスタン1人。70点以上なら延べ10人で実際には7人。日本以外にもそれなりに高得点を出した実績のある選手はいますね。

ただ、グランプリシリーズでしっかりと結果を出した選手、というのは日本以外だと少ないです。全体二番目のテネル選手はチャレンジャーシリーズのゴールデンスピン、トゥルシンバエワとマライアベルネーベルホルン杯、ティンツイ選手はジュニアなので仕方ないですが、ジュニアグランプリでの得点であり、グランプリシリーズで70点以上を出しているのは日本の三選手のみです。

ただ、日本選手も盤石なわけではなく、紀平選手もNHK杯、フランス杯では70点を下回っていますし、坂本選手はヘルシンキでは57.26という点数だったりしました。

また、技術点だけ見れば、ジュニア勢のティンツイ選手とキムイェリム選手が40点越えの実績があり、紀平選手に次ぐところにいます。

 

J/S Grade Event Name Nation TSS TES PCS Deduction
S GP NHK Trophy Rika KIHIRA JPN 154.72 87.17 67.55 0.00
S GP Grand Prix Final Rika KIHIRA JPN 150.61 78.21 72.40 0.00
S CS Ondrej Nepela Trophy Rika KIHIRA JPN 147.37 81.05 66.32 0.00
S GP Skate America Kaori SAKAMOTO JPN 142.61 75.41 67.20 0.00
S GP Grand Prix Final Kaori SAKAMOTO JPN 141.45 74.45 68.00 1.00
S GP GP Helsinki Kaori SAKAMOTO JPN 140.16 72.96 67.20 0.00
S GP France de Patinage Rika KIHIRA JPN 138.28 72.23 66.05 0.00
S CS Nebelhorn Trophy Mai MIHARA JPN 138.28 72.92 65.36 0.00
S CS Autumn Classic Bradie TENNELL USA 137.15 68.51 68.64 0.00
S GP France de Patinage Bradie TENNELL USA 136.44 71.50 64.94 0.00
S GP NHK Trophy Mariah BELL USA 135.99 71.42 64.57 0.00
S GP France de Patinage Mai MIHARA JPN 134.86 68.92 65.94 0.00
S GP NHK Trophy Mai MIHARA JPN 133.82 67.71 66.11 0.00
S CS Tallinn Trophy Ting CUI USA 132.23 72.11 61.12 1.00
S GP Skate America Bradie TENNELL USA 131.17 65.86 65.31 0.00
S CS Lombardia Trophy Kaori SAKAMOTO JPN 130.94 66.70 64.24 0.00
S CS GOLDEN SPIN Bradie TENNELL USA 130.91 67.99 63.92 1.00
J JGP Amber Cup Yelim KIM KOR 130.26 72.39 57.87 0.00

 

フリーの方はショートよりも日本勢がはっきりと上に並びます。130点以上の実績を並べると、延べ18人、合計7人いました。日本から3人、アメリカも3人であと1人は韓国です。

紀平選手が上から三つ、次の三つに坂本選手で、紀平選手がもう一回来て、次に三原選手。その下にやっとブレイディ・テネルが入ってきます。三原選手はチャレンジャーシリーズが今シーズンのベストスコアなところがちょっと弱いところ。140点以上は坂本選手と紀平選手だけ、150点以上は紀平選手だけ。紀平選手の最低スコアを超えているのが坂本選手だけ。

紀平選手のフリーの強さが際立っています。

 

 

こうやって並べると、普通にやると紀平vs坂本、やや紀平選手優位で、三位争いが三原選手とブレイディテネルとマライアベル、ジュニアからティンツイ選手も絡めるか? という今シーズンの流れに見えて、四大陸選手権というか日米決戦なのね、という雰囲気になっています。

 

Event   Name Nation Elements  BaseValue GOE Scores  
NHK Trophy FS Mariah BELL USA ChSq1 3.00 2.07 5.07 4.222
JGP Czech SP Ting CUI USA LSp4 2.70 1.12 3.82 4.222
Finlandia Trophy SP Elizabet TURSYNBAEVA KAZ LSp4 2.70 1.13 3.83 4.125
NHK Trophy FS Mariah BELL USA LSp4 2.70 1.12 3.82 4.111
Grand Prix Final FS Rika KIHIRA JPN LSp4 2.70 1.08 3.78 4.000
GP Helsinki FS Hanul KIM KOR LSp4 2.70 1.08 3.78 4.000
France de Patinage FS Bradie TENNELL USA CCoSp4 3.50 1.40 4.90 4.000
Grand Prix Final SP Rika KIHIRA JPN 3Lz 6.49 2.36 8.85 4.000
Grand Prix Final SP Rika KIHIRA JPN LSp4 2.70 1.08 3.78 4.000
Autumn Classic FS Bradie TENNELL USA CCoSp4 3.50 1.40 4.90 4.000
Ondrej Nepela Trophy SP Rika KIHIRA JPN LSp4 2.70 1.08 3.78 4.000
Skate Canada FS Mariah BELL USA LSp4 2.70 1.04 3.74 3.889
NHK Trophy FS Rika KIHIRA JPN 3A 8.00 3.09 11.09 3.889
Grand Prix Final SP Rika KIHIRA JPN CCoSp4 3.50 1.35 4.85 3.889
Amber Cup FS Yelim KIM KOR 2A+3T 7.50 1.62 9.12 3.889
Autumn Classic FS Bradie TENNELL USA FCCoSp4 3.50 1.33 4.83 3.857
Ondrej Nepela Trophy SP Elizabet TURSYNBAEVA KAZ CCoSp4 3.50 1.33 4.83 3.857
Ondrej Nepela Trophy SP Elizabet TURSYNBAEVA KAZ LSp4 2.70 1.03 3.73 3.857
GOLDEN SPIN SP Bradie TENNELL USA CCoSp4 3.50 1.33 4.83 3.857
GOLDEN SPIN FS Mariah BELL USA ChSq1 3.00 1.90 4.90 3.857
Grand Prix Final FS Rika KIHIRA JPN ChSq1 3.00 1.86 4.86 3.778
Skate Canada FS Mariah BELL USA ChSq1 3.00 1.86 4.86 3.778
GP Helsinki FS Kaori SAKAMOTO JPN FCCoSp4 3.50 1.35 4.85 3.778
France de Patinage SP Bradie TENNELL USA CCoSp3 3.00 1.11 4.11 3.778
Amber Cup FS Yelim KIM KOR SSp4 2.50 0.93 3.43 3.778
JGP Czech SP Ting CUI USA 2A 3.30 1.23 4.53 3.778
Finlandia Trophy FS Elizabet TURSYNBAEVA KAZ StSq4 3.90 1.56 5.46 3.750

 

最後に、おまけ、出場選手が今シーズン、GOEがジャッジ平均で3.75以上だった要素を並べてみました。表の一番右がジャッジが付けたGOEの平均値です。表中のGOE欄は加点の点数そのものを指します。

 

最も高いGOEが出たのは、マライアベル選手のコレオシークエンスとティンツイ選手のレイバックスピン。平均4.22というのは、9人のジャッジで2人が5点満点を付けたということを意味します。

スピンは高いGOEが出やすいようなのですが、その中で、ジャンプで高いGOEを出しているのが紀平選手。ショートプログラム後半の単独トリプルルッツでGOE4.0という高い点があり、フリーの単独トリプルアクセルで3.889という9人のジャッジのうち6人が4、1人は5をつけたスーパージャンプがありました。

それを含め、上の方に紀平選手の名前がたくさんあるのは流石の強さです。

一方で、三原選手がこのリストに一つも入ってきませんでした。安定していい演技をするのだけど、日本の上位三強に割って入れなかった今シーズン、というのがこの辺に現れているんでしょうか。

今シーズンはここがメインイベントになる三原選手に今大会頑張ってほしいんですけどね。

 

今大会は、いつも割と強いカナダ勢があまり元気がなく、李子君が引退した中国も手薄で、少し寂しくなってしまっています。ただ、久しぶりの北米開催なので、アメリカは頑張ってくれるかな? 全米選手権から二週間なので、調子としてどうかは微妙なところですが、ショート終わった時点で、もう決着ついたね、みたいな展開にならないことは期待したいと思います

 

FIBA ワールドカップアジア二次予選 突破条件

バスケットボールの日本男子は弱い

そう、言われ続けてきて何年経つでしょう

そんな中で東京オリンピックが近づいてきました。様々なごたごたを片付けてきた日本バスケットボール界ですが、まだ、開催国としての出場権をもらえていません。女子は、開催国枠があろうとなかろうとあんまり関係ないレベルにありますが、男子はそうもいかない

その男子に、開催国枠を与える条件が、ワールドカップベスト16相当の実力を示すことである、と言われています。

 

そのワールドカップの、まず予選が各地で行われています。ワールドカップの出場枠は合計32. そのうち、アジアオセアニアに7チームが割り当てられています。この予選が大分佳境に入ってきていて、アジア予選は2月に二試合を残すのみ、となっているのですが、日本男子は出場権が取れるかどうかの瀬戸際にいる、とされています。ただ、この、出場権がどうすれば取れるのか、という点がいまいち、細かいところまでしっかり報道されている情報が見えてきません。その辺を今回は見てみたいと思います。

 

まず、現状を整理します。

アジア予選は一次予選をすでに終え、二次予選の最中です。二次予選には12チームが進出していて、その12チームが6チームづつ二つのグループに分かれています。一次予選の結果は持ち越しで二次予選が行われています。各グループの上位3チームと4位のチームのうち上位の成績のチームがワールドカップの出場権を得ます。

 

 

 

得点

失点

得失点

1

ニュージーランド*

9

1

941

708

233

2

韓国*

8

2

891

781

110

3

中国**

6

4

852

689

163

4

レバノン

6

4

806

705

101

5

ヨルダン

5

5

865

809

56

6

シリア

2

8

660

91

-251

 

 

 

得点

失点

得失点

1

オーストラリア*

9

1

900

582

318

2

イラン

7

3

716

640

76

3

日本

6

4

795

707

88

4

フィリピン

5

5

793

814

-21

5

カザフスタン

4

6

693

789

-96

6

カタール

2

8

638

847

-209

 

各グループの情勢はこうなっています。

*のついた三チームは出場権獲得済みです。ここで、話がややこしくなることが一つあります。中国がワールドカップに開催国であり、ワールドカップには開催国枠で出場権をすでに獲得しています。したがって、出場権争いには中国の順位が考慮されない、という形になります。ただ、中国との対戦結果は考慮されます。中国のいる組は、中国を除いた上位三チームが出場権を獲得し、中国を除いた四番目のチームが、もう片方のグループの四番目のチームと成績を比べて、どちらかよい方のチームがワールドカップの出場権を得る、という形になります。

 

さて、日本が出場権を得るためにはどのような条件になるのでしょうか?

まず、自分たちのグループで3位以内に入ればその時点で出場権獲得です。一方、5位以下になると、その時点で出場権は得られなくなります。4位の場合は別のグループとの比較です。

 

ではまず、5位以下になる可能性を考えてみます。残りは二試合。日本が五位以下になるためには、五位のチームに追いつかれる必要がありますが、その条件としては、日本が二連敗しカザフスタンが二連勝する事が最低必要です。また、四位のチームにも追いつかれないといけないのですが、四位のフィリピンは五位のカザフスタンとの直接対決があるので、カザフスタンが二連勝するためには、フィリピンがそこで負ける必要があります。そうなると、フィリピンは残りのもう一試合で勝つことが日本に追いつくためには最低必要です。この段階で三チームが勝率というか勝ち点で並びます。

勝ち点で並んだ場合は、まず当該チームの直接対決の成績で決めるのですが、日本、フィリピン、カザフスタンは、最終的に並んだ場合は、いずれも二勝二敗で三竦み状態で差が出ません。

その場合は次に、当該チーム同士の試合の得失点で決めます。日本はフィリピン、カザフスタンとの四試合をすべて終わっていて、その四試合の得失点は+20です。この+20をフィリピン、カザフスタンの両チームが上回ると、日本は五位になってしまうわけですが、これは不可能です。三チームの当該チーム同士の得失点は合計ゼロになるはずですので、二チームともが日本を上回る、ということはありえません。

したがって、日本は五位以下になる可能性は、没収試合などの特殊な状況を除くとゼロになります。

 

ですから、日本の四位以内は確定です。では、残り二試合の勝敗がどうなったら何位になるのか、というのを見てみます。

 

日本の残り試合の相手はイランとカタールです。二連勝の場合、イランが残りのもう一試合に勝てば勝敗で日本と並びます。しかしながら日本とイランの直接対決の結果は日本の二勝、ということになるので日本の順位が上になります。

ですから、二連勝の場合は2次予選はグループ2位になることになりまして、2位でワールドカップ出場権を得ます。

 

次に二連敗の場合を考えます。

日本が二連敗した場合、フィリピンが二連勝したら日本の上へ行きます。カザフスタンはこの場合フィリピンに負けることにより二連勝できませんので日本より下になり、日本は4位になります。

フィリピンがカザフスタンに勝ちカタールに負けた場合は、日本とフィリピンが勝敗で並びますが、直接対決でフィリピンが二勝しているのでフィリピンが上に出て日本が四位になります。

フィリピンがカタールに勝ちカザフスタンに負けた場合は、カザフスタンがオーストラリアに勝って二連勝していれば、フィリピン、日本、カザフスタンが勝敗で並び、直接対決がすべて二勝二敗になるので、あとは直接対決の得失点差の比較になります。

日本は+20  カザフスタンは-27で残り一試合、フィリピンは+7で残り一試合。カザフスタンが47点差以上でフィリピンに勝てばカザフスタン三位日本四位フィリピン五位ですが、カザフスタンが46点差以内での勝利であれば日本が三位でワールドカップ出場権を得ます。

一方、カザフスタンがオーストラリアに負けると、フィリピンと日本だけが勝敗で並び、直接対決が上のフィリピンが3位で日本が4位になります

フィリピンがカザフスタンカタールに連敗した場合は、カザフスタンがフィリピンとオーストラリアに連勝すれば、勝ち星で日本に追いつきますが、直接対決で日本が連勝しているので日本が上で3位となり、ワールドカップ出場権を得ます。

 

次に一勝一敗の場合。

フィリピンが二連勝できなければ日本は三位以内に入れます

フィリピンが二連勝した場合、日本と勝敗で並びます。この時、イランが日本、オーストラリアに連敗していれば、日本、イラン、フィリピンの三チームが勝敗で並ぶことになり、直接対決も2勝2敗となります。得失点はフィリピンが-5 日本が+3 イランが+2 という状態で日本vsイランで日本が勝つということになるので、日本が一番上に来て2位となります。

イランが二連敗でなければ、日本とフィリピンだけで勝敗が並び、直接対決に勝るフィリピンが3位で日本が4位となります。

 

というわけで、二連勝以外では四位になる確率がかなりある、というのが見えています。

四位になった場合どうなるか?

別グループの中国を除いた四番目のチームとの比較になります。別グループなので直接対決というものは存在せず、まずはトータルの勝敗、次にトータルの得失点での比較となります。

 

反対側のグループで、中国を除いた四番目のチームになる可能性があるのは、ヨルダンとレバノンです。

日本は4位になった場合、最終成績は7勝5敗か6勝6敗になります。

ヨルダンとレバノンが共に8勝以上になる可能性はありません。

どちらも7勝5敗以上になるには、ヨルダンが中国とニュージーランドに連勝し、レバノンニュージーランドか韓国のどちらかに最低一勝する、というのが条件です。そのうえで、ヨルダンは現在+56の得失点を大きく引き上げて、日本の得失点+88を超えていった場合のみ、日本が7勝目をしていてもワールドカップの出場権を得られない、ということになります。

ヨルダンとレバノンがどちらも6勝6敗以上になるには、ヨルダンが中国とニュージーランドのどちらかに勝つこと、ということだけが求められます。そのうえで、得失点で日本を上回ればよい、ということです。

 

こうしてみると、日本がヨルダンより下になる可能性、というのはかなり低いように見えます。ヨルダンは2次予選ここまで4戦全敗です。レバノンは中国とは一勝一敗ですが、韓国とニュージーランドには負けています。

ヨルダンとレバノンにとって有利な条件は、残り二試合がホームであること。日本が不利な条件は残り二試合がアウェーであること。

 

 

話が込み入っていてわかりにくいので、少しまとめましょう

 

Ⅰ 日本二連勝 → ワールドカップの出場権を獲得

 

Ⅱ 日本がイランに勝ちカタールに負け 7勝5敗

Ⅱ-1 フィリピンがカタールカザフスタンのどちらかに負ける → ワールドカップ出場権獲得

Ⅱ-2 フィリピンが連勝し、イランが最終戦のオーストラリアに負ける → ワールドカップ出場権獲得

Ⅱ-3 フィリピンが連勝し、イランが最終戦に勝つ → 4位になって別グループと比較

 

Ⅲ 日本がイランに負け、カタールに勝ち 7勝5敗

Ⅲ-1 フィリピンがカタールカザフスタンのどちらかに負ける → ワールドカップ出場権獲得

Ⅲ-2 フィリピンが連勝する → 4位になって別グループと比較

 

Ⅳ 日本が二連敗する  6勝6敗

Ⅳ-1 フィリピンが二連勝する → 4位になって別グループと比較

Ⅳ-2 カザフスタンが二連勝する →  カザフスタンがフィリピンに47点差以上で勝ち、フィリピンがカタール戦に勝っている場合以外はワールドカップ出場権獲得

Ⅳ-3 カザフスタンが一勝一敗以下でフィリピンが一勝一敗 → 4位となって別グループと比較

Ⅳ-4 カザフスタンが一勝一敗でフィリピンが二連敗 → 3位でワールドカップ出場権獲得

 

3位以内に入る条件はこんな感じで大体わかる気がします

4位になったときの条件がまためんどくさいわけですが・・・

 

日本がワールドカップの出場権を得られない条件って、結局どんなときか、だけ考えると

 

 

日本が残り二試合を一勝一敗でグループ内の条件で4位になった場合は、

ヨルダンが中国とニュージーランドに連勝して、日本との32点の得失点差を詰めたうえで、レバノンが韓国とニュージーランドに連勝、もしくは一勝一敗で残り二試合の得失点が日本より13点悪いところまでに抑えた場合

 

日本が残り連敗の場合は、

ヨルダンが中国とニュージーランドに連勝か、一勝一敗で日本との32点の得失点差を詰めたうえで、レバノンが韓国とニュージーランドのどちらかに勝つか、連敗でも残り二試合の得失点が日本より13点悪いところまでに抑えた場合

 

 

なんとなくですが、残り二連敗でもワールドカップの出場権を得られるんじゃ・・・、という感じに見えます。一勝一敗ならほぼ確実。イランに負けてもカタールに勝てれば、別グループの4番目との比較で劣る、ということにはほぼならないでしょう

イランに勝てば、もうほとんど決まりです。

 

なお、次のイラン戦に勝った場合、ヨルダンが中国に負けるか、フィリピンがカタールに負けると、最終節を待たずに、ワールドカップ出場権獲得が決まります。

 

 

まあ、ここまでの展開が、ほとんどマンガみたいな、崖っぷちスタートで始まってそこから連勝、という形で来ているので、出来ればイランにも勝ち、ヨルダンも中国に勝って最終節まで獲得権を得られない可能性を残しての試合で、完勝して出場権獲得、というきれいな形で終えて欲しいんですが、どうなるでしょう

 

 次節、アウェーのイラン戦は2月21日

 最終節、アウェーのカタール戦は2月24日です

最後の最後にカタールに負ける、というどこかのサッカーのような展開にならないことを願います

 

 

ウインブルドン19 優勝オッズ備忘録190130

大阪なおみ選手が全米オープンに続いて全豪オープンも優勝。四大大会連覇を果たしました。

驚くべきことに、彼女はまだツアー3勝。3勝のうち2つが四大大会という、なかなか考えられない戦績でここまで来ています

 

以前、全米オープン優勝後の段階で、ブックメーカーによる19年のウインブルドンの優勝オッズを見てみました。当時は、10番目タイで17倍という設定になっていました。

全豪オープンで優勝したこの段階で、もう一度見てみることにします。

 

 

2018/9/24

 

2019/1/30

セリーナ・ウィリアムズ

5.00

セリーナ・ウィリアムズ

4.50

アンゲリク・ケルバー

8.00

ペトラ・クビトバ

7.00

ガルビネ・ムグルサ

9.00

アンゲリク・ケルバー

9.00

ペトラ・クビトバ

11.0

大阪なおみ

9.00

カロリナ・プリスコバ

13.0

ガルビネ・ムグルサ

11.0

シモナ・ハレプ

13.0

カロリナ・プリスコバ

13.0

スローン・スティーブンス

13.0

シモナ・ハレプ

15.0

マディソン・キーズ

13.0

エレナ・オスタペンコ

17.0

マリア・シャラポワ

15.0

スローン・スティーブンス

17.0

エレナ・オスタペンコ

17.0

マディソン・キーズ

17.0

大阪なおみ

17.0

 

 

 

全米終わってから全豪終わるまでの間に、結構評価が入れ替わっているのが分かります。

20倍以内は一人減って10人となりました。外れたのはシャラポワで、21.0倍に下がりました。

大阪選手が大分評価を上げているのは当然と言えば当然なのでしょうが、そのほかに、決勝で対戦したクビトバ選手もかなり評価が上がりました。また、セリーナ・ウィリアムズも評価が上がるんですね。ランキングも11位まで戻してきていますし、ウインブルドンのころには上位シードで入ってくるのは確かでしょうし、実績考えれば本命視されるのもわかる気はします。

 

上記はWilliam Hillでの設定ですが、もう一つの有名なブックメーカーであるbet365では、大阪選手は4番手の10.0倍のオッズとなっています

また、William Hillでは、全仏で11.0倍、全米オープンは7.00倍となっています。

 

 

では次、男子を見てみます。ここでも前回との比較で見てみます。

 

 

2018/9/24

 

2019/1/30

ノバク・ジョコビッチ

3.50

ノバク・ジョコビッチ

2.50

ロジャー・フェデラー

4.50

ロジャー・フェデラー

4.50

ラファエル・ナダル

7.00

ラファエル・ナダル

7.50

アンディー・マレー

9.00

アレクサンダー・ズベレフ

13.0

マリン・チリッチ

11.0

マリン・チリッチ

13.0

アレクサンダー・ズベレフ

17.0

アンディー・マレー

15.0

フアン・マルティン・デルポトロ

17.0

フアン・マルティン・デルポトロ

17.0

ミロシュ・ラオニッチ

17.0

ミロシュ・ラオニッチ

17.0

グリゴール・ディミトロフ

26.0

グリゴール・ディミトロフ

26.0

ケビン・アンダーソン

26.0

ケビン・アンダーソン

26.0

ニック・キリオス

26.0

ステファノス・チチパス

26.0

カイル・エドマンド

34.0

ニック・キリオス

26.0

ドミニク・ティエム

34.0

カイル・エドマンド

34.0

デニス・シャポヴァロフ

41.0

ドミニク・ティエム

34.0

錦織圭

41.0

デニス・シャポヴァロフ

41.0

 

 

錦織圭

41.0

 

男子は41倍以内が、一人増えました。全豪でベスト4まで勝ち上がったチチパスが評価を一気に上げて26倍がついてます。

男子で評価がはっきり上がったのは、そのチチパスの他は、ジョコビッチだけだったりします。3.50倍から2.50倍へ、というのはなかなかすごいです。

オッズはだいぶ下がってますが、マレーもまだ15倍で乗っています。引退表明をし、全豪では一回戦負け、その後手術を受けていて、ウインブルドンには出場出来るのかもよく分からない状態ではありますが、それでも15倍。ブックメーカーはイギリスにあり、イギリス人がよく買うものですから、マレーのウインブルドン、というのは外しようのないコンテンツなんだろうな、というのも感じられます。引退表明したからこそ出て欲しい、勝ってほしい、という思いもあるでしょうか。

 

 

錦織選手は41倍で変わらず。順当にいけばベスト16で終わりでしょ、という扱いで変わりません。

錦織選手の場合、全仏が34倍、全米も34倍で、芝よりクレーやハードコートの方が評価が高い位置付になっています。

 

男子はいつまでジョコビッチの時代が続くんでしょうね。

というよりは、ジョコビッチの時代と言う色付けが強まってきた感じになってきてますでしょうか。全仏も勝ったら四大大会二度目の四連勝になるんですけど、どうなるんでしょう

 

 

女子は男子と違い戦国模様でしたが、ここにきて大阪選手が四大大会連勝してランキング1位に。昨年前半はインディアナウェールズの優勝のところに大きなポイントがありますが、それ以外はあまりポイントを稼いでいないので、しばらく1位と保ちそうに見えます。

21歳にして時代を築き始めるのか、あるいは誰かが阻止するのか、セリーナウイリアムズが復権するのか。

最近はテレビ放映も増えてきているので、この先楽しませてもらえたらと思います。

 

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ウインブルドン19 優勝オッズ備忘録180924

 

オリンピック選手のインターハイ

坂本花織選手がインターハイに出場し、優勝しました

オリンピック出場経験のある選手がインターハイに出場する。

フィギュアスケートではいまだかつて記憶にない事態です

そもそも、高校生でオリンピックの代表になる、というケースが意外と少ない。ピーク年齢が若いとされ、特に女子では金メダリストは10代なことが標準的なフィギュアスケートですが、日本の代表には意外と高校生はなれていないんですね。

浅田真央さんなんかは初めてのオリンピックは19歳、その前は若すぎで出場権なし、ということになっていました。村上佳菜子さんも19歳で出場。

安藤美姫さんは18歳の高校三年生でオリンピックに出ていますが、オリンピックシーズンにインターハイに出る、というのはスケジュール的にあり得ず出ていません。

遠く遡って荒川静香さんの長野オリンピック出場は16歳高校一年生の時でした。当時は世界的にはそれほど強い選手でもなかったですし、もしかしたら翌シーズンにはインターハイに出る、なんてことをしていたかもしれません。記録は確認できないのですが。

 

オリンピックの代表にもなった選手が、さらには今シーズンもこの先四大陸選手権、世界選手権を控えた選手が、なんでインターハイなんかに? という言われ方もされている部分もあるようです

 

さて、他の競技ではどうなんでしょう? オリンピック選手がインターハイにでる、というのはどの程度あるのでしょう?

これ、案外普通にあったりするんですよね、競技によっては

高校生年代でオリンピックの代表になることができるような競技というのは割と限られます。代表的なものとしては、競泳なんていうのがあるでしょうか。

高校生のオリンピアンと言えば、池江璃花子選手。彼女はリオデジャネイロオリンピックに出場し、帰国した直後のインターハイに出場し優勝しています。競泳は、スケジュールさえ合えば、オリンピック選手も普通にインターハイに出ていますね。18年は、アジア大会と被ったので出られない、ということになってまして、さすがにスケジュール被ると出ませんが、スケジュールさえ合えば普通に出るようです

他にも体操競技なんかも高校生のオリンピック代表が普通にいますが、これもやはりインターハイにはスケジュール合えば出ています。杉原愛子選手なんかがそうでした。当然ながらスケジュール上の優先度は高くないので、三年生の時に一度出られただけ、という形ですが、個人総合と種目別二種目で優勝という、半分以上一人で持って行ってしまいました。

 

一方、中高生の活躍が目立つ競技でもインターハイには出てこない競技もあります。卓球なんかがそうです。伊藤美誠選手、平野美宇選手、インターハイに出ているか? 出てきませんね。石川佳純選手はインターハイに出て三連覇を果たしていますが、オリンピックに出たのはそのあと、19歳になってからです。

卓球ではかつて、福原愛さんが、高校1年生でアテネオリンピックに出た2年後、高校3年生でインターハイに出場した、ということがありました。この時はシングルスでまさかの準優勝。そんなこともあるのか、と驚かされる事柄でもありました

 

 

こうやって見てみると、オリンピックに出る高校生というのが少ないので、オリンピックに出た高校生がその後インターハイに出る、という事象はなかなか生じづらくはあるものの、実際にオリンピックに出た高校生は、1年や2年のうちに出場していれば、結構な高確率でその後インターハイに出ているようです。ようは、優先順位が極めて高いわけではないのでスケジュールが合わなければ回避されるけれど、そうでもなければ普通に出場する、というところでしょうか。

 

 

さて、今回の坂本選手はこれらのケースとは多少異なる部分もあります。まず、スケジュール的に余裕があったと言えるか? インターハイが1/26-27にあって、四大陸選手権が2/7スタート。実質的にはほぼ二週間で、グランプリシリーズ2戦が、割と高確率でこの間一週置いて、というスケジュールになります。これは、それほど余裕があるとは言いにくいスケジュールなのですが、そのうえで、インターハイはジュニアルールであり、四大陸選手権はシニアルールである、という決定的な違いがあります。

特に違いが大きいのがフリーで、時間がシニアは四分なところジュニアは三分半でコレオシークエンスがない、ということでプログラム構成が大きく変わります。また、ショートプログラムでも、ジュニアは今シーズンはフリップジャンプを単独で飛ばなくてはいけないというルールであり、坂本選手は通常時はフリップ-トーループのコンビネーションを入れていますので、これを変えなくてはいけませんでした。

 

そんなわけで、今回坂本選手がインターハイに出場したのは、結構な苦労を強いられていたはずです。はっきり言えば、四大陸~世界選手権へ向けての準備期間に、しないでもいい苦労をしていた、と言えます。当然ながら周囲からは、インターハイへの出場は反対されたと言います。

 

この辺は確かに、そういった大人の声も分かる気がします。世界のトップ選手が、インターハイはないだろと。スケジュールに余裕があるならともかく、すぐに次の試合がある中で、違うプログラムを滑る価値がどれだけあるか? そういう価値観で見れば、インターハイに出る意味はなかったんだろうと思います。

 

一方で、感情面では出たい気持ちはわかる部分がある。様々な映像を見ていると、坂本選手が高校生活を楽しんでいる感じは伝わってくるんですよね。そういったあたりから、最後に、高校の名前で試合に出たい、という気持ちはわかる。少し飛躍してしまいますが、アスリートについての学校生活、というものについて少し考えさせられる部分があります。

紀平梨花選手は、高校を通信制のN高東京を選びました。すべてにおいてスケートを優先する、という考え方下、その決断をしたと聞いています。世界ジュニアの代表になった川畑選手もN高東京ですが、おそらく同様な理由なのではないかと思います。

また、本田真凛選手は拠点を米国に移しました。彼女の場合はもしかしたら、とにかく日本を離れることが重要、というような意味合いになるのかもしれませんが、ともかく、学校生活はその時点でほぼなくなったということになるでしょう。

 

すべてにおいて競技を優先するという選択を取るのがいいのか、学校生活も楽しむという選択をするのは甘いのか? その辺は人それぞれだと思うんですよね。ありきたりな結論ですけど

練習時間を十分に確保するには、すべてにおいて競技を優先するというやり方にした方がおそらく良いのでしょう。一方で、すべてにおいて競技を優先するという選択を突き詰めすぎると、世界が狭くなる可能性がどうしても出てくる。

アスリートにとって、競技の外にある学校というのはある種の異世界かと思います。その異世界の中に身を置くことで得られるもの、というのがおそらくある。それを坂本選手は確実に得ているのではないか、そういったものを大きく得てきた3年間だったのではないか。そういう風にここ数日の坂本選手と、これまでのいくつかの報道というか学校風景のような映像を見ていると思えます。

 

 

それにしても豪華なインターハイでした

グランプリシリーズのメダリストが表彰台にも乗れず・・・

これでもフルメンバーではなく、紀平選手始め、出場していない有力高校生が何人かいるわけで

全員本気のインターハイ、というのを見てみたかった気はします

 

 

 

 

 

スポンサーがほしい

先日、白岩優奈選手のクラウドファンディングの受付が終了しました

これは、活動資金が足りない、ということによるものですが、そもそも、資金を集める手段はこれしかなかったのでしょうか?

 

一番単純に考えると、スポンサーが付けばいいわけです

トップ選手のスポンサー事情、というのを少し見てみたいと思います

 

全日本選手権の上位選手の、主なスポンサード状況を確認してみます

 

坂本花織:シスメックス

紀平梨花エイベックスレッドブル

宮原知子木下グループ味の素

三原舞依シスメックス

樋口新葉プリンスホテルノエビア、ナイキ

本田真凛JALKOSEロッテ読売新聞

 

本田真凛選手は、樋口選手と同時にプリンスホテルとのスポンサー契約を結んだはずなんですが、IMGのサイトを見るとスポンサー欄から消えてるのはなぜでしょう??

 

スポンサーといっても、程度はわかりません。

坂本選手、三原選手のシスメックスあたりはフルサポートしてそうですが、樋口選手のナイキなんてのは、いくらかの用具サポートくらいかもしれませんし、それぞれの程度はほんとによく分かりません。

 

上位五選手は何らかのスポンサーがついているんですね。特別強化選手の中では山下真瑚選手だけ、明確なスポンサーを見つけられていません。逆に、上位五選手以外で明確なスポンサーが見つけられたのは本田真凛選手くらいでした。本郷理華選手もかつてはP&Gの製品のCMに出ていましたので、それはそれで一つのスポンサーと言えたかもしれません。

 

こうしてみるとスポンサーが付く最低線は、世界選手権出場ないしは世界ジュニアの表彰台、ということになるでしょうか。実際には紀平選手はまだ世界選手権に出ていないですし、世界ジュニアの表彰台にも乗っていませんが、全日本ジュニア優勝+全日本3位+トリプルアクセル、というわかりやすい実績はあったので、契約しやすい要素はありました。

 

 

男子も見てみると

 

宇野昌磨トヨタ自動車

高橋大輔スカイコートイミュ

島田高志郎:木下グループ

友野一希セントラルスポーツ

 

他に、全日本の上位、という表現だと入りませんが、当然ながら羽生結弦選手にもスポンサーがついていて、ANA所属です

ただ、オリンピックにも出場した田中刑事選手については、明確なスポンサーが確認できていません。

女子と比べて、傾向がいまいちはっきりしませんね。ジュニアでもしっかり所属先があったり、オリンピックに出ても明確なスポンサーが見つからなかったり。ただ、飛びぬけている二人、宇野選手羽生選手は、それぞれそれなりのスポンサーがついています。長期ブランクからの復帰という異例な動きをした高橋選手は、スポンサーも、異色な感じの先が付いています。

 

こうやって見てみると、確かに、白岩選手はちょっと苦しい位置にいるのかな、とは思います。シニアに上がってからはグランプリシリーズで上位には入るものの表彰台はなく、世界レベルの大会には出場出来ていない。ジュニア時代は世界ジュニアで表彰台には上がれなかった。全日本ジュニアも最高位は2位で優勝はなし。分かりやすい戦績、わかりやすい武器がありません。

 

神戸の二人、三原坂本組は、シスメックスというスポンサーを得ました。これは、IMGが動いたりしたんですかね? 内情はわかりませんけど。この先、神戸の中野先生のところからは、有望選手がシスメックス所属になっていく、という流れができるかもしれません。

名古屋は、本当のトップ選手にまでなるとトヨタ自動車があります。安藤美姫さんもトヨタ自動車所属で活動していました。小塚崇彦さんもそうでしたね。本来はもう一ランク下の選手にスポンサーがほしいのですが、山下真瑚選手、横井ゆは菜選手あたりだと、ちょっとトヨタはまだ認めてくれないでしょうか。でも、名古屋と言えば、という企業が一応スポンサーになってくれるコースはある。

 

京都で、そういう企業いてくれませんかね。まあ、今の拠点は関西大学なので、京都というより大阪ではあるのですが、元々は京都醍醐スポーツクラブなので、京都からスポンサーついてくれないかなあ、地元枠として

京都が本拠地の企業、というのは案外沢山あります。

半分そのまんまの名称な京セラなんてのが大きいですし、世界に冠たる日本の経営者だけど絶対自分の上司にはしたくない永守会長が率いる日本電産もあります。京セラは各種スポーツの支援をしている。日本電産は余計なことにカネを出さない会社ですが、かつて買収した日本電産サンキョーにスケート部が付いてきたのですが、これをつぶさず支援を続けています。高木姉妹の姉がここです。スピードスケートだけではなくて、フィギュアスケートも支援してくれないですかね

 

ハンドボール部持ってるオムロンやかつてノーベル化学賞受賞者を社員から出した島津製作所も京都で、テニス部やラグビー部があります。

他には、ゲーム機の任天堂フィギュアスケーター育成ゲームリアル版としてでも、フィギュアスケート部持ちませんか

 

なんて、どこまでが現実的かわかりませんが、地元選手の育成、という観点で支援してくれるような企業があってもいいかな、と思います。

 

こういうのってある種のパラドックスがあって、支援がもう必要ないレベルの選手ほどスポンサーが集まりやすく、支援が必要なレベルの選手はスポンサーが来ない

それを解消するには、ある程度、クラブ単位のレベルくらいで面倒見てくれるスポンサーがいるといいのですが、じゃあ濱田組がどこかのスポンサーの丸抱えで、フィギュアスケート部、みたいなことにするのがいいかというと、そこまで行くと制約が出てきてしまう。宮原選手や紀平選手みたいに、自力でスポンサーが付く選手の動きが制限されてしまう、という難点もありそうではあるし、長期的に継続して本当についてもらえるのか? というのが判断付きにくく、安定性考えると簡単に丸抱えしてもらうというのも難しい

 

どうしたらいいんですかねえ、という結論の出ない話ではあるのですが。

 

チームとして丸抱え、というのは話が大きくなりすぎてしまうのでちょっと横に置きますが、白岩選手くらいの立ち位置の選手の、個人一人分のスポンサーになる、というのは企業にとってそんなに悪くない話なような気がします。企業の印象を悪くするような選手ではなく、好感度が低いというようなことにもならなそうな選手ですし。この先、山下真瑚選手と横井ゆは菜選手あたりも、同じような位置でこの問題に直面する部分はあるかもしれません。これだけの人気競技なのですから、トップ10くらいの位置にいる選手には、活動に支障が出ないレベルでスポンサーがついていくような、そんな環境が出来ていって欲しいと思います

 

日本電産サンキョーで、フィギュアスケートも見てくれないかなあ・・

 

 

書評 宇宙旅行はエレベーターで

宇宙旅行はエレベーターで

ブラッドリー・C・エドワーズ フィリップ・レーガン 共著

関根光宏 訳

四六判 384ページ

 

 

軌道エレベーターというものを知っていますか?

あるいは、宇宙エレベーターとも呼ばれるものを知っていますか?

 

この手の本は、書かれた時代が古いと、現在の技術との乖離が出てしまいがちではあります

本書の発行は2013年6月25日なので、それ自体でもすでにいくらか古いのですが、元は2008年4月に出たものに修正を加えたもの、ということなので10年以上の月日が経ってしまっています

さらにいれば、翻訳版が2008年4月に出た、ということで、原書は2006年の発行です

ということもあり、多少、この本で予言されていたことからはずれが出てきてしまっている現実はあります

 

ただ、それでも、長期的に考えると宇宙空間への移動手段はロケットではなく建設されたエレベータを使う、というのは妥当な考え方だと思っています

 

軌道エレベーター、あるいは宇宙エレベーター、これらは同じものを指していて、地表から静止軌道以遠までつながる軌道を持つエレベーターのことを言います。ビルのエレベーターをずっとずっと伸ばしたら宇宙まで行けるんじゃないの? という子供の発想をちゃんと科学した、というようなものです

 

本書は、この軌道エレベーターを建設するための課題やそれをクリアしていくための手段を記しているものです。エレベーターの全長は、静止軌道までの36,000kmではなく、さらに長い10万キロが想定されています。こう聞くとそれだけで荒唐無稽な話に聞こえるのですが、10万キロ伸びるケーブル、というだけなら海底ケーブルなどで現実に存在するレベルだと言います。

 

本書では、ロケットで宇宙と出入りするのは無駄が多い、という話が出てきます。実際、宇宙に飛んでいくのには膨大な燃料が必要で、その燃料を飛ばすために燃料が必要という、何やってるんだかわからない状態である、という現実はあって、その非効率性はどこまで行ってもついて回る。だったら、構造物で宇宙とつないでしまえばいいんじゃないの? というのは妥当な発想だと思っていて、将来的には期待しています

 

現在の宇宙開拓の状況というのは、古代ギリシャ時代に植民都市を作っていく前のころ、にある程度に通っているのではないかという気がしています

都市の中に人が増え、都市の中だけでは解決できない問題も増えてきたので、外の世界を開拓していきたい。やがて船に乗って漕ぎ出していく。その漕ぎ出していく先が海の向こうだったのが古代ギリシャであり、空の向こうになるのが現代社会になる。

植民都市とは食物などの交易でつながり、やがては奢侈品の貿易なども行われ、そのうちに母市と植民都市の関係が薄れ、別々の都市となっていく。

 

宇宙開拓で手に入れたいのは、実はまずエネルギーかな、と思っています。宇宙空間でなら無尽蔵に太陽エネルギーを入手できる。ロケットで打ち上げるのでは辛いですが、エレベーターで運んでの宇宙空間太陽光パネル設置ならコストも見合うでしょう。さらに言えば、原子力発電も、宇宙でなら大した問題は起こらない。放射線? だからどうした? という話になるわけで。あとはそのエネルギーを地上に移転できればいいのですけど、その技術はまだないかな? エレベーターに送電線も括りつける?

 

エネルギー問題が解決出来たら、次は金属資源を手に入れたい。月や火星にもいくらかあるのかもしれませんが、それよりは、適度な大きさの小惑星を丸ごと掘っていくという方が良いかなあ、と思ったりもしますが、小惑星帯は月や火星と比べて大分遠い・・。

 

エネルギー、資源、の次、あるいは資源と並行するくらいの時期には住環境も手に入れたい。これは、地球のスペアのような感覚です。人類が住める場所が地球しかない、というのは結構怖いな、と思うのでスペアの用意がほしい。

地上から見える月に植民都市がある、というのはちょっといやな感じもするので、ある程度の大きさがある火星くらいにしてもらえるといいかなあ。大気が薄いし気温が低いし厳しいところもありますが・・・。地中にするか、地上でも広大な断熱密閉空間を作るとか、そんな対処になるでしょうか

 

火星に植民都市が出来たとして、地球と火星の公転周期の関係で、惑星間移動に適したタイミングは2年に1度しかやってこない、頑張ればその前後も時間かけて移動できないこともないけど、というあたりは、古代ギリシャから少し進んだ時代のインド洋交易で、季節風

、ヒッパロスの風、が吹く時期しか移動できない、というのにも似た感じで、やっぱり人類が地球上に拡散していった頃と、宇宙に拡散していくのとで、なにか似た様な感じのことがあるんだなあ、と思ったりもします。

 

一発撃ちあげるのに膨大なエネルギーの必要なロケットだと、これらの実行はかなり難しいですが、静止軌道までつながるエレベーターさえ出来れば、そこから先は時間の問題で上記のことくらいは出来ていけそうな感じです

 

ただ、やはり、その、軌道エレベーターを作ること自体が難しいんですね。本書が書かれた時期には、新素材が出来たからあとはもう少し研究が進めば行ける! という雰囲気があったようですが、それから10年以上たった現在、まだ全然…、といった雰囲気になっているように感じます。

宇宙空間までの総延長10万キロにも耐えられる新素材、というのがカーボンナノチューブなのですが、今の段階でもまだ、計算上その長さに耐える強度はあっても、長さのあるものを全然作れない、という現実があります。ここの技術の発展が一つのカギなんだと思いますが、本書の筆者たちの2020年代までにエレベーターの完成、というスケジュールはだいぶ厳しそうでしょうか。せいぜい20年代軌道エレベーターに使えるカーボンナノチューブの生産のめどが立つ、というくらいでしょうか

 

もう一つ、建造に向けての大きな課題は、やはり政治的なものでしょうか。

宇宙空間の利用についてのコンセンサス、というものが、軌道エレベーターなんてレベルのものを作るにはまず必要となるでしょう。

さらに、どこに作るのか? 赤道に近いところにしか作れない、という常識はありますが、その「近い」の意味は意外と広くて、南北35度くらいにまでなら作れる。意外だったのは、陸上ではなく会場に作った方が良い、という理論でした。北緯35度以南、という条件だと中国やアメリカも南部が入ってくるので、自国内で自国の意志だけで設置が可能かと思っていたのですが、意外だったのは、陸上ではなく海上に設置する方が望ましい、というところ。言われてみると当たり前だったのですが、様々な理由で稼動性があった方がいいのですね。そのうえで、天候などの条件を考慮すると、あまり候補地は広くない、となります。その候補地は、公海上あるいは自力でこんなものを建造できなさそうな国近辺の領海ないしは200カイリ内あたりだけになります。そういった場所をこのようなことに使う、というのには幅広く国際政治でコンセンサスを得る必要がある。さらには、どう考えてもテロの標的になりやすそうなものですから、軍事的な警備も必要となります。その辺もどうするかの検討が必要。ということで、技術的な問題がクリアできても、政治面での課題は大きそうです

 

軌道エレベーター、生きてるうちに出来てくれないかなあ

自分で宇宙に行きたい、とは思わないんですけど、宇宙とつながっては欲しいんですよね。

宇宙とつながっていければ、資源問題はかなりの部分が解決できそうに思うし

 

まずは、カーボンナノチューブの発展からですかね

 

 

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