ジュニアグランプリシリーズ 女子シングルレビュー1

 

シニアのグランプリシリーズに先駆けて、ジュニアのグランプリシリーズが10月上旬まで行われていました

全7試合終了し、ファイナルへの進出者も決定しています

今回は、そのまとめ

女子シングル編です

 

まず、180点以上のスコアと、日本勢の得点を並べてみます

末尾のカッコつき数字は、ジュニアグランプリシリーズの中で何試合目か? という意味の数字です。1試合目なら(1) 7試合目なら(7) という具合になります

 

 

Alexandra TRUSOVA(RUS) 221.44(74.74(44.06,30.68)) 146.70(86.26,61.44)) 優勝(3)

Alexandra TRUSOVA(RUS) 221.00(74.19(44.18,30.01)) 146.81(85.27,61.54)) 優勝(7)

 

Anna SHCHERBAKOVA(RUS) 205.39(73.18(43.40,29.78) 132.21(73.25,58.96)) 優勝(1)

Alena KOSTORNAIA(RUS) 203.50(71.08(41.05,30.03) 132.42(71.16,61.26)) 優勝(2)

 

Alena KOSTORNAIA(RUS) 198.38(70.24(39.47,30.77) 128.14(68.22,60.92) 優勝(5)

Yelim KIM(KOR) 196.34(69.45(40.68,28.77) 126.89(70.40,57.49)) 2位(5)

Anna SHCHERBAKOVA(RUS) 195.56(65.07(36.26,29.81) 130.49(71.87,59.62)) 優勝(4)

Yelim KIM(KOR) 191.89(61.63(34.55,27.08) 130.26(72.39,57.87)) 2位(3)

Alena KANYSHEVA(RUS) 191.84(67.77(39.66,28.11) 124.07(67.55,56.52)) 2位(2)

Anastasia TARAKANOVA(RUS) 190.69(64.56(36.30,28.26) 126.13(68.01,58.12)) 2位(4)

Anastasia TARAKANOVA(RUS) 190.05(63.98(35.89,28.09) 126.07(69.49,56.58)) 優勝(6)

 

Anna TARUSINA(RUS) 188.24(65.74(38.20,27.54) 122.50(65.46,57.04)) 2位(6)

Kseniia SINITSYNA(RUS) 187.91(67.12(39.87,27.25) 120.79(66.96,55.83)) 3位(3)

Alena KANYSHEVA(RUS) 187.55(67.75(39.22,28.53)) 119.80(61.77,58.03)) 2位(7)

Anna TARUSINA(RUS) 186.68(67.14(39.82,27.32) 119.54(63.31,56.23)) 2位(1)

横井ゆは菜(JPN) 184.09(57.62(32.99,25.63)) 126.47(71.32,55.15)) 3位(7)

Young YOU(KOR) 183.98(64.45(36.17,28.28) 119.53(65.89,54.64)) 3位(1)

Viktoria VASILIEVA(RUS) 182.87(64.53(37.76,26.77) 118.34(65.69,52.65) 3位(5)

Haein LEE(KOR) 180.48(63.01(36.89,26.12) 117.47(64.58,52.89)) 3位(6)

 

荒木菜那 176.50(60.93(36.19,24.74) 115.21(62.75,52.46)) 5位(5)

吉岡詩果 175.19(59.95(34.24,25.71) 115.24(64.96,50.28)) 6位(5)

住吉りをん 174.96(55.07(32.12,24.95) 119.89(64.97,54.92)) 3位(4)

川畑和愛 173.84(58.89(31.98,26.91) 114.95(60.37,54.58)) 5位(1)

横井ゆは菜 173.15(51.65(28.28,24.37) 121.50(66.41,55.09)) 6位(1)

住吉りをん 171.65(59.80(33.78,26.02) 111.85(58.19,53.66)) 4位(6)

川畑和愛 167.49(66.85(38.64,28.21) 100.64(46.77,55.87)) 5位(6)

荒木菜那 165.80(63.06(37.23,25.83)) 102.74(51.02,53.72)) 5位(7)

吉岡詩果 165.42(56.11(32.55,23.56) 113.71(63.02,50.69)) 3位(2)

 

青木祐奈 154.24(54.81(28.58,26.23) 99.43(47.78,51.65)) 7位(4)

岩野桃亜 153.94(53.49(27.04,26.45) 100.45(49.81,51.64)) 5位(3)

滝野莉子 147.07(50.00(25.92,25.08) 97.07(48.6,49.61)) 7位(2)

横井きな結 126.98(45.68(23.59,22.09) 81.30(37.50,44.80)) 14位(3)

 

 

期せずして、180点以上と日本勢を並べることで、各大会の上位3位以内はすべてそろい、4位以下は日本勢の記録のみ、という形になりました。

 

優勝は7/7でロシア勢。ロシア勢の全勝でした。

2位は5/7がロシア、2/7が韓国となり、ロシア勢のパーフェクトゲームは韓国のキムイェリムにより封じられました。グランプリファイナルへの進出は5/6がロシア勢で、残りの1枠が、この韓国のキムイェリムになっています。

 

3位表彰台は2/7がロシア、2/7が韓国 3/7が日本

日本勢は3位表彰台に乗るのがやっと、という結果でした。

全7試合で、表彰台に乗ったのはロシア、韓国、日本の三つの国籍の選手のみです

ちょっと、競技としてこれはいかがなものか、という状態になってきている感は否めません

 

それはそれとして、全体を振り返ります

 

ジュニアの大会でありながら、200点オーバーが3選手4回もありました

いずれもロシア勢ですが、中でもトゥルソワ選手は、220点オーバーを2試合続けました。

シニアのチャレンジャーシリーズでも、220点を超えるスコアを出したのはザギトワ選手ただ一人です

ショートの技術点は2試合で44.06に44.18 フリーの技術点は86.26と85.27

いずれもザキトワ選手のそれを上回り、ここまでの今シーズンのベストスコアです。フリーは、コレオシークエンスがジュニアにはないので、要素が一つ少ないにもかかわらず技術点がシニアのトップ選手のさらに上を行ったわけです

これはひとえに四回転のおかげ、ということになります

 

四回転は初戦となったカウナスでの試合では冒頭に四回転ルッツが回転不足で減点、次に四回転トーループを単独で転倒、三つ目のジャンプが4T-3Tのコンビネーションで、これがGOE加点付き、ジャッジによっては+4もつく素晴らしいジャンプになりました。

四回転3本のプログラムで、きっちりすべてがきめられなかったことで少し考えなおしたのか、二戦目は冒頭の四回転ルッツだけにして、GOE±0になっています

失敗はありつつも、二試合とも四回転決めてるんですよね。恐ろしい

 

ここまで行ってしまうと誰も勝負ができないか? というと、そうでもなくて、ショートフリーでトリプルアクセル3本入れられる選手なら、まだかろうじて勝負可能だと思います

理由は、トゥルソワ選手にトリプルアクセルがないからです

ショートプログラムでは、シニアに上がっても、アクセルジャンプを必ず飛ばなくてはいけない、というルールがあります。

そのため、たとえ四回転ルッツが飛べようとも、トリプルアクセルが飛べなければ、ショートプログラムではダブルアクセルが組み込まれます。

ダブルアクセルトリプルアクセルの基礎点の差は4.7あります

四回転ルッツと三回転ルッツの差は5.6

四回転ルッツが飛べること、の方が優位ではありますが、どうにもならないほどの差ではありません。

フリーでも、四回転ルッツが一本入るだけなら、トリプルアクセル2本入れられれば問題なし。四回転ルッツと四回転トーループで2本入ってくると、少々差は開きますが、やはりどうにもならない、というほどまでの差ではないです

つまり、ショートフリーで合計四回転三本までなら、トリプルアクセル三本備えた紀平梨花選手で何とか勝負になる、ということです

トゥルソワ選手は、四回転ジャンプ以外の得点能力も極めて高いので、その辺でもしっかり互角に戦う、という前提が必要ではありますけどね

その域にまで入ってくると、逆にトリプルアクセル以上のジャンプがないザギトワ選手では苦しくて、紀平選手しかチャンスがない、ということになるわけです

(なお、ジュニアではそもそもショートプログラムで四回転もトリプルアクセルも、ルール上飛べないので、上記の仮定の話は、シニアルールでの勝負に場合、という前提です)

 

今シリーズでは、もう一人、シェルバコワ選手が2戦目のリッチモンドの試合で四回転ルッツに挑みましたが、これは回転不足の転倒となりました。

 

シェルバコワ選手は、四回転を飛んだことがある、という選手ですが、四回転の安定度という点ではトゥルソワ選手に二歩くらい譲るようです

トゥルソワ選手は過去にはサルコウでも四回転を飛んでいるので、これで3種類の四回転を飛んだことになります。体力的な面もあるので、一つのプログラムで3種類入れられるか? となると苦しいのだろうとは思いますけど、万が一これが一つのプログラムでそろったら、だれも太刀打ちできません・・・

 

トゥルソワ選手の今後の課題は、いつまでいまのままのジャンプの能力を持ち続けられるか? ということになってくるのだろうと思います

オリンピックと年齢の関係としては、メドベージェワ選手と同じで、オリンピックシーズンの次のシーズンに世界ジュニアを勝ち、次のシーズンにシニアに上がり、二シーズンはほぼ無敗で抜けて、さあオリンピックシーズンへ、そのころ17歳、怪我とかしないといいけれど、さらに下からすごいジュニアが上がってこなければいいけれど、というシナリオになります

 

トゥルソワが頭三つくらい抜け出てしまっているので、今シーズンはこのまま敵なしで行くんだろうな、というのはほとんど目に見えている感じです

彼女が負けるとしたら、フリー冒頭で四回転を飛ぼうとして回転不足で転倒、その後も意地になって四回転に挑んですべて回転不足で合計三回転倒、とでもなった時くらいでしょうか

 

二番手争いもロシア勢で200点超えを見せた、コストルナヤとシェルバコワの二人が軸なようですね

ただ、この辺になってくると、トゥルソワほどの圧倒的度合い、というのはないです

四回転が決まる確率が高い、というわけでもないですし、四回転ではないジャンプでも転倒することがあります。

二人のうちだと、コストルナヤの方がプレゼンテーションスコアを高く出せることもあって、やや優位なような印象です

昨シーズンの世界ジュニアでトゥルソワに次ぐ二位に入ったのもコストルナヤですしね

この二人は二戦して200点台と190点台、悪い方は200点に届いていないわけですが、4番手以下のロシア勢のいい方の点数は、彼女たちの悪い方の点数を下回りますので、二番手三番手はこの二人、と言い切っていいのでしょう

 

ロシア勢以外では韓国勢が気を吐きました

ロシア以外で唯一ファイナルに進んだのは韓国のキムイェリム

ジュニア三シーズン目で、年齢的にはシニアに上がることもできたのですが、今シーズンはジュニアで戦うようです

2戦とも190点台を並べての2位

フリーの技術点は二試合とも70点を超えていて、シェルバコワ、コストルナヤとも戦える水準です

きれいな滑りをしているのですが、ジュニア感がすごく出ていて、きれいな滑りだからこそ何か全体的に薄い、という印象になってしまう部分もあり、その辺がプログラムコンポーネントが伸びないところに効いているでしょうか

ただ、昨シーズンまでは、特に目立つ選手なわけでもなく、ロシア勢、日本勢の次の勢力の中の一人かな、くらいの位置づけだった選手が、ここにきて、ロシアに対抗できるジュニア選手は自分一人だけ、みたいな水準まで上がってきました

ファイナルで、もしかしたらシェルバコワ、コストルナヤのどちらかを抑えて表彰台に上がる可能性もあるし、世界ジュニアでそうなる可能性もあります

 

韓国勢で表彰台に乗ったのはあと二人

韓国選手権で最年少優勝を果たし、キムヨナ二世、天才、という扱いを受けてきたユヨン

昨シーズンは今一つ結果が出ませんでしたが、今シーズンはしっかり一つ表彰台に乗ってきています

ただ、そんなにもてはやすほどの天才性、というのは、正直なところ感じない、というのが実感です

ショートは60点台前半まで。フリーも110点台、という範疇なので、合計180点台まではのりますが、その辺が精いっぱいというところです

ショートフリー、それぞれで三回転-三回転を一回づつ、2試合合計で4回飛んだわけですが、しっかり決まったのは1回だけでした。

そのあたりが、まだまだ、と感じさせられる所以かもしれません

実際のところ、日本だと、ジュニア二シーズン目でこれくらいできる選手は、最近毎年いたので、あまり驚かないんですよね

世界ジュニアの枠が韓国は二つ。出てくることができるかどうか、というラインにいるように見えます。

出てきたら、日本勢と最終グループ入りや、来期の出場枠3枠を賭けての順位争いをする相手、ということになりそうです

 

もう一人表彰台に乗った韓国勢は、ジュニア一年目のイ・ヘイン

なんというか、キムヨナ風?

手の動かし方とか、そんなあたりが

この世代の韓国選手は、明らかに、キムヨナを見てスケート始めました、みたいなパターンが多いのでしょう

最初はそれで、マネから入ってもいいんだと思いますし、13歳ならまだそれもありだと思いますが、この先シニアに上がっていって、何かを表現する、ということをスケートの中でして行くのであれば、自分の滑りというのをしてほしいなあ、と思ったりしました

 

 

上位に来る選手の国籍が偏っている、というのは少し寂しいですね

 

長くなってきていますので、今回は海外選手、というかロシアと韓国だけになってますが、それだけで終わりにして、日本人選手については次回としたいと思います

 

WTAツアーファイナル18 優勝オッズ

テニスのWTAツアーのファイナルが間もなく始まります

日本人女子選手の出場は伊達公子さん、杉山愛さんに次いで3人目

2003年の杉山愛さん以来15年ぶりに、大阪なおみ選手が出場します

 

これまで出場した2選手は、出場できたうれしい、ここからさらに勝ち上がれたらすごい、という水準でした

今回の大阪選手は、それとは状況がだいぶ異なります

 

大会開幕前の段階で、ブックメーカーの優勝オッズがどうなっているか見てみましょう

 

 

William Hill

 

Naomi Osaka                    4.50

Caroline Wozniacki           5.50

Petra Kvitova                    6.00

Angelique Kerber             6.50

Karolina Pliskova             8.00

Sloane Stephens               8.00

Elina Svitolina                  9.00

Kiki Bertens                      11.0

 

大阪なおみ選手、なんとトップ扱いです

ツアーファイナルにおいて、優勝候補の筆頭である、という扱いになっています

 

もう一つ、ブックメーカーの老舗、bet365も見てみます

 

Naomi Osaka                    4.33

Caroline Wozniacki           5.50

Petra Kvitova                    6.00

Angelique Kerber             6.50

Karolina Pliskova             8.00

Elina Svitolina                  9.00

Sloane Stephens               9.50

Kiki Bertens                      11.0

 

こちらはもう少しオッズが低くて、4.33倍でトップオッズがついています

どちらかで買うなら、William Hillで買った方がいいですね

 

また、それぞれのRound Robin すなわちグループステージ三試合で、だれがトップ通過するか? についてのオッズはこんな風になっています

 

William Hill

Naomi Osaka                    2.37

Angelique Kerber             3.50

Sloane Stephens               4.50

Kiki Bertens                      5.50

 

Bet365

Naomi Osaka                    2.25

Angelique Kerber             3.50

Sloane Stephens               5.00

Kiki Bertens                      5.50

 

Bet365の方が、大阪選手の評価が高いですね

 

 

はたして前評判通り優勝できるのでしょうか?

ランキング1位のハレプはいないんですけど、それでも、ここで勝ったら、彼女の時代がやってくるような、そんな気配を感じてしまいます

 

なお、男子のATPツアーファイナルはまだ少し先で、11/11~18の週になっています

錦織選手は出場できるかどうか、ちょうど際どいくらいポイントを持っていて、この先の試合結果で変わってくるかと思います

 

グランプリシリーズ18予想 男子シングル

さて、女子シングルに続いて男子シングルも予想します

早くしないと試合が始まってしまう

 

 

初戦のスケートアメリカは日本人の出場なし

男子は女子と違って、無良崇人さん、村上大介さんの引退で、上位選手が減ってるんですよね今シーズン。

結果として、日本人のエントリーなし、という試合が出ています

 

優勝:ネイサン・チェン 二位 ビンセント・ゾー 三位 アレクセイ・ビシェンコ

 

このメンバーだとネイサンチェンの対抗馬が見つからない、という感じなので普通に優勝予想。

二位にはアメリカパワーでアメリカからもう一人持ってきました。

二位以下の表彰台候補は結構多くて、昨シーズン好成績を上げたベテランのロシアのボロノフや昨シーズンで引退すると言われていたもののエントリーしているカナダのケビンレイノルズもいますし、かつて世界選手権で5位に入ったことのあるカナダのナム・グエンや、チャレンジャーシリーズで比較的好成績だったジョージアのクビテラシビリ、といったところもいますが、二位にはアメリカパワー、三位はベテランの安定感×最近の実績を見込んでビシェンコを入れています

 

 

スケートカナダは日本からは友野一希宇野昌磨の二選手が出場です

宇野選手がついに年下日本人とグランプリシリーズに出るようになってきました

なにかびっくりするようなことな気もしますけど、今年はすでに大学三年生。今時分には周りはインターンとかに行って就職活動始めてます、みたいな年なんですよね

 

優勝:宇野昌磨 二位:キーガンメッシング 三位:ジェイソンブラウン

 

このメンバーだと宇野選手の負ける目が全然見えません

二位はチャレンジャーシリーズで好調だったキーガンメッシングの初表彰台予想。三位には、今シーズンは復権を果たしたいジェイソンブラウンで。

ジェイソンブラウンは、まだ四回転を飛んだのを見たことがありません。ただ、うまく演技をした時の美しさは抜群です。ブライアンオーサー先生の所へ移籍して、キッスアンドクライでのあのキュートなふるまいがどう変化するのかも楽しみなのですが、四回転なしの構成でトライして、パーフェクトな演技をして表彰台に乗ってくるのではないかと思っています。

他にはダニエルサモーヒンや、ロシアのアレクサンデルサマリン、また韓国のチャジュンファンあたりもいますけど、表彰台には届かないかな。チャレンジャーシリーズの出来からすると、チャジュンファンが四番までは来そうです

友野選手は、世界選手権5番なんですが、ちょっと苦しいですかね

演技構成点が伸ばせるようになるといいのですが、いまの感じだとちょっと苦しくて7番くらいかなという予想です

 

 

三戦目は中国、ではなくてフィンランドヘルシンキ開催

日本からは羽生結弦田中刑事の二選手が出場です

 

優勝:羽生結弦 二位:ミヒャルコリヤダ 三位:ボーヤンジン

 

ここは世界のメダル経験者が3人いて、その三人が表彰台に乗ってくると思います

順番は、羽生選手は頭一つ抜けてるので普通に勝って、二位三位は、最近の調子から。ボーヤンジン選手は、チャレンジャーシリーズも出ていませんでしたが元気なのでしょうか

 

表彰台をうかがうのはほかに、韓国のチャジュンファンとイスラエルのビシェンコでしょうか

チャジュンファン選手の初表彰台、というのもありそうではあるのですけど、ボーヤン選手の復活期待の感覚のが上な感じなので、こんな予想になります

田中刑事さんは6位予想としておきます

 

 

四戦目はNHK杯です

日本からは佐藤洸彬、宇野昌磨、山本草太の三選手が出場します

 

優勝:宇野昌磨 二位:ドミトリーアリエフ 三位:セルゲイボロノフ

 

メンバー的に宇野選手と勝負できそうな選手は見当たりません

もう一人のシード選手はラトビアのバシリエスフですが、まだちょっと力不足な印象です

二位争いは候補が何人もいて、他にもアメリカのビンセントゾーやカナダのケビンレイノルズあたりも面白いのですが、最近の勢いでアリエフ二位、ベテランの安定感でボロノフが三位に残る、という見立てにしたいと思います

本草太選手はどこまで来るかなあ。ショートでノーミス演技をしてフリー後半グループに入ってもらえたらと思うのですが、どうかなあ。まだ、おそらく四回転は入らないと思うのですが、トリプルアクセルまででも、彼の美しい演技なら点は出せると思うんですよね。

まずは、四回転なしで、ジェイソンブラウン並みの点数までたどり着いてほしいです。

佐藤選手は、昨シーズンのNHK杯でいい演技をしたのですが、いい演技でも点はあまり伸びなかった、という現実がありました。独特な演目を演じる、という選手なので、見ていて楽しいのですが、勝負という意味では厳しいかもしれません。

山本選手6位の佐藤選手10位の予想としておきます

 

 

5戦目のロシア、ロステレコム杯には、友野一希羽生結弦の二選手が出場します

 

優勝:羽生結弦 二位:ミヒャルコリヤダ 三位:キーガンメッシング

 

羽生選手がこのメンバーで負けるイメージはいまいちできません。負けるとしたらコリヤダになのでしょうけれど・・・、負けるイメージにならないです

メンバー的にはそれほどいないので、友野選手も表彰台チャンスな気がするのですが、今シーズン序盤からしっかり結果を出しているコリヤダ、メッシングの二人の上に行くのはちょっと厳しいのかなあ、と思います。いい演技をして245点まで出たのだけど4番、という構図になりそうな気がしています

 

最終六戦目はフランスグルノーブル開催

日本からは田中刑事選手が登場です

 

優勝:ネイサンチェン 二位:ドミトリーアリエフ 三位:ボーヤンジン

 

ネイサンチェンは強いんじゃないかな、という印象です。しっかり勝ってくる

昨シーズン後半から大崩れしない感じになっているアリエフが二番手に。ボーヤン選手、元気なのかわからないのですけど、なんとなく不安が残るので二位まで来ないで三位にとどまるかな、という予想です

他に、ジェイソンブラウン、ダニエルサモーヒン、アレクサンドルサマリン、デニスバシリエスフ、なんていう面々もいて、表彰台争いは結構面白いかもしれません

これだけ並ぶと、ちょっと田中選手は苦しいかなあ、

8位予想としておきます

 

こういう結果で並んだとすると、グランプリファイナル進出は日本二人、ロシア二人、アメリカ一人、カナダ一人、という形になりますかね。フェルナンデス選手がいないくらいで、あとは国の割り振り的には大体こんな感じにいつもなってる気がします

 

さて、ファイナル予想もしてしまうと

 

優勝:羽生結弦

二位:宇野昌磨

三位:ドミトリーアリエフ

四位:ネイサンチェン

五位:ミヒャルコリヤダ

六位:キーガンメッシング

 

こんな感じで

まず、宇野選手の二位を固定で入れて、そのあとで優勝が誰かを考える。

宇野選手の上に行けそうなのは、羽生選手とネイサンチェンくらいしかいなさそうで、どちらが行くか? と考えると羽生選手かな、という印象です

ネイサンチェン選手は、不安定さを露呈することが結構あるので、それがここで出るのではないかと思っています。

グランプリファイナルの三位っていうのは、このメンバーでよく頑張って表彰台乗りましたね、という感じの人が高確率で入ってくる印象なのですが、それが今回はアリエフになるのではないかと

コリヤダとメッシングは、地力がコリヤダのが上かな、ということでこの並びに

 

よく見ると、平昌オリンピックから、引退や休みで抜けた以外では、それほど上位の入れ替わりがなくて、新顔が飛び込んでこない、という見立てをしてるんですね、私

ボーヤンジン選手が、オリンピック四位だったのですが、今シリーズではちょっと下の方の予想になっています。昨シーズンの世界選手権で元気なかったことが気になっています

 

それ以外は、多少の上下くらいで、あまり変化がないです

 

男子も女子も、オリンピックの次のシーズンではあるものの、大きな顔ぶれの変化があった、というよりは、何人か抜けただけ、という感じのシーズンになるように見えます

女子は、紀平梨花という新顔が活躍する予感がありますが、男子は、いまいちそういった新顔が現れる予感がありません

 

男子の場合はジュニア時代の実績があまりなくても、二十歳すぎてから伸びてくるなんてことが、特に海外の選手だとよくあるような気がします

そんな新顔が、上位を脅かしてくれるような、そんな展開もあったらおもしろいな、と思ったりしています。

 

 

 

グランプリシリーズ18予想 女子シングル

10月19日から、グランプリシリーズが開幕します

チャレンジャーシリーズはここまで7戦行われていますし、国内の地方大会も終わっていますが、グランプリシリーズが始まるこの段階で、なんとなく本格的なシーズンが始まる、という感じがするのは私だけでしょうか

 

さて、せっかくなので、開幕前に予想をしてみようと思います

展望記事、ではなくて、単なる予想です

やってみたかったんですよ、こういう、無責任な予想ってのを

全六大会、表彰台メンバーを予想してみたいと思います

 

まず今回は女子シングルから

 

スケートアメリカ

ワシントン州エバレット、というところで行われるようです

エバレットはよく知らないですが、ワシントン州は西海岸北部の州ですね

西海岸ですので、時差は最大になり、現地のナイトセッションは日本時間の次の日の午後くらいの時間だったりするはずです

 

先日まではラジオノワ選手がエントリーしていたはずなのですが、エントリーリストから名前が消えてしまいました。残念・・・

日本からは本田真凛宮原知子、坂本花織と三選手出場です

 

優勝:坂本花織 二位:ブレイディ テネル 三位:宮原知子

 

昨年のスケートアメリカから並びが変わっただけで、同じメンバーで表彰台と予想します

ラジオノワがエントリーしていたら表彰台に絡んできたような気がするのですが、彼女がいないと、ちょっとメンバー的に寂しい感じになります。特にロシア勢が今一つなメンバーになります

ロシアからはツルスカヤもいるんですけど、チャレンジャーシリーズのオンドレイネペラ杯では150点台というひどい出来でした。昨シーズンもNHK杯こそいい出来でしたがトータルでは今一つ。世界ジュニアでの怪我以来パッとしませんし、今シーズンも苦しいのではないかと思われます。

もう一人のロシア勢はシニアデビューになるサムドゥロワがいますが、勝負に絡んでくるのは苦しいのではないかと思われます。

チャレンジャーシリーズでいい出来だったベルギーのヘンドリックスは勝負に絡んできそうですけど、ちょっと届かず4位かなあ

本田選手もアメリカに渡って半年ほど、心機一転成果を出してほしいところですが、210点クラスの三人に太刀打ちするのはチャレンジャーシリーズの出来を見る限り苦しそうです

5位、あるいは6位あたりの後半グループでフリーを滑ることができればいいのではないかと思います。まず、世界ジュニア以来の200点を早めに出してもらえたらな、と思います。

 

上位三人の順番も難しいのですが、ジャンプ矯正中というのがありありと見える宮原選手は、この時期にはちょっと勝てないかと思われるので何とか表彰台に乗りましたという位置になるかと思いました

一番勝ちたいのはブレイディテネルでしょうけれど、プレッシャーに勝ち切れず、フリーで一つ転倒が入ってとどかず二位、というイメージが生まれました。フリーでうまく滑って140点に乗せた坂本選手が優勝、という予想にしておきます

 

 

 

スケートカナダ

ケベック州のラバルで行われるようです

ラバルはよく知りませんが、ケベックは東側の州ですね

日本からは昨シーズン世界選手権二位の樋口新葉、山田真知子門下生の松田悠良に山下真瑚の三選手が出場です

 

優勝:エフゲニア・メドベージェワ 二位:エリザベータ・トゥクタミシェワ 三位:エリザベート・トゥルシンバエワ

 

カナダ風が吹いたらデールマン優勝もあるかな、とか思ってましたが、そもそもデールマンがいませんね。さすがに、オズモンドでもデールマンでもないカナダ勢だと、風が吹いても勝ち目はないと思うので普通に予想します

 

エテリコーチの下から離れて、まだ今のところ不調、という声も聞かれますが、それでもこのレベルなら勝ってくるのではないかな、ということでメドベージェワが優勝予想。

シーズン序盤、好調に入ってきたトゥクタミシェワが久しぶりに表彰台のいい位置に乗ってくるのではないかと予想します

三番手にはチャレンジャーシリーズで初めて200点に乗せてきたトゥルシンバエワの初表彰台予想

実績からすれば樋口新葉選手が表彰台に乗ってくる、というのが普通の予想だと思うのですが、今シーズン3-3がまだ飛べていない、というのがあるので、ちょっと苦しいのではないかと思っています。

 

シニアのグランプリデビュー戦の山下真瑚選手も面白いかなと思うのですが、ちょっと届かないんじゃないかなと。昨シーズンの世界ジュニア3位。一位と二位が今年もジュニアなので、シニアに上がる選手の中では最有力選手ではあるのですけどね。樋口さんの上まで来て4番かなあ。アメリカ勢より上には行けそうに見えます。

松田選手は8番あたりになるかと思います

 

 

三戦目はフィンランドヘルシンキで開催

中国開催がなくなってヨーロッパに飛びました

なんでなんでしたっけ?

日本からは本郷理華、白岩優奈、坂本花織の三選手が出場です

 

優勝:アリーナ・ザギトワ 二位:坂本花織 三位:ルナ・ヘンドリックス

 

ザギトワが負けるってのはちょっとイメージできないです

これはもう予想というかなんというか、それ以外ありえない

二位が誰? からが予想な感じです。ここはイタリアのコストナー選手が出場するので、実績考えると二位まで来そうなのですが、どうにもフリーでしっかりまとめるイメージが出来ず。そうすると今シーズンのルールだとプレゼンテーションスコアも伸び切らないので、表彰台まで乗ってこないのではないかと思いました

浮かび上がってくる名前は坂本花織選手。ここでファイナル進出第一号決定、という道筋かと予想します。

三位は、じわじわ成長してきてチャレンジャーシリーズでは初の200点を記録したベルギーのヘンドリックス選手が初表彰台と予想します。ロシアのコンスタンティノワ、パネンコワという線もあるとは思いますけど、ロシアばかり出てきても面白くないので。

白岩選手はコストナーより下だけどロシアの誰かひとりよりは上に行って六位かな、と思います。本郷選手は、復調してほしいのですが、チャレンジャーシリーズの出来からすると9位あたりで終わることになりそうに感じます

 

 

四戦目NHK杯は、今年は広島での開催です

日本からの出場は紀平梨花三原舞依宮原知子、の三選手

 

優勝:紀平梨花 二位:エリザベータ:トゥクタミシェワ 三位:三原舞依

 

紀平選手はシニアのグランプリデビュー戦

あたればデカいけど不安定でダメな時はボロボロ、という感じがこれまであるのですが、ここは当たりを期待したいです。日本での試合で同門の宮原選手も一緒で、おそらく濱田先生田村先生、どちらも帯同するでしょうから、いつもと変わらない気持ちで試合に臨めるのではないかと思うので、ここはデビュー戦初優勝を期待します

 

二位には今シーズン調子よさそうなトゥクタミシェワを推してみます。210点前後のスコアまでくるんじゃないでしょうか。三位は三原舞依さん。ラジオノワ、宮原知子、デールマンなど実力者が結構いるので予想は難しいんですけど、今の調子だと彼女が上に残りそうな印象です

宮原選手が初戦に続いて日本人選手に負ける、という予想になってしまうのですが、今シーズンは我慢のシーズンになるんだと思います。全日本にはある程度合わせて、表彰台には乗って世界選手権の切符は何とかつかむ、というような道筋をイメージしています

 

 

五戦目はロシアのロステレコム杯

日本からは樋口新葉、松田悠良、山下真瑚の三選手が出場。スケートカナダと同じ顔ぶれです。三人出てその構成が変わらない、というのは珍しいことのような気がします

 

優勝:アリーナ・ザギトワ 二位:山下真瑚 三位:樋口新葉

 

ザギトワ優勝はもはや予想でも何でもない・・・

二位以下が難しい感じです。

ここはメンバー的にいろいろと面白い。アメリカから久しぶりにグレーシーゴールドが出てきます。彼女の今の状態はどうなのか? 彼女が全盛時のレベルで完璧に滑ったら、山下選手ではまだ届かないと思いますけど、さすがにそうはならないんじゃないかなあ、と思われます。二シーズン前に世界選手権で4位に入ったカレンチェンも出てきますが、この人も安定しないからなあ。ロシアのツルスカヤ、サムドロワ。その辺もチャンスはあるんでしょうけど、あまりイメージ沸かない。トゥルシンバエワもここにいて、上の方に来る可能性は感じますけど、二試合表彰台に乗るほどの安定感はないかな、と考えた結果、日本人二選手が表彰台に乗る予想にしてみました

山下選手がシニアのグランプリ二戦目でノーミス演技をし、樋口選手が今シーズン初めて3-3を飛んで復調してきたのを示す、みたいな展開をイメージします

松田悠良さんは6位あたりかな、と思います

 

終戦はフランス、グルノーブルでの開催です

日本からは本田真凛紀平梨花三原舞依の三選手が出場です

 

優勝:エフゲニア・メドベージェワ 二位:ブレイディ・テネル 三位:三原舞依

 

紀平選手がどこに入るか? というのがすごく難しい気がするんですけど、NHKかこっちか、どちらかで優勝しそうだけど、ダメだと表彰台に乗らない、という落差がたぶん出て、NHKで優勝予想したから、こっちは表彰台圏外、ということにしてます。でも4位には残るかな、期待込めて

メドベージェワがまだ不安定さを見せるかもしれませんが、11月末くらいの時期になってくると、それでも220点程度は出して優勝してくるのではないかと思います。

というわけで、テネルはちょっと届かない。テネル215点の三原舞依210点で三位表彰台とイメージしました。

ここにはコストナーもいるのだけど、やっぱりフリーでうまくいかず200点に乗らない、という線で考えています

本田真凛さんはこの辺で200点に乗ってくるかな。5位まで入ってくれれば

ただ、ソツコワ、コンスタンティノワのロシア勢もどちらかは200点まで乗ってくるんじゃないかと思います。ソツコワはシニア三シーズン目、ロシアの法則だとそろそろ危険な時期なので、210点台連発でファイナルとはいかないでしょうけど、200点くらいは1戦は出してきそうかなと思います。でも表彰台までは来ないかな

 

 

この予想通りに並ぶと、ファイナルは次の六人でしょうか

アリーナ・ザギトワ エフゲニア・メドベージェワ 坂本花織 エリザベータ・トゥクタミシェワ ブレイディ・テネル 紀平梨花

ロシア3 日本2 アメリカ1

ありがちな構成ですね

ありがちでないのは、初ファイナルが3人になるあたりですけど、これくらいは十分あり得るんじゃないかなあ

 

 

ファイナルの順位予想まですると

優勝:アリーナ・ザギトワ 二位:紀平梨花 三位:エフゲニア・メドベージェワ 四位:坂本花織 五位:エリザベータ・トゥクタミシェワ 六位:ブレイディ・テネル

 

 

ザギトワ優勝以外の予想は立てにくいです

オリンピックの次のシーズンには、ジュニア上がりの新鋭が表彰台に乗ってきます

今シーズンは紀平選手がそれにあたると考えます。パーフェクトなザギトワと勝負できる構成を持つのは、もはや彼女しかいないので、グランプリファイナルで230点近い点数まで出してもらって、世界選手権への希望をつないでほしいです

なんだかんだでメドベージェワ選手が225点程度は出して表彰台に乗ると思います。

坂本選手が215点くらいかな。トゥクタミシェワはトリプルアクセル不発で208点くらい

ブレイディテネルもミスが出て205点、という感じになりそう

 

 

 

 

今シーズンは、世界チャンピオンのオズモンドが休養、アメリカのワグナー、長洲未来といったベテラン勢も欠場で以前にもまして日露色の強いグランプリシリーズになってますね

ベテラン勢が欠けるのは寂しいところもありますので、この先選手寿命が延びていってくれるといいのですけど、どうなんでしょう

全体のレベルも上がってきましたし、12名ではなくて18名に各大会してみる、というのも面白い気もしますけど、日露の選手が増えるだけであんまり意味ないかな。12名くらいがちょうどいいんですかね

 

ルール変更の影響がどう出るか?

一つの要素でGOEが+5もいれば+1もいる、みたいなジャッジのばらつきがまだまだ見えるので、その辺がいつ収束していくか、あるいはしないのか

そういったあたりも気になります

浅田真央選手が引退して、トリプルアクセルの系譜が途絶えるかな? と思ったりもしましたが、昨シーズンは長洲未来選手がつないで、今シーズンは紀平梨花選手がいよいよシニアに上がってきました。トゥクタミシェワ選手もチャレンジャーシリーズでは構成に入れています。

15歳の山下真瑚選手から31歳のカロリーナコストナーまで

それぞれの特色あるプログラムを楽しめたらと思います

 

 

日本スケート連盟の財務状況 時系列

前回、少し時間が経ってしまっていましたが、最新の、2018年6月期の決算について、日本スケート連盟の財務状況を見てみました

今回は、過去からの時系列で振り返る話をします

 

ここでは主に、正味財産増減計算書を用います

スケート連盟で確認できるのは平成19年度、と記載された2008年6月期の決算のものが最も古い記録としてあります

また、平成24年度、と記載される2013年6月期の決算以降の資料はかなり詳しいものとなってきています

さらに、平成27年度、2016年6月期以降は、いくつかの大会についての収支も細かく見えるようになってきています

 

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まず、正味財産期末残高の推移

横軸は年ですが、2018とある場合は2018年6月末を指します。各決算のタイミングをここで示します。

 

2008年6月の段階で、正味財産は7億円ほどでした

その後年々増加を続けて2013年6月の時点で13.56億円に達します

5年掛けておおよそ2倍になったわけです

それが翌年、14年6月末には25.2億円と、1年でさらに倍近くまで伸びました

以降は微減傾向で続いていますが2018年6月時点でまた増えました。

 

13-14シーズンに何があったか?

ソチオリンピックのシーズンでしたね

そして、さいたまスーパーアリーナで世界選手権も行われました

この13-14シーズンの収益がとにかく巨大だったわけです

その収益をもとに、その後数年は赤字決算で、正味財産を減らしているのですが、特に問題ないという状態です

問題ないというか、そもそも、赤字予算が組まれていての赤字決算になっていて、想定通り、という運営での赤字です

お金持ってるからそれを使おう、という考え方ですね

ソチオリンピックシーズンで稼いだ分を次の3年で使っていって、平昌オリンピックシーズンにはまた稼いで資産を増やした、という構図です。

2018年6月時点の資産は26.49億円で、2014年6月の25.13億円を上回って、記録が確認できる範囲の中で最高値に達しています。

 

毎年のお金はどこから得ているんでしょう?

 

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 このグラフは収支ではなく収益を見ています。これは前回も出したものですが、放映権料やマーケティング収益がかなりの部分を占めていて、それ以外に大会運営収入が大きな額であります。また、補助金なども12%ほどあります。大会運営収入やマーケティング事業収益などは、ここから運営費や事業費を出しているので、実際にはこれが丸々自由に使えるお金になる、ということではないですが、全体の中でこういったところで動く金額、というのがスケート協会の中では大きく占められている、というのはわかります。

 

ここからのグラフでは、横軸に2018とあったら、それは2017年7月~2018年6月までの1年間のシーズンのことを指します。

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受取会費、というものは上記の円グラフの中では1.1%を占めるのみでした。

受取会費は、各選手の登録料と加盟団体の分担金があります。加盟団体というのは47都道府県で、毎年合計47万円、すなわち、各団体が1万円づつ収めているようです。雀の涙程度の額ですね。登録料はここ5年程は3,500万円前後ですが、2013年に3,462万円だったものが、2018年は3,598万円までわずかながら伸びてはいます。選手の登録料は、成年選手で2,000円、少年選手で1,000円です。役員とかは10,000円だったりしますけど。金額が微増、ということは、登録選手数が微増、というのとほぼイコールなので、競技人口はおそらく増えてはいるけれど、その伸びはわずかである、ということになります。フィギュアとスピードの内訳はわかりません。全体として、競技者登録している選手側から得るお金、というのが3,500万円程度ある、ということがわかります。

 

 

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放映権収入はフィギュアが1.7億円前後、スピードは2,700万円前後でしたが、2018年はフィギュアの額が上がって1.94億円になりました。フィギュアとスピードを比べるとフィギュアの方が圧倒的に放映権料は常に高いです。オリンピックシーズンだけ放映権料が上がるか? というとそうでもなく、ソチオリンピックシーズンは前後の年とほとんど変わっていません。浅田真央羽生結弦高橋大輔、などなどで多士済々だったソチオリンピックシーズンですが、そのころのメンバーは多くが引退して、顔ぶれがだいぶ入れ替わっている平昌オリンピックシーズンの方がフィギュアの放映権料は伸びていますので、当時のメンバーよりも視聴率が取れなくなった、ということはない、ということだろうと思います。

 

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継続的に行われていて、記録も追えるフィギュアの二大会の収支を出すとこんな感じです。

収支であって収益ではないので、これは収益から費用を引いた黒字額を意味しています。

NHK杯、全日本フィギュア、いずれも常に黒字で来ています。突出して稼いでいるのが2014シーズンの全日本フィギュア、これは実際には2013年末になりますが、ソチオリンピック直前で、浅田真央さんの最後の大会になるか? あるいは高橋大輔さんも最後になるか? と言われた時の試合です。この稼ぎが、一番最初のグラフ、2014年に正味財産が大幅に伸びていることの一つの要因となっています。また、この二つの大会が常に黒字である程度稼いでくれる、というのがスケート連盟の財政面で大きな余裕を生んでいます。

2018シーズン、すなわち2017年末の、全日本選手権も近年の中では大きな黒字額をはじき出しました。全日本は、オリンピックシーズンに黒字が大きくなる傾向はあるのかもしれません。

一方、NHK杯は2018年の黒字額は近年の中では小さくなっていました。羽生結弦選手が大会直前の怪我により欠場した、というのが大きく効いているのかもしれませんが、本当に大会直前だったので、チケットの売れ行きには関係なかったと思うんだけどなあ、と思う部分はあります。詳細見てみると、実際、入場料収入が前年と比べて減っているわけではなく、費用の方が増えたのが影響しているようです

 

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上記の二つの大会以外で、数字が見えるものをグラフ化してみるとこうなります

細かいところはわかりにくいけれど、わかることは三つあって、一つ目は、赤字の大会も結構な割合であること。二つ目は2014年に莫大な額の黒字を稼いでいること。三つ目は、2014年の全日本フィギュアのオレンジではない部分でも大きな黒字があって、これは世界フィギュアであること

細かい部分は見えにくいと思いますが、フィギュアの大会はほとんど黒字です。グランプリファイナルは9-10 13-14 17-18と、オリンピックシーズンにいずれも開かれてどれも黒字。13年の四大陸選手権も黒字です。フィギュアで赤字なのは、2011年の震災の年に、準備だけして開催できなかった世界選手権や国別対抗戦のほかは、ジュニアグランプリシリーズだけです。つまり、通常開催されたシニアの大会はすべて黒字です

一方、スピードスケートは赤字のものが目立ちます。ワールドカップは13年以降は赤字ですし、世界スプリントも14年は赤字です。ショートトラックもやはり赤字です

今シーズンは世界選手権がさいたまで行われるのですが、前回の例に倣うなら、ここでまた大きな黒字が出るはずなのですが、オリンピックシーズンではない今回は果たしてどうなるでしょうか。

 

 

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さて、では稼いだ金をちゃんと選手たちの強化に使えているのか? というのを見ないといけないのですが、これはそれなりに使えていると見えます。16年までショートトラックがゼロですが、これはスピードの中に含まれていたためと思われます。金額としてはフィギュアよりもスピードスケートの方が多いんですね。17年にスピードとショートを分離して金額を計上しても、まだスピードの方が多いです。これは、選手数の兼ね合いかと思われます。競技人口は実際のところ分からないのですが、試合に派遣しないといけない人数は明らかにスピードスケートの方が多いはずです。フィギュアスケートの方は、世界のトップレベルで戦う選手は男子シングル、女子シングル、それぞれで拡げて拡げて考えても10人程度まででしょうか。アイスダンスで二組、ペアで一組を足しても、全体で30人を超えることはありません。ジュニア、という枠もあるのでもう少し増えるかもしれませんが、せいぜいそれくらいです。一方、スピードスケートは、種目数が多いので必然的に人数が増えます。500m 1000m 1500m 3000m 5000mとあり、マススタートにパシュートまで足されると結構な数です。平昌オリンピックの派遣人数を見ると、フィギュアスケートは9人、スピードスケートは16人、ショートトラックは10人  フィギュアスケートが一番少なくなっています

 

 強化派遣費は、右肩上がりで、総額で12-13シーズンが4.8億円ほどだったものが、17年には6.6億円ほどまで伸びて、平昌オリンピックシーズンには7.25億円になりました。

ソチオリンピックシーズンが5.55億円ほどでしたので、前回のオリンピックシーズンとくらべて31%ほど強化派遣費を増やすことができた、ということになります。

ただ増え方には差があって、フィギュアが13-14シーズンに2.34億円ほどが17-18シーズンは2.86億円と22%程度の増加にとどまっているのに対し、スピード(スピードスケート+ショートトラック)は13-14シーズンの3.21億円から17-18シーズンには4.39億円までのばして37%増となっています。ただ、ショートトラックははっきり数字が分離されたのが16-17シーズンからなのですが、なぜか16-17シーズンは1.34億円だったものが17-18のオリンピックシーズンに1.20億円と減らされてしまっています。この辺は平昌オリンピックでのショートトラック日本代表チームがメダルなしで終わったことにつながるのか、あるいはそういう実力とみなされて他に手厚く強化費を回されたのか、鶏が先か卵が先かわかりませんが、なにか因果は感じます。

 

 強化費の使われ方というのも結構面白くて、フィギュアスケートの選手は、個人で強化合宿が設定されるんですね。16-17シーズンですと、浅田真央さんはトロントに9月と10月に行っていたり、三原舞依さんと坂本花織さんは、5/7-6/12に一緒にロスアンゼルスに行っていたり、でも6/12~21のトロントには坂本さんはいかずに三原さんだけで行っていたりします。そうやって名だたる選手たちの名前が並ぶ一方、羽生選手の名前は出てきませんし、宇野選手も16-17シーズンは名前が出てこなかったりします。17-18シーズンは宇野選手の名前は戻ってきました。

 

 

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さて、収入側にまた戻ります。

寄付金、というものを各種協会では受け取っていますが、スケート連盟では2013-14シーズンだけ突出して大きな寄付金を受け取っています。これもソチシーズンのこと。何だったんでしょうね、この13-14シーズンの寄付金。1.3億円ほどありました。それ以外の年は2,000万円前後の額が経常されているのですが、15~18年の四か年は、1,950万円で固定です。一般からの寄付金が毎年固定金額、というのは不自然ですから、企業かどこかからの寄付金ですかね。現在、連盟のウェブサイトでは特に寄付金を募っていません(他のスポーツ系の協会では、ウェブサイトで結構寄付金募ってます)

 

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補助金をどの程度受けているのか、というのを見ると、2億円台前半くらいの金額になっていました。これが17-18シーズンは3.73億円と大分膨らんでいます。実際の計上額はもっと大きいのですが、スポーツ振興くじからの補助金については、スポーツ振興くじに対しての巨額の費用も発生しているので、その分を差し引いた後の額で見ています。

17-18シーズン単独で見ると、黒字額の幅より受取補助金の額の方が小さいので、補助金レスでもスケート連盟はやっていけた計算になりますが、その前の3年間が赤字決算で推移しているので、ずっと補助金レスだと、今のお金の使い方ではやっていかない、という計算にはなっています。まあ、補助金込みでどれだけ強化費に使えるか、というやりくりなので、当たり前と言えば当たり前ではあるのですけど。

 

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 スケート連盟はマーケティング事業からもかなりの収益を得ています。これは、マーケティング事業で得た収益から、その事業に直接かかった費用を差し引いた金額です。やはり2013-14シーズンに膨らんでいますが、それ以外の年も2~3億円の稼ぎがあります。これはつまり、各種補助金で得ている金額と同じくらいの額を、自らのマーケティング事業で得ることができている、ということを表しています。17-18シーズンはその水準から大きく膨らんで7.72億円のプラスがありました。なお、ここの数値は、マーケティング事業収益から、マーケティング事業補助金を差し引いた額で出していて、管理費項目の給料などは差し引いていません。それを差し引くともう1,000万円くらいづつ小さい値にはなります

 それにしても、オリンピックシーズンというのはマーケティング事業でかなり大きく稼ぐことができるわけですね。

 

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ここまでの各種資金源の推移を見るとこんな感じになります。

表記上の14年、すなわち13-14シーズンは、いろいろなものの収益が膨らんでいます。ソチオリンピック効果というのはすごかったわけです。18年、すなわち17-18シーズンも平昌オリンピック効果でしょうか、各項目膨らんでいるように見えます。

補助金というのが各種スポーツ団体では多く使われていそうなイメージなのですが、スケート協会ではそれ以外の資金源が結構あるようですね。13~17年くらいの時期には補助金に近い金額を放映権料から得ていますし、マーケティング収支はどの年も補助金より高い水準にいるのが普通です。主催大会の収益も赤字分が足されているので小さめになっていますが、黒字大会だけ見れば億単位の金額になります

 

放映権料も主催大会の収益も、ほとんどがフィギュアスケート由来のものです。マーケティング事業収益の内訳はわかりませんが、これもおそらくフィギュアスケート由来のものが大きいでしょう。一方で、強化費は、フィギュアよりスピード系種目の方が掛かっている、という現実があります。誤解を恐れず言ってしまえば、フィギュアスケート補助金がなくても単独で実はやっていけるが、それ以外のスケート系競技はフィギュアで得た収益あるいは補助金で支えられている、というのが現実です

 

スピードスケートは先の平昌オリンピックで結果を出しました。かなりの好成績を上げることができました。競技としての魅力もあるはずです。放映権料でもっと稼げるように、主催大会で黒字を稼げるように、そして、その稼いだお金で強化が出来るように、という正のスパイラルを回していってもらえたらな、と思います

 

 

 

関連エントリー

日本スケート連盟 2018年6月期決算

日本スケート連盟主催試合の収益性

冬競技の財政状況比較

 

 

チャレンジャーシリーズ18 男子シングル

女子は前回で終わって今度は男子です

 

まず、大会によらず点数上位を並べてみたいと思います。

250点で切ろうと思ったら少なかったので230点以上を並べます

ついでに、点数関係なく日本人選手も並べました

 

 

宇野昌磨 276.20(104.15(57.65,46.50) 172.05(83.75,89.30) 優勝 ロンバルディア

Mikhail Kolyada 274.37(96.82(52.52,44.30) 177.55(87.05,91.50) 優勝 オンドレイネペラ杯

羽生結弦 263.65(97.74(52.34,45.40) 165.91(79.01,87.90) 優勝 オータムクラシック

Junhwan Cha 259.78(90.56(52.21,38.35) 169.22(87.62,81.60) 2位 オータムクラシック

Keegan Messing 257.16(90.63(49.03,41.60) 166.53(82.23,84.30) 優勝 ネーベルホルン杯

Mikhail Kolyada 250.58(85.20(43.45,42.75) 165.38(75.10,90.28) 優勝 フィンランディア杯

Dmitri Aliev 250.55(86.57(46.47,41.10) 163.98(80.78,83.20) 2位 ロンバルディア

Andrei Lazukin243.45(87.92(50.27,37.65) 155.63(76.23,79.30) 3位 ロンバルディア

Sergei Voronov 239.73(81.77(42.82,38.95) 157.96(78.56,79.40) 2位 オンドレイネペラ杯

Junhwan Cha 239.19(84.67(46.25,38.42) 154.52(74.88,81.64) 2位 フィンランディア杯

Roman Sadovsky 233.86(78.14(41.69,37.45) 155.72(79.92,77.80) 3位 オータムクラシック

Jason Brown 233.23(88.90(44.80,44.10) 144.33(60.63,83.70) 4位 オータムクラシック

Morisi Kvitelashvili231.19(77.52(41.76,35.76) 153.67(79.41,75.26) 3位 フィンランディア杯

田中刑事 221.92(77.53(37.83,39.70) 144.39(64.09,80.30) 3位 オンドレイネペラ杯

友野一希 216.74(75.47(39.07,37.40) 141.27(70.07,72.20) 5位 ロンバルディア

本草太 205.79(72.16(37.07,35.09) 133.63(62.71,70.92) 9位 フィンランディア杯

日野龍樹 205.15(70.92(37.79,33.13) 134.23(67.15,67.08) 10位 フィンランディア杯

本草太 198.92(57.92(25.37,32.55) 141.00(70.40,70.60) 優勝 アジアンオープン

須本光希 182.39(63.65(30.10,33.55) 118.74(51.64,68.10) 4位 アジアンオープン

佐藤洸彬 176.30(56.34(27.89,32.45) 119.96(53.06,66,90) 6位 USインターナショナル

 

 

並べてみて恐ろしいのは、ザキトワ選手の出した238.43というスコアを上回っているのは8選手、10例しかない、ということです。男子と女子ではプレゼンテーションスコアの係数が異なります。ザキトワ選手のプレゼンテーションスコアの係数を男子と同等、と仮定して補正を加えるとショート89.03、フリー177.24の合計266.27となります。これを上回っているのは、宇野選手とロシアのコリヤダの二人だけ、ということになります

フリーの177.24という計算値を上回るのは、コリヤダのフリーの177.55しかありません

ザキトワのスコアはとてつもないスコアである、ということが男子の結果を見ることでよくわかったりします

 

これはつまり、四回転もトリプルアクセルなしでも、そこまで出すことは可能である、ということです。今の水準であれば、四回転、トリプルアクセルなしでも勝機がある、という計算になります

実際には、男子のトップ選手でトリプルアクセルも無し、ということはないですから、きっちりノーミス演技をして、各要素で加点をつけて、プレゼンテーションスコアで高得点を出せば、四回転なしでも、チャレンジャーシリーズ段階のスコアなら勝負ができる、ということになります

 

チャレンジャーシリーズの結果だけを見る限りにおいては、今回のルール変更は男子への影響が女子と比べてかなり大きいように見えます。実際、ジャンプの数が減る、時間が短くなる、という男子だけの変更もある、ということもありますが、ジャンプ基礎点の減少とGOE幅の変更、ということだけでも男子への影響が大きそうです

何が理由か、というと、女子はノーミスに近い滑りをする選手が多い中での加点をどこまで引き出せるか比べ、というところに至っていたのに対し、男子は四回転ばくちでダメならダメ、飛べれば高得点、というハイリスクハイリターン型構成でした。今回のルール変更は、このハイリスクハイリターン型へのダメージが大きくて、全体的に点数が下がっている印象です

 

男子の有力選手ではネイサンチェン、ビンセント・ゾーといったアメリカ勢や中国のボーヤンジンあたりはチャレンジャーシリーズに出ませんでした。スペインのハビエル・フェルナンデス選手もいませんが、これはグランプリシリーズのエントリーもないですし、1シーズン休むか、後半のヨーロッパ選手権、世界選手権に出てくるかはわかりません

その辺なしだと、上位に来るのは、日本の二人と、男子でもロシアがかなりの数を占めるようになってきました。

意外なのは、韓国のチャ・ジュンファン。オリンピックでも15位に終わっていて、まだまだかと思っていましたが、チャレンジャーシリーズ2試合では好成績を上げてきました

 

ただ、まだまだ、全員、ノーミスの演技というのは出来ていません。ルール変更に戸惑った状態のまま、まだ新ルールへの対応が手探り状態という中で試合に臨んでいるようにみえます。

フリーでの4回転の回数は宇野選手が4回、羽生選手は3回になってますが、単独のダブルトーループは4回転にしたかったのだと思うので4回の構成かと思います。コリヤダはトーループ2本の2回、チャ・ジュンファンはサルコウトーループで2回、キーガンメッシングはトーループ1回だけ。3種類4本、なんて構成を選んでいるのは日本のトップ2人だけですいまのところ。ネイサン・チェンやボーヤンジンがどんな構成で来るのかは興味深いところ

昨シーズンは四回転ルッツにチャレンジし始めた選手がかなりの数いた印象ですが、今シーズンはその傾向は抑えられそうで、2年くらい時計を巻き戻した時期の構成になりそうな感じです。つまり、限られた選手だけが4回転を3種類以上こなすけれど、ほとんどの選手はやってサルコウトーループの二種類で2回。あるいは得意な方の1種類で2回。

そんな構成になりそうです

 

今回のルール改正では、そういった形で、少しジャンプの難易度を下げさせても、全体の完成度を上げさせよう、という主催側の意志が感じられますが、いまのところ、まだシーズン序盤であることもあって完成度は全体的に低い中での争いとなっています。フリーの最高点はコリヤダ選手の177.55で、まだ180点に乗った選手すらいません。コリヤダ選手も4回転トーループで転倒しています。フリースコア二番目の宇野選手は172.05ですが、こちらの演技は本人基準ではボロボロといっていいレベルでした。羽生選手も同様です

 

上位の選手は、顔見せに出てきました。怪我無くあるいはケガから回復して元気にやってます、新ルール対応中です、という感じのチャレンジャーシリーズだったかと思います。

 

 

さて、日本人の三番手以下の選手たちを見ていきたいと思います。

今回のチャレンジャーシリーズには、特別強化選手と、強化選手Aでシニアの大会への出場を希望した選手が出たように見えます。男子は強化Bからの出場はなし

 

三番手以下で一番高得点だったのは、オリンピックにも出た田中刑事選手でした。

ただ、スコアは221点台で、出来もかなり悪いです。フリーではサルコウトーループで2つ四回転のつもりだったのかと思いますが、どちらも3回転になりました。ルッツも2回転になっています。コンビネーションジャンプも一つ入らず。GOEで+4のジャッジがいる要素がコレオシークエンスのみ。スピンのレベルが4,3,2一つづつ、ステップのレベルが3

相対的に他の日本人選手より上に行きましたが、ぱっとしないシーズンインでした。まあ、男子は上から下までほとんど全員がそんな感じなので、特別心配ということもなく、だれがはやく新ルールになれてしっかりした演技をしてくるか? という争いになっていて、その中で今は普通の位置にいる、という感じかもしれません

 

世界選手権5位の友野一希選手もそれほどいい出だしではなく、ロンバルディア杯で216.74の5位

友野選手はフリーの4回転はサルコウで2回の構成なようですが、1本目が転倒、2本目は2回転になり、点が伸びませんでした。ただ、他の要素は減点なし。スピンステップすべてレベル4 序盤悪い入りながらもそこから立て直して大崩れしなかった、という形でした

4回転サルコウ以外の課題として、GOEのプラス幅が小さい、というのがありそうです。ショートフリー合わせて、+4以上がついたものが、すべての要素すべてのジャッジで一つもありません。+3も、ステップではショートフリー共に半分くらいのジャッジが付けていますが、それ以外の要素ではトリプルアクセルが絡む要素で+3をつけたジャッジがそれぞれいるくらいです。普通の3回転ジャンプで、あるいはスピンで、+3をもらうことができておらず、+2あるいは+1にとどまってしまう。

この辺がこの先上位で戦うためのポイントになりそうに見えます

 

本草太選手は国際試合の復帰シーズンになるんですが、実は国際試合のシニアデビューシーズンだったりもします実質的に。そういう意味で、点は伸びないながらアジアンオープンにフィギュアで優勝できたのは大きくて、これでランキングポイントを何とか稼ぐことが出来ました。

まだジャンプはトリプルアクセルまで。アジアンオープンフィギュアのフリーで久しぶりに加点付きのトリプルアクセルを飛びました。フィンランディア杯ではおそらくフリーで2回トリプルアクセル、という構成にまで上げたのだと思いますがこれは不発でした。

彼がジュニア時代に戦っていた、宇野昌磨、ボーヤンジン、ネイサンチェン、と言ったところは、今や世界の頂点を争う選手になっています。スコア的にはまだまだですが、立て続けの大きなけがを乗り越えつつあって、どこまで行ってくれるのか楽しみでもあります。今シーズンの段階でも3番手としての世界選手権出場、というのはありえるかもしれません。

 

チャレンジャーシリーズ出場組の中では須本選手だけはジュニアカテゴリーの選手で、今シーズンもジュニアグランプリシリーズに参戦しています。チャレンジャーシリーズのアジアンオープンフィギュアでは冴えない結果に終わりましたが、ジュニアグランプリの初戦、スロバキアでは210.31のスコアを出して2位に入っています。

今シーズンはジュニアカテゴリーで世界を目指し、世界ジュニアでの表彰台や、3枠奪取という目標の方に進むことになりますが、田中選手、友野選手の出来次第では、全日本で表彰台に乗ってくる、という可能性もあるスコアを持っています。四回転がない、というのが今の大きな弱点。これを克服すると、次代の中心選手になってくるんですけど、どうでしょう。

 

 

今シーズンはルールが大きく変わったこともあり、シーズン序盤はほぼ全員が、まだバタバタした感じになっていることが否めません。

シーズン終盤には、それぞれの完成度が上がっていって、四回転で勝負する人、四回転はないけれど加点要素で、見栄えで勝負する人、それぞれの個性が生きる展開になっていってもらえたらと思います

 

チャレンジャーシリーズ18 女子シングル

さて、前回まで日本人11選手のチャレンジャーシリーズでの結果を振り返りました。

次は、全体の結果です。

ここまで7大会ありましたが、200点を超えた結果をまず並べてみたいと思います

 

 

Alina Zagitova 238.43(79.93(43.53+36.40) 158.50(83.54+74.96) 優勝 ネーベルホルン杯

紀平梨花 218.16(70.79(40.67+31.12) 147.37(81.05+66.32) 優勝 オンドレイネペラ杯

三原舞依 209.22(70.94(39.06+31.88) 138.28(72.92+65.36) 2位 ネーベルホルン杯

Bradie Tennell 206.41(69.26(37.38+31.88) 137.15(68.51+68.64) 優勝 オータムクラシック

Elizaveta Tuktamysheva 206.07(65.69(35.57+31.12) 140.38(72.30+68.08) 優勝 ロンバルディア

Evgenia Medvedeva 204.89(70.98(36.78+34.20) 133.91(65.63+69.26)  2位 オータムクラシック

Loena Hendrickx 204.16(71.50(39.94+31.56) 132.66(69.26+64.40) 3位 ネーベルホルン杯

Elizaveta Tuktamysheva 202.85(73.83(42.03+31.80) 129.02(67.69+62.33) 優勝 フィンランディア杯

宮原知子 201.13(67.53(32.53+35.00) 133.70(66.54+68.16) 優勝 USインターナショナル

Elizabet Tursynbaeva 200.74(70.95(38.65+32.30) 129.79(66.25+63.54) 2位 フィンランディア杯

 

9選手が10回、200点超えを記録しています。

例年試合数の多いトゥクタミシェワ選手が、今シーズンも二試合出て二勝しています。

 

国籍別で見るとロシア3人日本3人に、アメリカ、ベルギー、カザフスタンが1人づつ

初の200点超えは紀平選手に、ベルギーのヘンドリックスとカザフスタンのトゥルシンバエワの3人

紀平選手は昨年の全日本で200点を超えてますが、ISU公認の試合では初めてです

 

新勢力、という感じがあるのはやはり初めて200点を超えた三人ですかね

昨シーズン、ヨーロッパ選手権でロシア×3+コストナーに次ぐ5位に入ったヘンドリックスと、カナダのブライアンオーサーコーチの下で長く学び、今シーズンからロシアのエテリコーチのところ移籍という、メドベージェワの逆を行ったトゥルシンバエワの二人がここにきて本格化してきた感じでしょうか

 

ヨーロッパ選手権はしばらくロシア一強、というかロシア三強で表彰台、最近はコストナーが復帰して四人で表彰台争いで後はおまけ、みたいな状態でした。

ヘンドリックス選手の204点というスコアは、優勝争いにはちょっと辛いけど、ロシアの3番手となら十分に戦えるスコアなので、ようやく少し表彰台争いが面白くなりそうです

 

一方の四大陸選手権側も今シーズンは、カナダのオズモンドが休み、アメリカもワグナー、長洲未来とベテラン勢が休み、ということで、日本3人vsテネル、みたいな構造になりそうでしたけど、そこにトゥルシンバエワが割って入ってくれれば面白くなります

 

今シーズン稼働予定の有力選手、200点経験者でチャレンジャーシリーズに出てこなかったのは、ロシアのソツコワとラジオノワ、イタリアのコストナーくらいでしょうか。

アメリカのカレンチェンもいなかったかな

 

 

200点以上で9人並べましたが、当然その中でも上の方下の方あります

ザキトワ選手の238.43は突出していました。

合計点はもちろん、ショートもフリーも全選手の中で最高得点。

ショートの技術点、演技構成点、フリーの技術点、演技構成点と区分けしていってもどれも最高得点です

2番目の紀平選手との点差は20点以上ある

ちょっと、これと他の選手がどう戦っていいのか、というのは何とも考えにくい

 

ただ、紀平選手だけは戦いようがあるんだな、というのが見えるスコアでもありました

技術点の差はショートで2.86 フリーで2.19

これはノーミスなら問題なく上に行ける、という点差です

ショートフリーでトリプルアクセルが3本ある紀平選手は、技術点はノーミス比較ならザキトワ選手の上にはっきりと行ける

演技構成点はグランプリシリーズではまだ厳しいでしょうが、しっかり結果を積み重ねていけば世界選手権の時期には、並ぶまでいかずとも1点2点程度の差にまでは持っていけるだろうと予想できます

そうすれば、ノーミスのザキトワが相手でも勝てるかもしれない、とう計算ができます

 

その計算ができるのは紀平選手しかいない

メドベージェワは実績からすればザキトワと近い戦いができるはずなのですが、今シーズンは何か違うものを見ているような気がしてしまいます

もしかしたら、彼女にとって今シーズンが最後のチャンスになる可能性もあるのが怖いのですが、ブライアンオーサーコーチはすぐに結果を出すというより継続してみて長く結果を出せるようにする、というタイプに感じるので、今シーズンの世界選手権で240出して優勝、というような構図はなんとなくイメージしづらいなあ、と感じています

ザキトワ-メドベージェワ-紀平梨花、フリー最終三人で240点決着、なんていう絵柄を見てみたい気もするのですけどね

 

ロシア勢は誰が代表3人になってくるのでしょう。チャレンジャーシリーズを見る限りだと、トゥクタミシェワ選手がだいぶ復調してきているのかな、という印象です。

ロンバルディアではフリーで、フィンランディアではショートで、それぞれ完ぺきではないですがトリプルアクセルを着氷しています

ロシアの有力選手の中では最年長の21歳

浮き沈みありながらここまで何とか続いているのはレオノワ以来でしょうか

彼女より年下のリプニツカヤが先に辞め、ポゴリラヤは結婚し、世界ジュニアレベルでは活躍していたサハノビッチやフェデチキナは伸びてこず、同期のソトニコワは全然試合に出てこない

どうもオリンピックに縁のない選手になってしまっていますし、世界選手権は優勝経験があるものの、実は出場したのも二回だけと、あまり大舞台に出ていくこともできていない

そんな人生ですけど、今年はチャンスが巡ってきているように感じるので、今シーズン、さいたまの世界選手権までたどり着いてほしいような気がします

グランプリシリーズは2戦目のスケートカナダと、4戦目には来日して日本人上位3人と対戦です。ラジオノワと一緒に来日なので、明子の部屋で二人で語ってほしいです

 

 

アメリカはブレイディテネルが頭一つ抜け出た感じでしょうか

二シーズン前の世界ジュニアでは、まだ全然、という感じだったのが、昨年のスケートアメリカで坂本花織選手と同時ブレイクして三位表彰台。以降、全米選手権で勝ち、オリンピック、世界選手権もそれなりの結果を出してきて、今シーズンも206点スタート

すでに20歳なので、そんなに若くもないんですよね

アメリカは17歳18歳くらいから伸びてくる選手が結構いるので、ジュニア時代がいまいちでも、その先どうなるかわからない

ロシアとのカラーの違いが面白い

テネルのグランプリシリーズは当然初戦のスケートアメリカと、もう一戦は最終六戦目のフランスです。スケートアメリカは昨年と同じように宮原知子、坂本花織との対戦で、チャレンジャーシリーズ時点でのスコアは上にいますので、グランプリ初優勝のチャンスでもあります。

 

 

メドベージェワが優勝した年の世界ジュニアで、え? カザフスタン? という選手が目を引く演技をして4位に入りました。トゥルシンバエワでした

その後シニアに上がってからも着実に力をつけてきました

17年世界選手権では9位に入って、カザフスタンにオリンピック出場枠2つを持って帰る、という大貢献をしています。

ただ、すごく目立つ、という結果はこれまでないです。世界選手権最高位は9位。オリンピックでは12位。四大陸選手権も8位が最高。グランプリシリーズも5位が最高で表彰台に乗っていません。

一昔前のグルジアゲデバニシビリさんのような位置づけの選手にも見えていました。

そんな彼女がここにきて200点突破。チャレンジャーシリーズではもう一試合、オンドレイネペラ杯にも出ていましたが、こちらでも192点と悪くないスコアでした

良かったのはどちらもショートで、オンドレイネペラ杯では69.99とわずか70点乗らなかったのが、フィンランディア杯では70.95とついに70点台に乗りました

ただ、フリーがどちらも今一つという印象です。オンドレイネペラ杯では回転不足が三つついての122.31 フィンランディアでも回転不足二つに着氷のミスなども加わって129.79にとどまっています。

フリーの130点台がまだありません

3回転-3回転のコンビネーションジャンプがサルコウ-トーループになってしまうのが一つの弱点になってしまっています。この組み合わせなので、フリーで2回飛ぶジャンプがサルコウトーループになるんですよね。そうなると基礎点が低めに出る。そして、その成功率も決して高くない。

ここが改善されるとフリーで130点台後半が見えてきてトータル210点近いところまで伸びるのですけれど。そのあたりはこれからも一歩一歩進んでいくんでしょうか

 

彼女と、デニス・テンさんを中心とした2022年のアルマトイオリンピック、というのが開催されるのを願っていました。開催地投票では4票差で北京に敗北。そして、つい先ごろ、デニス・テンさんは亡くなりました

悲しみに包まれているカザフスタンフィギュアスケート界に、明るい光を差し込ませてくれたらと思います

 

グランプリシリーズは2戦目のスケートカナダと5戦目のロシアにエントリーです

2戦ともにぶつかる樋口選手あたりの上に出られると、初の表彰台というのが見えてきます

 

 

今シーズンは休養を取った有力選手も多く、ますます10代色、日露色が強い女子シングルとなっていますが、それ以外の様々な国、様々な世代の選手もそれぞれに力を発揮したいい演技を見られるシーズンになってほしいな、と願います。